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ボルボ、公道実証実験「Drive Meプロジェクト」用自動運転車の第1号車をラインオフ

ボルボ・カーズは、9月9日にスウェーデンのトースランダ工場で同社の公道実証実験「Drive Meプロジェクト」で使用される自動運転車の第一号車をラインオフさせたと発表しました。

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実際にプロジェクトで使用される自動運転車がラインフしたことで、公道で一般ユーザーが自動運転実験を行う、いままでに例のない「Drive Me プロジェクト」がスタートします。

ボルボは現在、販売している90シリーズのモデルに、「パイロットアシスト」と名づけたレベル2に相当する半自動運転機能を搭載しています。

この「パイロットアシスト」は、緩やかなステアリング操作によって運転をアシストする機能があり、時速130kmまでの速度であれば、前走車がいなくても走行車線をキープして走行することができます。

今回のプロジェクトに使用されるのは、XC90にDrive Meプロジェクト用の自動運転テクノロジーを搭載した車両です。

「Drive Meプロジェクト」用の自動運転車は「パイロットアシスト」に加えて、ボルボが「自動運転頭脳(Autonomous Driving Brain)」と呼ぶ、1段階進歩した自動運転機能を搭載しています。

ボルボでは「自動運転頭脳」について、イェーテボリ周辺に設定した自動運転ゾーンでは、ハンドルを離したままで、さらにアクセルやブレーキを操作する必要なく安全に運転することが可能であると説明しています。この「自動運転頭脳」機能をもたらす装置の詳細は未発表です。

ボルボが明らかにしているように、今回のプロジェクトでの自動運転が特定の「自動運転ゾーン」でのみ機能するということから、車両側の装置だけではなく、道路側にもなんらかの自動運転を補助する仕組みが付加されていることが考えられますが、この点についてもボルボは発表していません。

あるいは、ボルボが指定した「自動運転ゾーン」とは、単なる自動運転に適した道路という意味かも知れません。

ともあれ今回の「Drive Me プロジェクト」がユニークなのは、一般ユーザーが日常生活の中で公道を自動運転車で走行するという点です。

このことは、ボルボ・カーズのアクティブセーフティ部門でシニアテクニカルリーダーを務めるエリック・コリン氏が、

「お客様は私達エンジニアとは違った目で車を見ます。そのため、お客様が日常生活の中でこれらの車をどのように使うのか、またどんな意見が出るのかを楽しみにしています」

と語っていることからも理解できます。

ボルボは今回のイェーテボリで行われる実証試験と同様のプロジェクトを、2017年にロンドンでも実施する予定で、さらに今後数年以内には中国でも「Drive Me プロジェクト」を実施することを予定しているということです。

最近のボルボは、自動運転技術について積極的に他社と提携を進めています。

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本年8月には、米国の配車サービス大手のウーバー(Uber)と次世代の自動運転車を共同で開発する提携を開始。ウーバーとの提携で開発される自動運転車も公開されています。

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さらに9月には、次世代の自動運転ソフトウェアを開発するために、スウェーデンの自動車安全システム大手であるオートリブ(Autoliv)との合弁会社をスウェーデンに設立することを発表しています。

このように自動運転分野で活発な活動を見せるボルボが今後どのような自動運転技術を開発してくれるのかに期待が高まっています。

(山内 博・画像:ボルボ)

SUVなのにリムジン!? ボルボXC90にショーファードリブン仕様が登場

ショーファードリブンの定番といえば高級サルーンが思い浮かびますが、ボルボがリリースした「XC90 Excellence(エクセレンス)」は、オーナー自らがステアリングを握るよりもリヤシートにゆったりと身をゆだねるのが似合う、いままでにないSUVに仕上げられています。

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「XC90 Excellence」は、ボルボが初めて投入する4人乗りSUVで、運転手付で移動するユーザーを想定。注目のリヤシートは、フロントシート同様の独立式で、シートヒーター、ベンチレーション、マッサージなどの機能が付加されています。

ほかにも、クーリングボックス、後席それぞれで使える折り畳みテーブル、保温/保冷機能付カップホルダーなどビジネスクラスのような豪華なシート、装備を用意。

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XC90のインテリアは、ベース車でも北欧デザインらしいクールで、高い質感を備えています。

「XC90 Excellence」には、さらにひし形の専用デザインが施された「パーフォレーテッド・ファインナッパレザー」のシートをはじめ、レザートップ・ダッシュボードなど、最高級の品質にこだわった素材を採用。

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スウェーデンを代表するクリスタルブランドであるオレフォス社によるハンドメイドのクリスタルグラスと クリスタル製グラスカップホルダーも見どころです。

ほかにも、ショーファードリブンにふさわしく、車内の防音性能も強化されていて、「Bowers&Wilkins」のサウンドシステムの性能をより引き出せるそうです。

ベース車は、XC90の最上級グレードであるPHVの「T8 Twin Engine」がチョイスされています。

同パワートレーンは「Drive-E」と呼ばれる2.0Lの直列4気筒スーパーチャージャー付直噴ターボエンジンと電気モーターの2つのユニットを組み合わせることで、320ps+87ps (欧州参考値)という高出力と、15.3km/L(JC08モード)の燃費性能を実現。電気モーターのみで35.4km (充電電力使用時走行距離)のEV走行が可能になっています。

「XC90 Excellence」の正式なモデル名は、「XC90 T8 Twin Engine AWD Excellence」 で、価格は1299万円です。

(塚田勝弘)

他にはない雰囲気の上質な内・外装が魅力 ─ ボルボ「XC90 T8 Twin Engine AWD Inscription」画像ギャラリー

ボルボ車が持つ洗練された内・外装をより一層磨き上げられた新型ボルボXC90。その頂点に立つプラグインハイブリッドの「XC90 T8 Twin Engine AWD Inscription」は、とくにインテリアにおいてガソリン仕様よりもさらに高い質感が追求されています。

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標準装備となるナッパレザーシート(ベンチレーション&マッサージ機能付)をはじめ、リニアウォールナットウッド・パネルなどが上質な雰囲気を醸し出していて、クリスタルガラスのシフトレバーもプラグインハイブリッド専用アイテム。

ほかにも、ガソリン車にも装備されるダイヤモンドカットが印象的なスタータースイッチなど、細部にまで徹底したこだわりが感じられる造形美を堪能できます。

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外観では、21インチアルミホイール、インテグレーテッドルーフレール、インテグレーテッドテールパイプなどを装備。ほかにもステアリングホイールヒーター、リヤシートヒーター、パノラミックサンルーフなど内・外装に充実の標準装備が配されています。

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安全装備の充実ぶりも目を見張るものがあり、世界初の「インターセクション・サポート(右折時対向車検知機能)」を含む新「City Safety」をはじめ、14種類の先進安全装備、運転支援機能を標準装備。

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ほかにも、塊感を感じさせながら、非常にスマートで洗練されたムードが漂うエクステリアなどボルボXC90ならではの魅力があり、ほかの大型SUVとは違った印象を受ける仕上がりとなっています。

(文/塚田勝弘 写真/前田惠介)

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35.4kmは長い?短い?ボルボ・XC90 プラグインハイブリッドのEV走行可能距離

96セルのリチウムイオン電池を搭載し、総電力は9.2kWh、200Vの普通充電で2.5〜3.0時間で充電が完了する、ボルボ・XC90のプラグインハイブリッド「T8 Twin Engine AWD Inscription」。

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バッテリーは床下中央に搭載され87ps(65kW)を発生。後輪を駆動するリヤモーターは後輪の左右間に配置されています。

さらに、エンジンのスターターモーターだけでなく、バッテリー用の発電・パワーブーストを兼ねるCISGと呼ぶジェネレーターも搭載されているほか、8ATのトランスミッションには、電動オイルポンプ、CIGSのための空間を確保するクラッチカバー、シフトバイワイヤ化のための改良が施されています。

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気になるEV走行の航続可能距離は最大で35.4km。

フォルクワーゲンのゴルフGTIが53.1km/hなど50km超のモデルもあることを考えると、短く思えますが、重量級SUVとしてはライバルと比べても遜色なく、BMW X5 xDrive40e(EU値)は31km、ポルシェ・カイエンS Hybridは36kmとなっています。

なお、国産勢では三菱のアウトランダーPHEVが60.8kmと、SUVでは群を抜いていますが、カタログスペックであることを考えるとどう評価するか難しいところ。

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充電は車両左前のリッドを開けて差し込むだけ。充電中は自動的にロックがかかり、キー操作をしないと充電ケーブルが抜けないようになっています。

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なお、電気モーターのエネルギー消費量をはじめ、エンジンの使用や電気モーターが推進として使われているか、回生中かどうかなどを中央の大型ディスプレイに表示される機能も用意されています。

(文/塚田勝弘・写真/前田惠介)

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ボルボ・XC90 プラグインハイブリッドの走りはどうか?

スーパーチャージャーと直噴ターボのダブル過給器付2.0Lエンジンに、リヤモーターが後輪を駆動するボルボ・XC90のプラグインハイブリッドモデル。

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グレード名は「XC90 T8 Twin Engine AWD Inscription」で、エンジンスペックは320ps/5700rpm、400Nm/2200-5400rpm。リヤモーターは87ps(65kW)/240Nmという数値で、システムトータルでは407ps/640Nm(欧州値)という高い出力、トルクを誇ります。

発進時から非常に静かでスムーズなのはもちろん、21インチタイヤとは思えないほど乗り心地は良好。試乗車はオプションのエアサスペンションを装着。

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エアサスペンション装着車でもひと昔前のフワフワとした乗り味ではなく、適度に引き締まっているのも印象的。ノーマルサスがどんな乗り味を示すのか興味深いですが、試乗する機会があればご報告したいと思います。

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ただし、同じエアサスのガソリン仕様と比較すると、車両重量の重さを感じさせるフィーリング。床下に重量物のバッテリーを積むPHVらしい乗り心地で、荒れた路面だと左右にボディが揺すられるようなシーンもありました。

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動力性能はもちろん不満を一切感じさせないもので、エンジンが始動し、スーパーチャージャー、ターボと過給が切り替わっても遮音対策が念入りにされているためか静粛性の高さも1000万円超の価格にふさわしいレベルといえます。

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そのほか、PHV向けに「DRIVE MODE」も用意されていて、「Pure mode」にするとモーター走行が最優先となり、バッテリー状態などによっては125km/hまでEV走行となるそうです。また、同モード時は車高が10mm下がります。

そのほか、エンジン、バッテリー、モーターを走行状況などに応じてバランスよく使い、燃費も最も良い「Hybrid mode」、市街地などでのモーター走行に備えてバッテリーを温存する「Save mode」は、バッテリー残量が少ないと33%まで充電が可能に。

「AWD mode」が用意されているのも特徴で、路面状態が悪い場合などはトラクションが最大化されます。

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音・振動面の対策も抜かりのないボルボXC90プラグインハイブリッド。1009万円という価格は万人に推奨できるものではありませんが、大型SUVのPHVで3列を実現するなどによりモデルライフを通して一定の支持を得そうです。

(文/塚田勝弘・写真/前田惠介)

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1000万円超となるボルボ・XC90 プラグインハイブリッドの強みとは?

北米などを中心に好調のボルボXC90は、「北米トラック・オブ・ザ・イヤー」、「2016 SUVオブ・ザ・イヤー」に輝くなど、世界的な話題を集めている新世代ボルボを象徴するモデルといえるでしょう。

日本でも1月27日の発売以来、3月末までの約2カ月で300台以上を受注しているそうです。

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新しさを感じさせる内・外装だけでなく、パワートレーンも見どころ満載。

なかでも1000万円超えとなるプラグインハイブリッドの「XC90 T8 Twin Engine AWD Inscription」は、環境性能だけでなく動力性能などXC90を象徴するモデル。

フロントに搭載されるエンジンは、2.0Lの直列4気筒直噴ガソリンターボにスーパーチャージャーを加えたダブル過給器付き。それに加えて87ps(65kW)、240Nmを発揮するリヤモーターが後輪を駆動する4WDとなっています。トランスミッションは他グレードと同じように8ATを搭載。

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The all-new Volvo XC90 Twin Engine is a plug-in electric car, hybrid car and high-performance car rolled into one. A two-litre, four-cylinder supercharged and turbocharged Drive-E petrol engine powers the front wheels and an 80 hp (60 kW) electric motor drives the rear wheels. The battery pack is located in the centre of the vehicle.

気になる燃費は15.3km/Lで、200Vで2.5〜3時間かかるという充電電力使用時の航続可能距離は35.4km。近所への買い物などなら充電電力でもまかなえそうです。

なお、システムトータルでは407ps/640Nm(欧州参考値)と大出力を誇り、燃費だけでなく動力性能への期待も高まります。

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また、PHV化によりボディ補強など一部手が入れられています。

トンネルは高電圧バッテリーを積むためボディ中央部が高くなっていて、リヤのフロアはハイブリッドコンポーネント搭載のためガソリン仕様よりも高く、サイドシルにはガソリン仕様よりも370mm長い補強メンバーが配置されているそうです。

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それでも7人乗りを実現しているのもポイントで、バッテリーは車両の中央に配置し、リヤモーターによりドライブシャフトが不要など、巧みなパッケージングも自慢です。

SUVのPHVは最近モデル数が増えていて、BMW X5をはじめ、レクサスRXや三菱アウトランダーなどもありますが、7人乗りのXC90(PHV)は確かに強み。

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あとは1009万円という価格でしょうが、ボルボが高級ブランドとしても認知されるには1000万円超という価格帯は不可欠でしょうし、それを最上級SUVのプラグインハイブリッドで提供するというのは確かな戦略といえそうです。

(文/塚田勝弘・写真/前田惠介)

「2025年までに電動化車両を100万台販売」を計画するボルボの戦略とは?

電動化車両には、ピュアEVだけでなくPHEV(プラグインハイブリッド)などがありますが、ボルボでは「2025年までに累計100万台販売」するというビジョンを掲げています。

The all-new Volvo XC90 - Charging

すでに、最上級SUVのXC90に「XC90 T8」と呼ばれるプラグインハイブリッドを設定、日本にも導入していますが、価格は1000万円の大台を超えていますので、指名するのはほんの限られた層といえるでしょう。

この目標をクリアするため、すべてのプロダクトラインナップで少なくとも2種類のハイブリッドモデルの投入を計画しているそうで、2019年には初めてのピュアEV(電気自動車)を発売する予定とのこと。

The all-new Volvo XC90 Twin Engine powertrain

世界販売台数で2015年度に過去最高を記録し、50万台規模(2014年度比8%増)になったといはいえ、ボルボが10年を切った残りの年月で累計100万台の電動化車両を販売するには、手が届きやすい価格帯のモデルも不可欠でしょう。

ボルボが掲げる「Drive-E」と呼ぶパワートレーン戦略では、最大4気筒までのエンジン、クリーンディーゼル、そして電動化も見据えられていて、ここ5年間、加速するクルマの電動化に準備を進めてきたとのこと。

Twin Engine T8 Volvo S90 Inscription White

大型車用、小型車用の2種類のまったく新しい車台(プラットフォーム)を開発し、「スケーラブル・プロダクト・アーキテクチャ(SPA)」と「コンパクト・モジュラー・アーキテクチャ(CMA)」と呼ばれ、ハイブリッドまたは電気自動車のいずれにも対応可能となっています。

Front Quarter Volvo S90 White

大型の90シリーズと60シリーズの車種の「SPA」によるモデルチェンジを開始しており、近い将来、小型の40シリーズを「CMA」により開発、生産する予定だそう。

Profile Left Volvo S90 White

これらの車種すべてに電動化されたモデルが設定され、2025年までに累計で100万台販売するという目標が設定されています。

ボルボは「2020年までに新しいボルボ車で死亡者や重傷者をゼロ」にするという「VISION2020」を掲げていますが、社是といえる安全性に加えて、電動化車両、また力を注いでいる自動運転技術でも存在感を示すことで、さらなる拡販につなげる計画です。

(塚田勝弘)

3列シートを標準装備する新型ボルボXC90の使い勝手はどうか?

新型ボルボXC90の居住性・積載性は、ボディサイズ拡大の恩恵を感じさせる仕上がりになっています。

サードシートまで大人(身長170cmまでを想定)が快適に座れる設計となっていて、身長171cmの私でも3列ともに余裕を感じさせるフットスペース、ヘッドクリアランスが確保されていて広々しています。

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そのボディサイズは全長4950×全幅1930×全高1775mmで、ホイールベースは2985mm。

先代は全長4810×全幅1935×全高1780mm、ホイールベースは2855mmですから、前後方向(主にフットスペース)を中心とした居住性の向上が図られているのはサイズからも、座り心地からも実感できます。

フロントシートは電動化され、ランバーサポートは4ウェイ、電動クッションエクステンションが用意されるほか、「Inscription」系にはベンチレーション、マッサージ、電動バックレスト・サイドサポートが装備されています。

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セカンドシートは、12cmのスライド、7段階のリクライニングが可能で、4ゾーンエアコンやシートヒーターのほか、2列目中央席には先代同様「インテグレーテッド・チャイルドクッション」が用意されています。

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こちらは、座面を持ち上げることでシートベルトを適切な位置にするだけでなく、前方にスライドすることでフロントシートに近づけることが可能。

2列目の座り心地は、欲をいえばもう少し座面と背もたれに厚みがあり、シートのホールド性もあるとベストですが、先述したように足元と頭上空間だけでなく、シートサイズやヒール段差(フロアからヒップポイントまでの高さ)も不足を感じさせません。

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積載性は、パワーテールゲート(バンパー下の足の動きで開く、ハンズフリー機構付)に加えて、エアサスペンション装着車には車高調整機能もありますから、背の高い大型SUVでも比較的低めのフロア高となるのも美点。

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荷室容量は、ガソリン車が通常時314L、サードシート格納時692L、3列目と2列目格納の最大時が1868Lと広大なだけでなく、フラットで使いやすいのも魅力。なお、プラグインハイブリッドモデルは通常時262L、3列目格納時640L、最大時1816Lが確保されています。

(文/塚田勝弘 写真/佐藤靖彦)

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洗練度を増したボルボXC90のインテリアは必見!

新型ボルボXC90の見どころは、走りやスタイリッシュなエクステリアだけではありません。

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9インチタッチディスプレイ、メーターは12.3インチのフル液晶ディスプレイになり、さらにボルボ初のヘッドアップディスプレイの装備や、ハードスイッチを8つだけに減らすなど、最新世代を謳うのにふさわしいインテリアに仕立てられています。

最も目をひくのは、三菱電機製という縦型9インチタッチディスプレイ。

まさにタブレット感覚でナビやエアコン、オーディオ、車両設定などを指先で操作できる優れもの。

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「メイン画面」を中心に左にフリックすると「メディア」、右にフリックすると「車両設定」という3つの画面を容易に呼び出すことができます。

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安全や快適装備、ドライバーサポートなど多機能化するクルマでは、ハードキーが増えることでインパネまわりの造形美を損なうことが多々あり、操作性を担保しながら機能美として具現化するのも容易ではありません。

スマートでクール、しかも適度な温かみを感じさせる「スカンジナビアン・デザイン」で表現される従来のボルボは、インパネ中央から数多くのスイッチが廃されていましたが、先述したように9インチディスプレイを中心にハードキーを8つまで減らすことでスッキリとしたセンスある空間に仕立てられているのはさすが。

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肝心の操作性は、9インチタッチディスプレイの表示で「どこになるがあるか」、分かってしまえば比較的容易で、ナビやオーディオ、エアコン、車両設定などの代表的な機能は、深い階層まで探しにいく必要もほとんどありません。

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スマホ連携では、「Apple CarPlay」に標準で対応し、電話やマップ、メッセージ(SMS)、ミュージック、Siri(音声認識)などが使えます。

さらに、赤外線方式を採用するこのタッチスクリーンは、手袋をしていても操作が可能とのことで、さすがスウェーデンを本拠地とするだけのことはあります。

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そのほか、エンジンスイッチやドライブモードのロータリースイッチには、ダイヤモンド型の刻みが設けられているなど、細部にまでこだわりを感じさせます。

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オーディオもこだわりのひとつで、スピーカーには、イギリスの高級スピーカーブランドである「BOWERS&WILKINS(バウアース&ウィルキンス)プレミアムサウンド・オーディオシステム」を45万円(税抜き)でオプション設定。

こちらは、世界で初めてサブウーファーをリヤホイールアーチに配置し、より多くの空気を振動させることが可能だそうで、超低音バストーン(20Hzまで)実現。

部分的にカーボンファイバーを使った250mmコーンを採用するなど、19スピーカー、12チャンネル、1400Wの迫力あるサウンドも享受できます。

(文/塚田勝弘 写真/佐藤靖彦)

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新型ボルボXC90は、エクステリアデザインも新境地に到達!?

ボルボの新プラットフォーム「SPA(SCALABLE PRODUCT ARCHITECTURE)」を採用した新型XC90。詳細はこちらをご覧いただければと思いますが、車体を変えたことでデザインの自由度も高まったそうです。

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先代XC90はフォード傘下時代でしたが、デザインの面でもプラットフォームの制約があったとのことで、「どんな天才デザイナーでもその制約を受けたはず」と商品企画担当氏が語るほど。

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縦、横、高さ方向を変えられる新プラットフォーム「SPA」の開発により、ホイールベース、オーバーハング、全高に制限がなく、印象的なフォルムをまとっています。

デザインの好き嫌い、受ける印象は千差万別ですが、一見ボクシーなフォルムに見えながらも角が取れた先進的なスタイル。

そして北欧神話に登場する雷神「Thor」の武器である「THOR’S HAMMER(トール ハンマー)」モチーフとした印象的なヘッドライトのほか、お馴染みの縦型テールライトは「C」の字を迎え合わせたような新しいデザインが与えられています。

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ボルボのデザインというと「北欧デザイン」というキーワードで語られることが多く、インパネを中心としたインテリアを指すことが多かったような気がしますが、新型XC90はエクステリアからも北欧らしいセンスが漂ってきます。

なお、北欧の感性を反映しているというエクステリアカラーは、「アイスホワイト」や「クリスタルホワイトパール」、「バースティングブルーメタリック」など、全13色が用意されています(グレード専用色含む)。

(文/塚田勝弘 写真/佐藤靖彦、塚田勝弘)

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新型ボルボXC90は2.0Lの直列4気筒ターボでも「走る」のか?

新型ボルボXC90のボディサイズは、全長4950×全幅1930×全高1775mm。

日本ではフルサイズSUVといえる堂々たる体躯ですが、先代XC90にあった2.5Lの直列5気筒ターボや3.0Lの直列6気筒ターボ、3.2Lの直列6気筒ターボ、あるいはヤマハ製の4.4L V8エンジンなどからすると、時代の流れとはいえ大胆なダウンサイジングぶりに「走るの?」という疑問が浮かぶのも不思議ではないでしょう。

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「排気量信仰」から抜け出ていないのでは? と言われそうですが、新型XC90のサイズを目にするとやはり最も気になるところ。

エンジンラインナップで「T5」と呼ばれる「B4204T23」型は、2.0Lの直列4気筒DOHC16バルブターボ。

254ps/5500rpm、350Nm/1500-4800rpmというスペックで、8ATとの組み合わせ。もちろん、アイドリングストップも備わりJC08モード燃費は12.8km/L。駆動方式は4WDのみとなっています。

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本来は最もベーシックなこちらに乗りたかったのですが、試乗車は「B4024T27」というエンジン型式となる2.0L直列4気筒16バルブターボ+スーパーチャージャーのダブル過給器により、320ps/5700rpm、400Nm/2200-5400rpmというアウトプットを得ている「T6」。

こちらも8ATとの組み合わせで、アイドリングストップ付、カタログ燃費は11.7km/Lとなっています。

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最大トルクが発揮されるのは「T5」の1500rpmよりも高い2200rpmからですが、出だしから力強く、8ATのスムーズな変速もあってストップ&ゴーもスマートにこなしてくれます。

高速道路に合流する際などの加速フィールもなかなか力強く、巡航速度に乗ってから追い越しをかける際もまったく力不足を抱かせないのには驚かされました。

「いや、最近のダウンサイジングターボはこれくらいやるよ」なんて思う一方で、車両重量は「XC90 T6 AWD Inscription」で2080kgと2t超えしているわけですから、やはりよく走るといえます。

ボディ自体の重さやサイズ感はありますが、大型SUVにありがちな鼻先の重さも感じさせず、見た目よりも意外なほどの軽快感さえ漂わせます。

先代XC90よりも全長が140mm延びていますが、車両重量は最大125kg減らした効果もあるのでしょうが、「Drive-E」と呼ぶ100%自社開発のエンジン、そしてDレンジのままだと何速で走っているのか分からないほど非常にスムーズなアイシンAW製の8ATという組み合わせのパワートレーンはXC90の魅力といえそう。

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室内の静粛性の高さも印象的ですが、試乗車のエアサスペンション装着車は、とくに市街地を流す程度の速度域だと意外にも硬めに感じさせるシーンもありました。

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とくに、荒れた路面の凹凸を乗り越える際は、ドライブモードを「Comfort」にしてやや大きめの振動と音が感じられます。それでも高速道路までを含めた幅広い車速域では、先代XC90と比べても音・振動面の対策は念入りにされている印象です。

(文/塚田勝弘 写真/佐藤靖彦)

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新世代ボルボ・XC90の進化を支える新プラットフォーム「SPA」とは?

2003年に日本に導入され、約7000台販売されたというボルボXC90。

2代目となる新型XC90は、初代からがらりと雰囲気を変え、内・外装やパワートレーン、そして走りの面などで大きく進化を遂げています。

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その根幹をなすのが新プラットフォーム「SPA(SCALABLE PRODUCT ARCHITECTURE)」の採用。

日本円に換算すると約1兆3000億円という投資により開発されたもので、全体の90%が新規開発された部品で構成されているそうです。なお、この金額には「Drive-E」と呼ばれるパワートレーン開発、生産工場への投資も含まれているとのこと。

ボルボの新プラットフォーム「SPA」の採用に得たものは多く、ホイールベース、オーバーハング、車高、全高に制限はないため、デザインの自由度まで左右しているそうです。

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もちろん走りへの効果は絶大で、軽量化と前後重量バランスの改善により、快適さを維持しながらドライビングプレジャーを向上させています。

重量は先代比で125kg減。また、サードシートスペースの最適化も図られていて、身長171cmの私なら足元も頭上も狭さを感じることはなく、大人でも実用になる広さが確保されています。

The all-new Volvo XC90 Twin Engine is a plug-in electric car, hybrid car and high-performance car rolled into one. A two-litre, four-cylinder supercharged and turbocharged Drive-E petrol engine powers the front wheels and an 80 hp (60 kW) electric motor drives the rear wheels. The battery pack is located in the centre of the vehicle.

また「自前」になった新世代パワートレーンの「Drive-E」戦略は、限られたソリューションを活かすこともあり、「4気筒以上は作らない」という単純明快なものですが、電動化にも対応し、新型XC90にはPHEVも設定されています。

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The all-new XC90 features a world-first solution that addresses accidental road departures. The functionality detects what is happening and the front safety belts are tightened to keep the occupants in position. To help prevent spine injuries, an energy-absorbing functionality between the seat and seat frame cushions the vertical forces that can occur when the car encounters a hard landing in the terrain.

ボルボ自慢の安全面では、ボロンスチールを多用(全体の33%)することで重量増を抑制しながら強固なボディ構造を実現しているなど、新プラットフォーム「SPA」を採用した、新世代ボルボの最上級SUVにふさわしい進化ぶりが目を惹きます。

(文/塚田勝弘 写真/佐藤靖彦、塚田勝弘)

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新型XC90でボルボ・デザイン、装備が大きく生まれ変わった!

「何十年に一度の変革」、「ブランドを塗り替える」など、新型ボルボXC90に投げかけられるボルボ・カー・ジャパン関係者の言葉。

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外観をひと目見ただけでボルボ車が新しいステージに引き上げられたことが分かりますが、新プラットフォーム「SPA」の採用や、最新かつ自前のプラットフォーム「Drive-E」パワートレーンを前提とした開発、さらにプラグインハイブリッドも初めて設定され、日本にも導入されるなど、見どころ満載となっています。

ここでは概要をお届けします。

ボディサイズは全長4950×全幅1930×全高1775mm。ホイールベースは2985mm。最低地上高は225mmですが、試乗車(写真)はすべてエアサスペンション装着車で、こちらは180mm。最小回転半径は5.9〜6.0mです。

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ちなみに、ほぼ同時期に新型が発表され、日本に上陸した新型アウディQ7は、全長5070×全幅1970×全高1705mmで、ホイールベースは2995mm。最低地上高はエアサス装着車が180mm、それ以外は210mm。最小回転半径は5.7m。

アウディQ7の方がボディサイズは大きめですが、最小回転半径は0.2〜0.3m小さくなっています。

新プラットフォーム「SPA」の採用により、縦、横、高さ方向を変えられるようになった新型ボルボXC90。「SPA」の詳細は別記事でご紹介しますが、デザインの自由度が高まったことで、ボクシーでありながらスタイリッシュなフォルムを実現しているのに貢献しているそうです。

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また、電動化(PHEV)にも対応するパワートレーンも見どころ。

純ガソリン仕様は、2.0Lの直列4気筒ガソリンターボ、もしくは、それにスーパーチャージャーを加えたダブル過給器付のいずれかになります。

巨大なボディなのに2.0Lの直4ターボ(もしくはスーパーチャージャー&ターボ付)で「走るのか?」という点も気になるところでしょう。こちらも別の記事で詳細はご紹介しますが、ひと言でいえば「心配はご無用」。

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トランスミッションは全車ロックアップ機構付の8ATで、駆動方式も全車電子制御式AWDが採用されています。

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乗車定員は3列シートの7人乗りのみで、荷室容量は通常時が314L、3列目を格納すると692L、2列目も拡大した最大時は1868L(純ガソリン仕様のT5/T6)まで拡大できます。

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なお、PHEVの「T8」は、通常時が262L、3列目格納時が640L、2列目3列目格納の最大時が1816L。先代XC90には助手席の背もたれを前倒しできる機能がありましたが、これだけの大容量ですので積載スペースに不足はないはず。

インパネは、タブレットのような大型の9インチ・センターディスプレイ、メーターの12.3インチ・ドライバー・ディスプレイが目を惹きますが、ハードスイッチはわずか8つのみに抑えられていて、ヘッドアップディスプレイとともに新しいインターフェイスに変更されています。

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そのほか、ボルボ自慢の安全装備も世界初の右折時対向車検知機能など、新「City Safety」が搭載されるなど、見どころ満載となっています。

(文/塚田勝弘・写真/佐藤靖彦)