Motor Fan's YEAR 2016

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エアコンダクトで燃費向上? 断熱性能による燃費向上効果を計測したデータが公開

プラスチック製品企業のキョーラクが、自社製の「発泡ダクト」をインパネダクトに使用したときの燃費向上効果を、実車での測定データを公開してアピールしました。

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今回の測定データは日本自動車輸送技術協会(JATA)で測定されたもので、実際の走行車両でインパネダクトに発泡ダクトを使用することで燃費向上効果が実証されたのは初めて(キョーラク調べ)ということです。

インパネダクトは、エンジンルームに配置されているカーエアコンから送られてくる冷風(冷房の場合)を、インパネの空気出口まで導く空調用の空気通路のことです。

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従来、インパネダクトにはポリエチレン(PE)樹脂を0.8ミリの板厚で単に筒状に成形したものが一般的に使われていましたが、キョーラクではポリプロピレン(PP)樹脂を発泡させた材料でインパネダクトを成形することに成功し、発泡ダクトを製品化しています。

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キョーラク製の発泡ダクトは、PP樹脂を板厚2.5ミリに発泡させてインパネダクトを成形したもので、今回の測定では市販の軽自動車でエアコンを稼動させて、JC08モードの走行条件で燃費を測定しました。

この測定で得られたデータによると、板厚2.5ミリの発泡ダクトを使用した場合には、従来の板厚0.8ミリのPE製インパネダクト(発泡なし)と比べて、リッター当りの走行距離が発泡率2.8倍の発泡ダクトで180メートル延長され、発泡率4.0倍の発泡ダクトでは255メートル延長させることが実証されたということです。

この測定結果は、発泡ダクトの断熱効果でエアコンの負荷が少なくなったことによるもので、車両を15kg以上軽量化したときに得られる燃費向上に相当するということです。

近年、地球温暖化による気温上昇でエアコンを使う期間が延びており、エアコン負荷の低減は実走行燃費の向上に大きく寄与するはずです。

従来、インパネダクトに発泡ダクトを採用する目的は、車体の軽量化ニーズに応えるという理由からでした。今回、燃費向上効果が実証されたことで、キョーラクでは発泡ダクトの燃費向上効果を完成車メーカーに強くアピールする計画です。

同社では、ドイツで開催されるK2016 国際プラスチック・ゴム産業展で測定データを公開、広く世界の自動車業界に展開することを目指しています。

(山内 博・画像:キョーラク)

炎天下の車内温度を素早く下げる効果的な方法とは?

夏場の車内は太陽光で加熱されており、乗り込むのが辛いもの。

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JAF(日本自動車連盟)の調査では、日中に窓を締め切った車内は50〜60℃にまで達しているそうで、インパネに至っては80℃近くまで達する場合もあるそうです。

ボディ色が濃色系の場合、淡色系に比べてさらに車内温度が+5℃程度上昇する模様。

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そこで、JAFは今回、高温になった車内温度を早く下げるための検証結果をHP上で公開しました。

JAFの評価によると、最も早く温度を下げるには、まず窓を全開にした後、エアコンを「外気導入」にして走り出し、車内の熱気を放出したら窓を閉め、「内気循環」にして冷やすことが最も効率的とのこと。

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これにより、55℃だった車内温度が2分以内に約29℃まで急減した模様。

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グラフが示すとおり、窓全開でエアコンをかけながら、すぐに走り出すのがポイントのようで、窓を閉めた状態でエアコンをかけただけでは、同程度の温度にまで下げるのに10分程度要しています。

窓を閉めて停車した状態では車体後部バンパー裏に設置されている換気口に負圧が働かないため、車内の空気がなかなか抜けません。

しかし、窓を開ければ熱気が排出され、さらに走行することで換気口部からも負圧で熱気が一気に吸い出されます。

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またエアコンを一旦、外気モードにすることで、車外の空気を吸いながら冷気を車内に吹き出すため、冷却が促進されるという訳です。

尚、冷却スプレーの多くは可燃性のガスが使われているため、服などに残ったガスに引火する危険性があるため火気は厳禁とのこと。

この暑い夏、是非参考にしてみて下さい。

Avanti Yasunori・画像:JAF、トヨタ自動車)

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豊田自動織機がカーエアコン用電動コンプレッサー累計生産台数1千万台を達成

豊田自動織機は、カーエアコン用電動コンプレッサーの累計生産台数1千万台を4月18日に達成したと発表しました。

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豊田自動織機のカーエアコン用電動コンプレッサーは2003年9月に発売の2代目「トヨタプリウス」に採用されて以来、ハイブリッド車(以下、HV)・プラグインハイブリッド車(以下、PHV)はもちろん、電気自動車(以下、EV)・燃料電池自動車(以下、FCV)などの環境対応車に採用が広まっています。

新型の4代目「トヨタプリウス」(2015年12月発売)に採用された豊田自動織機のESB20型電動コンプレッサーでは、モーターを多極化した短軸軽量設計を採用し、インバーターの出力密度を向上させて、前モデルに対して冷房能力の約30%向上と消費電力の8%低減を実現しています。

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豊田自動織機は電動コンプレッサーの生産開始から13年目で1千万台を達成し、2015年度には電動コンプレッサーの世界シェアで約70%超(豊田自動織機調べ、マイルド・ハイブリッドを除く)を占めています。

電動コンプレッサーは今後環境対応車以外のアイドリング・ストップ車にも採用が広がることが予想され、カーエアコン用コンプレッサーの主力になることが期待されています。

(山内 博・画像:豊田自動織機)