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【中古車相場をデータで振り返る2016年・Vol.6】小幅な値動きが目立つ国産スポーツカーの中でレクサスRCに注目!

2016年の国産スポーツカーは、ホンダNSXの復活とマツダロードスターにRFと呼ばれるリトラクタブルリーフを採用したモデルが追加されたことが最大のトピックスでしょう。

そしてトヨタ86/スバルBRZがデビュー以来初の大幅改良を行い、日産GT-Rも大幅に改良された2017年モデルが登場と、国産スポーツカーは年間を通じて話題が多い年となりました。

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中古車相場は話題の多さと裏腹に小幅な動きが多くなっています。マツダロードスターは266万から254万円で12万円。そして日産GT-Rは710万から699万円で11万円と値落ちしていますが、その他の車種では日産フェアレディZは261万円、トヨタ86は220万円で横ばい。一方のスバルBRZは219万から230万円と11万円の値上がりとなっています。

そんな中で大幅な値落ちが目立つのがレクサスRCです。580万から535万円と45万円とこのカテゴリーで断トツです。特に7月からの値落ちは現在も継続中で大注目です。

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GT-Rは2017年モデルの発表とともに値落ちが強まりました。9月頃までは180台程度だった流通台数が直近では240台と約1.3倍も増えています。最も増えているのは初期の2007〜2008年式なのですが、平均価格は安定期に突入しているようで530万円付近をキープしています。それでも値落ちしているというのは高価格帯の比較的年式の新しい中古車が下がっている影響です。

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ホンダはCR-Zが生産終了となりましたが、2017年2月からいよいよNSXのデリバリーが始まります。先代NSXは登場して2年間はプレミアム価格が付いていましたが、新型NSXがどのような価格で推移するのか、今から興味が沸きます。

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2016年1年間の中古車の平均価格の推移から浮かび上がったのは、スバル車の相場の安定感とホンダ車の値落ちです。なかでもミニバンは他メーカーと比べても値落ち幅が大きくなっていて、狙っているユーザーには朗報といえるでしょう。

そしてもう一つ、プリウスをはじめとしたハイブリッド車の値落ちが目立ちます。これまで燃費の良いハイブリッド車は中古車となってからも人気が高く、価格は安定していました。しかし、今回はプリウスをはじめ、アクアやフィット、シャトルなどハイブリッド専用車もしくはハイブリッド車を設定するモデルに大きな値落ちが目立っていました。

今回の値動きを見ると、燃費から安全性へとユーザーの志向が変わりつつあると言えるのかもしれません。

(萩原文博)

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【中古車相場をデータで振り返る2016年】

Vol.1 現行型国産コンパクトカーはアクアとフィットが大きくダウン!
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Vol.2 オデッセイをはじめホンダの現行型ミニバンは揃って値落ち!
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Vol.3 前代未聞!昨年登場したプリウスが1年で22万円もの値落ち
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Vol.4 スバル車が横ばいの中、国産SUV屈指の人気モデル・ハリアーが大きく値落ち!
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Vol.5 現行型国産セダンは高額車に大幅な値落ちが集中!
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無塗装で使用できる植物由来のプラスチックが「マツダ ロードスター RF」の外装部品に採用

マツダは、三菱化学と共同で自動車の外装意匠部品に使用できるバイオエンジニアリングプラスチック(バイオエンプラ)を開発し、「マツダ ロードスター RF」の外装部品に採用すると発表しました。

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今回「ロードスター RF」の外装部品に採用されるバイオエンプラは、植物由来原料使用による石油資源の使用量削減やCO2排出量の抑制、無塗装によるVOC(揮発性有機化合物)の削減で環境負荷を低減する効果を発揮します。

同時に今回のバイオエンプラでは、従来材料で塗装が施された部品を超える質感(深みのある色合い、鏡面のような平滑感)を、プラスチックの材料着色で実現するなど、高い意匠性が必要な自動車外装部品としても使用できる品質を備えていることが特徴です。

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マツダでは、これまでにも植物由来の材料を「マツダ バイオテックマテリアル」として技術開発を続け、自動車内装部品用バイオプラスチックの開発や、植物由来100%の繊維からなる自動車用シート表皮の開発に成功して、植物由来の材料の使用を拡大しています。

バイオエンプラについては、2015年に「ロードスター」の内装意匠部品にマツダ車として初めて採用して以来、これまでに「CX-9」や「アクセラ」、「デミオ」にも採用を広げています。

マツダでは、このたびの「ロードスター RF」以降の車種で内装および外装意匠部品としてバイオエンプラの採用を一層広げていく予定としています。

(山内 博・画像:マツダ)

【スーパー耐久2016】第5戦岡山ラウンド、ST-4クラスでロードスターが初優勝!地元戦でマツダ車が大活躍

10月22〜23日に岡山国際サーキットで開催された第5戦「 スーパー耐久レース in 岡山」。

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決勝レースは23日の午前、午後に別れて2レースが行われ、午前はST-4、ST-5クラスのグループ2が3時間の耐久レースを走りました。

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ST-5クラスをポールポジションでスタートしたのは「村上モータースMAZDAロードスターND」。第2戦SUGOではポールtoウィンを決めた新型ロードスターは、岡山でもポールポジションを獲得。

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スタートでフィット3に抜かれ3位に後退するも、序盤から中盤はフィット3勢とサイドbyサイド、テールtoノーズのトップ争いを繰り広げ、ST-5クラスここにあり!とレースをかなり盛り上げてくれましたが、駆動系トラブルで後退を喫してしまいます。

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NDロードスターが後退をした後に3位まで登り詰めてきたのが「DXLアラゴスタ・NOPROデミオSKY-D」。順調に追い上げを見せ、最後のドライバー交代を迎えたそのとき、なんとタービントラブルで長時間ピットストップ。こちらも戦線から離脱してしまいます。

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ST-5クラスはスタートでトップをもぎ取った19号車「BRP★J’S RACINGホンダカーズ三重北FIT」が優勝。2位に69号車「BRP★J’S RACINGホンダカーズ浜松北みきゃんFIT」が入り、69号車はこれでポイントランキングトップに返り咲くことになりました。

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NA換算2000ccまでのST-4クラスでは「TC CORSE iRacing ROADSTER」がなんと初優勝。初エントリーから3年越しの優勝です。

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このクラス、今期はトヨタ86が開幕から4連勝。昨年まで強かったホンダ勢も表彰台に登るのがやっとといった状況下で、孤軍奮闘のNC型ロードスターの優勝は快挙といえるでしょう。

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2位には「埼玉トヨペットGreenBrave86」。3位は、1位の表彰台に上がりながらペナルティーで30秒加算の3位となった「ENDLESS・ADVAN・86」。

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中国地方唯一の国際サーキットである岡山国際サーキットは、マツダの地元ともいえる場所。そこで新型1500ccのNDロードスターがポールポジション、そしてNCロードスターが86やS2000を抑えての優勝と、まさに故郷に錦を飾ったレースとなりました。

ST-4、ST-5クラスは岡山戦終了時点でもまだシリーズチャンピオンが決定していません。熱い戦いは11月19〜20日の最終戦オートポリスまで持ち越しとなりました。

(写真・文:松永和浩)

マツダのエンジニアが語った「共創」による開発体制とは?

9月25日(日)、好天に恵まれた富士スピードウェイで、マツダが「人とクルマの絆を、もっともっと深くする」と題したファンイベント「Be a driver. Experience at FUJI SPEEDWAY」を開催。

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早朝から多くのマツダファンが押し寄せ、6,000人が来場した同イベントでは、実行委員長を務める寺田陽次郎氏の挨拶に続き、モータージャーナリスト竹岡圭さんの司会進行により、マツダの開発陣を交えたトークショーが行われました。

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ステージ上には「アクセラ」「CX-5」の開発主査、児玉眞也氏、同チーフデザイナーの玉谷 聡氏、ロードスター アンバサダーの山本修弘氏、ロードスターのチーフデザイナーで開発主査の中山雅氏が登壇。

「ND」系開発主査を務めた山本氏(画像中央)が、同社のシンボル的なロードスターの主査業務を後任者へ引き継ぐにあたり、「ロードスター愛」が最も強かったとして、同車のデザインを担当した中山氏(画像左)を開発主査に推薦したエピソードを紹介。

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マツダではユーザーに高い次元の「ワクワク」を届けるため、部門の垣根を超えて力を合わせる「共創」に取組んでおり、「SKYACTIV」、「魂動デザイン」、「モノづくり革新」といった大きな動きがある中で、企画、デザイン、設計、実験、生産技術、購買部門が各々「ありたい姿」を描き、全てが一丸となって活動しているそうです。

ともすると大企業では「開発」側の思いと、「生産」側の思いが噛み合わずに対立しがちですが、山本氏によれば、マツダでは「開発側がその価値をきちんと伝えれば、各部門はそれを実現するための知恵を出してくれる」、「阻害している要因、課題をブレイクスルーによって克服するという風土が長い時間をかけて根付いている」といいます。

山本氏は、’91年にルマン24H耐久レース参戦で総合優勝したマシン「787B」用のロータリーエンジン開発を経て、それを確信したようで、今回のトークショーでも「無理と思える難題も、全員の力を結集すれば、大きな目標を達成することができる」と力をこめて説明。

おりしも、マツダがイベントの3日後となる9月28日に発表した8月のグローバル生産台数は12.6万台(+9.2%)で、国内生産が7.2万台(+4.7%)、海外生産が5.4万台(+16%)と伸びています。

生産車種でみると、国内ではCX-5(+16.5%)、アクセラ(+17.1%)、アテンザ(+6.3%)、海外ではアクセラ(+7.3%)、デミオ(+19.3%)が伸長。

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その一方、8月の国内販売では1.5万台(-14.1%)と前年実績を割り込んでおり、1月からの累計販売でも13.9万台(-21.4%)と落ち込みが目立ちます。

先頃改良を施したアクセラが2,708台(+42.9%)、同アテンザが1,357台(+83.4%)と好調なものの、昨秋あたりから主力のデミオの販売が急減しているのが影響しているようです。

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これは開発陣による商品力向上への努力に連動させて、商品価値に見合った収益を確保する方針へと切替えたことが要因のようで、かつてトヨタ自動車が同目的で国内に「レクサス」ブランドの逆輸入に踏みきった際の状況に似ているかもしれません。

こうした現状の販売状況に歯止めをかけれるかが、今度はマツダの販売サイドの腕の見せどころ。

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値引きが無くても新車が売れるようになるまで、マツダの国内販売台数減は続く可能性が高そうですが、ここは踏ん張りどころ。

同社の今後の国内市場における販売努力が注目されます。

(Text/Photo: Avanti Yasunori

【関連記事】

富士SWに6千人のマツダファン!「787B」デモラン披露
http://clicccar.com/2016/09/30/403221/

【関連リンク】

Be a driver. Experience at FUJI SPEEDWAY
http://fuji.beadriver-experience.com/

MAZDAの取組み「共創」
http://www2.mazda.com/ja/about/dealer/recruit/copro/copro.html

マツダ・ロードスターのハードトップが生産開始。各国で順次販売!

マツダは、すでに内外で発表しているロードスター(海外名:MX-5)のリトラクタブルハードトップモデルの生産を、日本国内の本社宇品第一工場にて開始したことを発表しました。

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すでに発売されている4代目ロードスターは、手動で開閉するソフトトップ(幌)となっていますが、これまでのロードスターにはなかったファストバックスタイルのリトラクタブルハードトップが新ネーム「RF」を与えられてデビューすることは既定路線です。

公開されている写真は左ハンドル仕様。つまり生産を開始した「MX-5 RF」は、北米・欧州市場向けのモデルです。これらは2017年初頭からの発売が予定されています。

また、日本国内向けの「ロードスター RF」については年内での販売開始を予定しているということです。

(山本晋也)

【関連記事】

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リトラクタブルのロードスターRF、ソフトトップのロードスターとどっちが正統?どっちが正解?


マツダMX-5(ロードスター)RFの日本初お披露目に「ファンの前」が選ばれたワケは?
http://clicccar.com/2016/05/29/374515/

販売代理店となるキャロッセに訊いた、グローバルMX-5カップカーを取り扱ったワケ

マツダMX-5ロードスターの世界統一仕様車によるワンメイクレースシリーズである「グローバルMX-5カップ」。

その日本での開催がアナウンスされた8月1日、同時に株式会社キャロッセから同レースに出場できる統一仕様車両の受注販売も開始されました。

参戦車両の販売代理店となったのはキャロッセ。その経緯を代表である長瀬努さんに伺いました。

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日本のレースを戦うグローバルMX-5カップカーも、北米にあるロングロードレーシング社が制作し、日本へと運ばれます。

キャロッセに代理店の白羽の矢が立ったのは、過去にモータースポーツで使用できる手軽なベース車両を供給したいということから、マレーシア最大の自動車メーカーのプロトンからサトリアネオを輸入しており、業務に精通していること、そして北米にも拠点をもっていることが、主な理由とのこと。

しかし、選ばれたなによりの理由は、長年、日本のモータースポーツを選手の育成、競技用車両の製作、そして広範な車種に向けた競技用パーツの供給などで、支えてきたという実績への評価があると思われます。

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長瀬さんは「日本のモータースポーツの世界を広げる今回のレースに、関われることは誇らしいことです。同一仕様で行われるグローバルカップという世界統一戦がもつダイナミックさ、そしてユニークさに期待したい」と語りました。

MX-5カップカーは2017年のレース開催に向けて、現在は車両のオーダーを受けたものから順次、北米からの輸送を進めているそう。

納期は2ヶ月から2ヶ月半ほど。マシンは完成車として交換が可能なパーツ以外は封印が施された状態で状態で到着するので、仕様変更などの作業はないものの、車両に取り付けられているパーツの確認や、輸送にともなう不具合などのチェックを経て、各参戦者のマシンをメンテナンスするショップへと届けられることになるそうです。

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ひとつだけ、確認の際に取り付けるパーツがありました。ドライバーに合わせる必要のあるバケットシートだけは、海を渡ってくるマシンに付属しないそうなので、個別に取り付けて納車準備完了となるようです。

今後は車両輸入のほか、指定部品となる各消耗品などもロングロードレーシング社より輸入、ストックし、開幕への準備を進めるとのこと。

すでにレース参戦を決めたユーザーもおり、車両手配が始まっていると聞くと、ますます来年のレースが楽しみになってきますね。

(文・写真:古川教夫)

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グローバルMX-5カップカーはモメンタムカー? ─ 開発ドライバートム・ロングさんインタビュー
http://clicccar.com/2016/08/28/394828

グローバルMX-5カップカーはモメンタムカー? ─ 開発ドライバートム・ロングさんインタビュー

「GLOBAL MX-5 CUP JAPAN」の参戦車両となるグローバルMX-5カップカーの試乗会が開催されるのに合わせ、開発ドライバーのトム・ロングさんも来日しました。

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トムさんは現在、マツダUSA/マツダ・モータースポーツが開発しているプロトタイプレーサーのドライバーでもあり、デイトナ24時間レースなどを擁するIMSAウェザーテック選手権に出場中です。

そんな彼も、実はそのレースキャリアをロードスターの北米仕様であるMX-5ミアータでスタートしているのです。

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2003年、NA型を相棒にスペックミアータというレースで始まったチャレンジは、2005年にはチャンピオンシップを獲得。NB型を経てコンチネンタルチャレンジでも好成績で戦歴を重ね、NC型に乗る頃にはフリーダムオートスポーツチームからレースエントリーするように。

アマチュアドライバーならば憧れるレーシングチーム所属となり、快進撃は続きます。

2011-20112年には4ローターエンジンを搭載したRX-8でデイトナ24時間レースに参戦、表彰台に上るなど大躍進。また自らも走っていたスペックミアータ・レースでは、ドライビングコーチとしてもロードスターに関わっていきます。

そしてND型ではグローバルMX-5カップカーの開発ドライバーとなっています。

まさにそのレースキャリアをMX-5ミアータ=ロードスターとともにステップアップしてきたヒストリーが見えてきます。

そんな歴代ロードスターを深く知るトムさんに、ロードスターのレーシングカーとしての資質やロードスターレースの魅力について訊いてみました。

すると「私たちはロードスターのことを『モメンタムカー』と呼んでいます」となにやら聞き慣れないコトバが飛び出しました。

トムさんに、歴代ロードスターをストリートで、そしてレースで走らせてきて感じている共通点、ロードスターの魅力について訊いてみたところ飛び出してきた『モメンタムカー』。それってどういう意味なのでしょうか。

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トムさんは続けます。

「ロードスターは、ご存知の通り大出力のエンジンはないけれど、軽量でレスポンスの良いシャシーとハンドリングを持っています。旋回スピードを含めてスタート地点からゴール地点までの平均速度を高く維持していくのが秘訣。

そのためには、タイヤと相談し、ブレーキングもステアリングも的確な速度で的確な量だけ動かすことが必要です。これも皆さんご存知のとおり『速く走りたいならアクセルをより速く多く踏めば良い。深く曲がりたければステアリングを速く多く回せば良い』というようなセンスのものではなく、スポーツカーを知らない方が思っているより少ない動きでしかもゆっくり……ですよね。

そして、更なるタイムアップのために、その引き出し方を最適解の上下にあるほんの小さな調整範囲内で少しずつ使っていき、操っていく。

速く走らせるには、ドライバーのすべてのスキルを常に最大限使ってマシンを走らせる必要があります」。

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ここでのモメンタムカーとは、うまくあらわせませんがすべてにおいて「足るを知るコトができるクルマ」といったところでしょうか。

「レースではさらに……」とトムさん。

「この効率よくアベレージを上げていく走らせ方をしながら、回りのライバル達の動き方を見つつ、ゴールまでレースプランを組み立て直し続けるというスキルが必要になります。

私がエントリーしていたミアータカップなどは出場台数も多く、もちろんすべてロードスターですから、そういった駆け引きも多く学べました。

ロードスターのレースはステップアップしていくために必要なものがたくさん含まれているのです。グローバルMX-5カップは45分のレース、長いレースになりますから、そういった戦術に対するスキルもアップできるはずです」。

「そのモメンタムカーとしての資質という点で、新型となったグローバルMX-5カップカーは人気が絶大だった初代MX-5に原点回帰している印象もあります。

パワーウェイトレシオが向上した上、ライトウェイトシャーシを手に入れたことでバランスのとれたプラットフォームとなって、運転するのがワクワクします。

初心者でもエキスパートでも、誰に乗ってもらっても価値のあるクルマにするというテーマで開発してきたマシン。まさにロードスターらしさに溢れているといえるでしょう」。

MX-5カップカー、北米市場ではすでに100台が販売され、各レースも40台前後のマシンで争われているという状況。来年から始まる日本でのレースにも注目ですね。

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トムさんは現在もプライベートではNB型のストリートカーを所有しているそうで、愛車を評して「今でもとてもファンなクルマだよ」とおっしゃっていました。

(文:古川教夫 写真:古川教夫・マツダ)

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あれっ? ロードスターって本当はドリフト向きだった?【D1GP】

ひょっとして……ドリフト界ではマイナー車だけど戦闘力は高いのでは?

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ドリフト競技はほとんどFR車で行われます。で、日本が誇るFRスポーツカーといえば、ロードスターも挙げられますが、ドリフト界ではあまり人気がありません。

S2000なんかもそうなんですが、まずノンターボだということが理由のひとつ。パワーを上げることが難しいんですね。

まぁ、ほかにも理由はあるかもしれませんが、そんな感じで、これまでもD1GPにはロードスターはいませんでした。

しかし、岩井照宜選手が、地元・広島愛が高じてついにロードスターをD1GPにデビューさせたのです。岩井選手といえば、かつてはKP61スターレットや、ダイハツ・シャルマンでD1に出ていた変わり者です。

ロードスターのエンジンではパワーに限界があるので、2ローターターボに換装されています。ロードスターといえば前後ダブルウィッシュボーンという高性能なサスペンション形式ですが、なんといってもKP61より短いという超ショートホイールベース。

そもそもD1GPマシンでの実績なんてありません。プライベート参戦で、けっして開発力が高いとはいえない岩井選手も手探りでマシン製作をしてきたのでした。

昨年の最終戦でデビューしたときは、まだあぶなっかしい走りで、最下位の得点で予選敗退。

ところが、今季の開幕戦ではあっさりと予選通過を果たします。パワーが要求される第2戦の富士はダメでしたが、筑波サーキットでの第3戦、第4戦は絶好調。なんと第4戦では単走優勝までしてしまったのです。

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さらに8月にエビスサーキットで行われた第5戦、第6戦でも毎回安定した高得点を獲得し、連日追走トーナメントに進出してポイントをゲット。ついにシリーズ8位にまで上がってきてしまいました!

この間、岩井選手の感触はかならずしもいいものではありませんでした。車両の動きはなかなか思い通りにならないそうです。

筑波のときには「浅めの角度でならコントロールできるけど、ある角度を超えると、勝手に角度がついちゃってコントロールがきかなくなる」とのことでした。

ちょうど筑波は、浅めの角度で審査コーナーに飛び込んでくるため、前半はコントロールがきく領域。そしてホイールベースが短く、軽量なこともあって振り返しは得意。最後のヘアピンは、コーナーにカントがついていることもあって、ちょうど“勝手についちゃう角度”のまま回っていくことができたそうです。

そしてエビスのときには「飛び出しをがんばっちゃうとコントロールを失ってどうしようもなくなるので、そこは捨てるしかない」というのが当初のコメント。ところが、それでも簡単に98点台後半という高得点を連発しました。飛び出し直後の最高速は、ほかの上位のクルマとくらべてだいぶ遅いにもかかわらずです。

データを見ると、ロードスターはずんぐりむっくりしているからわかりづらいだけで、けっこうドリフトの角度がついているようなんです。しかも、意外と角度の安定性が高い。そして、角度がついているにもかかわらずコーナリングスピードが高い。

上にも書きましたが、軽量かつショートホイールベースなので、振り出しや振り返しは得意です。結果ロードスターは“見た目にはよくわからないけど、じつは走りのレベルは高い”ということが判明しました。足りないのはパワーくらいのもんです。

「追走では上位に入れないじゃないか」というひともいるかもしれませんが、それはたぶん岩井選手の経験不足です。

だって、これまであまり追走やってきてないから。追走に強いクルマなのかどうかはわかりませんが、ドライバーがスキルアップすれば、もっと上位に入ってくる可能性はじゅうぶんあります。

もちろん、このロードスターはエンジンが載せ換えられているだけでなく、大幅な仕様変更を受けています。だからノーマルのロードスターがドリフトに向いているとは断言できません。

とはいえ、本来FRスポーツカーとして作られたロードスターは、あんがいドリフトでもその能力を発揮するのかもしれません。コンパクトで見た目の派手さがアピールしづらいので、これまで人間の審査でドリフト競技をやっていたときにはマイナー車種に甘んじていましたが、D1GPに機械審査が導入されて、その素性のよさが証明されたという可能性もあります。

競技に使うには大幅な仕様変更が必要ですが、グリップの低いタイヤを履いて練習するには、けっこういい車種だということもありえます。

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ただね、岩井選手のロードスターって、初代のNA6CEなんですよね。さすがに古いでしょ!

いまのロードスターはもう4代目になってますから。まぁ、岩井選手は予算の少ないプライベーターなのでしかたがないのですが、これだけ活躍しているのだから、次は岩井選手が現行ND型を投入できるようにサポートしてくれるスポンサーが現れることを期待したいです。

なお、8月5、6日にエビスサーキットで開催されたD1GP第5戦は齋藤太吾選手が、翌日に行われたD1GP第6戦は村山悌啓選手が優勝しました。第6戦の結果、齋藤選手の2016年シリーズチャンピオン獲得が決まっています。

D1GP第5戦の模様は9月26日発売の『ビデオオプションvol.271』に、第6戦の模様は10月26日発売の『ビデオオプションvol.272』に収録予定。

ビデオオプションの情報はこちらへどうぞ。また、D1グランプリの詳しい情報は、D1公式サイトでどうぞ。

(まめ蔵・写真提供:サンプロス)

世界一決定戦への出場権も得られる!! マツダが新レース「GLOBAL MX-5 CUP JAPAN」への協賛を発表 

「ロードスター・パーティレース」など、ロードスターにとってワンメークレースは欠かせないものになっていますが、現行型も「世界統一戦」というべき新しい参加型モータースポーツが明言されていました。

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2015年から開始された「プロジェクトWOMEN IN MOTORSPORT(ウィメン・イン・モータースポーツ)」は、モータースポーツ界での女性の活躍を推進すべく、「Mazda Women in Motorsport Project 2016」として今年も継続されます。

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また、ドライビングレッスン「Be a driver. マツダ・ドライビング・アカデミー」は従来の岡山国際サーキット、富士スピードウェイに加えて、東北・九州のオーナーも体験できるように開催地域を拡大。

さらに、参加型モータースポーツ「ロードスター・パーティレースIII」には、新型ロードスター(ND型)NR-Aクラスを新設。そして、2016年8月1日、MX-5(ロードスター)をベースにした世界統一仕様レース車による新レースイベント「GLOBAL MX-5 CUP JAPAN(主管:ビースポーツ)」協賛をマツダが発表しました。

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同日からキャロッセにて同レース車両の受注販売を開始し、2017年からは国内全5戦のシリーズ戦が行われます。さらに、シリーズ戦績上位ドライバーは、2017年以降にマツダレースウェイ・ラグナ・セカ(米国カルフォルニア州モントレー)で開催予定の世界一決定戦への出場権が与えられるというのが最大のポイント。

冒頭で紹介したように、国内モータースポーツにおいてはロードスターのナンバー付車両で気軽に参加できる「ロードスターパーティレース」などに協賛してきたマツダ。

さらに、ハイレベルなステージとして2017年から開催される 「GLOBAL MX-5 CUP JAPAN」への協賛も行われます。なお、「GLOBAL MX-5 CUP」レースは、世界に先駆けて今年から米国で開催されており、順次日本(GLOBAL MX-5 CUP JAPAN)や欧州など各地に展開していきます。

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同レースは、スリックタイヤを装着した純粋なレース仕様の車両を使い、毎戦異なるサーキットを舞台に単独で45分間の決勝レースを競う、ドライバーの技量が試される本格的なスプリントレース。可能な限り性能差が生じないよう指定部品の管理を徹底し、ドライバー搭乗時の重量まで調整を行うなどイコールコンディションの下でレースを実施。

レース車両の仕様と競技ルールを世界同一とすることで、公平な環境で、世界一のMX-5レーサーを目指す機会を提供するというマツダ(ロードスター)。日本を代表するスポーツカーが新しいステージに上がるきっかけになるかもしれません。

(塚田勝弘)

フィアット版マツダ・ロードスター「アバルト124スパイダー」の日本デビューは8月!

マツダとFCA(フィアットクライスラー)の協業から生まれ、ロードスターとプラットフォームを共にするオープン2シーターが「フィアット(アバルト)124スパイダー」です。

マツダが生産を担当する、このヘリテージを感じさせるスポーツカーの日本デビューの日付が明らかとなりました。

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初お披露目に選ばれたのは「クラシック ミーツ モダン」をキャッチフレーズにかかげる自動車イベント『AUTOMOBILE COUNCIL 2016 (オートモビル カウンシル 2016)』です。

会場は千葉県・幕張メッセ 2・3ホール 、会期は2016年8月5日(金)〜 8月7日(日)9:00〜18:00(※8月5日(金)の9:00〜12:00は、プレスタイムのため一般入場不可)となっています。

また、FCAジャパンでは全国のフィアット正規ディーラーにおいてアバルト全車を取り扱うことを発表しています。もちろんアバルト124スパイダーもその対象となります。

NAエンジンを積むロードスターに対して、1.4リッターターボを搭載する124スパイダー。その走りは、そして価格は? 日本デビューに合わせた情報公開に期待が集まります。

(山本晋也)

ロードスターのデザインは薄着勝負!? RFの狙いはどこに?

マツダ・ロードスター(海外名MX-5)が、2016年ワールド・カー・オブ・ザ・イヤーに加え、ワールド・カー・デザイン・オブ・ザ・イヤーを同時受賞しました。

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同じくファイナリストだったジャガーXEを下しての受賞。その理由はどこにあるのか? 受賞直後のいま、あらためてチーフデザイナーに話を聞きました。

[語る人)
マツダ株式会社デザイン本部
チーフデザイナー・中山 雅

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──まず魂動デザインそのものについてお聞きします。今回は世界的な賞を受賞したわけですが、そもそも魂動デザインは海外市場を想定したフィロソフィーだったのでしょうか?

「意識はしますが媚びはしません。たとえば、アメリカ人に寿司を出すにはマヨネーズをかけた方がウケそうですが、それでは日本発信の意味がない。マツダがいま考える日本美の本質は「引き算」の美で、油彩のように絵の具を盛るのではなく、水墨画のようにスッと一発で決めるような美しさです。まだまだ試行錯誤中ですが、そこを突き詰めれば世界に通用すると確信しています」

KODO

──獣がいまにも走り出しそうなイメージを伝えるのが魂動デザインですが、いまエモーショナルなデザインは世界的時流とも言えます。その中で魂動デザインの独自性はどこにあるのでしょう?

「ロードスターでは、エモーショナルとシンプルという相反する要素の両立を目指しました。服装でたとえればシンプルとはTシャツにジーンズのような薄着。そこでエモーションを表現するには体形のよさが必須です。つまり、ベースがよければ薄着でもいいデザインはできる筈。その点、逆に厚着に頼っているメーカーがあるかもしれませんね(笑)」

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──マツダの新世代ラインナップはシグネチャーウイングやボディのキャラクターラインなど、コンセプトカー「SHINARI」のモチーフを採用していますが、ロードスターだけにはその要素が見当たりません

「遠目でSHINARIを見ると本質的なスタイルのよさが浮かんできますが、そこを採り入れたと。全長3.9mのコンパクトなボディで、しかもドライバーが外から見えるという特殊な条件では、できるだけ要素を省く必要があったのです。つまり、ロードスターだからこそのデザインアプローチなんです」

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──では、受賞の話を。あのジャガーを抑えての快勝となったわけですが、今回、世界のジャーナリストからはどのような評価の声が届いていますか?

「やはりプロポーションのよさですね。中でもフロントオーバーハングの短さ、キャビンの小ささへ賞賛をいただいています。このミニマムなボディは、いわば設計部門の全面的協力があってこそです。つまり、単にカタチの評価だけではないことがダブル受賞の価値だと思っています」

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──ただ、プロポーションのよさはどのメーカーも意識しているかと思いますが、マツダデザインとの違いはどこにあるのでしょう?

「条件、つまり機構等によるデザインの制約はどこも一緒なんです。デザイナーの仕事というのは言ってみればその制約をいかにクリアするかで、最初からあきらめてしまうか否かの違いでしょう。各国のデザイナーによるプロ視点では、よくぞそこを突破したネという評価だと思います」

──受賞会場のニューヨーク・ショーではファストバックスタイルのRFを発表しました。ルーフ全体が格納できなかったことからの逆転の発想と聞きますが、この提案も世界に影響を与えそうですね

「はい。一見タルガトップに見えつつリアガラスが開く、つまりエンジン音がオープンと同様に聞こえるというのはまったく新しい価値です。また、実は屋根は開かなくていいからクーペを作って欲しいという声が多いのですが、その回答のひとつになるかもしれませんね」

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──では最後に今後について。発表間もない新型としては、次のモデルチェンジまでの長い間、いかに魅力的な成長をするのかが重要です。その点、何か具体的な計画はありますか?

「たとえば黄色のボディが出たら絶対買う!など、スポーツカーの購入動機は実用車とちょっと違う。今回のRFもそうですが、そうした特別な嗜好に応えるような展開が必要です。もちろん色も重要な要素ですね。いずれにしても、ロードスターは明快な理由をもってデザインしたクルマですから、そこをひっくり返すようなことは絶対にしませんので安心してください(笑)」

──本日はありがとうございました。

(聞き手:すぎもとたかよし)

ギネス記録を更新中!マツダ・ロードスターが累計生産100万台を達成

マツダは、「マツダ ロードスター(海外名:MX-5)」の累計生産台数が4月22日に100万台に達したことを発表し、Webサイトに特設ホームページを開設しました。

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「ロードスター」の100万台達成は、1989年4月に宇品第一工場で初代モデルの生産を開始して以来、27年で達成したことになります。

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「ロードスター」100万台達成の特設ページでは、「ロードスター」愛が高じて32台のロードスターを収集しているロードスターファンの様子を動画で紹介しています。

マツダの小飼 雅道(こがい まさみち)代表取締役社長兼CEOは、

「初代の登場以来、これまで3度のフルモデルチェンジをしながら今日まで販売を続けることができたのは、世界中で『ロードスター』を支持してくださっているお客様のおかげです」

と感謝をコメントしています。

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マツダでは、100万台達成記念車を5月3日に開催される「第40回ひろしまフラワーフェスティバル」への参加をはじめ、日本国内、世界各国のファンイベントを巡回し、展示することを予定しています。

・国内の「ロードスター」100万台達成記念車展示予定

2016年 5月3日 第40回ひろしまフラワーフェスティバル 花の総合パレード
2016年 5月8日 オアシス ロードスター ミーティング
2016年 5月12日-27日 マツダブランドスペース大阪
2016年 5月29日 軽井沢ミーティング201

・「ロードスター」の沿革

1989年 2月 米シカゴモーターショーにて初代ロードスター発表
1997年10月 東京モーターショーで2代目ロードスター発表
1998年12月 10周年記念限定車発表
2000年 5月 「2人乗り小型オープンスポーツカー生産累計世界一(531,890台)」ギネス世界記録認定
2002年 1月 累計生産台数60万台達成(ギネス世界記録認定)
2005年 3月 ジュネーブモーターショーで3代目ロードスター発表
2005年 4月 累計生産台数70万台達成(ギネス世界記録認定)
2006年 7月 英国国際モーターショーでリトラクタブルハードトップモデル発表
2007年 1月 累計生産台数80万台達成(ギネス世界記録認定)
2009年 7月 20周年記念車発表
2011年 2月 累計生産台数90万台達成(ギネス世界記録認定)
2014年 4月 25周年記念車発表
2014年 9月 4代目ロードスター発表
2016年 3月 ニューヨーク国際モーターショーでロードスターRF発表

ロードスターがこれからも「2人乗り小型オープンスポーツカー」生産累計世界一のギネス世界記録を更新し続けることを、自動車ファンとして、日本人として期待しましょう。

特設ホームページ:【MAZDA】ROADSTER 25th ANNIVERSARY

(山内 博・画像:マツダ)

新型マツダ・ロードスターRFは快適性も期待大!

「走りを愉しむのであれば軽ければ軽いほどいい」というのは、歴代マツダ・ロードスターが最大の課題として追求してきたこと。ですが「自分が乗るクルマは屋根があるものを選ぶという方は少なくありません」とは、マツダ・ロードスターRF(MX-5 RF)の広報資料にあるフレーズ。

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確かに、ソフトトップの防犯性や耐候性を考慮し、ましてや新車で手に入れるのであれば青空駐車は避けたい気持ちになります。

実際に先代ロードスターのライフサイクル終了時の販売台数のうち、リトラクタブルハードトップモデルは半数以上を占めていた、と聞くとリトラクタブルハードトップモデルの重要性が理解できます。

走りを極めたい人には軽いソフトトップモデルを、オープンエアと快適性の両方を重視したい人には、さらにファストバックスタイルという新しい美しさも手に入れたロードスターRFを提供するという戦略は、間もなく世界累計生産台数100万台を迎えるロードスターにとって、何代もモデルチェンジを繰り返す意味でも、幅広いユーザーの獲得は重要なのでしょう。

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ロードスターRFで気になる快適性は、オープン時にはアクリル製の大型エアロボードが後方から巻き込んでくる風を抑制。

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サスペンションや電動パワステもロードスターRF専用チューニングが施されていて、軽快な走りを提供しながら、より落ち着きのある上質な乗り心地を実現しているそうですから楽しみです。

快適性を左右する遮音関連では、フロントルーフとミドルルーフの内側に吸音タイプのヘッドライナーを、またリヤホイールハウスに遮音材を採用し、クローズ時の静粛性を大幅に向上したそう。

気になるのが、身を削るようにして得た軽量化がRFではどうなっているのかという点ですが、車両重量は明らかになっていませんので、登場を待ちたいと思います。

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そのほか、インテリアデザインの変更点は、3眼メーター左側のインフォメーションディスプレイに、リトラクタブルハードトップ開閉動作中のアニメーションが表示される専用の4.6インチTFTカラー液晶を配置。また、エアコンダイヤル下のパネルにリトラクタブルハードトップの開閉ボタンが追加されています。

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シートは市場により異なるそうですが、オーバーンカラーのナッパレザーが採用され、落ち着きのある洗練された雰囲気になっているそうで、シートやドアトリムセンター部などには、グレーのステッチが施されています。

(塚田勝弘)

【関連記事】

■リトラクタブルハードトップのマツダ「MX-5 RF」を世界初公開! 日本向けロードスターは2リッターになる?
http://clicccar.com/2016/03/23/361991/

■マツダ「MX-5(ロードスター) RF」画像ギャラリー ─「魂動デザイン」の新ボディカラー「マシーングレー」採用
http://clicccar.com/2016/03/23/362009/

マツダ・ロードスターのリトラクタブルハードトップの開閉方法が判明!

3代目である先代(NC)ロードスターにリトラクタブルハードトップモデルが加わったのは、2006年8月(日本市場)。日本市場向けの車名は「マツダ・ロードスター パワーリトラクタブルハードトップ (RHT)」、北米向けも「Mazda MX-5 Power Retractable Hard Top」でした。

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なお、3代目ロードスターのライフサイクル終了時の販売台数のうち、リトラクタブルハードトップモデルは半数以を占めていたそうで、天候や季節を問わない快適性、そして防犯性や耐候性などを重視する方がそれだけ多い、ということでしょう。

現行(ND)ロードスターに加わるリトラクタブルハードトップモデルは、北米向けは「Mazda MX-5 RF」。リトラクタブルハードトップの「R」とデザインの特徴であるファストバックスタイルの「F」を表現しているそうです。

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気になるリトラクタブルハードトップの開閉方法ですが、新型ではフル電動化されていて、10km/h以下なら走行中でも開閉が可能。

先代NCでは、前席頭上にあるロックを解除してから(手動式のトップロック)、開閉スイッチを押すという手順でしたが、フル電動化ということは、ほかのライバル車のようにスイッチひとつで開閉が可能になったということでしょう。

なお、先代はルーフを3分割し、シートバック後方のキャビンスペース(ソフトトップを収納する)に格納するシステムで、コンパクトなリンク機構の採用とモータ駆動制御により、量産車の電動ハードルーフモデルとして世界最速の12秒という開閉時間を実現していました。

新型は10km/h以下なら走行中でも開閉が可能なうえ、フル電動化され、フロントルーフ、ミドルルーフ、リヤルーフの3つのルーフとバックウインドウで構成される電動格納式ハードトップが採用されています。

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気になる開閉時間ですが、開閉時にはそれぞれのパーツの動きをオーバーラップさせることで、世界最短レベルのルーフ開閉時間を実現しているそうです。

また、ファストバックスタイルのデザイン、そしてソフトトップモデルと同じ荷室容量を両立。

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そのトランク容量は、ルーフ収納時でもソフトトップモデルとまったく変わらず、130L(DIN方式)が確保されていて、550×400×220mmサイズとなっています(キャリーオンバッグがふたつ積載可能)。

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なお、ロードスターRFのボディサイズは、ソフトトップモデルとまったく同じ全長、全幅、ホイールベースですが、全高のみ+5mmとなっています。

(塚田勝弘)

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■「魂動」デザインの魅力を際立たせるボディカラー「マシーングレー」を採用 ー マツダ「MX-5 RF」画像ギャラリー
http://clicccar.com/?p=362009

マツダ・ロードスターが「ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞

毎年、ニューヨーク国際自動車ショーの場で開催されている「World Car of the Year(WCOTY)/ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー」。「World Car Awards」により世界で販売されているニューモデルからイヤーカーを決めるという賞です。

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過去にどんなモデルが大賞に輝いているか見てみると、2015年はメルセデス・ベンツCクラス、2014年がアウディA3、2013年はVWゴルフとなっています。

日本車では、2011年に日産リーフ、2008年にマツダ・デミオ、2007年にレクサスLS460が「ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー」を獲得。

そして2016年は、ニューヨーク国際自動車ショーでリトラクタブルハードトップモデルのMX-5 RFを世界初公開したマツダ・ロードスター(MX-5)が「ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー」に輝きました。

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新型MX-5 RFのお披露目を祝うような快挙ですが、「2015-2016日本カー・オブ・ザ・イヤー」も獲得しているロードスターの受賞ラッシュが続くのでしょうか。

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公式サイトによると「今回のマツダの快挙は、ライトウェイト・スポーツという原点のコンセプトに帰ってスポーティなデザイン、優れたハンドリングを実現したMX-5ロードスターを世界が高く評価、支持した結果といえる。パフォーマンス、ヴァリュー、エモーションでの評価項目で2位のメルセデス・ベンツGLC、アウディA4に差をつけた」と、ドイツ勢2台を退けての快挙とレポートしています。

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ほかの賞では、「ワールド・ラグジュアリー・カー」にBMW7シリーズ、「ワールド・パフォーマンス・カー」にアウディR8クーペ、「ワールド・カー・デザイン・オブ・ザ・イヤー」にマツダMX-5ロードスター、「ワールド・グリーン・カー」にトヨタMIRAIが輝いています。

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ロードスターは大賞とデザイン部門の2冠となりましたが、1車種によるダブル受賞は、同賞創立以来初の快挙です。

先述したようにマツダは2008年にマツダ2/マツダ・デミオが、「ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー賞」を受賞していますが、2014年には3ファイナリストに選ばれつつも受賞を逸していただけに喜びも大きいはず。

また、2016年の「ワールド・グリーン・カー賞」の3ファイナリストには、トヨタMIRAIのほか、シボレー・ヴォルト、トヨタ・プリウスが入っていました。北米では、カリフォルニア州でのZEV規制の強化で、ハイブリッド車が対象車から外れたこともあり、MIRAIへの期待が高いはず。トヨタもひと安心でしょうか。

Audi R8 is the “2016 World Performance Car”

なお、ホンダ・シビック・タイプRは、「ワールド・パフォーマンス・カー」の3ファイナリストに選ばれていましたが、アウディR8が受賞しています。

(塚田勝弘)