Motor Fan's YEAR 2016

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パナソニックが2020年までに自動運転式小型EVを製品化!

米テスラモーターズにEV用バッテリーを全面供給するなど、自動車関連事業を拡大中のパナソニックが、完全自動運転式の2人乗りパーソナルEVを自社開発、2020年までに製品化を目指しているそうです。

Panasonic

同社は自動車関連事業を新たな成長分野として位置付けており、これまで培ってきたカメラセンサーの技術を活かそうと、昨年10月に自動運転技術開発のためのプロジェクトチームを設置。

報道によると、既に試作車を完成させており、横浜市にある自社テストコースで走行試験を繰り返しているようです。

Panasonic

AI(人工知能)によるディープラーニング(深層学習)により、ドライビング経験を積むにつれて運転が上達する仕組みを採用。

死角を無くすため、高感度カメラセンサーを5基搭載しており、同社が得意とする防犯カメラのセンシング技術や画像解析技術を応用、周囲360度の映像を解析しながら走行します。

Panasonic

車両の周囲10mの範囲に存在する人や自転車などの動きを高精度に検知・予測。夜間や大雪、濃霧でも自律走行が可能で、40km/h以下の速度で1-2kmの圏内を走行するパーソナルEVを目指している模様。

Panasonic

来年からは本社がある大阪府門真市で公道試験を予定。人やクルマが行き交う実環境の中で、路車間や歩車間通信を含めた実証実験を予定しているそうです。

培った自動運転技術はパーソナルEVの他にも農業機械や鉱山用ダンプ、物流施設向けの無人走行システムとしても活かす考えとか。

日本国内では自動車業界にとどまらず、東芝やソニーなどの大手電機メーカーやレーザー技術を得意とするパイオニアなどが、これまで培ってきた技術を活かして新たなビジネスチャンスを掴もうと、 車載用のカメラセンサーなどを中心とした自動運転関連事業の強化に相次いで乗り出しています。

そうしたなか、パナソニックは自動車メーカーが開発中の完全自動運転車と競合しないジャンルの近距離移動用のパーソナルEVにターゲットを絞り、複数台の試作車による走行テストを実施している点で、競合メーカーを一歩リードしているといえそうです。

Avanti Yasunori・画像:Panasonic)【関連記事】

霧や逆光を見通す「電子の目」を搭載した自動運転車をパナソニックが公開!
http://clicccar.com/2016/09/22/400516/

【関連リンク】

Panasonic Camera
http://www.js-sys.com/product/panasonic/

先進運転支援システムに! アラウンドビュー向け4chデコーダーICを米インターシル社が発表

米国の半導体メーカーIntersil(インターシル)社は、クルマのアラウンドビュー向けに最適な4チャネル・アナログ・ビデオ・デコーダーIC「ISL79985/ISL79986」を発表しました。

isl7998x-HiRes

このICの特長は、4つの差動入力端子を備え、4つのアナログカメラCVBS入力を同時にサポートできる点です。さらに処理可能な入力データは差動入力に加えて、疑似差動入力やシングルエンド入力にも対応できます。

このICが車両の周囲360°のイメージを処理するアラウンドビューに最適である理由は、車体の4隅に配置されるカメラの入力データを同時に処理できる4チャンネルのデータ処理能力を備えているからです。

車両の上方から俯瞰した車両の周囲360°の連続画像を鮮明に表示するには、4つのカメラから入力される輝度やコントラストの異なるデータを一連のデータに合成する能力が要求されます。

たとえば車両の右側から日射を受けている場合には、右側のカメラから入力されるイメージデータは明るくて、左側のカメラから入力されるイメージデータは車両の影で暗くなります。

このように、それぞれ輝度やコントラストなどの条件が異なる4つのカメラからのイメージデータを処理して一連の360°画像を形成するには4チャンネルのデータ処理能力が欠かせないというわけなのです。

isl79985-86

そのために、新ICの4つの入力端子の後段には、4つのAFE(Analog Front End)が設けられており、各AFEの後段にはアナログ・ビデオ・デコーダーに相当するNTSC/PAL/SECAMが構成され、Y/C分離用4Hアダプティブ・コム・フィルターと、色相エラー補正のためのPALディレーラインを備えています。

さらに、4つの入力回路には自動コントラスト調整(ACA)回路を備えており、車両と日射の向きで各カメラの輝度やコントラストが変動しても、自動的に画像の最適化が可能になり、光量が少ない条件下や太陽光でまぶしい条件下の視認性と安全性を向上させることができます。

なお、新製品のIC1チップで最大9個のディスクリート部品を代替し、基板スペースを有効に利用できるようになっています。

今回発表された2種類のIC、ISL79985とISL79986の違いは、出力インターフェースにあります。

ISL79985にはMIPI-CSI2出力インターフェースを備えており、MIPI標準仮想チャネル識別機能を備えています。MIPI-CSI2は端子数が少ないため、先進運転支援システム(ADAS)向けアプリケーションプロセッサーに接続するのに好適です。

一方、ISL79986は、108MHz時分割多重ITU-R IT.656出力インターフェースを備えており、8ビット・データ・バス上での4チャネルの出力が必要な場合に最適です。

インターシルでは、今回の新ICは車両の周囲の対象物を検知するとともに、後進時と駐車時のドライバー支援のために、360度アラウンド・ビュー画像を生成する4チャネル・アナログ・デコーディング性能を発揮できるとしています。

ADASや自動運転向けに今後自動車にはアラウンドビュー・カメラ・システムが装備されることが増加すると予想されており、インターシルの新ICの動向に注目が集まっています。
(山内 博・画像:インターシル)

霧や逆光を見通す「電子の目」を搭載した自動運転車をパナソニックが公開!

パナソニックは、事業の柱である家電部門が厳しい競争に晒されるなか、自動車関連事業を新たな成長分野に位置付けています。

Pabasonic

一方、検索サイト大手の「Google」や、ベンチャー企業の「テスラ」などが自動運転技術の分野で大きな成果を上げていることもあり、国内家電メーカーについても得意とする電子技術を活かし、同分野への参入を狙っている状況。

そんな状況の中、パナソニックは、雨や霧、雪など視界が悪い中でも人や車などを正確に見極める画像処理技術を開発したそうです。

従来の画像センサーでは、対向車のヘッドライトなど、強い光を受けると映像がホワイトアウトしやすく、夜間の信号色や歩行者が見分けにくいという課題がありました。

Pabasonic

そこで同社は、テレビや防犯カメラで実用化した技術をカメラセンサーに適用、夜間に高速で通過する車のナンバーまで見分けられるといいます。

材料を従来のシリコンから有機材料の薄膜に換え、光を電気信号に変換する際のノイズを独自の回路設計で抑制、電極部の構造も見直し、僅かな光をも効率よく取り込めるようにしており、撮影可能な明るさは従来品の100倍に達しているそうです。

そうしたなか、パナソニックはこの技術を搭載したカメラを5台使い、周りを確認しながら自律走行する自社製の小型自動運転車を開発、公開しました。

NHK

高齢化社会が進むなか、全国的にバス路線の縮小や減便が続いており、病院通いや買い物に利用できる「足」として今後、自動運転のニーズが高まると予想。

2020年代半ばを目標に、自宅と最寄り駅や病院間などの近距離を、安全な40km/h以下の速度で往復する、街乗りに適した自動運転技術を目指しているそうです。

NHK報道によると、同社は車間通信の分野において、携帯電話の開発で培ったセキュリティー技術が活かせると考えているそうで、今後はプロのドライバーの運転技能を備えたAI(人工知能)の開発にも進出、自動運転車向けの製品開発を加速していくとしています。

このように、自動運転技術の高度化に向け、自動車メーカーはもちろん家電メーカーからの参入も増加すると予想され、今後はオールジャパンによる技術革新が本格化するものと思われます。

Avanti Yasunori・画像:Panasonic、NHK)

【関連リンク】

Panasonic
http://www.panasonic.com/jp/corporate/technology-design/technology/ai.html

NHKニュース
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160917/k10010690591000.html