Motor Fan's YEAR 2016

三栄書房

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モトチャンプ

好調ジャガーを支えるXEとXFに、スポーティな限定車「JET DIESEL EDITION」を設定

新型にスイッチしたDセグメントのジャガーXE、EセグメントのXFは、サルーンが中核モデルであるジャガー・ブランドを牽引する存在です。両モデルともにドイツ勢が強さを発揮していますが、「ゲームチェンジャー」になりえる実力の持ち主なのは間違いないでしょう。

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そのXEとXFに台数限定の特別仕様車が設定され、2016年11月1日から受注を開始しました。「XE JET DIESEL EDITION」が100台限定、「XF JET DIESEL EDITION」が30台限定の販売です。

両モデルとも、「INGENIUM(インジニウム)」と呼ばれる2.0Lの直列4気筒ディーゼルターボを搭載。ベース車は「XE PRESTIGE」、「XF PRESTIGE」(2017年モデル)で。最高出力180ps、最大トルク430Nmというエンジンスペックに加えて、スムーズな変速を披露する8速ATが組み合わされています。

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「XE JET DIESEL EDITION」は、グロスブラック仕上げのサラウンド、ラジエーターグリル、サイドウィンドウ・サラウンド、サイドパワーベントからなる「ブラックパック」や18インチMatrix 7ツインスポークのグロスブラックフィニッシュのアルミホイールなどによりスポーティな外観に仕立てられています。

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内装は、ジェット/モルジヌ・ヘッドライニング、グロスフィギュアド・エボニーウッドパネルにより高い質感を実現。

もちろん装備も充実しています。ステアリングホイールヒーター、電動サンルーフ、電動式トランクリッドなど人気の高いオプションを用意し、デザインや快適性、上質感がさらに高められています。

インテリアカラーには「ジェット」、エクステリアカラーには「イタリアンレーシングレッド」と「アンモナイトグレー」の2色を用意。「XE JET DIESEL EDITION」の価格は590万円です。

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「XF JET DIESEL EDITION」も「ブラックパック」をはじめ、19インチの「Blade 5スポーク・グロスブラック・フィニッシュ・アロイホイール」、LEDヘッドライトを用意。

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装備では、ブラインドスポットモニター(クロージングビークルモニター、リバーストラフィックディテクション付)、電動式トランクリッド、ステアリングホイールヒーター、電動チルト/スライド式サンルーフが用意され、こちらも充実の装備となっています。「XF JET DIESEL EDITION」の価格は790万円です。

(塚田勝弘)

ナビがDVDから最新のSSD式に劇的進化した2017年モデルのジャガーXE

XEによりDセグメントに再挑戦を果たし、さらに、新型XF、初のSUVであるF-PACEを発売と、怒濤のニューモデル攻勢をかけているジャガー。

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2016年7月19日、2017年モデルのジャガーXEの受注を開始しました。

大きな変更点は、XFやF-PACE同様に、タッチ操作やホーム画面を自由にカスタマイズできる10.2インチ静電式タッチスクリーンの「InControl Touch Pro」を標準装備した点で、新型XE登場時に古さを感じさせたDVDナビとついに決別。

さらに、ジャガーのコアバリューといえる「走り」の間口を広げるべく、新たなエントリーグレードである「SE」を追加し、 439万円〜というラインナップに変更されています。

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ほかにも、3年間の無料メンテナンスパッケージ「JAGUAR PREMIUM CARE(ジャガー・プレミアムケア)」も全グレードに付加され、新車登録日から3年間、走行距離無制限の保証、ロードサイドアシスタンス、定期点検(2 回)と指定交換部品および一部の消耗部品の交換を含むメンテナンスが無料で受けられます。

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エンジンは、ガソリン搭載モデルが5機種、ジャガー・ランドローバーが設計から生産までを手がけた「INGENIUM(インジニウム)」と呼ばれるディーゼルエンジン搭載モデル3機種で、計8機種にラインアップを拡大。

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ボディカラーは「ポラリスホワイト」、「エボニーブラック」、「アルティメットブラック」、「ダークサファイヤ」、「グレイシャーホワイト」、「オデッセイレッド」、「クォーツァイト」、「ロジウムシルバー」、「アンモナイトグレー」、「ブリティッシュレーシンググリーン」、「イタリアンレーシングレッド」、「インゴット」、「ストームグレイ」、「テンペストグレイ」、「コスミックブラック」、「ガリウムシルバー」、「シージアムブルー」の計17色を設定しています。

ガソリン仕様の価格は、2.0L 直列4気筒ターボチャージド(200ps/320Nm)を積む「XE」が439万円、「XE PURE」が489万円、「XE PRESTIGE」が521万円。

同じ2.0Lの直列4気筒ターボチャージド(240ps/340Nm)を搭載する「XE PORTFOLIO」が648万円。3.0L V6スーパーチャージド(340ps/450Nm)を積む「XE S」が793万円。

2.0Lの直列4気筒ターボチャージド クリーンディーゼル(180PS・430Nm)搭載車は、「XE PURE」が507万円、「XE PRESTIGE」が541万円、「XE R-SPORT」が555万円です。

(塚田勝弘)

INGENUIMディーゼルを搭載したジャガーXE/XFはシルキーでトルクフル

盛り上がりを見せていた日本市場のディーゼル車マーケットに、冷や水を浴びせるカタチとなった、フォルクスワーゲンの排ガス不正事件。

その余波で停滞するかに見えたわが国のディーゼル市場に、新たなモデルを投入したのは、意外なことに(!?)ジャガーでした。

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“知の力”を意味する「INGENUIM(インジニウム)」と名づけられた2リッター直4ディーゼルターボを搭載したモデルが、XF(白い車両)とXE(赤い車両)に用意されたのです。

その新しいディーゼルターボは、ツインカム4バルブのヘッドメカニズムを持つ、オールアルミユニット。ジャガーがこれまで使っていた2.2リッターの2.2dユニットと比較して、燃費は17.5%向上し(EU6)、20kgほど軽量化され、静かで振動も少ないとされます。ボア×ストロークは83.0×92.4mm。排気量は1999ccです。

最新のディーゼルらしく、ボッシュ第2世代のコモンレール式燃料噴射装置を採用。バランサーシャフトを備え、カムシャフトのタイミングは可変化されます。英国はじめ、欧州では、税制や保険に合わせて複数のアウトプットが用意されるはずですが、日本市場では、当面、最高出力180ps/4000rpm、最大トルク430Nm/1750〜2500rpmの1種類。このスペックは、XFとXEで共通です。

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ディーゼルエンジンで問題になる、排ガス中の窒素酸化物は、AdBlue(アドブルー)システムで対応。排気に尿素水を噴き付け、有害な窒素酸化物(NOx)を、最終的に無害な窒素に還元します。

XEのディーゼルモデルは、仕様によって497〜549万円。XFは635〜693万円。カタログ燃費(JC08モード)は、XEが17.1km/リッター、XFは16.7km/リッターで、いずれもラインナップ中、最良の値です。

INGENUIMユニットを搭載したXFとXEに乗ることができたので、簡単な印象を報告しましょう。

試乗したXEは、20d R-SPORT(549万円)。

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XEディーゼル中の最上級モデルで、試乗車はさらに18インチホイールを19インチ(12万3000円)、スポーツシートをレザー(31万2000円)、さらにMeridianプレミアムサラウンドサウンドシステム(36万4000円)を奢るなど、254万7000円分のオプション装備を装着した豪華版でした。

スターターボタンを押してエンジンをかけると、「明らかにディーゼル」という音と振動を発して、INGENUIMユニットは目覚めます。

もちろん、ひと昔前のディーゼルエンジンと比較すると、大幅に静かでスムーズですが、総額800万円を超える高級サルーンとして、ちょっと気になる人がいるかもしれません。

ことに、市街地ではアイドリングストップが働くので、再始動のたびに「ブルン!」という身震いとともに、「ディーゼルサルーンに乗っている」ことを再確認することになります。

一方、XEディーゼルのドライブフィールは力強くて、ことに低回転域からトルキーなのが、最大の美点。そのうえ8段という多段ATと組み合わされるので、走り始めると次々とギアが上がっていきます。街なかでは、使っても2000rpmくらいまででしょうか。普通に走っていても燃費はよさそうです。

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ちなみに、INGENUIMユニット搭載のジャガーXEは、エコカー減税の対象になります。

試乗車のR-Sportで約19万7000円。ベーシックな20d Pure(497万円)だと、約18万4000円の減税となります。ガソリン車のベースグレードXE Pureは477万円ですから、減税分でほぼ相殺される計算になります。

ジャガーXEの場合は、シンプルなPureグレードでディーゼルモデルに乗った方が、“らしい”かもしれませんね。ライバルは、BMW320d(506万円)になりましょうか。

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さて、上級モデルXFのディーゼルは、20d Prestige(693万円)でした。XFディーゼルの上級版ですね。こちらも、19インチホイール(20万1000円)、LEDヘッドランプ(25万9000円)など、120万7000円のオプション装備が付いていました。

前述の通り、INGENUIMユニットのアウトプットはXEと変わらないので、車重が重い分(サンルーフ付きのXE 20d R-SPORTが1680kg。XF 20d Prestigeが1760kg)不利なはずですが、低回転域からの厚いトルクの恩恵か、運転者(←自分です)の感覚が鈍いのか、動力性能の差はほとんど感じられません。

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XFのディーゼルモデルは、エンジンルームまわりに遮音・吸音材が贅沢に使われているので、走行中の車内はXEよりグッと静かです。100km/hでの巡航なら、トップギアで1400rpmほど。スロットルペダルに足を載せているだけで、豪華なブリティッシュサルーンは粛々と走ります。

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BMW523d(599万円から)とメルセデス・ベンツE220d(687万円)を価格帯が重なるジャガーXFディーゼル。おもしろい存在になりそうです。

ちなみに、XFディーゼルもエコカー減税の対象車となり、20d Ingenium Pure(635万円)が約21万8500円、同Prestige(693万円)が約23万3000円の減税となります。

(文と写真:ダン・アオキ/Office Henschel)