Motor Fan's YEAR 2016

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【IAA 2016】ダイムラーがEVトラックを来年後半に導入!

ドイツのハノーバーで9月22日に開幕した商用車ショー「IAA 2016」。

同ショーでダイムラーが、メルセデス・ベンツの大型EVトラック「Urban eTrack」と、FUSOの小型EVトラック「eCanter」をワールドプレミアしました。

Daimler_Urban_eTrack

ダイムラーでは、市街地での騒音・排気ガス問題など、社会ニーズへの対応として、ディーゼル車に代わるEVトラックの開発を急いでいるそうです。

「Urban eTrack」は車両総重量26トンで、都市部での食料品輸送などの用途を想定しており、高性能リチウムイオン電池(2.5トン)搭載により、出力100kWの場合、2〜3時間で充電を完了。

Daimler_Urban_eTrack

最大で200Kmまでの輸送が可能で、自動運転(CityPilot)やコネクテッドカーの機能を搭載して、2020年頃の実用化を目指しているそうです。

また「eCanter」は、FUSOの「キャンター」をベースにした「eCELL」の第3世代となる7.5トンクラスで、最大航続距離は100km、市内での積荷配達等での利用を想定しているそうです。

Fuso_eCANTER

ディーゼル車比で維持費を30%削減可能で、初期費用を2年で回収できるとか。

ポルトガル工場と川崎工場で製造、単眼カメラによるレーン逸脱防止機能を搭載しており、リチウムイオンバッテリーの搭載数を用途に応じて変更できるモジュール形式を採用。2017年後半から欧州、北米、日本の市場に投入する計画。

IAA_2016

日本でも依然として坂道にさしかかると、黒鉛を吐きながら重い積荷を苦しげに運搬するトラックが散見され、近隣への環境や後続車への影響を考えると、EV化は本来、乗用車よりもトラックを優先させるべきなのかもしれません。

Avanti Yasunori・画像:ダイムラー、IAA)

【関連リンク】

IAA(ハノーバーモーターショー)
http://www.iaa.de/

この発想は便利。乗り降りしている人も確認できるアラウンドビューモニター

これは便利。アイデアが素晴らしい。

32台もの商用車を集めておこなわれた、報道向けの「小型商用車(LCV)オールラインナップ試乗会」。その会場内でボクの興味を引いたのが、新しいタイプのアラウンドビューモニター。

「アラウンドビューモニター」というのは車体の前後左右に取り付けた4つのカメラ画像を合成し、車両を真上から見下ろす俯瞰画像として画面に映す仕掛け。

バック時に車両後方を写すバックモニターの発展型で、車両周囲360度を見渡せるから安全確認がしやすく(クルマの直近にある障害物は死角となるので意外に気付きにくい)、そして駐車枠や周囲の車両との位置関係が理解しやすく車庫入れをサポートしてくれる機能です。

今やいろんな自動車メーカーに、それこそ高額なクルマだけでなく軽自動車にまで広まりつつあるけれど、最初に実用化したのは日産なんですね。

20160317Nissan LCV AloundView_11

そんなアラウンドビューモニター。ボクも知らなかったんだけど、派生モデルともいえる通常と違うタイプもあったんです。その違いをもっとも表している画面がこれ。

20160317Nissan LCV AloundView_09

普通のアラウンドビューモニターとの違いが分かります?

そう、乗り降りしている人が確認できるんです。

普通のアラウンドビューモニターの側面用カメラはドアミラーについているので、地面付近の障害物は映るけれど乗り降りしている人がいても足元しか映らない。

しかしこのモニターは、ルーフにカメラがついていて乗り降りしている人やドアの周りの様子が一目瞭然というわけなのでした。

このシステムは普通の乗用車ではなく、NV350キャラバンベースの送迎車や福祉車両、幼稚園バス、そして救急車用に考えられたもの(オプション設定)。運転席から乗り降りの様子がしっかりと確認できることで、利便性、そして安全性を高めようというアイデアなのです。

また、狭い場所では前方モニターも大活躍。クルマは真後ろだけでなく車両直前も死角であり、実はギリギリまで寄せるのは難しいけど、モニターがあれば距離感がつかみやすいから簡単確実に車両を寄せることができるのです。

送迎車などの購入を考えているみなさん、この機能を用意しているのはキャラバンだけ。「あのライバル」にはありませんから、よく検討しましょう!

(工藤貴宏)

何台知ってる?実は日産が販売する車両の5台に1台は商用車。

世界規模でみると、日産が販売している車両のうち5台に1台が商用車。

ボクも知らなかったのですが、例えば日本でも2015年4月から2016年1月までの日産の車種別販売台数を見ても、6位がクリッパー(NT100やNV100)、7位がNV350キャラバン、そして8位がADと、トップ10のうち3台は商用車なのだそう。こういうのを隠れ人気車っていうのでしょうか。

20160317Nissan LCV etc_01

日本では10モデルの商用車を販売しているのですが、代表的なモデルを紹介しましょう。あなたは何台知っていますか?

■NV350キャラバン

20160317Nissan LCV Caravan-G_01

先日のマイナーチェンジで自動ブレーキが追加され、クラス唯一の自動ブレーキ装着車となりました。カスタマイズモデルやキャンパー仕様、福祉車両などバリエーションも豊富です。

■NV200バネット

20160317Nissan LCV NV200_01

NV350キャラバンよりも一回り小さな商用ワンボックス。駆動方式はFRです。

■NV200タクシー

20160317Nissan LCV NV200Taxi_05

バネットをベースにしたタクシー。日産はセダン型タクシーの供給をやめ、すべてバン型を販売しているのです。

セダン型タクシーと違って荷室に大型スーツケースが複数積めるのが最大の特徴で、空港では大人気。燃料はLPGとガソリンのバイフューエル(どちらも使える)なんですよ。

■e-NV200

20160317Nissan LCV e-NV200_23

NV200をベースにリーフのパワーユニットを搭載して電気自動車化したモデル。2列シートと3列シートがあります。日本で販売される車両もスペイン製の「輸入車」です。

■アトラスF24

20160317Nissan LCV Atlas_01

1.15〜2トン積みをラインナップする小型トラック。兄貴分として最大積載量2〜4トンとひとまわり大きな「NT450アトラス」もあり、そちらは三菱ふそうからのOEM供給。

ちなみに三菱ふそうはドイツのダイムラー(ベンツを擁する会社)の傘下にあり、日産とはアライアンスの関係です。

■タイタン(手前)とNP300ナバラ(奥)


20160317Nissan LCV Navara_28

日本では絶滅状態にあるピックアップトラックも海外では大きな柱。北米だけで販売されているタイタンは全長約6mの巨大なボディで、ベッドと呼ばれる荷台が大きいだけでなく居住スペースもセダン顔負けの広さ。ワイルドですねー。

NP300ナバラは東南アジア、欧州、オセアニア、そして南米と世界各地で発売されているグローバルカー。昔で言う「ダットラ」ですね。

えっ、タイタンの走る様子が見てみたい?ではこちらもどうぞ。

(工藤貴宏)