Motor Fan's YEAR 2016

三栄書房

サンプル

モトチャンプ

誰でも履きこなせるように誂えられた「ビンテージスニーカー」のような2台のコンパクト

オーテックジャパンが、創立30周年を記念して30台限定で販売したマーチボレロA30。

価格は356万4000円で 、高い走行性能を実現するため、エンジンをはじめとして足回り、ブレーキをチューニング。高級感を演出するため、インテリアまで手を加えられたコンプリートカーです。

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コンパクトカーのマーチが支払総額約400万円というのにはビックリするかもしれませんが、同価格帯のコンパクトカーが他にもありました。

それは「アバルト595コンペティオーネ」です。5速MT車が353万1600円、ATモード付きの5速シーケンシャルミッションが369万3600円。

価格だけでなく、ボディサイズなどもライバルといえそうな、マーチボレロA30とアバルト595コンペティオーネを比較してみました。

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まずボディサイズです。マーチボレロA30は全長3865mm×全幅1810mm×全高1510mmでホイールベースは2450mmとなっています。対してアバルト595は全長3655mm×全幅1625mm×全高1500mm、ホイールベースは2300mmです。

5ドア車であり、リアの居住性は圧倒的にマーチボレロA30が優勢ですが、全幅1810mmというのは、若干取り回しに気を遣うのは間違いありません。その点、アバルト595コンペティオーネは室内空間の広さは一歩譲りますが、取り回しという点ではリードしています。

続いてインテリアです。マーチボレロA30はフロントシートにレカロ社製のバケットシートを装備しています。そしてハンドルもシルバーステッチをあしらった専用の革巻きステアリングを採用しています。

対してアバルト595コンペティオーネは、フロントシートにサベルト製のスポーツシートを採用。アルカンターラとレザーのコンビシートがスポーティさを際立たせますし、リクライニングを調整するダイヤルにもアバルトのサソリのエンブレムが彫られています。

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装着されるタイヤサイズはマーチボレロA30が205/45ZR16に対して、アバルト595コンペティオーネは205/40ZR17と1インチ上回り、ホイールの中には赤いブレンボ社製のブレーキキャリパーが収まっています。サスペンションはマーチボレロA30がカヤバ製、アバルト595コンペティオーネはKONI製です。

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搭載されるエンジンは、マーチボレロA30は高回転仕様にチューニングを施された1.6L直列4気筒DOHCエンジン。最高出力は110kW(150ps)を7000回転で発生し、最大トルクは160N・mを4800回転で発生します。組み合わされるミッションは5速MTのみ。

一方のアバルト595コンペティオーネは、1.4L直列4気筒DOHCターボエンジンを搭載。最高出力は132kW(180ps)を5500回転で、最大トルクは230N・mを2000回転で発生します。組み合われるミッションは5MTと5速セミATの2種類となります。

両車ともに使用燃料はハイオクです。

車格も価格もコンセプトも似ているマーチボレロA30とアバルト595コンペティオーネですが、乗り味は全く異なります。

アバルト595コンペティオーネはサーキット走行を見据えて徹底的に締め上げたサスペンションのセッティング。路面からの衝撃はダイレクトにドライバーに伝わりますし、バンピーな路面では跳ねることもあります。

一方のマーチボレロA30はサーキットではなく、普段の街乗りで楽しめる走行性能を目指しており、アンジュレーションやバンピーな路面でも衝撃を吸収して、上質な乗り味を実現しています。

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マーチボレロA30とアバルト595コンペティオーネ、2台の乗り味は異なるものの、誰でも運転する楽しさを味わえるという点では非常に似ています。

コンパクトカーは日常のアシとしてカジュアルで機能的なスニーカーに例えられますが、今回紹介した2台のコンパクトカーは、価格は高いけれども誰もが履きこなせるように誂えられたビンテージのスニーカーのようでした。

(萩原文博)

【関連記事】

マーチ ボレロA30の楽しい乗り味に、プリンスのDNAを感じた
http://clicccar.com/2016/10/25/410298/

フィアット正規ディーラーでアバルトの販売を開始!新型「アバルト124スパイダー」も間もなく登場

いままでフィアットとアバルトが併売されていなかったのも意外な気もしますが、2016年7月1日からフィアット正規ディーラーにおいてアバルトの販売を開始したそうです。

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全国に79拠点ある正規ディーラー店舗において、フィアットとアバルトの両ブランドの全モデルを販売するというもので、今回の取り扱いブランドの変更により、店舗名も「フィアット/アバルト(+地名)」に変更されます。

今回の変更は、FCAジャパンによる中長期計画(3つのフェーズ)に沿うものといえますが、最大の狙いはもちろん販売強化の一環。まず第1フェーズは、FCAジャパンとして企業基盤を固めた時期(本国でのフィアットとクライスラーの統合が開始した2009年から統合完了の2012年まで)。

商品・ブランド力(傘下のブランドはフィアット、アバルト、アルファ ロメオ、ジープ、クライスラー)を強固なものにした第2フェーズ(現在15モデルのラインアップのうち10モデルを発売した2012年から2015年)、そして、2016年から3年間を第3フェーズと位置づけて、先述した販売強化の目的に正規販売ネットワークの充実化を図るというものです。

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今回、フィアットと併売されることになったアバルトは、2009年の国内導入と同時に主要都市4拠点に店舗をオープン。その後、商品拡充に伴い全国25店舗にまで拡大。

新しいフィアット/アバルト正規ディーラー店舗において、2016年秋に発売が予定されている新型「アバルト124スパイダー」をはじめ、アバルトの全モデルが展開され、アバルトのオーナーは、従来から3倍強となる全国の正規ディーラー店舗においてアフターサービスを受けることができます。

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なお、新型「アバルト124スパイダー」の登場を待ち焦がれているファンも多いと思いますが、下記のイベントにおいて日本デビュー(初展示)が予定されているそうです。

(塚田勝弘)

【関連サイト】

AUTOMOBILE COUNCIL 2016 (オートモビル カウンシル 2016)
http://www.automobile-council.com/

会期:2016年8月5日(金)〜 8月7日(日)9:00〜18:00
※5日(金)の9:00〜12:00は、プレスタイムのため一般入場不可

会場:幕張メッセ 2・3ホール (千葉県千葉市美浜区中瀬2-1)

フェラーリの「代車」として提供される世界限定99台の特別仕様のアバルト

FCAジャパンのブランドには、フィアット、クライスラー、ジープ、アバルトがあります。

アバルトが1971年にフィアットの傘下に収まって以来、フィアットの高性能・スポーティモデルという位置づけで多くのホットなコンパクトモデルがリリースされているのはご存じのとおり。

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一方で、同じイタリアのフェラーリは、2016年1月にフィアットグループから独立した形になっていますが、依然としてフィアット系グループがフェラーリの大株主になっています。

日本ではFCAジャパンとフェラーリ・ジャパンは別会社で、販売網も別ですが、5月2日からフェラーリ顧客向けの代車にアバルトの車両を提供するという発表がありました。

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このフェラーリ顧客向け代車サービスは、「ABARTH 695 Biposto Ferrari Courtesy Car」によるもので、2015年10月から欧州を皮切りに開始したグローバルプロジェクト。

「アバルト695ビポスト」をベースに特別仕様車として世界99台限定で製造され、日本には10台を導入、国内のフェラーリ・ジャパン正規ディーラーのうち、当プロジェクトに参加する店舗に随時納車し、各店舗で代車としてフェラーリのオーナーに提供されるサービスです。

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なお、この「アバルト695ビポスト」は、ビポストの標準仕様にフェラーリならではのレッドの特別ボディカラーが設定されたもの

同じイタリアで、かつて同門で「アバルト695トリブート フェラーリ」などの市販車でのコラボの実績があるとしても、代車サービスとして他社ブランドに車両を提供することはFCAジャパンとして初のプロジェクトだそう。

確かに他のメーカーやブランドでも聞いたことはありません。その狙いは、今回のサービス開始により、多くの日本の顧客に「アバルト」を認知、体感してもらうのが目的だそう。

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FCAジャパン社長のポンタス・ヘグストロム氏は、「今回フェラーリにアバルトを選んでいただいたことは、アバルトの情熱とスポーツスピリットをフェラーリにも評価していただいた結果と、光栄に思っています」とコメントしています。

(塚田勝弘)