Motor Fan's YEAR 2016

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霧や逆光を見通す「電子の目」を搭載した自動運転車をパナソニックが公開!

パナソニックは、事業の柱である家電部門が厳しい競争に晒されるなか、自動車関連事業を新たな成長分野に位置付けています。

Pabasonic

一方、検索サイト大手の「Google」や、ベンチャー企業の「テスラ」などが自動運転技術の分野で大きな成果を上げていることもあり、国内家電メーカーについても得意とする電子技術を活かし、同分野への参入を狙っている状況。

そんな状況の中、パナソニックは、雨や霧、雪など視界が悪い中でも人や車などを正確に見極める画像処理技術を開発したそうです。

従来の画像センサーでは、対向車のヘッドライトなど、強い光を受けると映像がホワイトアウトしやすく、夜間の信号色や歩行者が見分けにくいという課題がありました。

Pabasonic

そこで同社は、テレビや防犯カメラで実用化した技術をカメラセンサーに適用、夜間に高速で通過する車のナンバーまで見分けられるといいます。

材料を従来のシリコンから有機材料の薄膜に換え、光を電気信号に変換する際のノイズを独自の回路設計で抑制、電極部の構造も見直し、僅かな光をも効率よく取り込めるようにしており、撮影可能な明るさは従来品の100倍に達しているそうです。

そうしたなか、パナソニックはこの技術を搭載したカメラを5台使い、周りを確認しながら自律走行する自社製の小型自動運転車を開発、公開しました。

NHK

高齢化社会が進むなか、全国的にバス路線の縮小や減便が続いており、病院通いや買い物に利用できる「足」として今後、自動運転のニーズが高まると予想。

2020年代半ばを目標に、自宅と最寄り駅や病院間などの近距離を、安全な40km/h以下の速度で往復する、街乗りに適した自動運転技術を目指しているそうです。

NHK報道によると、同社は車間通信の分野において、携帯電話の開発で培ったセキュリティー技術が活かせると考えているそうで、今後はプロのドライバーの運転技能を備えたAI(人工知能)の開発にも進出、自動運転車向けの製品開発を加速していくとしています。

このように、自動運転技術の高度化に向け、自動車メーカーはもちろん家電メーカーからの参入も増加すると予想され、今後はオールジャパンによる技術革新が本格化するものと思われます。

Avanti Yasunori・画像:Panasonic、NHK)

【関連リンク】

Panasonic
http://www.panasonic.com/jp/corporate/technology-design/technology/ai.html

NHKニュース
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160917/k10010690591000.html

「自動運転」の国際基準作りで政府が国連会議を主導か?

日産自動車が8月24日、国産車で初となる運転支援機能「プロパイロット」を搭載した5代目「セレナ」を発売しました。

NISSAN_SERENA

高速道路における渋滞走行時や長時間の巡航走行において、アクセル、ブレーキ、ステアリング操作の全てを自動的に制御するもので、政府が策定した自動運転技術ロードマップによると「レベル2(準自動走行システム)」に相当します。

「レベル2」では、システムはあくまで「ドライバーの補助」としての位置付けで、アクセル・ブレーキ・ステアリング操作のうち、複数の操作をクルマが自動で行うものを指します。

NISSAN_SERENA

欧米では既にテスラやメルセデス・ベンツが実用化しており、トヨタ、ホンダも2020年には「レベル2」の車両を市販する予定になっているようです。

そうした中、政府(国土交通省)は今年5月24日、官民からなる連携組織「自動運転基準化研究所」を設立しました。

国交省をはじめ、経産省、日本自動車工業会、日本自動車部品工業会、自動車技術会、JASICなどが参画しており、政府としては日本の技術を背景とする国際基準を「世界標準」とすることで、国際競争力を高めたい考え。

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自動運転は、自動ブレーキなどの「レベル1」から人が運転に関与しない「レベル4」まで、難易度に応じて4段階に分類されています。

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今回、国交省が策定する基準は、「レベル2」に対応するもの。

新聞報道などによると、国連の専門家会議で2018年にも基準が確定する見通しの中、国交省は「日本案」をベースに国連の議論を主導したい考えのようで、2017年度予算の概算要求において、自動運転関連で3億4,100万円を要求するそうです。

政府は2020年を目処に、高速道路上での車線変更や追い越しを伴う自動運転「レベル2」を実用化させる方針。

人的要因が大半とされる交通事故撲滅に向け、日本が得意とする技術力を活かし、「自動運転」の国際基準作りで世界をリードしたい考えのようです。

Avanti Yasunori・画像:総務省、日産自動車)

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乗ってみてわかった新型メルセデス・ベンツ「Eクラス」の凄さとは?

7月27日に発売された5代目となる新型メルセデス・ベンツ「Eクラス」(W213系)。

Mercedes-Benz_E-Class

折からのクラスレス化により、外観はCクラスとの差が判り難くなっていますが、実車を前にすると、サイズ感の違いから「Eクラス」としての風格を感じさせます。

ちなみに車両のスリーサイズは全長4,950mm×全幅1,850mm×全高1,455mmと、先代の最終モデル比で60mm長く、5mmスリムになっており、Cクラス比では235mm長く、40mmワイドで、25mm高いなど、明確に差が付けられています。

またホイールベースについても2,940mmと、先代モデル比で65mm長く、Cクラス比では100mm長くなっています。

今回はそんな新型「クラス」の進化度について、試乗レポートを交えながらお伝えしたいと思います。

試乗車に選んだのは、アバンギャルド・シリーズの中でもAMGルックでスポーティな「E200 アバンギャルド スポーツ」。

Mercedes-Benz_E-Class

確実にサイズアップしている訳ですが、それを全く感じさせないエクステリア・デザインを採用しており、実際に運転していても想像する程大きく感じません。

その背景にはショート・オーバーハングで、且つステアリング切れ角が大きく、最小回転半径がAクラスやCクラスの5.1mに対して5.4mと、コンパクトに抑えられていることが寄与しているようです。

さっそく走り出してみると、2.0Lながらも184ps/30.6kgmを発生する4気筒ターボ エンジンは軽々と1.7トンの車体を加速させるだけの十分なパワーを秘めており、高回転まで一気に吹け上がります。

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その際のキャビンへの透過音レベルは、やはり同エンジンを積むCクラスよりも一段と低く抑えられており、クラス相応に静粛性が高められていることを窺がわせます。

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また、19インチのAMGホイールに装着されているミシュラン製のランフラットタイヤはフロントが245/40R19、リヤが275/35R19とかなり太目ですが、それでもロードノイズは比較的小さく、乗り心地も非常にしなやかで適切なものとなっています。

そして以前にもお伝えしたとおり、数多くの運転支援システムを搭載する中でも、新型「Eクラス」の最大のウリとされるのが、同車に初採用された半自動運転システム、「ドライブパイロット」。

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Cクラスにもステアリングアシスト機能付の「ディストロニック・プラス」が装備されていますが、Eクラスの「ドライブパイロット」では一歩進めて、車線が不明瞭な場合や表示されていない場合でも、車両やガードレールなど車線と並行する物を監視、前走車との車間を維持しながらステアリング操作をアシストしてくれます。

Mercedes-Benz_E-ClassMercedes-Benz_E-Class

これは完全自律走行に向けた1つの大きなステップとなる機能で、安全性、快適性を向上させ、運転時のストレスレベルを大幅に低減させる効果があります。

今回の試乗ではその効能を一般道で試してみました。

メーターパネル内に表示されているステアリングマークが緑色の場合、アシスト機能ONの状態で、違和感の無い適度な力でステアリング操作をアシストしてくれます。

Mercedes-Benz_E-Class

ただ、前走車がいない場合や、道幅が広くガードレールまでの距離が遠い一般道でのアシストは限定的で、同機能が本領を発揮するのはやはり高速道路上となるようです。

これまでの「ディストロニック・プラス」では、遠方で停止中の前走車は意外にも検知しませんでしたが、「ドライブパイロット」ではそんなシーンでも自動で停止します。

これは壁などを停止中の前走車と誤認することを防止するため、意図的に検知しないようにプログラムされていたようですが、新型Eクラスでは、ステレオマルチパーパスカメラやレーダーセンサーのセンシング能力向上により、実現したようです。

他にも一般路での不意な歩行者飛び出しに対応する「緊急回避補助システム」などの先進的なアシスト機能も装備。高速道路上ではウインカー操作で自動追い越しが可能。

そんな「E200 アバンギャルド スポーツ」のお値段は727万円。

現時点で新型「Eクラス」にはガソリンモデルの「E200アバンギャルド(675万円)」をはじめ、「E250」、ディーゼルモデルの「E220d」、そして最上級の「E400」がラインナップされています。

日本では恐らく「E200アバンギャルド」が売れ筋になると予想されますが、個人的には大きさを感じさせない軽快な走りや質感、インテリアの豪華さも含め、もはやこれで十分といった感想でした。

読者の皆さんも試乗フェアなどの機会に、最新のメルセデスを体感されてみてはいかがでしょうか。

Avanti Yasunori・画像:Mercedes-Benz)

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日産が新型セレナで実現した自動運転「レベル2」って何?

日産自動車から8月24日に登場した5代目となる新型「セレナ」。

NISSAN_SERENA

同社が独自に開発した国産車初、ミニバンクラスでは世界初となる運転支援機能「プロパイロット(ProPILOT)」をOPT設定しています。

これは高速道路における渋滞走行時や長時間の巡航走行において、アクセル、ブレーキ、ステアリングの全てを自動的に制御するもの。

政府が策定した自動運転技術ロードマップによると、難易度を初期段階の「レベル1 」から完全自動運転の「レベル4」まで4段階に分けており、今回日産が実現した「プロパイロット」は「レベル2」に相当します。

01

「レベル2」では、システムはあくまで「ドライバーの補助」としての位置付けで、アクセル・ブレーキ・ステアリング操作のうち、複数の操作をクルマが自動で行います。

欧米では既にテスラやメルセデス・ベンツが実用化しており、トヨタ、ホンダも2020年には「レベル2」の車両を市販する予定になっているようです。

新型セレナでは、高速道路の単一車線内において、常に前走車との車間距離を保持しながら追従走行可能となっており、ドライバーが設定した車速(約30〜100km/h)を上限に、車線中央を走行するようにステアリング操作を支援します。

NISSAN_SERENA

一方、「レベル3」ではアクセル、ブレーキ、ハンドルの全ての操作が自動で行われ、事故時の運転責任は原則としてシステム側が負うことになります。

基本的にドライバーが運転操作に関わる必要が無くなる訳ですが、システムに異常が発生した場合など、緊急時に操作する義務は残るため、ドライバーの責任が無くなるわけでは無さそうです。

いずれにしても、実用化のハードルがいっそう高くなるのは間違いありません。

日産は今後、2018年に自律走行の適用範囲を高速道路の複数車線に、さらに2020年には一般道路に広げるとしており、ドライバーの介入無しで市街地での交差点・信号停止・自動合流・自動分岐・インターチェンジ走行を可能にするそうです。

国内メーカーでは同技術において一日の長がある日産の今後の展開が注目されます。

Avanti Yasunori・画像:日産自動車)

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日産セレナ
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総務省
http://www8.cao.go.jp/cstp/gaiyo/sip/iinkai/jidousoukou_5/5_jidousoukou_siryou_4.pdf

新型メルセデス・ベンツ Eクラスの「ドライブパイロット」は車線が無くてもステアリング・アシスト可能!

7月27日に国内市場に導入された新型メルセデス・ベンツ「Eクラス」。

Mercedes-Benz_E-Class

数多くの運転支援システムが搭載されていますが、中でも注目を集めているのが新型「Eクラス」で初採用された半自動運転システム「ドライブパイロット」。

完全自律走行に向けた1つの大きなステップとなる機能で、安全性、快適性を向上させ、運転時のストレスレベルを大幅に低減させる効果があります。

車線が不明瞭な場合や表示されていない場合でも、車両やガードレールなど車線と並行する物を監視、車間を維持しながらステアリング操作をアシストするのが大きな特徴。

Mercedes-Benz_E-Class

また、高速道路走行中にドライバーがウインカーを2秒以上点滅させると、車両周囲を監視しているセンサーが他の車両等との衝突の危険が無いことを確認し、安全が確認された場合に自動で車線変更してくれます(約80km/h以上で作動)。

Mercedes-Benz_E-Class

さらに緊急回避機能として、車道横断中の歩行者等との衝突の可能性を検知すると、システムが正確なステアリングトルクを計算してドライバーのステアリング操作をアシスト、回避後の車線復帰も同様にサポートします(約20〜70km/hで作動)。

Mercedes-Benz_E-Class

このように、新型Eクラスに搭載された「ドライブパイロット」は、より積極的にドライバーをサポートすることにより、従来にも増して運転時の疲労軽減と安全確保に寄与するシステムとなっています。

テスラやGoogleの自動運転車が話題になるなか、メルセデス・ベンツは今後の完全自律走行に向け、一歩づつ着実な進化を遂げているようです。

Avanti Yasunori・画像:Mercedes-Benz)

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日産が米国でインフィニティのフラグシップセダンを公開!

日産自動車が米カリフォルニア州で開催される「ペブルビーチ・コンクール・デレガンス」で、「インフィニティ Q80インスピレーション」を公開すると発表しました。

Infiniti_Q80

クーペのようなエレガントさを備えたインフィニティのフラッグシップモデルで、米国では初公開となります。

全長5,060mm、全幅2,010mm、全高1,340mmと、同社の現行「シーマ」に迫る堂々としたボディサイズを持つ4ドアセダンとなっており、カーボンファイバーやアルミ、レザーなどの素材を使用するなど、最高の品質を追求したといいます。

ハイブリッドシステムを採用しており、新型「Q60」や「Q50」改良新型に搭載された3.0L V6ツインターボエンジンを搭載、モーターとの組み合わせによるシステム出力は550hpに達しています。

駆動方式はFRと4WDを切り替えられる仕組みになっており、燃費性能は、欧州複合モードで18.2km/L。

インテリアは、独立4シーターとなっており、運転席や助手席にHUD(ヘッドアップディスプレイ)が装備されています。

Infiniti_Q80

ルノー出身で現在はインフィニティ副社長のフランソワ・バンコン氏によれば、「同モデルはプレミアムセダンの新境地を開拓するもので、これまでの伝統的な高級セダンではない」とした上で、「製品化の意図を持ったインフィニティの野望を示唆するモデル」と説明。

Infiniti_Q80

また「インフィニティ・ブランドのプレミアムカーにとって、自動運転機能は不可欠」としており、日産がセレナ以降、各車種に展開中のドライバー支援システムにも注目が集まりそうです。

Avanti Yasunori・画像:日産自動車)

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米・フォードCEOが2021年「完全自動運転」実現を宣言!

米フォードが8月16日、人が運転に関与せず、ハンドルやアクセル、ブレーキペダルが無い自動運転車を2021年までに実用化する計画を発表しました。

FORD

同社が目指しているのは最も難易度が高い「レベル4」(完全自動運転)で、マーク・フィールズCEOはこのチャレンジについて「フォードが100年前に実現した自動車の大量生産方式と同様、社会に大きな影響を与えるだろう」としています。

同社は「完全自動運転」の実現に向け、米カリフォルニア州シリコンバレーの研究所を拡充。自動運転に必要なセンサーやAI(人工知能)、地図情報などのベンチャー企業への出資や提携を発表しています。

2021年時点では「ライドシェア」など、配車サービス事業用途を考えているようで、一般向けには2020年代後半の実現を想定している模様。

新聞報道などによると、同社はこの分野で先行するGoogleとの提携を模索していたそうですが、合意に至らず自社開発することにしたそうです。

FORD

自動運転技術をめぐっては、交通事故の減少や渋滞の緩和につながることから、BMWが今年7月に2021年までの完全自動運転技術導入に向けて米インテルと提携するなど、世界の大手自動車メーカーが開発に鎬ぎを削っており、IT企業からの参入も相まって、開発競争は業種の壁を越えて激しさを増しています。

そうしたなか、日本政府は2020年をめどに「レベル3」(非常時ドライバー介入)、2025年に「レベル4」の実現を目指しており、世界レベルでの技術競争の行方が注目されます。

Avanti Yasunori・画像:FORD MOTOR)

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テスラのイーロン・マスクCEOが先進的な「新事業計画」をブログで公開!

テスラモーターズの自動運転機能に関するニュースが飛び交うなか、イーロン・マスク会長兼CEOが7月20日、同社の新事業計画を自身の公式ブログ上で明らかにしました。

TESLA_Power_Wall

マスク氏が同社を発足させて以来、一貫して目指しているのは、化石燃料への依存を早期に断ち、「持続可能エネルギー」への切り替えを加速させること。

そうした観点で、今後実現を目指す新たなマスタープランを公開したもので、要約すると、次の4つのポイントで構成されています。

1)蓄電装置一体型ソーラーパネルの普及
パワーウォールを進化させ、契約から設置までの全てを1社で一元管理

2)自律走行可能な大型EVトラック、都市型EVバスを開発
・トラックの大型化により貨物輸送コストを大幅削減
・車内レイアウト工夫でバスの乗客密度を向上、車体を小型化

3)人間の運転より10倍安全な自律走行システムを実現
世界中で販売したテスラ車から収集した走行データを活用

4)自家用車のシェアリングシステム構築
テスラ車ユーザーが同社のカーシェアリングシステムに自車を登録、
使用しない時間帯に貸し出し、車両返済資金、維持費に充当

2)については、来年にも発表する予定としており、小型EVバスでは、携帯電話を持たない人のために、既存のバス停に呼び寄せ用のボタンを設置、車椅子や自転車も載せられるようなデザインを予定しているそうです。

4)のシェアリングシステムは、税金や保険料など維持費が高くつくことから、日本でもクルマ離れが懸念されるなか、持続的な新車販売に効果的なシステムとなる可能性を秘めていそうです。

モデルSの自動運転支援システムは、米国では昨年10月に発表され、日本でも国交省の認可を受けて、運転支援システムの配信が今年1月から始まっています。

TESLA_MODEL-S

そうしたなか、今年5月7日に米フロリダ州の幹線道路で、初となる自動運転機能作動中の死亡事故が1億3000マイル(約2億km)走行時点で発生しました。

事故原因については現在のところ、ドライバーの前方不注意(DVD鑑賞?)と、カメラセンサー等の認識能力に起因している可能性があるとの見解のようです。

同社では現在、世界中の車両を合わせて、1日当たり約500万kmの走行実績を積んでいるそうですが、ワールドワイドで自動運転が法的に認められるまでには100億km(約6年相当)の実績が必要になると予測。

TESLA_MOTORS

テスラでは、これまでに得た知見をベースに、技術力に更なる磨きをかけながら、「EV」、「自動運転」、「家庭用発電システム」、「カーシェアリング」をトリガーにして、今後も持続可能エネルギーへの早期移行を実現させる考えのようです。

Avanti Yasunori・画像:TESLA)

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今年1月、米国にTRI(Toyota Research Institute)を設立するなど、AI(人工知能)の研究を加速させるトヨタ自動車。

DARPA(米国防総省 国防高等研究計画局)主催の災害対策ロボット競技会でプロジェクトマネジャーを務めたギル・プラット氏をTRIのCEOに据え、同氏の人脈によりGoogleで自動運転車開発プロジェクトを立ち上げたジェームズ・カフナー氏を招聘(しょうへい)するなど、積極的な動きをみせています。

TOYOTA_TRI

TRIはマサチューセッツ工科大学やスタンフォード大学ともAIの研究・開発で連携しており、走行中予期しない状況下に陥った際に危険を回避したり、何故そのような状況になったのかを説明できるような人工知能の実現を目標にしている模様。

さらに、トヨタはロボット事業を将来の成長を担う事業のひとつに位置付けており、日経新聞によると、Googleのロボット事業を担う中核子会社2社を買収すべく、詰めの交渉段階にあるようです。

2社の人材を活用してロボットの開発体制を大幅に強化する考えのようで、自動運転技術などへの応用も視野に入れている模様。

TOYOTA_TRI

買収対象としているのは1992年設立の米ボストン・ダイナミクス社と、2013年に米国企業の手に渡った東京大学発のベンチャー、SCHAFT(シャフト)社。

両社ともにDARPAの災害対策ロボットコンテストで注目を集め、Googleの傘下に入った経緯があり、TRIにとって理想的な買収相手と言えそうです。

このように、最先端のAI技術を吸収して生まれ変わろうとしているトヨタ自動車。今後もその動きから目が離せません。

Avanti Yasunori

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