Motor Fan's YEAR 2016

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マツダ・デミオ、CX-3「アダプティブ・LED・ヘッドライト(ALH)」は何がスゴイ?

2016年秋に商品改良を受けたマツダ・デミオとCX-3には「アダプティブ・LED・ヘッドライト(ALH)」が新たに設定されています。

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ALHは、ハイビームを基本としながら対向車や前方車両のドライバーを眩惑させることなく、きめ細かい配光で夜間の視認性を高める装備。そのため、マツダでは「配光」、「小型」、「省エネ」という3つの開発ビジョンを掲げています。

理想的な配光として「必要な照射範囲」、「発光色」、「必要な照度」を考え、常に完全停車で危険回避ができる遠方視界の確保、交差点で歩行者を認知できる照射範囲を追求しているとのこと。

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また、「上方照射範囲」として、一番高い標識(6m)までの対象物(歩行者も含む)が視認できることが欠かせません。そのため、角度や高さを検証するとともに、認知したい対象物の反射率と距離から必要な照度を実現。つまり、標識や看板、白線は反射率50%、黒い服装の歩行者は反射率10%と、対象物により異なる反射率をクリアする必要があります。

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中でも、マツダは歩行者の認知度向上が欠かせないとしています。夜間の歩行者死亡事故のうち、ロービームではなくハイビームで走行していれば約半分は防げたという警視庁によるデータがあるためです。一方で、歩行者や自転車、オートバイにとってハイビームの対向車が来ると眩しくて眩惑させられますが、顔の部分だけを明るく照らさないような技術も求められます。

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マツダのALHは、車載カメラで対向車、先行車を検出し、対象物を眩惑せずに遠方、側方の認知性向上を実現。また、ワイド配光ロービームにより交差点や低速走行時の歩行者の認知性向上も基本機能として備わっています。

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なお、グレア(防眩)フリーハイビームは、11分割されたLEDパッケージを採用し、車載カメラ、ステアリング舵角、車両Gからの信号により明るさが制御される機能です。

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2つめのテーマである「小型化」は、デザイン、品質の向上、質量の抑制を図ることで実現。ロービームとグレア(防眩)フリーハイビームの1ユニット化により0.2kgの軽量化、コストダウンが図られています。

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「省エネ」はLEDの進化により消費電力効率、視認性でLEDの優位性は続く見込みと分析しています。なお、LEDの光源色温度は正午の太陽くらいのイメージとのこと。

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マツダのALHをまとめると、グレア(防眩)ハイビーム、40km/h以下で側方照射を高めるワイド配光ロービーム、95km/h以上で光軸をアップするモーターウェイモードの3つを基本機能として搭載。

ALHは、ブラインドスポットモニタリング(リヤクロストラフィックアラート付)、車線逸脱警報システムとセットの「セーフティパッケージ(11万7720円)」に含まれていますので、ぜひ選択したいところです。

(文/塚田勝弘 写真/塚田勝弘、マツダ)

特別仕様ながらレギュラーモデル宣言。マツダCX-3 XDノーブルブラウンは高級革シートを採用

2015年2月にデビューしたマツダのコンパクト・プレミアムSUV「CX-3」がはやくも2度目の商品改良です。

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2016年10月14日に発表、11月24日から発売される新しいCX-3は、外観など基本的な部分はそのままに、ディーゼルエンジンの気持ちよさを向上させる「ナチュラルサウンド周波数コントロール」や、パワートレインがハンドリングをアシストする「G-ベクタリングコントロール」、そして安全装備では歩行者検知機能を追加したアドバンスト・シティ・ブレーキ・サポート」を採用するなど、出し惜しみなく進化を遂げています。

それでいて、一部にグレード名の変更はあったものの、メーカー希望小売価格は237万6000円〜と、価格据え置きの魅力的な商品改良となっています。

さらに上級グレードにあたる特別仕様車「XD Noble Brown(クロスディーノーブルブラウン)」が追加されたのもニュースです。

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今回の商品改良で追加された新色マシーングレープレミアムメタリックにジャストフィットするようなブラウンとグレーを組み合わせたインテリアが特徴的な「Noble Brown」。

そのシートは高級なナッパレザーとスエード調人工皮革を組み合わせたもので、4WD車では300万円を超える価格となるのも納得といえる高級感を醸し出しています。

外観では高輝度ダーク塗装のアルミホイールが、実際以上に伸びやかなサイズ感をアピールしているのもクロスオーバーSUVとしてのプレミアム感を強調しています。

特別仕様車ながら最上級グレードとしてのキャラクターも担うという「Noble Brown」。メーカー希望小売価格は、2WDが284万400円、4WDが306万6400円。いずれも6速MTと6速ATが設定されています。

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●マツダCX-3 XD Noble Brown(4WD)主要スペック
車両型式:LDA-DK5AW
全長:4275mm
全幅:1765mm
全高:1550mm
ホイールベース:2570mm
車両重量:1340kg
乗車定員:5名
エンジン型式:直列4気筒DOHC直噴ディーゼルターボ
エンジン形式:S5-DPTS
総排気量:1498cc
最高出力:77kW(105PS)/4000rpm
最大トルク:270Nm(27.5kg-m)/1600-2500rpm
変速装置:6速MT
燃料消費率:23.4km/L (JC08モード)
タイヤサイズ:215/50R18
メーカー希望小売価格(税込):306万6400円

(山本晋也)

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マツダ・CX-3が「新・安全性能総合評価ファイブスター賞」を最高得点で獲得

外野から見ていると「出来は凄くいいのに、それほど売れていない」と感じてしまう、マツダ・CX-3。

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BセグメントをベースとしたコンパクトSUVの売れ行きを見てみると、2016年1月のCX-3は2915台で24位、ホンダ・ヴェゼルは5584台で10位にランクインしています(自販連の新車乗用車販売台数月別ランキングより)。なお、2月はヴェゼルが7035台で8位、CX-3は3247台で24位に位置しています。

CX-3が苦戦しているように思えるのは、クリーンディーゼルのみという思い切った戦略、そしてマイナーチェンジでさらにデミオの完成度が高くなったこと、やや割高に感じられる価格設定(ディーゼルのみということもあるでしょう)などが考えられます。

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一方のライバル、ホンダ・ヴェゼルはフィット譲りの広い後席や荷室、ハイブリッドを擁する点も売れ行きに貢献しているかもしれません。

しかし、CX-3も「出来の良さ」に由来する「安全性の高さ」が高い評価を得ています。

マツダの「SKYACTIV(スカイアクティブ)」というとクリーンディーゼルエンジンなどを思い浮かべる人が多いと思いますが、ボディやシャーシなども含めた新しいモノ作りの総称ともいえるもの。

その軽量・高剛性の安全ボディ「SKYACTIV-BODY」を採用したCX-3が、平成27年度のJNCAP(Japan New Car Assessment Program)自動車アセスメントにおいて、同年度最高得点で「新・安全性能総合評価ファイブスター賞」を受賞しました。

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「JNCAP自動車アセスメント」における「新・安全性能総合評価」は、衝突時の乗員保護性能や歩行者保護性能などについて5段階で評価されるもので、今回の「新・安全性能総合評価」においてCX-3は平成27年度にテストされた全銘柄、全クラス対象11車種の中において最高得点でファイブスター賞を受賞。

なお、眞鍋かをりさんもゲストとして登場し、主査の冨山道雄氏にトロフィーが手渡されています。

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なお、同賞についてマツダでは、平成24年度にCX-5で、平成25年度にアテンザで、平成26年度はデミオとアクセラが、いずれも好成績で受賞しており、マツダの「SKYACTIV-BODY」を採用した新世代マツダ車の大きな訴求点となっています。

(塚田勝弘)

マツダ・デミオの熟成でCX-3との差が縮まったか!?

昨年12月24日に一部改良を受けたマツダ・デミオ。マツダCX-3も同日商品改良を受け、動的質感の向上が図られています。

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静粛性の向上がひとつの狙いで、ディーゼルエンジン特有のノック音を抑える「ナチュラル・サウンド・スムーザー」を全グレードに標準装備しているほか、 こちらも全車のフロントドアガラスの厚みを増すことにより車外騒音の室内への透過を抑えることで、静かなキャビンを得ているというもの。

乗り心地やハンドリングの面も改良されています。足まわりでは、前後ダンパーの内部構造、そしてフロントスタビライザーの構造の改良により、乗り心地の改善が図られているほか、デミオ同様に電動パワーステアリング制御の改良により、操舵初期の車両コントロール性を向上。

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また、こちらもデミオ同様に、エンジンのトルク応答を緻密にコントロールする「DE精密過給制御」が採用され、低負荷領域においてアクセル操作に対するクルマの反応がよりダイレクトになるよう設定されるなど、マツダが唱える「人車一体感」のさらなる向上も静粛性とともに大きなテーマになっています。

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改良後を受けたデミオから乗り替えると、アイポイントの高さが印象的で、視界がよく感じる分、CX-3の方が運転しやすく感じるかもしれません。

ただし、着座姿勢はアップライトになりますから、SUVが初めての方は慣れが必要かも。それでもペダル配置に違和感はなく、運転姿勢が決めやすいのも美点。

気になる静粛性に関しては、改良後デミオといい意味で大差ない印象で、路面から少し高い位置に座るぶん同じ速度域でも静かに感じるかな、といった程度。実施的には同等といえそう。

また、音対策以上に乗り心地の向上が印象的で、改良前はややピッチングが大きめでしたがよりフラットライド感を得ているのも朗報でしょう。

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デミオよりもアップライトで着座位置が少し高いにも関わらず、コーナリング時に過大なロールを感じさせず、路面が波打っているような場所でもボディの揺れがよく抑えられています。

改良前からCX-3のフットワークは非凡なものがあり、やや粗めの乗り心地が気になるという感じでしたが、よりナチュラルになったパワステのフィーリングやフラットライドといえるレベルにまで引き上げられた乗り味は美点。

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デミオが改良後で大きくCX-3に近づいた感がありますが、それでも今回のCX-3の改良でこちらも引き上げられていて、車格の差は絶妙に保たれている印象を受けました。

(文/写真 塚田勝弘)

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