Motor Fan's YEAR 2016

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Sタイヤがついに解禁!? D1GPのタイヤ戦争が激化したワケは…【TOKYO DRIFT】

D1GPに大きな変革が訪れています。それはタイヤ規定の変更です。

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従来、D1GPでは市販ストリート用タイヤだけが使用可能でした。レース用タイヤや、いわゆるSタイヤは使用できませんでした。

ここでご存じないかたのためにSタイヤというカテゴリーを紹介しておきましょう。

法規上、公道走行は可能ながら、耐久性の問題や騒音、振動などの面から公道走行は向かないとされるスポーツタイヤが、各メーカーから発売されています。これらはセミレーシングタイヤ、セミスリックタイヤ、略して『Sタイヤ』と呼ばれてきました。サーキット走行を主な目的としているのでグリップ力は高いです。

今まで、これらのタイヤはD1GPでは禁止されてきました(ごく初期は規定がなかったので使ってもOKでした)。ところが、このSタイヤの使用が来季から解禁になりそうなのです。

というか、なし崩し的にすでに解禁されているといっていいでしょう。先日行われたD1GP第7戦では、一般的にSタイヤだといわれている銘柄の使用を認可されたチームもあったからです。

これにはいろいろな背景があります。もともとタイヤ消費量が極端に多いドリフトにとってタイヤメーカーは最も重要なスポンサーといってもいい存在です。そのタイヤメーカーとD1主催者の意向によって、一般ユーザーがふつうに使えるストリートタイヤでやろうというのがD1GPの趣旨でした。

ところが近年、中国や台湾、インドネシアなどからの輸入タイヤがD1GPにも増えてきました。しかし、『Sタイヤ』というカテゴリーは、明確なスペック上の規定はなく、日本だけの慣例的な分類です。メーカーが「Sタイヤじゃないですよ」といえば、Sタイヤじゃないわけです。

海外、とくにアジアンタイヤメーカーにとっては、そんな『Sタイヤ』とかいう風習は関係ないので、日本でいえばSタイヤに匹敵するグリップ力のタイヤを出してきちゃうわけです。

でも文句はいえない。『Sタイヤ』というのは、現代においてはある意味ガラパゴス的なカテゴリーになってきちゃったというわけですね。

近年の齋藤太吾選手が使っていたのがまさにそういうタイヤで、昨年までのアキレス、今年のワンリーともに、日本のストリートタイヤではかなわないグリップ力を発揮して、圧倒的な強さを発揮してきました。ここまでひとりの選手が(しかもこういう形で)強いというのは、競技としてはあまりいい状況ではありません。

いっぽうで、日本のタイヤ業界にも変革が訪れます。86レースにおけるタイヤ開発競争が激化するとともに、Sタイヤに匹敵するグリップ力がありそうな、でも『Sタイヤ』とは自称していないタイヤが各メーカーから出てきてしまったのです。

そしてそれらは次々とD1GPにデビューしてきました。

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2016年シリーズで2勝した村山選手は、86レースから生まれたダンロップのハイグリップタイヤ、ディレッツァβ02を見事に使いこなしたことが勝因のひとつでした。そして、昨年のチャンピオンでありながら、今季前半は齋藤選手のスピードにまったく歯が立たなかった川畑選手も、TOYOのニュータイヤR888Rを投入したことで、最終戦では齋藤選手と互角の走りを見せました。

つまり、この“SタイヤみたいだけどSタイヤとはいっていないタイヤ”は、D1GPがつまらなくなることを防いでくれているのです。

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そんな状況もあって、D1GPの主催者は、有名無実となりつつある『Sタイヤ禁止』規定を来年には廃止してしまおうと考えているようです。

ただ、これまた難しい問題が出てくる可能性があります。

国内のメーカーが高価なSタイヤを今までのストリートタイヤと同じようにD1GPに出してくれるのか? 現在D1で使うサイズにSタイヤ相当の銘柄を持っていないグッドイヤーはどうするのか? といった問題です。

海外タイヤを排除するというのは、経済も含めてグローバル化が進む現在、時代に逆行するのであまりいい手ではないでしょう。D1主催者にとっては、競技の面白さやルールの明確さを保ちつつ、スポンサーにも納得してもらわないといけないなかで、むずかしい舵取りを強いられる状況になっています。

いずれにしろタイヤ戦争は激化の一途をたどっており、そのおかげで超絶ハイスピードバトルが楽しめるようにもなっています。

10月22日にお台場で行われたD1GP最終戦では、ワンリータイヤを履く齋藤選手と、TOYOのニュータイヤR888Rを履く川畑選手が決勝で対戦した結果、川畑選手が斎藤選手をプッシュしてしまって齋藤選手が勝ちました。

いっぽう翌日に行われたエキシビションマッチの追走では、またしても齋藤選手と川畑選手が決勝で対戦した結果、齋藤選手が川畑選手をプッシュしてしまって川畑選手が勝ちました。

いずれも、以前は考えられないほどものすごいハイスピードドリフトの応酬でした。

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D1GP第7戦の模様は11月26日発売の『ビデオオプションvol.273』に収録予定。

ビデオオプションの情報は公式サイトへ。また、D1グランプリの詳しい情報は、D1公式サイトまで。

(まめ蔵・写真提供:サンプロス)

塚本奈々美のD1ロシアレポート

9月24・25日、D1GPチーム「K’SPEC MOTOR SPORTS PEAKY ARCS」(ドライバー:日比野哲也)に帯同し、「2016アジアパシフィックD1 PRIMRING GP」ロシア大会(@ウラジオストク)に行って来ました。

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来季は私も海外のドリフト大会出場を目論んでおり、今回はその視察も兼ねています。

しかし、ロシアでのドリフト競技が盛り上がっていることは話に聞いていましたが、まさかここまでとは!と嬉しい驚きでした。

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到着早々に「ロシア版ドリエン」(?)の熱烈歓迎を受けてデレデレのD1GPトップ選手たち。

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記者会見では国営テレビを含めたたくさんのメディアが集まり……と、日本での想像をはるかに超えたドリフトの人気の高さが感じられます!

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PRIMRING サーキットの広〜い観客席に開場前に潜入。

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開会式では、RDS(ロシアドリフト大会)で8連勝を誇り、現地でも「ヒビーニャ」の愛称で大人気の日比野哲也選手が先頭になってスープラで入場。

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チーム「K’SPEC MOTOR SPORTS PEAKY ARCS」のピットにて。

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日本が発祥のドリフト競技、車作りも選手のレベルも日本がダントツにトップだと思っていましたが、ロシアをはじめ近隣国ではものすごい速さでメカニック技術も、ドライバーのテクニックも上がっていることがヒシヒシと感じ取れました。

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今大会、川畑真人選手との日本人対決を制した斎藤太吾選手の優勝で幕を閉じ、上位陣は日本人ドライバーが占めましたが、ロシア勢もあなどれず!というロシアンドリフトの現状を目の当たりにしました。

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D1は今季も中国・ロシアで開催されていますが、Cool Japanコンテンツとして、東アジアを中心にさらに海外での展開に大いに期待したいし、私自身もぜひ来季は海外のドリフト大会に参戦したいとの想いを強めて帰国の途に就きました。

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(塚本奈々美 (MotorFan’sYEAR2016 PR大使)・D1SL瀬戸内海大会にて)

塚本奈々美、D1レディースリーグ第4戦で3位獲得!

8月20・21日のD1ストリートリーガルRd4日本海間瀬サーキット大会(新潟)に、チーム「頭文字DアゾンWAKO’S」として出場しました。

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20日の東日本シリーズ戦第2戦は43台がエントリーする中、東日本シリーズではマシンセッティングを少し外し、それに走りを合わせることが出来ず、0.5ポイント足りずに予選落ちして26位という成績でした。

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翌21日のレディースリーグ第4戦、単走で98.2ポイントをゲットして3位となり、ベスト8による追走トーナメント決勝に進出。

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追走1回戦は同じ山梨出身の五味詩織選手との対決、先行で相手のミスにも助けられて、 ベスト4に進出。

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準決勝は実力派の高木美紀を相手にサドンデス(延長戦)へ持ち込むが、惜しくもここで敗退となり、総合3位となりました。

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総合3位は決して満足いく結果ではありませんが、このところの不調から少し抜け出せたように感じられたことがうれしかったですね。

今季残るはあと残る2戦、さらに良い結果を求めてしっかり準備したいです。

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また、9月3日にはネッツ東京レーシングとして、GAZOO86/BRZレース第6戦(富士スピードウェイ)に出場、グリップとドリフトの両シリーズ参戦する唯一の女性ドライバーとして、86でも良い結果を出したいと思います。

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(塚本奈々美 MotorFan’sYEAR2016 PR大使)

あれっ? ロードスターって本当はドリフト向きだった?【D1GP】

ひょっとして……ドリフト界ではマイナー車だけど戦闘力は高いのでは?

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ドリフト競技はほとんどFR車で行われます。で、日本が誇るFRスポーツカーといえば、ロードスターも挙げられますが、ドリフト界ではあまり人気がありません。

S2000なんかもそうなんですが、まずノンターボだということが理由のひとつ。パワーを上げることが難しいんですね。

まぁ、ほかにも理由はあるかもしれませんが、そんな感じで、これまでもD1GPにはロードスターはいませんでした。

しかし、岩井照宜選手が、地元・広島愛が高じてついにロードスターをD1GPにデビューさせたのです。岩井選手といえば、かつてはKP61スターレットや、ダイハツ・シャルマンでD1に出ていた変わり者です。

ロードスターのエンジンではパワーに限界があるので、2ローターターボに換装されています。ロードスターといえば前後ダブルウィッシュボーンという高性能なサスペンション形式ですが、なんといってもKP61より短いという超ショートホイールベース。

そもそもD1GPマシンでの実績なんてありません。プライベート参戦で、けっして開発力が高いとはいえない岩井選手も手探りでマシン製作をしてきたのでした。

昨年の最終戦でデビューしたときは、まだあぶなっかしい走りで、最下位の得点で予選敗退。

ところが、今季の開幕戦ではあっさりと予選通過を果たします。パワーが要求される第2戦の富士はダメでしたが、筑波サーキットでの第3戦、第4戦は絶好調。なんと第4戦では単走優勝までしてしまったのです。

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さらに8月にエビスサーキットで行われた第5戦、第6戦でも毎回安定した高得点を獲得し、連日追走トーナメントに進出してポイントをゲット。ついにシリーズ8位にまで上がってきてしまいました!

この間、岩井選手の感触はかならずしもいいものではありませんでした。車両の動きはなかなか思い通りにならないそうです。

筑波のときには「浅めの角度でならコントロールできるけど、ある角度を超えると、勝手に角度がついちゃってコントロールがきかなくなる」とのことでした。

ちょうど筑波は、浅めの角度で審査コーナーに飛び込んでくるため、前半はコントロールがきく領域。そしてホイールベースが短く、軽量なこともあって振り返しは得意。最後のヘアピンは、コーナーにカントがついていることもあって、ちょうど“勝手についちゃう角度”のまま回っていくことができたそうです。

そしてエビスのときには「飛び出しをがんばっちゃうとコントロールを失ってどうしようもなくなるので、そこは捨てるしかない」というのが当初のコメント。ところが、それでも簡単に98点台後半という高得点を連発しました。飛び出し直後の最高速は、ほかの上位のクルマとくらべてだいぶ遅いにもかかわらずです。

データを見ると、ロードスターはずんぐりむっくりしているからわかりづらいだけで、けっこうドリフトの角度がついているようなんです。しかも、意外と角度の安定性が高い。そして、角度がついているにもかかわらずコーナリングスピードが高い。

上にも書きましたが、軽量かつショートホイールベースなので、振り出しや振り返しは得意です。結果ロードスターは“見た目にはよくわからないけど、じつは走りのレベルは高い”ということが判明しました。足りないのはパワーくらいのもんです。

「追走では上位に入れないじゃないか」というひともいるかもしれませんが、それはたぶん岩井選手の経験不足です。

だって、これまであまり追走やってきてないから。追走に強いクルマなのかどうかはわかりませんが、ドライバーがスキルアップすれば、もっと上位に入ってくる可能性はじゅうぶんあります。

もちろん、このロードスターはエンジンが載せ換えられているだけでなく、大幅な仕様変更を受けています。だからノーマルのロードスターがドリフトに向いているとは断言できません。

とはいえ、本来FRスポーツカーとして作られたロードスターは、あんがいドリフトでもその能力を発揮するのかもしれません。コンパクトで見た目の派手さがアピールしづらいので、これまで人間の審査でドリフト競技をやっていたときにはマイナー車種に甘んじていましたが、D1GPに機械審査が導入されて、その素性のよさが証明されたという可能性もあります。

競技に使うには大幅な仕様変更が必要ですが、グリップの低いタイヤを履いて練習するには、けっこういい車種だということもありえます。

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ただね、岩井選手のロードスターって、初代のNA6CEなんですよね。さすがに古いでしょ!

いまのロードスターはもう4代目になってますから。まぁ、岩井選手は予算の少ないプライベーターなのでしかたがないのですが、これだけ活躍しているのだから、次は岩井選手が現行ND型を投入できるようにサポートしてくれるスポンサーが現れることを期待したいです。

なお、8月5、6日にエビスサーキットで開催されたD1GP第5戦は齋藤太吾選手が、翌日に行われたD1GP第6戦は村山悌啓選手が優勝しました。第6戦の結果、齋藤選手の2016年シリーズチャンピオン獲得が決まっています。

D1GP第5戦の模様は9月26日発売の『ビデオオプションvol.271』に、第6戦の模様は10月26日発売の『ビデオオプションvol.272』に収録予定。

ビデオオプションの情報はこちらへどうぞ。また、D1グランプリの詳しい情報は、D1公式サイトでどうぞ。

(まめ蔵・写真提供:サンプロス)

塚本奈々美がTV出演でドリフトの面白さを知ってもらえるか!?

今季、D1SLの東西日本シリーズとレディースリーグに出場する中、どうしたらドリフトの魅力をさらに広く一般の方々に知って頂くか……、いつも考えていました。

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そんな中、日本テレビ「Going!」に私の走りを取材頂きました!

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一般の方から見たら、なんでクルマが横を向いて走るんだ?って不思議ですよね。そこで、超高速カメラや車載用の超小型カメラなど、合わせて10台以上のカメラを使って撮影いただきました。

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シルエイティを駆った私の単走に続き、D1GP日比野哲也選手のD1本番車両スープラと追走シーンも撮影。

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頭文字Dのコミック内で佐藤真子が駆るシルエイティが、現役のD1GPマシンと追走するなんて、今回の番組収録がなければ絶対に実現しなかったと思います。

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とにかく、日比野選手のD1GPマシンのプレッシャーは半端なくすごかったですね。

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この模様は7月23日23時55分〜、日本テレビ「Going!」の「神技ライブラリー」のコーナーで全国放送される予定です(※放送予定が変わる可能性があります)。

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少しでも多くの方にドリフトの魅力が伝わるといいな。

(塚本奈々美 MotorFan’sYEAR2016 PR大使)

クルマが跳び蹴り!? 追走ドリフトで起こった珍事

現代のドリフト競技のいちばんの見どころは追走です。2台が先行/後追いに分かれてコースインし、先行がドリフトしつつ全力で逃げようとするところを、後追いがインを差して、きれいにドリフトを合わせてみせたら勝ち、というものです。格闘技的要素が強い競技内容が魅力ですね。

でも、クルマがジャンプして体当たりするなんていう走りかたは誰も想定していません。

いったい何が起こったんだー!

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これは7月9日に奈良県の名阪スポーツランドで行われたD1西日本シリーズの準決勝での一幕です。

日本のドリフトの最高峰はD1GPですが、その下部カテゴリーとしてD1SL(ストリートリーガル)があり、さらにその下に、東日本/西日本に分かれてシリーズ戦を行うD1東日本シリーズ/西日本シリーズがあるんですが、そのD1西日本シリーズ2016年第2戦です。

準決勝ふたつめの対戦は、古賀誠進選手vs野々英喜選手。

どちらも九州のベテランで旧知の仲です。雨が上がって、路面がどんどん乾き、濡れているところと乾いているところが混在するむずかしい状況でした。お互いにミスをしたりして、なかなか決着はつかず、勝負は再々戦にまでもつれこみます。

その2本目、1コーナーに飛び込んだ先行の野々選手に、後追いの古賀選手が猛チャージをしかけます。みるみる距離を詰めていったのですが、減速しきれず接触……その瞬間、古賀選手のマシンがポンッと宙に浮き上がったのです。

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そう。最初の写真だけ見ると、ジャンピング体当たりのように見えますが、本当は「体当たりしてジャンプ」という順番でした。

おそらくタイヤ同士が当たって、跳ね上がってしまったのだと思います。じっさいは当たりかたもそれほど激しいものではありませんでした。

フォーミュラではよくありますが、ハコ車のレースではそれほど多くないですよね。ドリフトの場合、大きくカウンターステアを当てた状態で接近するので、レースよりはこういうことが起こる頻度が高いと思います。

ただ、これまではフロントのタイヤ同士が当たって、後追いの車両がウイリーしてしまうというケースばかりでした。こんなふうにきれいに4輪ジャンプしたのはみたことがない。もしかしたら、前後輪ともタイミングよく当たってしまったのかもしれません。

当てられたほうの野々選手は、振り向いた瞬間自分の真横にタイヤが見えたのでビビッたそうですが、それでも動じずに行ってしまいました。当てた古賀選手は着地してそのままストップ。とはいえ、なんとか自力でピットに帰っていきました。

野々選手は決勝に勝ち上がりましたが、その際軽い接触でスピン。もしかしたらなにかしら足まわりにダメージを受けていたのかもしれません。

ちなみにこの大会で審判員をやっていた昨年度のD1GPチャンピオン川畑真人選手は、この大技に嫉妬。「九州まで教わりにいく!」とまでいっていました。

大まじめにやっていても起こる珍プレー、こんなのもモータースポーツの醍醐味ですね。

写真協力:サンプロス

(まめ蔵)

現役選手がレポーター? D1GPの破天荒な魅力【TSUKUBA DRIFT】

普通やらせる? やらせないよね、現役の選手にレポーターって。

それがやらせるんですよ。D1GPでは、敗退した選手にピットレポーターをやらせちゃうの。

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で、最近人気なのがこのGOODYEAR Racing Bee☆Rの時田雅義選手。

ちゃんと優勝経験もあるドライバーなんだよ。でも、単走予選や単走決勝で敗退すると、ピットレポーターを頼まれちゃうんです。よく考えたら、ドライバーのこともクルマのこともわかってるんだから、ある程度しゃべることができれば、ピットレポーターとしてはうってつけなんだよね。

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なにか異変があったら、そのチームのホットピットまでダッシュ!

特にこの時田選手は実況MCにイジられると、いいリアクションをとりつつも、きっちりレポーターの仕事はやってくれるので好評なんです。

しかも、今季新調したレーシングスーツは、スポンサーの意向で『俺だっ!』なんていう文字が背中にでっかく入ってるから(そんなレーシングスーツもあまりないよね)、もうイジるにはうってつけというわけです。

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そんなわけで、筑波サーキットで行われたD1GP第3戦・第4戦の際に、その時田選手に話を聞いてみました。

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── ピットレポーターっていうのはどうですか?

時田:「僕はドライバーですから! でも負けたときには、なにもしてないよりいいんじゃない?」

──自分がドライバーだからこそわかることもありますよね?

時田:「まぁ、自分だったら聞かれたくないことは聞かないけど、選手の心境とか、クルマのどこが壊れたとか、コースの状況がどうとかっていうのは答えられますよね……でも僕はドライバーですから!」

── ピットレポーターをやってプラスになることはありますか?

時田:「選手だとほかのチームのピットにズカズカ見に行けないけど、レポーターとして行くぶんには文句をいわれないし、それが仕事なので、そこでいろいろな技術やノウハウがチラ見できたりすることはありますね」

──  ピットレポーターをやることで人気が上がったりは?

時田:「いちばん悲しいのが、『予選落ちちゃったんだ。残念だね。じゃあ今日もピットレポーターだね』って、お客さんにいわれること。僕はドライバーですから!」

──  レポーターをやるためにネタを考えたりとかは?

時田:「してないよ! 僕はドライバーですから。頭はそっちで使うもんじゃないから。でもね、なかなか難しいんですよ。たとえばこのクルマのアレが壊れてるとか、わかっちゃっても言っていい部分と悪い部分があるんで。まぁ、そういうところは気をつかってますけど、ありがたいことにみんなやさしいので助かってます」

前にも書いたけど、時田選手も優勝経験がある一流ドライバー。いつもピットレポーターをやってるわけじゃありません。

時田選手がちゃんと追走に勝ち残っているときには、敗退したほかの選手に白羽の矢が立って、ピットレポーターをやるわけです。

でもね、やっぱりこういうところで活躍するっていうのは絶対プラスになりますよ。人気は絶対に上がるし、レーシングスーツのスポンサーロゴだって映像に映るわけだからね。

今年は86にマシンチェンジした時田選手、また優勝するところも見たいですね。下が今季の時田選手のマシンです。

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ちなみにこの『TSUKUBA DRIFT』D1GP第3戦は、WANLI FAT FIVE RACINGの斎藤太吾選手が優勝し、開幕以来3連勝、昨年からつづけて5連勝を達成しました。

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翌日に行われた第4戦では、ベスト8でクラッシュに巻き込まれた斎藤選手はそれにともなうマシントラブルにより準決勝で敗退。PACIFIC RACING TEAM with DUNLOPの村山悌啓選手がD1初優勝を果たしました。

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D1GP第3戦の模様は7月26日発売の『ビデオオプションvol.269』に、第4戦の模様は8月26日発売の『ビデオオプションvol.270』に収録予定。

ビデオオプションの情報はこちらへどうぞ。また、D1グランプリの詳しい情報は、D1公式サイトでどうぞ。

(まめ蔵・写真提供:サンプロス)

塚本奈々美D1SL参戦レポート:『ドリフトの聖地』の洗礼!?

5月28・29日、エビスサーキットで開催されたD1ストリートリーガルにて、チーム「頭文字D アゾン WAKO’S」として東日本シリーズとレディースリーグに出場しました。

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D1GPも開催される「ドリフトの聖地」、エビスサーキット南コースの難易度は世界トップレベル、マシンが観客に向かってジャンプして出てくる迫力と、かなりの頻度でクラッシュが見られるドキドキ感で、世界中のドリフトファンがこぞって訪れる人気のあるサーキットです。

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急こう配で先の見えない最終コーナーからアクセル全開で飛び込む勇気が必要で、数十センチでもラインがずれてしまうと、ジャンプ台から壁にダイブすることになります。

今大会でも公式練習から何台ものマシンが壁の餌食となっていましたが、私も初めて走るこのコースで、走りやセッティングを模索している中での練習走行で、わずかにライン を外し壁の餌食となりました……。

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メカニックの懸命の修復で28日のD1東日本シリーズの単走に臨みましたが、まだまだコースに慣れきれず、40台がエントリーする中で30位に終わりました。

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翌29日、4月の開幕戦では準優勝を飾ったD1レディースの第2戦では、単走5位で決勝トーナメントに進みましたが、やはりエビスを走りなれたベテラン選手たちには敵わず、1回戦敗退となりました。

それでも5位に与えられる2ポイントを獲得し、シリーズポイントランクでは1位タイとなっています。

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今回は初めて走るこの難コースで、結果は大変悔しいものになりましたが、この経験を活かして、やはり難コースである名阪(奈良)で開催される第3戦(7月9・10日)の西日本シリーズとレディースリーグで上位進出を狙いたいと思います。

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皆さんのご声援、宜しくお願い致します。

(塚本奈々美 MotorFan’sYEAR2016 PR大使)

スーパースターのむけん、待望の復活!【D1GP第2戦】

ひさしぶりにやってくれました! ドリフト界が生んだスーパースター、のむけん選手が富士スピードウェイで行われたD1GP第2戦で追走に進出。胸アツの追走を見せてくれたのです。

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“のむけん”こと野村謙選手は、押しも押されもしないD1GPトップ選手のひとりでしたが、4、5年前からマシンのポテンシャルが後れをとり、低迷が始まりました。

その後86にマシンチェンジするもののまともに走らず、昨年はふたたびスカイライン(ただしトヨタの2JZエンジン搭載)にもどしました。

しかし、これまたマシンの熟成が進まず、本人の練習不足もあって、けっきょく去年1年間はいちども予選を通過せずに終わってしまいました。

のむけん選手はイベントのゲストやビデオの収録などで忙しく、なかなか走る機会を設けられなかったのも原因のひとつだと思われます。

ドリフトはふだんから練習できるため、一線級になっても練習量が大きくものをいうモータースポーツです。その一方、トップレベルに達すると、見せかた、走らせかたが身体に染みつくので、しばらくはそのパフォーマンスを維持できるという面もあるように思います。

のむけん選手も、全体的なスピード不足や角度不足は感じましたが、走りのリズムやメリハリは、下位のほかの選手とはちがうものを見せていました。

昨季の低迷は本人もこたえたようで、シーズンオフには引退も考えたようです。しかし、さまざまな要因がうまく組み合わさり、2016年はいい体制で迎えることができることになりました。

開幕戦こそ、できあがったばかりの車両で熟成が不十分だったため結果は残りませんでしたが、エンジンはトップレベルと遜色ないパワーを得ることができました。

そして、この富士スピードウェイでの第2戦の前には、足まわりのテストもしっかりやって臨むことができたのです。

第2戦の舞台となった富士スピードウェイの逆走コースは、走ったことのない若手選手も多くいました。そのなかで、このコースで何度も決勝に勝ち上がったことがあるのむけん選手は、走らせかたをわかっているというアドバンテージもありました。

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のむけん選手は、審査席に向かってアクセル全開時間の長いドリフトで300Rをまわってくると、きっちりラインをトレースし、単走予選も単走決勝もまずまずの得点を獲得。じつに3年半ぶりに追走トーナメント進出を決めたのです。

追走ベスト16の対戦相手は、昨年のチャンピオン川畑選手。圧倒的なパワーをほこるGT-Rです。

「ひさしぶりに追走に残ったのに、相手が悪い……」そう思ったファンも多かったでしょう。のむけん選手本人もそう思ったかもしれません。なにやら川畑選手に頼み込んでましたから。

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しかしその1本目、後追いののむけん選手は、加速区間でも完全に川畑選手をとらえ、ビタビタに接近したままきれいに振り返し、ヘアピンに進入しました。この1年、斎藤選手以外で川畑選手をここまで追い込んだ選手はいなかったのではないでしょうか?

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しかし、残念ながらのむけん選手はヘアピンを曲がりきれずにコースアウト。じつは、フルカウンター時にハンドルが引っかかってしまう逆関節現象が起こってしまったのでした。

けっきょく敗れてしまったものの、のむけん選手の走りは、今後の活躍をふたたび期待させるものでした。スーパースターの復活は2016年のD1GPをいっそう面白いものにしてくれるでしょう!

このD1GP第2戦の模様は、『ビデオオプション 267号』(5月26日発売)に収録されます。

D1GPの詳しい情報は、D1公式サイトでどうぞ!

(まめ蔵・写真協力:サンプロス)

塚本奈々美、D1レディースリーグ開幕戦で準優勝!

塚本奈々美、D1レディースリーグ開幕戦で準優勝!

私、塚本奈々美は4月16、17日に開幕したD1ストリートリーガル2016(備北)のレディースリーグにて準優勝しました〜!

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D1GP出場を目指して経験値を上げるため、今季はD1西日本・東日本シリーズ戦とレディースリーグにダブルエントリーしますが、その分マシンへの負担も2倍になり、開幕戦はエンジントラブルを抱えながらの大変苦しい戦いとなりました。

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初参加の西日本シリーズ、備北の壁に向かって振り出すコースレイアウトは予想以上に勇気 が要りますが、リアバンパーをタイヤバリアに擦りながらも何とか走りが決まり、最終結果は37台のエントリー中15位とまずまずのデビュー戦となりました。

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そして迎えた17日のレディースリーグ、振り出し位置を定めて安定させることができずに悩む中、追い打ちをかけるように単走決勝前の公式練習はいきなりのレインコンディション…

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そして公式練習が終わると同時に雨は止み、あっという間にドライコンディション、選手皆が路面のギャップに苦戦しながら2本しかない単走の1本目を終えます。予想以上にグリップする路面に、私は2本目は勝負に出ることにし、勢いをつけて思い切り飛び込みました。スピード感はよかったものの備北名物の壁の餌食になりました…。それでも何とか1本目の結果で7位となり、予選をクリアしました。

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追走決勝トーナメント1回戦の相手は2015年のレディースリーグチャンピオン石川沙織選手。大方の予想に反し、サドンデスに待ち込んで勝利!

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続く2回戦はレディースリーグトップ3の一角を占める2014年チャンピオン高木美紀選手と対戦、相手のミスにも助けられて勝ち抜き、初めての決勝戦進出となりました。

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2人のチャンピオンを破り、周りが「ついに塚本が覚醒した!〜」と盛り上がる中の決勝戦の相手は昨年の備北大会優勝岩本明日和選手。

しかし私のマシンはアイドリングもままならないほど症状が悪化、メカニックがアクセルワイヤーで回転数を保っている間にヘルメットを被ってスタート位置についたものの、決勝を戦う状況まで保つことが出来 ずに後追いで大差がつき、続く先行での挽回も出来ず、惜しくも準優勝となりました。

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表彰式ではMCの鈴木学さんに「今季は期待出来るね」と言って頂き、理想の結果ではなかったものの、たくさん収穫のある開幕戦となりました。優勝は次戦5月28・29日の第2戦(@エビス)までお預けです。

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こちらが我がチーム「頭文字D アゾン WAKO’S」の頼れるメンバーです。

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ドライバー:塚本奈々美
スポッター:日比野哲也(D1GPドライバー)
メカニック:今井義人
WAKO’Sモータースポーツ事業部:難波敏憲

「頭文字D アゾン WAKO’S」への皆さんのご声援、宜しくお願い致します。

(塚本奈々美 モーターファンフェスタ公認PRドライバー)

塚本奈々美、D1ストリートリーガルに参戦します!

今週末(4月16・17日)に開幕するD1ストリートリーガル、私・塚本奈々美は今季全6戦の東西戦とレディースリーグに出場します。

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WAKO’Sワークスからの参戦です。

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エントラント:チーム「頭文字D アゾン WAKO’S」
ドライバー:塚本奈々美
スポッター:日比野哲也
マシン:S14
タイヤ:ブリヂストン

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[D1ストリートリーガルシリーズ日程]

第1戦:4月16・17日 西日本シリーズ&レディースリーグ 備北
第2戦:5月28・29日 東日本シリーズ&レディースリーグ エビス
第3戦:7月9・10日 西日本シリーズ&レディースリーグ 名阪
第4戦:8月20・21日 東日本シリーズ&レディースリーグ 日本海間瀬
第5戦:10月15・16日 西日本シリーズ&レディースリーグ 瀬戸内海
第6戦:11月19・20日 東日本シリーズ&レディースリーグ 日光

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メインスポンサーにアキバ系ドール企業「アゾンインターナショナル」を迎え、同社の人気キャラ「えっくす☆きゅーと」でフルラッピングしたS14、今回初公開です。

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アゾンではドールたちが「えっくす☆きゅーとれーしんぐ部」を作って私と一緒にレース参戦する企画がスタートするんですよ。

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ゼッケン「W22」は西本シリーズのナンバー、そして「4」はレディースリーグのナンバーです。

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先日、早速「レブスピード」の取材を受けました。

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目標はD1GPライセンスの獲得です。

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皆様のご声援、宜しくお願い致します。

(塚本奈々美 モーターファンフェスタ公認PRドライバー)

From Motor Fan’s Year

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D1GPでタイヤ本数制限がスタート。2強に死角あり!?【TOKYO DRIFT】

モータスポーツシーズンも始まりましたね。先週末はお台場でD1GPの開幕戦が行われましたが、今年のD1GPでは今までになかった大きなルール変更がひとつあったのです。

それは、タイヤの本数制限です。

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これまでタイヤの使用本数は無制限でした。もはや1000psに迫る車両も増えた現在、トップチームは1対戦ごとにリヤに新品タイヤを投入していました。

しかし、今年は決勝日のタイヤ使用本数に制限が設けられたのです。それは単走決勝から追走の準決勝までリヤタイヤは4セットしか使えないというもの。

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さらに4セット目を投入した場合は、その時点で0.5ランクの減点が入ります。つまり完全に自由に使えるのは3セットまで。減点を受け入れればもう1セットってことですね。

なお、決勝に進出すれば、もう1セット新品タイヤの使用が許されます。もちろん使えるタイヤにはマーキングされて、ひと目でわかるようになっています。

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大会の結果は、優勝が斎藤太吾選手、準優勝が川畑真人選手。去年からつづく2強時代そのままというリザルトで、なにも変わっていないように見えますが、細かいところを見るとタイヤ本数制限の影響が見られます。

まずは、単走決勝の走行2本目をキャンセルするドライバーが出てきました。1本目に追走進出を確実にしておけば、2本目をキャンセルすることでタイヤを温存できるからです。

そしてもうひとつは、本来圧倒的な速さを誇る川畑選手と斎藤選手についていけたマシンが結構出たことです。

たとえば準決勝で川畑選手と対戦した草場選手は、ストレートで離されずについて行きました。また、同様に準決勝で斎藤選手と対戦した藤野選手は、最後でミスをしてしまったものの、完全に斎藤選手をとらえ、ビタビタの接近ドリフトをしていました。

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川畑選手は、決勝に向けて使えるタイヤを残すマネージメントをしていました。斎藤選手は、準決勝の前に末永選手、日比野選手という強敵と戦うため、新品タイヤを使い果たし、中古タイヤで走っていました。いっぽうで、草場選手はマイナス0.5ランクを受け入れてニュータイヤを投入していました。

このように、状況によっては、圧倒的なパワーを持つ川畑選手や斎藤選手にも、ほかの選手がついていける可能性が出てきたのです。

また、決勝は斎藤選手が川畑選手に勝ちましたが、斎藤選手にはもう使えるタイヤが残っていませんでした。もし再戦にもつれこめば、使えるタイヤを残しておいた川畑選手が圧倒的に有利な状況に変わっていたはずなのです。

こんなふうに、タイヤの本数制限が設けられたことで、各チームの戦略が複雑になってきました。そして、斎藤選手、川畑選手といった2強も、思わぬところで足下をすくわれる可能性が出てきたのです。

今季のD1GPはそんなところにも注目して見てみると面白いかもしれませんね。

D1GP第1戦の模様は、『ビデオオプション 266号』(4月26日発売)に収録されます。ニューマシン情報や、今村選手、時田選手など生の声も満載!公式サイトはこちら

D1GPの詳しい情報は、D1公式サイトでどうぞ!

(まめ蔵)