Motor Fan's YEAR 2016

三栄書房

サンプル

モトチャンプ

ボルボS60/60ポールスターに加わった「Sport+」モードとスポーティな内外装

ボルボS60/V60ポールスターの最新モデルが100台限定で日本に上陸しました。6気筒から4気筒にシリンダーレス化された2.0Lの直列4気筒DOHCターボ+スーパーチャージャーエンジンを新たに搭載。

20161012volvo-v60_1

最大トルクは30Nm減っていますが、16psの向上と、S60で-50kg、V60で-20kg減っていることもあり、加速の鋭さ、高回転域のパンチ力は増している印象です。

20161012volvo-v60_8

今回のアップデートにより、新パワートレーンの魅力を最大限引き出す「Sport+(プラス)」モードも用意されています。

シフトポイントが2速以上で4000rpm以上となり、シフトスピードが高まるほか、エキゾーストバルブが解放されることで迫力あるサウンドも満喫できます。

20161012volvo-v60_2

20161012volvo-v60_23

「スポーツ・プラス」モードにするには、車両を停止させ、ギヤレバーをSモードに入れ、パドルシフトの「+(プラス)」を引いたままギヤレバーを「-(マイナス)」方向に2度倒すと、メーターにSマークが点灯し、「スポーツ・プラス」になるという手間が必要。

公道で使う必要性は皆無ですし、サーキットで走りを楽しむ際に踏む手順と考えれば、こうした仕掛けも心躍る儀式となりそう。

20161012volvo-v60_18

今後はポールスター部門がより市販車に関わってくるはずなので、フルモデルチェンジなどを機にもっとスマートな操作性が用意されるのではないでしょうか。

20161012volvo-v60_5

走りだけでなく外観やエアロダイナミクスも見どころ。フロントスプリッターコーナーによりRデザインよりも21kgダウンフォースを増し、専用大型リヤスポイラーや大型ルーフスポイラーもボディを路面に押しつける役割を果たしています。

20161012volvo-v60_4

ハイパワー化によりブレーキも強化されていて、ポールスター/ブレンボによる6ピストンキャリパー、371×32mmベンチレーテッドディスクなどのほか、新しいブレーキブースター、新メインシリンダー、ESCやABSもチューニングされています。

20161012volvo-v60_1420161012volvo-v60_16

高級感のある内装は、専用となるヌバック/本革スポーツシートやヌバック/本革ステアリングホイール、カーボンファイバー製パネル、スカッフプレートなどによるもので、スカンジナビアンデザインにセンスのいいスポーティなスパイスが加えられています。

価格はS60ポールスターが839万円、V60ポールスターが859万円。2016年11月中旬時点で販売店に在庫がどれくらいあるか分かりませんが、気になる方は問い合わせてみてはいかがでしょうか。

(文/塚田勝弘 写真/小林和久)

ボルボ S60/V60ポールスターは「日常使いからサーキットまで」乗れる快速モデル

メルセデスのAMG、BMWのM社、アウディのAudi Sportなど欧州勢がスポーツ性能とプレミアム性を誇示するには欠かせないのがサブブランド。ボルボも例に漏れず、2015年に長年に渡ってビジネスパートナーだったポールスター社のパフォーマンス部門を買収したました。

20161012volvo-v60_9

WTCCに参戦し、スウェーデンのチームとして初のワールド・チャンピオンを目指しているポールスター。「ポールスター・シアン・レーシング」という車名からも分かるように、市販化されたポールスターもシアン(青)のボディカラーが訴求カラーとなっています。

2016年に導入されたS60/V60は、S60が35台、V60が65台の計100台。11月16日時点で在庫状況は分かりませんが、台数の多いV60はまだディーラーにあるかもしれません。

20161012volvo-v60_11

最新S60/V60ポールスターの見どころは、エンジンの刷新。直列4気筒2.0ターボ+スーパーチャージャーのダブル過給器になり、従来の6気筒からボルボ自前の4気筒にダウンサイジングされたことになります。

20161012volvo-v60_25

気筒数が減っても16ps向上(最大トルクは30Nm減)し、367ps/470Nmというスペックを獲得していて、0-100km/h加速はS60が4.7秒、V60が4.8秒。従来型から0.2秒短縮されています。

また、エンジンだけでなく、トランスミッションも6ATから8ATに多段化され、ハイスペックモデルでも命題となっている燃費は、S60が12.2km/L(+2.6km/L)、V60が11.2km/L(+1.6km/L)に向上。ほかにも、新デザインアルミホイール(20インチ)の採用や「Sport+」モードも新たに用意。

20161012volvo-v60_19

足まわりは、ポールスターとオーリンズによるダンパーのほか、オーリンズの特許であるデュアルフローバルブを搭載。また、スポーティグレードの「Rデザイン」よりも80%強化されたスプリング、スタビライザーも15%強化されているほか、カウント類やブッシュも強化。

走り出すと、ポールスターによるチューニングが施された電動パワーステアリングによる適度に手応えのあるフィーリングからもスポーツモデルであることが伝わってきます。

20161012volvo-v60_17 20161012volvo-v60_15

強化されたサスペンションに加えて、245/35ZR20サイズのミシュラン「パイロット・スーパー・スポーツ」を履く乗り味も引き締まっていますが、路面が荒れていたり、目地段差が続いていたりと条件が悪い場所でも思ったより不快ではなく、日常使いでも十分に許容できる快適性が確保されているのが収穫。

動力性能はトルク減の影響をまったく感じさせず、高回転域の伸びは一般道では確認できないほど頭打ち感を抱かせません。

しかも、高速域のエンジンサウンドはなかなか迫力があり、DレンジからSレンジに入れるだけで加速感が増します。さらに停車時に先述した「Sport+」モードにすると鋭さが倍増します。

20161012volvo-v60_21

6気筒から4気筒に減ったこともあり、車両重量がS60で-50kg、V60で-20kgとなり、感覚としては主にフロントノーズの重さが軽減された印象。

それが旋回性能の高さや軽快感に現れていて、ダイナミックなパワートレーン、そして軽快感のあるフットワークという美点を生み出しています。

(文/塚田勝弘 写真/小林和久)

ボルボ・S60/V60 ポールスターが367ps/470Nmを誇る最新エンジンを搭載

ポールスター社は、本国スウェーデンのツーリングカー選手権やFIA世界ツーリングカー選手権(WTCC)をはじめとしたレース活動のほか、ボルボの市販車をチューニングしたハイパフォーマンスモデルを投入してきました。

Volvo_02

2015年7月にボルボがポールスターを完全子会社化しました。

これは、メルセデス・ベンツのAMGやBMWのM社などのようにメーカーとチューナーが一体となって高性能車を市販化するのが狙いで、ブランドイメージの引き上げや利益率の高い高価格帯モデルの拡充などといった利点が考えられます。

さて、8月5日に発売された新型「S60 Polestar/V60 Polestar(ポールスター)」は、2016年シーズンよりWTCCに参戦している「S60 Polestar TC1レーシングカー」の技術が注がれたモデル。

ボルボの最新世代エンジンである「Drive-E」の「T6」をベースに、ターボチャージャーの大型化、スーパーチャージャーの強化、コンロッドとカムシャフトの見直し、エアインテークの大型化、燃料ポンプの大容量化といった変更によって性能が引き上げられているのが最大の注目点です。

「T6」エンジンの2.0L直列4気筒ターボは、367ps/470Nmという強力なアウトプットを実現。従来型の3.0L 6気筒エンジンを上回る性能を発揮し、0-100km/h加速は4.7秒(S60ポールスター。V60 ポールスターは4.9秒)、最高速度250km/h(リミッター作動)のハイパフォーマンスを実現。

燃費も欧州値で12.2km/L(JC08モードは11.2km/Lになる見込み)を達成し、最大27%燃料消費率を改善。なお、上記のスペックは現在申請中のため予定値となります。

さらに、新たに「Sport+(スポーツプラス)」モードが採用されているほか、スポーツドライビングを実現するパドルシフト付8速オートマチックトランスミッションを搭載。

Volvo_01

専用にチューニングされた電動パワーステアリングや、パワー向上に対応するため新たに採用された371mmのスロット付フロントブレーキディスク、ブレンボ製6ポッドキャリパー、オーリンズ製DFVダンパーなどの採用によりハンドリングやブレーキ性能も強化。20インチのアルミホイールも新デザインとなっています。

ほかにも、新パワートレーンの採用によって従来型のS60/V60 Polestarから車両重量が削減されていて、フロントアクスルを中心に軽量化を実現。重量配分の最適化により、ハンドリング性能の向上も期待できます。

価格はS60ポールスターが839万円、V60ポールスターが859万円で、計100台限定です。

(塚田勝弘)

「Drive-E」2.0Lツインチャージャーを搭載した史上最強の「S60/V60ポールスター」がデビュー

「Drive-E」とは、ボルボの新しいパワートレーン戦略のことで、フォード傘下から離れて自前でエンジンを中心としたパワートレーンを作り上げ、現在数多くの車種に搭載されています。

気筒数は最大4気筒までで、全長4.9m超、全幅1.9m超の大SUVの新型ボルボXC90も例外ではありません。

Polestar exterior static bright shots

また、ボルボの傘下になったポールスター社は、レーシング活動だけでなく市販モデルの開発・チューニングにも深く携わっていて、2014年に初の公道仕様車を一部市場で発売しました。

今回のS60/V60ポールスターは、販売市場をこれまでの13カ国から47カ国に拡大するとともに、年間生産台数を従来の750台から1500台に倍増することで、日本だけでなく各市場での引き合いの多さに対応するとしています。

Polestar exterior static bright shots

最新のS60/V60ポールスターは、367ps/470Nmを誇るスーパーチャージャーとターボによるダブル過給器付の2.0L直列4気筒エンジンを搭載。0-100km/h加速は4.7秒、最高速度は250km/h(リミッター作動)に到達。

さらに、パフォーマンスが向上しているにも関わらず、クラストップレベルの燃費(7.8L/100km)とCO2排出量(179 CO2g/km)を達成しているのも自慢です。

標準の「T6」エンジンと比べると、ターボの大型化をはじめ、コンロッドとカムシャフトの変更、エアインテークの大型化、および燃料ポンプの大容量化などが図られています。

Challenging Marrakech races concludes promising first WTCC third

新型のS60/V60ポールスターは、「ポールスター・シアン・レーシング」が現在、FIA世界ツーリングカー選手権(WTCC)に参戦している新しい「S60 ポールスターTC1レーシングカー」のテクノロジーを受け継いでいます。

ベースとなるシャーシとエンジンには、「S60ポールスターTC1レーシングカー」と基本的に同一のテクノロジーを共有。

駆動方式は、ボルグワーナー社による4WDシステムで、ポールスター用にチューニングされたギアトロニック付新型8速ATが組み合わされています。

Polestar detail shotsVolvo S60 and V60 Polestar brake discPolestar detail shots

そのほか、20インチの軽量ホイール、ポールスター用にチューニングされた電動パワーステアリング、および371mmの新しいスロッテッドブレーキディスクなどの新しい装備を用意。

Polestar exterior static dark shots

日本での発売時期、価格は未定となっていますが、新型S60/V60ポールスターの登場が楽しみです。

(塚田勝弘)

【関連記事】

■精悍かつ専用ブルーが映えるエクステリア ー ボルボ「V60 ポールスター」画像ギャラリー
http://clicccar.com/2015/12/19/343816/

■ボルボ「V60 ポールスター」の走りは、日常使いからサーキット走行までハイレベルで応えてくれる
http://clicccar.com/2015/12/19/343792/

■ボルボ・ポールスターの2016年モデルは、台数は据え置き販売国増加で争奪戦必至!?
http://clicccar.com/2015/03/16/298035/

新エンジンを搭載したボルボ60シリーズ ─ ボルボ「S60」画像ギャラリー

2016年2月に一部改良を受けたボルボ60シリーズ。ボルボの販売のうち約36%を占める主力シリーズになっています。

セダンのS60、ワゴンのV60、SUVのXC60を揃え、ボルボ自慢の安全装備「IntelliSafe(インテリセーフ)」を60シリーズ全車に標準装備するほか、ナビやエンタメ機能を直感的な操作で楽しめるインフォテインメントシステム「SENSUS(センサス)」などを装備。

S60_01

最も大きな改良ポイントは、S60、V60、XC60の上級グレードに「Drive-E」パワートレーン戦略に基づき、自前の2.0L直列4気筒スーパーチャージャー+直噴ターボの「T6」エンジンを設定したほか、S60、V60に直列4気筒ターボの「T3」エンジンを設定した点です。

試乗車のS60 T3 SEは、エントリーグレードながら運転席パワーシート、17インチアルミホイールのほか、HDDナビゲーションシステム、アクティブベンディング・デュアルキセノンヘッドライトなどを標準装備し、価格は434万円。

S60_02S60_16S60_17

さらに、本革シート、フロントシートヒーター、助手席8ウェイパワーシート、地上デジタルTVチューナーからなる「レザー・パッケージ」を31万円で設定。

S60_T6_01S60_03

白いボディカラーの「S60 T6 AWD R-Design」は、R-DESIGN専用の内・外装が施されており、本革スポーツシート、スポーツサスペンションといった専用装備のほか、スペシャルデザイン19インチアルミホイール、プレミアムサウンドシステム・マルチメディア、パークアシスト・パイロット、自動防眩機能付ドアミラーも用意される充実装備のスポーティグレードになっています。

(文/塚田勝弘 写真/前田惠介)

【関連記事】

■ボルボS60、V60、XC60に新エンジンを搭載
http://clicccar.com/?p=370024

■スーパーチャージャーと直噴ターボを積むボルボ「S60 T6 AWD R-DESIGN」は豪快な加速が魅力
http://clicccar.com/?p=370279

■ボルボS60、V60に搭載される1.5L 4気筒直噴ターボの走りは?
http://clicccar.com/?p=370270

ボルボ・S60、V60に搭載される1.5L 4気筒直噴ターボの走りは?

ボルボが「T3」と呼ぶ1.5Lの直列4気筒直噴ターボは、V40にも搭載済みで、日本導入時に試乗する機会もありました。

S60_T3_06

180psの「T4」やディーゼルターボの「D4」と比べると、高速域のパンチ力やトルク感では及ばないものの、「D4」よりも鼻先を中心としたボディの軽さは際立っていて、街中メインの使い方であればV40には「T3」がベストマッチかも、と思わせてくれる仕上がりになっています。

一方で、ひと回り大きく約100kg重いS60(試乗車はセダンのS60で、ワゴンのV60にもT3を設定)には、152ps/5000rpm、250Nm/1700-4000rpmというスペックの「T3」は荷が重いのではないか? という懸念は当然ながら浮かんできます。

なお、V40「T3」のエンジンスペックも同値です。

S60_T3_01S60_T3_02

さらに、S60、V60に搭載されるトランスミッションは「T3」のみ6ATで、「D4」、「T5」、「T6」は8ATですから、変速フィールのマナーも気になるところ。

街中や少し流れの速い郊外路で走り出すと、トルク感や加速性能に不満はほとんど感じさせず、その後試乗したスーパーチャージャー+ターボ搭載の「T6」と比べても街中、郊外路で流す程度であれば大差は感じさせません。

また、こうしたシーンなら6ATの変速マナーもほとんど突っ込みどころはなく、JC08モード燃費が16.5km/L、エコカー減税対象(自動車取得税60%軽減、自動車重量税50%軽減、自動車税75%軽減)という点も魅力的に思えます。

S60_T3_05

同じタイミングの2016年2月にS60、V60、XC60の60シリーズに設定されたダブル過給器の「T6」エンジンについては別記事でご紹介しますが、この「T3」エンジン搭載車は、高速道路や上り坂でも普通に流す分には、特にパワー不足を感じさせません。

S60、V60も街中メインの乗り方ならT3で十分という印象で、それほど速さを求めないのであれば満足させてくれるはずです。

(文/塚田勝弘・写真/前田惠介)

【関連記事】

■ボルボS60、V60、XC60に新エンジンを搭載
http://clicccar.com/?p=370024

ボルボ60シリーズに「Drive-E」戦略の新エンジンを搭載

「Drive-E」と呼ばれる自社製のパワートレーン戦略により、エンジンのラインナップを徐々に刷新しているボルボ。

フォード傘下から離れたことで、こうした戦略を掲げる必要があったのでしょうが、4気筒以下、2.0L以下、電動化も見据えたもの。

Volvo_S60_03

ガソリンとディーゼルも共通の基本構造で「25%は共通部品、25%は異なる部品、50%は類似部品」となっているそうです。ガソリンエンジンはT3、T4、T5、ディーゼルエンジンはD4が導入されているほか、最上級SUVのXC90にはT5、T6、T8が導入されています。

さらに、セダンのS60、ステーションワゴンのV60、SUVのXC60にこの「Drive-E」戦略により開発された新エンジンが搭載されました。

Volvo_S60_04

ボルボの60シリーズは、日本の販売比率(2015年)のうち約36%を占めるという主力シリーズで、上級グレードに2.0Lの直噴エンジンである直列4気筒スーパーチャージャー+ターボの「T6」を設定。

さらに、XC60をのぞくS60、V60に1.5Lで直列4気筒ターボの「T3」を搭載した「T3 SE」グレードを追加しています。

Volvo_S60_01

ボルボらしく安全装備は充実しており、ミリ波レーダー、カメラ、赤外線センサーからなるシステム、歩行者・サイクリスト検知機能付追突回避・軽減フルオートブレーキシステムやACC(アダプティブクルーズコントロール)など、10種類の先進安全装備からなる「IntelliSafe(インテリセーフ)」も全車に標準装備。

Volvo_S60_07Volvo_S60_05

価格帯は、S60が434万円(T3 SE)〜614万円(T6 AWD R-DESIGN)、V60が454万円(T3 SE)〜634万円(T6 AWD R-DESIGN)、XC60が539万円(D4)〜719万円(T6 R-DESIGN)となっています。

(文/塚田勝弘・写真/前田惠介)