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マツダ、ディーゼルノック音を軽減する技術で第14回新機械振興賞「経済産業大臣賞」を受賞

マツダは、同社のディーゼルノック音を軽減する技術「ナチュラル・サウンド・スムーザー」が第14回新機械振興賞で「経済産業大臣賞」を受賞したと発表しました。

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ディーゼルエンジンは高圧縮比であることから、「ガラガラ」という異音いわゆるディーゼルノック音が避けられないといわれてきました。マツダの「ナチュラル・サウンド・スムーザー」は、このディーゼルノック音をエンジン内部の機械的な工夫で大幅に低減することに成功しました。

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マツダは、「ナチュラル・サウンド・スムーザー」の開発にあたって、まずディーゼルノック音の発生メカニズムを探ることから始め、センサーを高耐熱の接着剤でピストンやコンロッドに直接固定し、実際の運転状態でパーツの振動や伸縮を計測できる測定装置を作りました。

この独創的な測定機構を用いてディーゼルノック音の原因を探究した結果、燃焼時にコネクティングロッド(コンロッド)が伸縮することによって発生する振動が原因であることを突き止めました。

そして、「ナチュラル・サウンド・スムーザー」と名づけた振動吸振器を空洞のピストンピンに内蔵して、コンロッドの共振周波数(3.5KHz)の振動を減衰、ディーゼルノックの原因になるコンロッドの伸縮共振を効率良く抑制することに成功したということです。

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マツダが今回の第14回新機械振興賞「経済産業大臣賞」を受賞したのは、「心地良いサウンドを実現するエンジン主運動系減衰技術の開発」というテーマ名で、開発担当者はいずれもマツダ社員の森 恒寛(もり つねひろ)、神田 靖典(かんだ やすのり) 、住谷 章(すみたに あきら) 、平田 耕一(ひらた こういち)の4氏で、同社のwebサイトでは同技術がマツダのディーゼルエンジン「SKYACTIVE-D」に採用されていることを紹介しています。

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近年は電気・電子技術の発展で電気またはソフトウェアを利用した技術開発が多い中で、今回の「ナチュラル・サウンド・スムーザー」は振動源の特定こそ電気的なセンサー技術を利用していますが、ディーゼルノックを低減する制振技術自体は機械的機構のみで構成されていることが高く評価されています。

(山内 博・画像:マツダ)

【関連リンク】

「ナチュラル・サウンド・スムーザー」紹介サイト
http://www.mazda.co.jp/beadriver/dynamics/skyactiv/interview/nss/

【スーパー耐久2016】デミオ・ディーゼルがST-5クラスのランキングトップ! 第5戦岡山で大勝負か?

2016年のスーパー耐久シリーズも残すところ2戦。

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そのうちの1戦が今週末の10月22、23日に岡山国際サーキットで開催される「スーパー耐久シリーズ2016 第5戦 スーパー耐久レース in 岡山」。

今年のスーパー耐久の波乱ぶりは例年には無いほど。そのなかでも混戦に次ぐ混戦で誰が勝つのか本当に予想できないのが排気量の一番小さいST-5クラス。第4戦の富士9時間レースが終わった段階でのランキングトップは、今シーズンの初めには誰一人予想だにしていなかったあのマシン!

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17号車「DXLアラゴスタ・NOPROデミオSKY-D 」。そうデミオ・ディーゼルがランキングトップなのです。

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昨年の覇者で、今年も第3戦鈴鹿サバイバルまでトップだった69号車「BRP★J’S RACINGホンダカーズ浜松北みきゃんFIT 」が、第4戦富士9時間ではトラブルで9位に後退。ポールポジションポイントを含めて5ポイントしか得ることができませんでした。

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かといってデミオディーゼルが優勝したかというと、走行中にリアハッチが開いてしまうというトラブルや、ターボゆえに気温が高いことが不利に働き、結果は4位。

ただし、富士では9時間という長丁場であったためにボーナスポイントが付与されるため、獲得したポイント数は16ポイント。通常の3時間フォーマットのスーパー耐久シリーズでは2位と同じポイントです。

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第4戦富士を優勝したのは69号車のチームメイト「BRP★J’S RACINGホンダカーズ三重北FIT 」。

この3台が現在のスーパー耐久ST-5クラスのポイントランキング3台で、シリーズチャンピオンを自力で取ることのできる3台ということになります。

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カタログ馬力で132馬力もあり、車重によるハンデが60kgも課せられていながらもまだまだ速いホンダFIT3勢を相手に、1トン切るかどうかの車重でカタログ馬力105馬力のデミオ・ディーゼルがランキングで上に立つというのは常識的に考えれば無茶な話です。

それでも、現在のランキングを実現してしまったのは、ホンダFIT3勢の1.5倍はあるというレース中の好燃費と、0周ピットインなどの奇抜な作戦を駆使するチームの柔軟性によるところが大きいのではないでしょうか。

17号車のデミオディーゼルがランキング首位とはいえ、69号車のFIT3との差は0.5ポイント。岡山戦だけでなく、最終戦オートポリスまでギリギリの戦いを繰り広げなければ、この決着はつかないかもしれません。

今まさに、スーパー耐久のST-5クラスでは燃費 vs パワーの戦いが繰り広げられているのです。

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その他のクラスに目を向けてみますと、NA換算2000ccまでのST-4クラスでは、ランキング首位の13号車「ENDLESS・ADVAN・86 」と、2位の86号車「TOYOTA Team TOM’S SPIRIT 86」が7ポイントの僅差でこちらもかなりの激戦。86同士の戦いは熾烈さを極めることでしょう。

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NA換算3500ccまでの2輪駆動車で競われるST-3クラスは新旧レクサス対決。38号車「MUTA Racing TWS IS 350 」の開幕3連勝に対して、62号車「DENSO Le Beausset RC350 」が富士9時間で優勝。38号車の連勝にストップをかけたカタチです。この優勝で62号車が一気にランキング2位なり、38号車とのポイント差は15.5ポイント。岡山次第ではチャンピオンも狙える位置に来ました。

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NA換算3500ccまでの四輪駆動車で競われるST-2クラスでは、首位の59号車「DAMD MOTUL ED WRX STI」と、2位の6号車「新菱オートDIXCELエボⅩ 」のポイント差が20ポイント。両車の優勝回数はともに2回。ボーナスポイントのつくもてぎ5時間と富士9時間を制したのは59号車。対して6号車はSUGO3時間、鈴鹿サバイバル4時間を制し、得意な分野が異なることが明確になりました。残りの岡山、オートポリスは両方とも3時間レース。このポイント差がどうなるかは岡山戦にかかっています。

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SUPER GTのGT300クラスでもお馴染みのFIA GT3マシンで競われるのがST-Xクラス。ランキングトップは24号車「スリーボンド 日産自動車大学校 GT-R」、2位は3号車「ENDLESS・ADVAN・GT-R」でその差は18.5ポイント。GT-R同士による激しいバトルは他のクラスとは迫力が違います。

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今年のシリーズチャンピオンを占う上での重要なレースとなる第5戦岡山は、ST-4、ST-5クラスがグループ2、それ以外がグループ1として、10月23日の午前と午後に分かれて各グループごとに3時間レースが行われます。特にグループ2は追い抜いてくる上位クラスがいないためにラップタイムの向上が見られ、各クラス本来のポテンシャルが発揮されるという面で必見といえるでしょう。

(写真・文:松永和浩)

25年ぶりの展示!マツダ787Bは18号車と55号車が並ぶ【Be a driver. Experience at FUJI SPEEDWAY】

9月25日(日)に富士スピードウェイで開催された「Be a driver. Experience at FUJI SPEEDWAY」。多くのマツダファンにとって、そのメインディッシュであるといえるのが、レジェンドマシンのマツダ787B。

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今回はホワイト/ブルーのマツダワークスカラーを身にまとった18号車が25年ぶりに公開。55号車と並んでディスプレイされ、往年のマツダファンの感涙を呼びました。デモンストレーション走行では、マツダ787Bの55号車を寺田陽次郎氏がドライブ。

そのほかRX-3、カペラ、ファミリアロータリークーペ(R100)レースマシンと、スーパー耐久を戦う、ロードスターやデミオディーゼルなど、現代のレーシングマシンがコース上で競演。

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ガソリンレシプロエンジンはもとより、ロータリーエンジンや、ディーゼルエンジンなどが奏でるマツダならではのレーシングサウンドに酔いしれることができました。

またスーパー耐久参戦マシンは、ピットワークのデモンストレーションなども実施しました。

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このほか展示のみですが、本年度北米のレースシーンで好成績をおさめているマツダプロトタイプや、バーチャルの世界から飛び出したマツダ LM55 ビジョン グランツーリスモなども来場者の目を楽しませました。

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3階からホームストレートや1コーナーを見渡せるピットビルには、細かく会場全体図とスペースごとの展示内容を示す看板が設置されており、初めて訪れたユーザーでもわかりやすくなっていました。

惜しむらくは、マップがないとトイレの位置わかりにくかったこと。グランドスタンド側は元々トイレサインが多数表示されているが、普段は走行に来るユーザーがメインとなるエリアがメイン会場となったため、アナウンスの看板などが大きくなく人ごみではわかりにくい状況がありました。

また、せっかくならばコースで開催されているイベントの様子を流すモニターが会場内の色々な場所に設置されていれば、サーキットイベント感がよりいっそう演出できたかもしれません。

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というのも、6割から7割の参加者がサーキット初体験だったのではないかと推測されたからです。

パドックを歩いていて聞こえてきた会話をかいつまんで紹介すると、「それでサーキットはどこ?」「ここはサーキットの中だよ。うちのクルマもコースの内側に停めてるの」「回りにコースがあるの!」「そうそう」や、「あそこの芝生に人が座っているねえ」「レースの時ならぎゅうぎゅうのいっぱいだよ」「ええ、あそこにそのまま座るの」「ピゴザを敷いたりしてね」、「あの塔の上に表示されているのは時計、その下は……順位と」「ゼッケン番号だね」「ふーん」「レースカーは陸上選手みたいにゼッケンがついてるから」といったもの。

初めてサーキットへ来た家族や友人と、連れて来たオーナーとの会話がそこかしこで展開されているのが印象的でした。

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この贅沢なサーキット体験。これがスタンダードメニューになれとは言いませんが、ほかのサーキットイベントでも、こういったセンスの取り組みが数レースあっても面白いかもしれませんね。

(文と写真:古川教夫)

クルマから会場まで3分!サーキットなのに雨でも濡れない展示ブース【Be a driver. Experience at FUJI SPEEDWAY】

9月25日(日)に富士スピードウェイで開催された「Be a driver. Experience at FUJI SPEEDWAY」では、事前の予約が必要で有料ではあったものの、マツダ車特別駐車券が用意されました。

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このエリアに駐車できると、メインのイベント会場であるピットビルまで坂道もなく、いちばん遠い場所からでも、子供の足でも3分足らずで移動できます。

大型商業施設よりも良好なアプローチです。近い場所なら30秒で会場にたどりつけてしまうという状況。

通常のレースイベントでは、チーム関係のトレーラーやホスピタリティのテントが並ぶエリアです。もちろんレース好きならばこの駐車スペースに愛車を止めることが、そして参加者の誰もが同じ車種を並べての駐車が可能となったのは、たまらないポイントだったのではないでしょうか。

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もうひとつの特徴が、主なステージ、参加型イベントが建物の中で開催されたこと。

イベント会場はステージを含めてその多くがピットビル内に設営されており、屋根付き。広いサーキットで雨の屋外観戦は濡れるし、駐車場からも遠いと持ち物も多くなり大変ですが、そんな心配もありません。

ゆっくり展示を楽しみ、時にホームストレートを走リ抜けるパレードランのマツダ車や、往年のレーシングマシン、同日開催となった「ロードスター・パーティレースIII」「富士チャンピオンレース」を戦う新型ロードスターや歴代ロードスター、デミオなどの勇姿を眺めるという次第。

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そんなピットビルでのイベントの主な出展内容は、マツダの開発リーダーや経営陣などのトークセッションがメイン。

「This is Mazda Design」と題した展示、「モノづくり展示&体験」では、マツダのエンジニアの部品へのこだわり、「人馬一体講座」による人間中心設計の解説など、たくさんの企画が用意されていました。

さらに、デザインラボでの製作体験や、モノづくり体験、車両整備・ペイント体験、そして同乗走行など、さまざまな体験イベントも用意されていたのも特徴のひとつ。

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2015年に55年におよぶ歴史の幕を閉じたF工場の「工場再現模型展示」は、10万ピースものレゴブロックと80台の工場創業当時のマツダ車の模型によって再現され、子供だけでなく、大人の興味も惹いていたのが印象的でした。

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このほかアフターパーツメーカーの展示も盛んで、オートエクゼ、RE雨宮などをはじめとしたマツダ車専門のメーカーのほか、シートのブリッド、ブレーキのエンドレスなども出展。販売のほかユーザーの相談にのっているシーンなどが見られました。

さらには、タミヤによるRCカーの体験コーナーもあり、子供連れでにぎわっていました。

(文と写真:古川教夫)

まるでグランピングのようなサーキット体験!【Be a driver. Experience at FUJI SPEEDWAY】

アウトドア界で流行している「グランピング」のような贅沢な体験。

それをサーキットイベントで満喫できたのが、9月25日(日)に富士スピードウェイでマツダの特別協賛にて開催された「Be a driver. Experience at FUJI SPEEDWAY」といえるでしょう。

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事前にマツダ車特別駐車券を購入すると、ピットまで3分の駐車エリアに駐車が可能。

建物に入れば、雨が降っても濡れないイベントブースに、座席のあるステージでトークショーやコンサートが開催され、デザインや技術を紹介するエリア、子供向けの塗装体験など数多くのコーナーがユーザーを待ち受けます。

フードカーでは有名レストランが食事を用意。さらにコース上を愛車でパレード。

そしてクライマックスには、日本のモータースポーツシーンで至宝ともいえるルマン24時間レース優勝マシン、マツダ787Bの4ローターサウンドを堪能。歴代のレーシングマシンもそれに続きます。

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このイベントの特徴は、何といっても日常、サーキットに足を運ぶことのないユーザーが楽しめるコンテンツを、サーキットというシチュエーションが必要でないものも含めて、惜しみなく展開したことにあるといえるでしょう。

造り手と直接触れ合える体験の場として設定され全国各地で展開されている「Be a driver. Experience」。それらと同様に興味の入り口を広く持たせながら、その実、今回は富士スピ―ドウェイという場を活かし、マツダのヘリテージでもある国内外で活躍したレーシングマシンの勇姿を、サーキット初心者のユーザー達の目と耳に焼きつける。

さらに、パレードラン等でユーザー自身も愛車でサーキットを走り、マツダの走りのDNAをカラダに染み込ませて帰っていってもらう、という作戦があったのではないでしょうか。

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発表された来場者数は6,000人。もちろん参加しているユーザーは老若男女、終始笑顔。スペシャルな体験の数々とともにあった一日。

その成果は、マツダ車への愛を深めたというだけでなく、今まではハードルの高かったサーキットという場所にも親近感を持ち、レーシング・イベントも楽しめてしまったところにあるといえるのではないでしょうか。

(文と写真:古川教夫)

マツダ・アクセラに搭載された「G-Vectoring Control」が走りを変える!?

今年5月に開催された「人とくるまのテクノロジー展2016」で動画紹介を含めた技術展示されていた「G-Vectoring Control(G-ベクタリング コントロール)」が、ビッグマイナーチェンジを受けた新型マツダ・アクセラに搭載されました。

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トルクベクタリングというキーワードを聞くことが多くなったと思いますが、主に横滑り防止装置などを使ってコーナリング中に前輪内側にブレーキを掛けることで旋回性能を高めるという機構で、三菱自動車のようにAYC(横滑り防止装置)と4WD技術を応用し、4輪の駆動力と制動力を制御するなどの例もあります。

最近のトルクベクタリングやそれに似た効果をもたらす機能は、ブレーキ制御方式、左右のトルク配分を変える、つまり駆動力で曲がる(ハイブリッド含めて)方式など、いずれもある程度の旋回スピードが必要になる場合が多いですが、最近はその制御(介入)を感じさせない仕上がりになっている例が増えています。

マツダが発表した新世代車両運動制御技術「スカイアクティブ ビークル ダイナミクス(SKYACTIV-VEHICLE DYNAMICS)」の第一弾としてアクセラに搭載された「G-ベクタリング コントロール」は、今後すべてのマツダ新世代モデルに採用されます。

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「スカイアクティブ ビークル ダイナミクス」とは、マツダの新世代技術である「スカイアクティブ テクノロジー」のひとつで、パワートレーン、ボディ、シャーシなどのSKYACTIV技術の個々のユニットを統合制御することで、マツダのコアバリューである「人馬一体」の走行性能を向上させる「新世代車両運動制御技術」の総称となっています。

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アクセラから搭載された「G-ベクタリング コントロール」は、日立オートモーティブシステムズ社の「G-Vectoring」制御のアルゴリズムを基にマツダが応用開発したもの。

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「エンジンでシャーシ性能を高める」という発想と、人間中心の開発哲学に基づいて開発されています。

ハンドル操作に応じてエンジンの駆動トルクを変化させることで、これまで別々に制御されていた車両の横方向と前後方向の加速度(G)を統合的に制御して四輪への接地荷重を最適化。スムーズで効率的な車両挙動を実現したという世界初(2016年6月現在の量産車において)の制御技術だそうです。

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「G-ベクタリング コントロール」によりどんな効果が得られるのでしょうか?

タイヤの接地荷重状態の最適化が可能になることで、車両がよりドライバーの意図どおりに動くようになり、無意識のものも含めたハンドルの修正操作が減少。

ロードフォールディングスの向上は、運転の楽しさや安心感に直結し、疲れも軽減させます。また、乗員にかかる加速度(G)の変化がよりスムーズになるため、乗員の揺れが減り、乗り心地も改善するとのこと。

さらに、雨の日や雪道などの滑りやすい路面での車両の操縦性と安定性も高まる利点も挙げています。

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マツダは「Be a Driver」というキーワードを掲げていますが、「G-ベクタリング コントロール」の搭載によりドライバーの運転技量に関係なく、高速域だけでなく「低速からの日常走行」も含めて、より威力を発揮しそうな高速走行やワインディング走行や緊急回避時など、幅広い走行シーンで一貫した効果を発揮するそう。

また、緻密に駆動トルクをコントロールできるSKYACTIVエンジンと、理想的な車両挙動を実現できるSKYACTIVシャーシの搭載モデルであれば、駆動方式やセグメントによらず様々なモデルに展開することが可能な汎用性の高い技術で、先述したようにマツダの新世代モデルに順次採用していく予定とされています。

(塚田勝弘)

マツダのディーゼルエンジン「SKYACTIV-D」の燃焼室構造が「恩賜発明賞」を受賞

マツダは、同社の新世代クリーンディーゼルエンジン「SKYACTIV-D(スカイアクティブ ディー)」に採用した「ディーゼルエンジンの燃焼室構造」の発明が、平成28年度全国発明表彰で最高位の賞である「恩賜発明賞」を受賞したと発表しました。

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この賞は、公益社団法人発明協会が主催する全国発明表彰の象徴的な賞として、最も優秀と認められる発明の完成者に贈呈されるものです。

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受賞対象となったのは、特許第5338268号の「ディーゼルエンジンの燃焼室構造」という発明で、受賞者は、 いずれもマツダの志茂 大輔(しも だいすけ)氏、金 尚奎(きむ さんぎゅ)氏、片岡 一司(かたおか もとし)氏の3氏です。

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今回受賞した発明は、自動車用量産ディーゼルエンジンで世界一の低圧縮比14.0を実現し、ディーゼル車としてトップクラスの低燃費を達成し、NOx排気後処理装置無しで厳しい排ガス規制に適合しながら高い加速性能を実現した「SKYACTIV-D」の中核となる技術です。

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燃焼室形状に卵型楕円関数から導かれた形状を採用することで、燃焼室内の縦方向の旋回流を強化したことが特長です。これにより燃料噴霧と空気との混合が促進され、低圧縮比化によるNOx・すす等の有害排出物の低減効果を最大限に引き出すことに成功した、ということです。

マツダは、VWのディーゼル排ガス不正問題が明らかになった直後に、「SKYACTIV-D」には一切不正な装置を付加せずに、各国の排ガス規制をクリアしている、と声明を発表しています。その自信は、今回受賞した発明の技術に裏打ちされていると言えます。

(山内 博・画像:マツダ)

マツダ・CX-3が「新・安全性能総合評価ファイブスター賞」を最高得点で獲得

外野から見ていると「出来は凄くいいのに、それほど売れていない」と感じてしまう、マツダ・CX-3。

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BセグメントをベースとしたコンパクトSUVの売れ行きを見てみると、2016年1月のCX-3は2915台で24位、ホンダ・ヴェゼルは5584台で10位にランクインしています(自販連の新車乗用車販売台数月別ランキングより)。なお、2月はヴェゼルが7035台で8位、CX-3は3247台で24位に位置しています。

CX-3が苦戦しているように思えるのは、クリーンディーゼルのみという思い切った戦略、そしてマイナーチェンジでさらにデミオの完成度が高くなったこと、やや割高に感じられる価格設定(ディーゼルのみということもあるでしょう)などが考えられます。

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一方のライバル、ホンダ・ヴェゼルはフィット譲りの広い後席や荷室、ハイブリッドを擁する点も売れ行きに貢献しているかもしれません。

しかし、CX-3も「出来の良さ」に由来する「安全性の高さ」が高い評価を得ています。

マツダの「SKYACTIV(スカイアクティブ)」というとクリーンディーゼルエンジンなどを思い浮かべる人が多いと思いますが、ボディやシャーシなども含めた新しいモノ作りの総称ともいえるもの。

その軽量・高剛性の安全ボディ「SKYACTIV-BODY」を採用したCX-3が、平成27年度のJNCAP(Japan New Car Assessment Program)自動車アセスメントにおいて、同年度最高得点で「新・安全性能総合評価ファイブスター賞」を受賞しました。

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「JNCAP自動車アセスメント」における「新・安全性能総合評価」は、衝突時の乗員保護性能や歩行者保護性能などについて5段階で評価されるもので、今回の「新・安全性能総合評価」においてCX-3は平成27年度にテストされた全銘柄、全クラス対象11車種の中において最高得点でファイブスター賞を受賞。

なお、眞鍋かをりさんもゲストとして登場し、主査の冨山道雄氏にトロフィーが手渡されています。

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なお、同賞についてマツダでは、平成24年度にCX-5で、平成25年度にアテンザで、平成26年度はデミオとアクセラが、いずれも好成績で受賞しており、マツダの「SKYACTIV-BODY」を採用した新世代マツダ車の大きな訴求点となっています。

(塚田勝弘)

マツダが4月に組織改革へ!新車開発はどう変わる?

マツダが4月1日付けで組織改革と役員人事の変更を実施しました。

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この組織改革はMDIプロジェクト領域、デザイン領域、国内営業領域、中国事業領域、R&Dリエゾン領域の5つの事業領域に及んでいます。

MDIプロジェクト領域では、ITの進化や顧客ニーズの多様化に備え、「MDI」の新たなステージに取り組むべく「MDI プロジェクト室」を新設しているのが目を引きます。

「MDI」は“マツダデジタルイノベーション”の略で、他社に先駆けて新車開発をデジタル化、3D設計データを軸に金型加工までを一気通貫させるべく3次元CADをいち早く導入したのは自動車業界では有名な話。

同社は開発効率や製品の品質向上を目的に1995年に初代「デミオ」の開発でデジタル化の有効性を検証、翌1996年から新車開発に「MDI」を導入しています。

設計部門で作成するCADデータの品質が向上したことで、部品間の干渉等に起因する生産技術部門の“やり直し”作業が低減、新車の開発効率向上に寄与することから、現在では他の自動車メーカーでも3Dデータによるデジタル開発が普通に行われるようになりました。

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同社がエンジン、トランスミッション、プラットフォームなどを対象に展開している「SKYACTIV」において、今後は「MDI プロジェクト室」がさらなる開発効率の向上やコストセーブの役割を担うものと予想されます。

ちなみにMDIプロジェクト領域では藤原常務執行役員が4月以降、専務執行役員として研究開発・MDI統括、コスト革新など、MDI全体を統括。

またデザイン領域では、デザイン本部に「ブランドスタイル統括部」を新設、前田執行役員が常務執行役員となりデザイン・ブランドスタイルを統括。

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さらに中国事業領域では中国第1事業部と中国第2事業部を統合して「中国ビジネス推進部」を新設、ブランドの確立とさらなるビジネス基盤の強化を図るとしています。

一方、トヨタ自動車も4月1日付けでカンパニー制の導入など、大掛かりな組織変更とそれに伴う役員人事の変更を行いました。

将来の技術/ビジネスを“長期視点”、“社会視点”で創造していく「未来創生センター」と、長期視点に立った経営の方向性策定と経営資源の最適化を図る「コーポレート戦略部」を新設しています。

今回のマツダの組織改革も顧客ニーズの多様化や世界情勢の変化に迅速に対応するための体制作りに主眼が置かれている点では共通する部分も多いようです。

このように自動車各社では環境対応を含め、持続可能なサステイナブル・モビリティ社会の実現を目指しており、それに伴い、従来にも増して大掛かりな組織改革が目立つようになっているのが特徴です。

Avanti Yasunori

【関連記事】

トヨタが7つのカンパニー制導入!新体制で何が変わる?
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ホンダが2030年を目標に販売数の2/3を「電動車」化する!
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走りと質感、快適性を向上させたマツダ・デミオ

昨年末に一部改良を受けたマツダ・デミオ。新型は1月中旬から発売(ガソリン車が1月15日、ディーゼルが1月22日)されています。

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クリーンディーゼルの「SKYACTIV-D 1.5」搭載モデルでは、エンジンのノックオンを抑制する「ナチュラル・サウンド・スムーザー」の設定(XD Touring、XD Touring L Package、特別仕様車XD BLACK LEATHER LIMITEDに搭載)のほか、低負荷領域でアクセル操作に対してリニアな加速が可能となった「DE精密過給制御」の採用がトピックス。

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「SKYACTIV-D 1.5」、「SKYACTIV-G 1.3」ともに電動パワーステアリングの制御を見直し、ステアリングの切り始めの応答性を改善することで、よりナチュラルな操舵感を得ているなど、細部にわたって走行フィールの改善が図られているのはマツダらしいところです。

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ガソリン車の「SKYACTIV-G 1.3」搭載モデルには、トノカバーとフロントウインドウシールド遮音ガラスを採用(13S Touring、13S Touring L Package、13S BLACK LEATHER LIMITED)することで、静粛性を向上させる手も打たれています。

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そのほか、シャークフィンアンテナや3段階の温度調整が可能なシートヒーターを前席両側への設定、CX-3と同様にスタイリッシュなフォルムのフラットワイパー(フロント)を採用するなど、質感と快適性の向上が図られているのも朗報。

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デミオよりも後発で、少し車格が上になるCX-3から採用された装備も多く、常に新しいモデルをショールームに並べるという、マツダの意気込みを存分に感じさせる改良とでしょう。

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なお、価格帯はガソリンが135万〜193万3200円、ディーゼル搭載車が178万2000円〜221万4000円です。

(塚田勝弘)

【関連記事】

■マツダ・デミオ(ディーゼル)は走りもさらにブラッシュアップ
http://clicccar.com/?p=360349

■マツダ・デミオの走りは国産コンパクトカー随一!?
http://clicccar.com/?p=360199

デミオ・ディーゼルは走りもさらにブラッシュアップ

マツダ・デミオにクリーンディーゼルエンジンを搭載した「SKYACTIV-D 1.5」に、CX-3にも用意されている「ナチュラル・サウンド・スムーザー」が設定され、エンジンのノック音を低減することにより静粛性が向上されていますが、今回の商品改良はそれだけではありません。

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「DE精密過給制御」と呼ぶエンジン制御の見直しによりダイナミック性能を進化させたほか、電動パワーステアリングの制御の改良によってナチュラルなハンドリングを得ているのが特徴。

その進化が分かるのは主に街中などの低速域のステージ。

DE精密過給制御により低速域の出足感をよりリニアなものにされたもので、新旧デミオを乗り比べると、アクセル操作に対する反応が素早くなっているのが分かります。

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しかも、停止時から急に加速するような「飛び出し感」を伴うのではなく、アクセル操作に連動するようなスムーズなものですから、ストップ&ゴーの多い街中でより感じられる制御になっています。

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電動パワステの制御改良もひと言でいうと、スムーズそのもの。切り始めの応答性を高めることで、たとえば信号待ちからの発進、そして右左折による操舵時などでその効果を新旧乗り比べで実感できましたし(新型はシャークフィンアンテナを採用)、首都高速のような中・高速域でもより自然なハンドリングを披露。

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経済性の高さやトルクフルな走りだけでなく、操舵応答性やアクセルワークの改善、そして「ナチュラル・サウンド・スムーザー」の設定により動的質感が高まったデミオのディーゼルモデル。

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軽快な走りが魅力のガソリン車も、トノカバーとフロントウインドウシールド遮音ガラスにより静粛性を向上させていますから、ますますエンジン選びには悩まされそうです。

(文/塚田勝弘・写真/小林和久)

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クルマ好き以外の方々にも新世代商品をズラリと揃えるマツダを知ってもらう入り口として最適なのがデミオ。

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現行型は、走りもデザインも質感も国産コンパクトカーの中で一頭地を抜く存在といえる完成度でしたが、ほかの最新マツダ車と比べると、ノイズ(エンジン)の高さや室内スペース、一部部品の見栄えなどがネガティブなコメントとしてユーザーから上がっていたそうです。

1月から販売されている改良後モデルですが、看板グレードといえる「SKYACTIV-D 1.5」搭載車に、CX-3にも採用されていたエンジンのノック音を抑制する「ナチュラル・サウンド・スムーザー」を設定(XD Touring、XD Touring L Package、特別仕様車XD BLACK LEATHER LIMITEDに採用)されているほか、「SKYACTIV-G 1.3」搭載車にトノカバーとフロントウインドウシールド遮音ガラスを採用(13S Touring、13S Touring L Package、13S BLACK LEATHER LIMITED)することで、ノイズの侵入が抑制されています。

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気になる走りですが、ディーゼルに搭載された「ナチュラル・サウンド・スムーザー」は、パーシャル域から少し踏んでいった際のノック音を抑制するもので、CX-3と同様に注意深く聞いてみるとその差を感じ取れる程度。

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今回、新旧デミオ(ディーゼル搭載車)に乗り比べる機会がありましたので、乗り比べるとその差は確かに実感できました。これなら、デミオのディーゼルはやや音が大きめといった声もかなり少なくなるでしょう。

また、全グレードがEPS(電動パワステ)のアシスト力(セッティング)を見直すことでよりスムーズなハンドリング、とくにステアリングを切り始めの応答性能改善も図られています。

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その後に乗り比べたCX-3と改良後デミオの差が縮まった印象で、音・振動面や走りの上質感、ハンドリングなどは国産コンパクトカーの中でもトップクラスの実力の持ち主であることは間違いないでしょう。

(文/塚田勝弘・写真/小林和久)