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内燃機関の可能性に挑む!日産が新型「QX50」に次世代エンジン搭載か?

日産自動車が先頃、VQエンジン(3.5L V6)の後継となる2.0L直4ダウンサイジング・ターボエンジン「VC-T」(バリアブル・コンプレッション・ターボチャージド)を10月のパリ・モーターショーで初公開すると発表しました。

Infiniti-QX50_Concept

最高出力270psを発生する「可変圧縮比エンジン」で、各種情報によると「インフィニティQX50」を皮切りに2017年からシリーズへの搭載を予定しているようで、走行中に圧縮比を8から14まで変化させることができるのが最大の特徴となっています。

低回転域(加給圧:低)を使う巡航時では圧縮比を上げてトルクを引き出し、加速時など、高回転域(加給圧:高)を使うシーンでは圧縮比を下げることでノッキングの発生を防止します。

INFINITI_VC-T

これにより、VQエンジン比で約30%、競合する2.0直4ターボエンジン比でも約10%もの燃費低減を実現しているといいます。

機構的にはエンジン外部に設けたモーターでコンロッドの下端位置を変化させており、ピストンの上死点位置を上下方向に制御する方式。

INFINITI_VC-T

内燃機関に潜在する可能性を引き出すことに成功した点で、まさにエンジン史上に残る大発明ともいえそうです。

一方、8月29日には早稲田大学の研究グループが「熱効率」を最大で60%と、約2倍に高めるエンジンの試作機を開発、燃焼実験に成功したと発表しました。

実用化できれば、燃費を2倍に伸ばせる可能性があるとしています。

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現在の自動車用エンジンは、燃料を燃やしたガスの力でピストンを動かしていますが、多くの熱が逃げてしまうため「熱効率」は30%〜35%、最大でも40%と、燃料が持っているエネルギーの半分以下しか活用できておらず、理論上も50%を超えるのは難しいとされています。

そこで、開発品では複数の方向から音速に近い速さで燃料と空気を吹きこみ、シリンダの中心で衝突させることで、燃料を一点に集中させて燃焼させる仕組を採用。

これにより、燃焼する際の熱が外部に逃げ難くなるなど、より効率よくエネルギーを取り出すことができるそうで、研究室では排気量30ccの試作機を作り、燃焼試験を行ったところ、計算どおりの出力が得られたとしています。

エンジン周辺の温度もほとんど上がらず、熱が逃げていないことが確認できたとしており、研究室を率いる内藤教授のもとには自動車メーカー10社余りが視察に訪れ、技術協力の話を進めているそうです。

Infiniti-QX50_Concept

ただ、クルマは加速したり止まったりと動作が一定ではなく、エンジンの燃焼も一定ではないため、燃料を常に一点集中で燃やし続けられるかなど、技術的な課題もあり、実用化には少なくとも5〜10年かかるとのこと。

このように、クルマの電動化が進む中、日産をはじめとする自動車メーカーや大学研究室では次世代のエンジン開発が本格化しているようで、内燃機関の可能性追求は今後も続くことになりそうです。

Avanti Yasunori・画像:日産自動車)

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【関連リンク】

早稲田大学 基幹理工学部
https://www.waseda.jp/top/news/44166

米NHTSAが衝突安全性能5つ星に認定したインフィニティ・QX60はこんなクルマ!

日産自動車の海外向けモデル インフィニティ「QX60」が、NHTSA(米運輸省道路交通安全局)の衝突安全テストにおいて、最高評価となる5つ星に認定されたそうです。

Infiniti_QX60

NHTSAの衝突安全テストは、前面衝突(56km/h)、側面衝突(62km/h)、ロールオーバー(横転)試験の3種類で構成されており、同2017年モデルは前面衝突試験で4つ星(ドライバー席:4つ星/助手席:5つ星)、ロールオーバー試験で4つ星(転倒リスク17.9%)、側面衝突試験で5つ星を獲得。

NHTSA

これにより、インフィニティ「QX60」は総合評価で5つ星に認定されました。

[nextpage title=”QX60はこんなクルマ”]同車はインフィニティ初となる7人乗り3列シート仕様の大型クロスオーバーSUV車。

3.5LのV6エンジン(265ps)搭載モデルと、2.5Lのスーパーチャージャー付き直4エンジンを搭載したHVモデル(250ps)が有り、それぞれFF/AWDモデルがラインナップされています。

車両サイズは全長:4,990mm、全幅:1,960mm、全高:1,720 mmで、乗車定員は7名、米国価格は42,600ドル(約450万円)からとなっています。

Infiniti_QX60

2017年モデルではさらにエンジン出力が高められ、インフォテインメントシステム搭載やリヤシートの大型化を図るなど、インテリアの充実が図られている模様。

Infiniti_QX60

世界的に人気のあるSUV系でHVモデルが存在し、安全性能や品質の高さなどを考慮すると、日本でも「Q60」と併せてラインナップを望む声が出るかもしれません。

Avanti Yasunori・画像:NHTSA、日産自動車)

【関連記事】

日産が米国でインフィニティのフラグシップセダンを公開!
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日産がプロパイロット搭載の新型「スカイラインクーペ」を年内発売か?
http://clicccar.com/2016/08/12/392439/

【関連リンク】

NHTSA (Overall Rating)
http://www.safercar.gov/Vehicle+Shoppers/5-Star+Safety+Ratings/2011-Newer+Vehicles/Vehicle-Detail?vehicleId=11410

日産が米国でインフィニティのフラグシップセダンを公開!

日産自動車が米カリフォルニア州で開催される「ペブルビーチ・コンクール・デレガンス」で、「インフィニティ Q80インスピレーション」を公開すると発表しました。

Infiniti_Q80

クーペのようなエレガントさを備えたインフィニティのフラッグシップモデルで、米国では初公開となります。

全長5,060mm、全幅2,010mm、全高1,340mmと、同社の現行「シーマ」に迫る堂々としたボディサイズを持つ4ドアセダンとなっており、カーボンファイバーやアルミ、レザーなどの素材を使用するなど、最高の品質を追求したといいます。

ハイブリッドシステムを採用しており、新型「Q60」や「Q50」改良新型に搭載された3.0L V6ツインターボエンジンを搭載、モーターとの組み合わせによるシステム出力は550hpに達しています。

駆動方式はFRと4WDを切り替えられる仕組みになっており、燃費性能は、欧州複合モードで18.2km/L。

インテリアは、独立4シーターとなっており、運転席や助手席にHUD(ヘッドアップディスプレイ)が装備されています。

Infiniti_Q80

ルノー出身で現在はインフィニティ副社長のフランソワ・バンコン氏によれば、「同モデルはプレミアムセダンの新境地を開拓するもので、これまでの伝統的な高級セダンではない」とした上で、「製品化の意図を持ったインフィニティの野望を示唆するモデル」と説明。

Infiniti_Q80

また「インフィニティ・ブランドのプレミアムカーにとって、自動運転機能は不可欠」としており、日産がセレナ以降、各車種に展開中のドライバー支援システムにも注目が集まりそうです。

Avanti Yasunori・画像:日産自動車)

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圧縮比が8から14まで可変する日産の次世代ターボエンジンはパリサロンで発表

日産の上級ブランド「インフィニティ」のモデルに搭載される『VC-T(バリアブル・コンプレッション・ターボチャージド)』・2.0リッター4気筒エンジンの単体画像が公開されています。

2016年9月のパリサロン(パリ・モーターショー)にて世界初公開される予定のVC-Tエンジン。日産が20年以上も開発を続けてきた「可変圧縮比エンジン」がついに実現するのです。

INFINITI four-cylinder turbocharged gasoline VC-T engine

10年以上前にリンク式コンロッドを用いた可変圧縮比エンジンの技術発表をしている日産ですが、今度のVC-Tエンジンについては、圧縮比が8から14の間で可変できるという数値が公開されているくらいで、具体的な機構についてはパリサロンでプレゼンテーションする予定となっています。

なお、圧縮比の低い状態はハイパフォーマンスを発揮するため、高い状態は高効率を可能にするためと、可変圧縮比のメリットを説明しています。

環境と動力性能を両立できる新世代エンジンは、まさにインフィニティという上級ブランドにふさわしいパワートレインとなるということなのでしょう。

INFINITI four-cylinder turbocharged gasoline VC-T engine

(山本晋也)

日産の栃木工場で海外向けスポーツクーペの生産を開始

日産の高級ブランドといえる「インフィニティ」、その新型スポーツクーペとなる「Q60」の生産が本格的に始まりました。

海外向けに展開している同ブランドですが、生産を支えるのは日本の匠。業界最高レベルという生産ラインは、栃木の工場に置かれているのです。

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ダイナミックで官能的とさえいえるボディラインを実現するために、プレスボディ加工技術や樹脂製トランクリッドなど、生産・組立工程において改良されたラインになっているといいます。

さらに、新色の『ダイナミック・サンドストーン・レッド』のために、専用塗装ブースが設置されたというのも、生産技術面でのトピックということです。

そして、プレミアムカーであるインフィニティの生産を担当するのは、栃木工場4500名のスタッフから厳選された216名の熟練した職人。匠と呼ばれる人々によって、その高品質は支えられているのです。

(山本晋也)