Motor Fan's YEAR 2016

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マツダ、ディーゼルノック音を軽減する技術で第14回新機械振興賞「経済産業大臣賞」を受賞

マツダは、同社のディーゼルノック音を軽減する技術「ナチュラル・サウンド・スムーザー」が第14回新機械振興賞で「経済産業大臣賞」を受賞したと発表しました。

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ディーゼルエンジンは高圧縮比であることから、「ガラガラ」という異音いわゆるディーゼルノック音が避けられないといわれてきました。マツダの「ナチュラル・サウンド・スムーザー」は、このディーゼルノック音をエンジン内部の機械的な工夫で大幅に低減することに成功しました。

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マツダは、「ナチュラル・サウンド・スムーザー」の開発にあたって、まずディーゼルノック音の発生メカニズムを探ることから始め、センサーを高耐熱の接着剤でピストンやコンロッドに直接固定し、実際の運転状態でパーツの振動や伸縮を計測できる測定装置を作りました。

この独創的な測定機構を用いてディーゼルノック音の原因を探究した結果、燃焼時にコネクティングロッド(コンロッド)が伸縮することによって発生する振動が原因であることを突き止めました。

そして、「ナチュラル・サウンド・スムーザー」と名づけた振動吸振器を空洞のピストンピンに内蔵して、コンロッドの共振周波数(3.5KHz)の振動を減衰、ディーゼルノックの原因になるコンロッドの伸縮共振を効率良く抑制することに成功したということです。

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マツダが今回の第14回新機械振興賞「経済産業大臣賞」を受賞したのは、「心地良いサウンドを実現するエンジン主運動系減衰技術の開発」というテーマ名で、開発担当者はいずれもマツダ社員の森 恒寛(もり つねひろ)、神田 靖典(かんだ やすのり) 、住谷 章(すみたに あきら) 、平田 耕一(ひらた こういち)の4氏で、同社のwebサイトでは同技術がマツダのディーゼルエンジン「SKYACTIVE-D」に採用されていることを紹介しています。

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近年は電気・電子技術の発展で電気またはソフトウェアを利用した技術開発が多い中で、今回の「ナチュラル・サウンド・スムーザー」は振動源の特定こそ電気的なセンサー技術を利用していますが、ディーゼルノックを低減する制振技術自体は機械的機構のみで構成されていることが高く評価されています。

(山内 博・画像:マツダ)

【関連リンク】

「ナチュラル・サウンド・スムーザー」紹介サイト
http://www.mazda.co.jp/beadriver/dynamics/skyactiv/interview/nss/

レンジローバー/レンジローバー・スポーツの2017年モデルに待望のディーゼルエンジンを設定

レンジローバー、そしてスポーツバージョンのレンジローバー・スポーツが2017年モデルにスイッチし、2016年12月6日から受注を開始しました。

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2017年モデルの最大の注目ポイントは、3.0Lのディーゼルターボエンジンの設定。最高出力258ps、最大トルク 600Nmを発生する「TDV6」搭載車が新たにラインナップに加わることで選択肢が増えています。

大柄なSUVとトルクフルなディーゼルエンジンの組み合わせは、相性がよい場合が多く、どんな走りを披露してくれるのか期待が高まります。

ガソリン仕様にも注目の新グレードが追加されています。レンジローバー(ヴォーグ)に設定された「SVAutobiography DYNAMIC」は、550ps/680Nmに達する5.0LのV8スーパーチャージャーエンジンを搭載。

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外観は「グラファイト・アトラス」仕上げのフロントグリルとボンネットフィニッシャー、SVOサイドベント、レンジローバー初となるブレンボ製レッドキャリパーなどの専用装備を用意。

インテリアには4色から選べる「ダイヤモンド・キルテッド・ステッチ」が施された「セミアニリン・レザーシート」、ノール加飾のスイッチ類などによって高級感を強調。

標準車よりも車高が8mm低くなる足まわりも専用で、「SVAutobiography DYNAMIC」独自のサスペンションによりスポーティなハンドリングを実現したとしています。

ディーゼル、新グレードの追加に加えて、レンジローバー、レンジローバー・スポーツのインパネ、操作系も大きく進化を遂げています。ドライバーの眼前にあるデジタルメーターは、フルスクリーン・ナビゲーション・ディスプレイとしても活用可能な12.3インチTFTインストルメント・クラスターに変更。

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さらに、10.2インチのタッチコントロール式インフォテイメントシステムの「InControl Touch Pro」を全車に標準装備。こちらには、ランドローバー初となる通信機能の追加がオプションで可能になっています。

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ロードサイドアシスタンスが必要になった際や急病時などに車内上部のボタンを押すことでオペレーターと会話ができるほか、アプリを使えば車両位置情報やトリップデータ、ドアやウィンドウの開閉状況の確認、施錠やエアコンを遠隔操作することもできます。

安全面では、後方からの車両を知らせるブラインドスポットモニターを装備。警告を無視して車線変更を続けると、ステアリングに逆方向の力をかけて衝突を回避するブラインドスポットアシストも新たに採用。

レンジローバー(ヴォーグ)の価格帯は、3.0L V6スーパーチャージャーが1377万〜1554万円。5.0LのV8スーパーチャージャーが1657万〜1962万円。同じく5.0L V8スーパーチャージャーを積む「SV」仕様が2405万〜2944万円、3.0L V6ディーゼルターボ搭載車が1420万〜1676万円です。

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レンジローバー・スポーツの価格帯は、3.0L V6スーパーチャージャーが860万〜1188万円。5.0L V8スーパーチャージャーが1393万円〜1648万円。3.0L V6ディーゼルターボが895万〜1090万円となっています。

(塚田勝弘)

シトロエンC4ピカソに搭載されるディーゼルエンジンの走りを予想する

2016年7月、プジョー、シトロエン、DSの各モデルにディーゼルエンジン仕様の導入がアナウンスされました。またローンチ時にシトロエンC4ピカソへのディーゼルエンジンの導入もアナウンスされていましたので、予告どおりの「C4 PICASSO SHINE BlueHDi」の登場になります。

Thomas Brémond @ Dream On Productions

C4ピカソに組み合わされるのは、1.6Lのディーゼルエンジン。5人乗りのC4ピカソ、7人乗りのグランドC4ピカソのいずれも最高出力150ps/4000rpm、370Nm/2000rpmというスペック。トランスミッションはアイシンAW製の6ATとなっています。

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気になる走りはどうなるでしょうか。まだ試乗できていないので想像に過ぎませんが、車両重量1560kgのプジョー508SWには乗っていますので予想してみます。同ワゴンには1.6Lディーゼルターボを搭載し、165ps/6000rpm、240Nm/1400-3500rpmという出力、トルクを得ています。

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全長4.8m台、全幅1.8m台中盤のプジョー508SWの大きめのボディに、1.6Lの組み合わせでも高速域を含めて動力性能にほとんど不満を抱かせませんから、C4ピカソで1590kg、グランドC4ピカソの1640kgという重量でも2.0Lターボの150ps/370Nmの分厚いトルクにより活発な走りが得られるのではないでしょうか。

なお、C4ピカソ/グランドC4ピカソの1.6Lのガソリン車は1460kg〜1510kgという重量で、165ps/240Nmという数値。

街中中心であればガソリン車の利点も引き続きありそうですが、帰省や旅行などで長距離を走る機会が多いのであればぜひディーゼルをチョイスしたいところ。ディーゼルターボ車はガソリン車よりも130kg重くなっていますが、トルクフルな走りは大きなミニバンとも相性が良さそうです。

Thomas Brémond @ Dream On Productions

価格は5人乗りの「C4ピカソSHINE BlueHDi」が372万円、1.6Lガソリンの「C4ピカソSHINE」が347万円。7人乗りの「グランドC4ピカソSHINE BlueHDi」が380万円、同グレードの1.6Lガソリンが355万円。

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さらに、来春のフルライン導入に先駆け、シンプルな装備を搭載し価格を抑えた「グランドC4ピカソ FEEL BlueHDi」(ディーゼル・7人乗り)を限定200台で設定されています。こちらは372万円です。

(塚田勝弘)

メルセデス・ベンツVクラスがアドブルー・タンクの大型化と新グレードを追加

2015年10月に日本でも発表され、今年1月から販売を開始しているメルセデス・ベンツの新型Vクラス。先代よりも丸みを帯びたフロントマスクはモダンになり、インテリアも大幅に洗練されています。

V-Klasse AVANTGARDE, AMG Line (PS2), 48,3 cm (19") AMG Leichtmetallräder im 7-Doppelspeichen-Design, hochglanzschwarz lackiert und glanzgedreht (RK4), bergkristallweiß (9134)

パワートレーンは2.2Lの直列4気筒ディーゼルターボの「Blue TEC」に7ATという組み合わせのみ。ディーゼルの排ガス処理はやや高額となりがちではありますが、AdBlue(尿素水溶液)インジェクターとSCR触媒コンバーターが使われています。

その走りっぷりは、ディーゼルターボらしい分厚いトルク感を味わうには重量が重すぎる印象がありますが、シーンを問わず過不足なく走るのはいかにも欧州の実用車的な走りといえそう。

その、Vクラスが6月1日に一部改良を受けました。

全車、尿素水溶液「AdBlue(アドブルー)」タンクの大型化(11.5Lから25Lに拡大)を実施し、補充サイクルが大幅に伸び、約2万kmまで継続走行が可能となっています。なお、 アドブルーの補充サイクルはあくまで目安で、使用環境や運転方法に応じて異なるとしています。

さらに、新グレードの「V 220 d Sports long」を追加しています。

ベース車は「V 220 d AVANTGARDE long」で、内・外装のスポーティでスタイリッシュな印象をより強調する「AMGライン」を採用。

エクステリアには、「AMGデザインエクステリア (フロントスポイラー、リヤバンパー、リヤルーフスポイラーリップ)」、専用となる19インチ「AMG 7ツインスポークアルミホイール」を用意し、スポーティムードが強調されています。

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一方のインテリアには、カーボン調インテリアトリム、ステンレスアクセル&ブレーキペダル(ラバースタッド付)を装備。さらに、現在販売中のVクラスとして初めてパノラミックスライディングルーフ(挟み込み防止機能付)を標準装備しているほか、安全性を高める最新の「レーダーセーフティーパッケージ」も標準装備。

価格帯は550万〜819万円で、新設定された「V 220 d Sports long」は819万円という最上級グレードになっています。

(塚田勝弘)

BMW 1シリーズに待望のディーゼルエンジン仕様を追加

BMW 1シリーズに待望のディーゼルエンジン搭載モデルの「118d」が加わりました。

兄貴分のBMW3シリーズや2シリーズ(アクティブ ツアラー、グラン ツアラー)、MINIの3ドアと5ドア、クラブマンなどにも設定されているだけに待っていた方もいるはず。

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なお、118dの追加で「BMW」ブランドのクリーンディーゼルラインアップは計9モデル、MINIブランドも含めたBMWグループ合計で19モデルとなっています。

5月21日から発売されるBMW 118dは、2.0Lの直列4気筒クリーンディーゼルターボを搭載。

コモンレールダイレクトインジェクションシステムと可変ジオメトリーターボチャージャーを組み合わせ、最高出力150ps/4000rpm、最大トルクは320Nm/1500-3000rpmとディーゼルエンジンらしいトルクフルなスペックとなっています。

組み合わされるトランスミッションは8速ATで、アイドリングストップなどの環境対応技術を数多く採用し、JC08モード燃費は、22.2km/Lを達成。同等のガソリンエンジンを搭載しているBMW 118iから約2割向上しています。

ほかにも、NOx(窒素酸化物)吸蔵還元触媒などメンテナンスフリーの排出ガス処理技術「BMW BluePerformanceテクノロジー」を採用し、ポスト新長期規制に適合。エコカー減税対象車の認定を受けていて、自動車取得税・重量税は「免税(100%減税)」、翌年度の自動車税も75%減税となります。

主な標準装備として、「ドライビング・アシスト(レーン・ディパーチャー・ウォーニング、前車接近警告機能、衝突回避・被害軽減ブレーキ)」、「ドラインビング・パフォーマンス・コントロール(ECO PROモード付)」、「ITSスポット対応DSRC車載器(ルーム・ミラー内蔵、ETC機能付)」などを用意。

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気になる価格は、「118d Sport」と「118d Luxury」が365万円、「118d M Sport」が385万円。なお、上の写真のBMW 118i比べると21万円高に抑えられています。

(塚田勝弘)

MINI3ドア/5ドア、クラブマンにディーゼルのCooper D、Cooper SDを追加

BMW、そしてMINIのラインナップに欠かせない存在となっているディーゼル仕様車。

フォルクワーゲンのディーゼルエンジンのスキャンダルがあっても各メーカーから続々と発売されていますし、BMWに限らず車種によってはディーゼルが5割を超えるモデルも珍しくありません。

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その魅力は、軽油によるランニングコストはもちろん、トルクフルな走りはストップ&ゴーの多い日本市場にも合っているモデルが多く、ガソリン車よりもイニシャルコストが割高になっても食指を伸ばしたくなります。航続距離が長いユーザーだと、なおさら選択したくなります。

4月19日にアナウンスされたのは、MINIの3ドア、5ドア、クラブマンにディーゼルエンジンのCooper D、Cooper SDを追加するというもの。

MINI Cooper SD 5 Doorをのぞくモデルは今年5月から、MINI Cooper SD 5 Doorは9月以降の納車が予定されているそうです。

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今回追加される計6モデルのクリーンディーゼルエンジン搭載車は、MINIラインアップの中で中核モデルに位置づけられているMINI 3ドア、MINI 5ドア、そして、Cセグメントに格上げされたMINIクラブマン。

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MINIでは2014年秋にMINIクロスオーバーとMINIペースマンに、計4モデルのディーゼルモデルが設定されていましたが、今回の大幅な拡充により、MINIのディーゼル仕様は全部で10モデルになります。

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MINI3ドア、MINI5ドアのCooper Dに搭載されるのは、1.5Lの直列3気筒。

コモンレール・ダイレクト・インジェクション・システム、可変ジオメトリー・ターボチャージャーなどの採用により、優れたレスポンスと低回転からの分厚いトルク、低燃費を実現。

エンジンのスペックは、最高出力116ps/4000rpm、最大トルク270Nm/1750-2250rpmで、6速ATとの組み合わせにより、JC08モード燃費は23.9km/Lに到達しています。

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3ドアと5ドアのCooper SD向けの2.0L直列4気筒クリーンディーゼルエンジンにもコモンレール・ダイレクト・インジェクション・システム、可変ジオメトリー・ターボチャージャー、DPF(粒子状物質除去フィルター)、NOX吸蔵還元触媒などが装備され、170ps/360Nmというアウトプットと23.8km/Lというカタログ燃費を実現。

クラブマンのCooper Dも2.0Lの直列4気筒ディーゼルターボが搭載されていますが、こちらは150ps/330Nmで、燃費は22.0km/Lになっています。

クラブマンのCooper SDも同じ2.0Lの直列4気筒ディーゼルターボですが、スペックは190ps/400Nmで、Cooper Dよりも40ps、70Nm上乗せされ、燃費はCooper Dを若干上回る22.7km/L。なお、クラブマンのトランスミッションは、3ドア、5ドアの6ATよりも多段化されて8ATになっています。

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価格は「MINI Cooper D 3 Door」が300万円、「MINI Cooper SD 3 Door」が364万円、「MINI Cooper D 5 Door」が318万円、「MINI Cooper SD 5 Door」が382万円、「MINI Cooper D Clubman」が364万円、「MINI Cooper SD Clubman」が404万円です。

(塚田勝弘)【関連記事】

■MINIクラブマンにMINI ONEとCooper S(4WD)を追加
http://clicccar.com/?p=367193

INGENUIMディーゼルを搭載したジャガーXE/XFはシルキーでトルクフル

盛り上がりを見せていた日本市場のディーゼル車マーケットに、冷や水を浴びせるカタチとなった、フォルクスワーゲンの排ガス不正事件。

その余波で停滞するかに見えたわが国のディーゼル市場に、新たなモデルを投入したのは、意外なことに(!?)ジャガーでした。

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“知の力”を意味する「INGENUIM(インジニウム)」と名づけられた2リッター直4ディーゼルターボを搭載したモデルが、XF(白い車両)とXE(赤い車両)に用意されたのです。

その新しいディーゼルターボは、ツインカム4バルブのヘッドメカニズムを持つ、オールアルミユニット。ジャガーがこれまで使っていた2.2リッターの2.2dユニットと比較して、燃費は17.5%向上し(EU6)、20kgほど軽量化され、静かで振動も少ないとされます。ボア×ストロークは83.0×92.4mm。排気量は1999ccです。

最新のディーゼルらしく、ボッシュ第2世代のコモンレール式燃料噴射装置を採用。バランサーシャフトを備え、カムシャフトのタイミングは可変化されます。英国はじめ、欧州では、税制や保険に合わせて複数のアウトプットが用意されるはずですが、日本市場では、当面、最高出力180ps/4000rpm、最大トルク430Nm/1750〜2500rpmの1種類。このスペックは、XFとXEで共通です。

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ディーゼルエンジンで問題になる、排ガス中の窒素酸化物は、AdBlue(アドブルー)システムで対応。排気に尿素水を噴き付け、有害な窒素酸化物(NOx)を、最終的に無害な窒素に還元します。

XEのディーゼルモデルは、仕様によって497〜549万円。XFは635〜693万円。カタログ燃費(JC08モード)は、XEが17.1km/リッター、XFは16.7km/リッターで、いずれもラインナップ中、最良の値です。

INGENUIMユニットを搭載したXFとXEに乗ることができたので、簡単な印象を報告しましょう。

試乗したXEは、20d R-SPORT(549万円)。

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XEディーゼル中の最上級モデルで、試乗車はさらに18インチホイールを19インチ(12万3000円)、スポーツシートをレザー(31万2000円)、さらにMeridianプレミアムサラウンドサウンドシステム(36万4000円)を奢るなど、254万7000円分のオプション装備を装着した豪華版でした。

スターターボタンを押してエンジンをかけると、「明らかにディーゼル」という音と振動を発して、INGENUIMユニットは目覚めます。

もちろん、ひと昔前のディーゼルエンジンと比較すると、大幅に静かでスムーズですが、総額800万円を超える高級サルーンとして、ちょっと気になる人がいるかもしれません。

ことに、市街地ではアイドリングストップが働くので、再始動のたびに「ブルン!」という身震いとともに、「ディーゼルサルーンに乗っている」ことを再確認することになります。

一方、XEディーゼルのドライブフィールは力強くて、ことに低回転域からトルキーなのが、最大の美点。そのうえ8段という多段ATと組み合わされるので、走り始めると次々とギアが上がっていきます。街なかでは、使っても2000rpmくらいまででしょうか。普通に走っていても燃費はよさそうです。

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ちなみに、INGENUIMユニット搭載のジャガーXEは、エコカー減税の対象になります。

試乗車のR-Sportで約19万7000円。ベーシックな20d Pure(497万円)だと、約18万4000円の減税となります。ガソリン車のベースグレードXE Pureは477万円ですから、減税分でほぼ相殺される計算になります。

ジャガーXEの場合は、シンプルなPureグレードでディーゼルモデルに乗った方が、“らしい”かもしれませんね。ライバルは、BMW320d(506万円)になりましょうか。

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さて、上級モデルXFのディーゼルは、20d Prestige(693万円)でした。XFディーゼルの上級版ですね。こちらも、19インチホイール(20万1000円)、LEDヘッドランプ(25万9000円)など、120万7000円のオプション装備が付いていました。

前述の通り、INGENUIMユニットのアウトプットはXEと変わらないので、車重が重い分(サンルーフ付きのXE 20d R-SPORTが1680kg。XF 20d Prestigeが1760kg)不利なはずですが、低回転域からの厚いトルクの恩恵か、運転者(←自分です)の感覚が鈍いのか、動力性能の差はほとんど感じられません。

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XFのディーゼルモデルは、エンジンルームまわりに遮音・吸音材が贅沢に使われているので、走行中の車内はXEよりグッと静かです。100km/hでの巡航なら、トップギアで1400rpmほど。スロットルペダルに足を載せているだけで、豪華なブリティッシュサルーンは粛々と走ります。

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BMW523d(599万円から)とメルセデス・ベンツE220d(687万円)を価格帯が重なるジャガーXFディーゼル。おもしろい存在になりそうです。

ちなみに、XFディーゼルもエコカー減税の対象車となり、20d Ingenium Pure(635万円)が約21万8500円、同Prestige(693万円)が約23万3000円の減税となります。

(文と写真:ダン・アオキ/Office Henschel)

走りと質感、快適性を向上させたマツダ・デミオ

昨年末に一部改良を受けたマツダ・デミオ。新型は1月中旬から発売(ガソリン車が1月15日、ディーゼルが1月22日)されています。

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クリーンディーゼルの「SKYACTIV-D 1.5」搭載モデルでは、エンジンのノックオンを抑制する「ナチュラル・サウンド・スムーザー」の設定(XD Touring、XD Touring L Package、特別仕様車XD BLACK LEATHER LIMITEDに搭載)のほか、低負荷領域でアクセル操作に対してリニアな加速が可能となった「DE精密過給制御」の採用がトピックス。

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「SKYACTIV-D 1.5」、「SKYACTIV-G 1.3」ともに電動パワーステアリングの制御を見直し、ステアリングの切り始めの応答性を改善することで、よりナチュラルな操舵感を得ているなど、細部にわたって走行フィールの改善が図られているのはマツダらしいところです。

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ガソリン車の「SKYACTIV-G 1.3」搭載モデルには、トノカバーとフロントウインドウシールド遮音ガラスを採用(13S Touring、13S Touring L Package、13S BLACK LEATHER LIMITED)することで、静粛性を向上させる手も打たれています。

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そのほか、シャークフィンアンテナや3段階の温度調整が可能なシートヒーターを前席両側への設定、CX-3と同様にスタイリッシュなフォルムのフラットワイパー(フロント)を採用するなど、質感と快適性の向上が図られているのも朗報。

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デミオよりも後発で、少し車格が上になるCX-3から採用された装備も多く、常に新しいモデルをショールームに並べるという、マツダの意気込みを存分に感じさせる改良とでしょう。

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なお、価格帯はガソリンが135万〜193万3200円、ディーゼル搭載車が178万2000円〜221万4000円です。

(塚田勝弘)

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■マツダ・デミオ(ディーゼル)は走りもさらにブラッシュアップ
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■マツダ・デミオの走りは国産コンパクトカー随一!?
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デミオ・ディーゼルは走りもさらにブラッシュアップ

マツダ・デミオにクリーンディーゼルエンジンを搭載した「SKYACTIV-D 1.5」に、CX-3にも用意されている「ナチュラル・サウンド・スムーザー」が設定され、エンジンのノック音を低減することにより静粛性が向上されていますが、今回の商品改良はそれだけではありません。

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「DE精密過給制御」と呼ぶエンジン制御の見直しによりダイナミック性能を進化させたほか、電動パワーステアリングの制御の改良によってナチュラルなハンドリングを得ているのが特徴。

その進化が分かるのは主に街中などの低速域のステージ。

DE精密過給制御により低速域の出足感をよりリニアなものにされたもので、新旧デミオを乗り比べると、アクセル操作に対する反応が素早くなっているのが分かります。

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しかも、停止時から急に加速するような「飛び出し感」を伴うのではなく、アクセル操作に連動するようなスムーズなものですから、ストップ&ゴーの多い街中でより感じられる制御になっています。

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電動パワステの制御改良もひと言でいうと、スムーズそのもの。切り始めの応答性を高めることで、たとえば信号待ちからの発進、そして右左折による操舵時などでその効果を新旧乗り比べで実感できましたし(新型はシャークフィンアンテナを採用)、首都高速のような中・高速域でもより自然なハンドリングを披露。

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経済性の高さやトルクフルな走りだけでなく、操舵応答性やアクセルワークの改善、そして「ナチュラル・サウンド・スムーザー」の設定により動的質感が高まったデミオのディーゼルモデル。

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軽快な走りが魅力のガソリン車も、トノカバーとフロントウインドウシールド遮音ガラスにより静粛性を向上させていますから、ますますエンジン選びには悩まされそうです。

(文/塚田勝弘・写真/小林和久)

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マツダ・デミオの走りは国産コンパクトカー随一!?
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マツダ・デミオの走りは国産コンパクトカー随一!?

マツダといえば、クリーンディーゼルエンジンを思い浮かべる方も多いでしょう。ほかにも「魂動(こどう)」デザイン、エンジンやプラットフォームだけでなく、新しいクルマ作りを総称する「スカイアクティブ」テクノロジーなど、クルマ好きだけでなく幅広い層にそのブランド哲学が広まりつつある、そんな状態ではないでしょうか。

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クルマ好き以外の方々にも新世代商品をズラリと揃えるマツダを知ってもらう入り口として最適なのがデミオ。

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現行型は、走りもデザインも質感も国産コンパクトカーの中で一頭地を抜く存在といえる完成度でしたが、ほかの最新マツダ車と比べると、ノイズ(エンジン)の高さや室内スペース、一部部品の見栄えなどがネガティブなコメントとしてユーザーから上がっていたそうです。

1月から販売されている改良後モデルですが、看板グレードといえる「SKYACTIV-D 1.5」搭載車に、CX-3にも採用されていたエンジンのノック音を抑制する「ナチュラル・サウンド・スムーザー」を設定(XD Touring、XD Touring L Package、特別仕様車XD BLACK LEATHER LIMITEDに採用)されているほか、「SKYACTIV-G 1.3」搭載車にトノカバーとフロントウインドウシールド遮音ガラスを採用(13S Touring、13S Touring L Package、13S BLACK LEATHER LIMITED)することで、ノイズの侵入が抑制されています。

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気になる走りですが、ディーゼルに搭載された「ナチュラル・サウンド・スムーザー」は、パーシャル域から少し踏んでいった際のノック音を抑制するもので、CX-3と同様に注意深く聞いてみるとその差を感じ取れる程度。

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今回、新旧デミオ(ディーゼル搭載車)に乗り比べる機会がありましたので、乗り比べるとその差は確かに実感できました。これなら、デミオのディーゼルはやや音が大きめといった声もかなり少なくなるでしょう。

また、全グレードがEPS(電動パワステ)のアシスト力(セッティング)を見直すことでよりスムーズなハンドリング、とくにステアリングを切り始めの応答性能改善も図られています。

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その後に乗り比べたCX-3と改良後デミオの差が縮まった印象で、音・振動面や走りの上質感、ハンドリングなどは国産コンパクトカーの中でもトップクラスの実力の持ち主であることは間違いないでしょう。

(文/塚田勝弘・写真/小林和久)