Motor Fan's YEAR 2016

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米ニコラ・モーター、燃料電池が動力源の大型トラック「ニコラ ワン」を発表

米国のベンチャー企業 ニコラ・モーター(Nikola Motor)は、水素を燃料とする燃料電池を動力源とする大型トラック「ニコラ ワン (Nikola One)」を、ユタ州ソルトレイクシティで600人以上の報道陣を集めて発表しました。

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「ニコラ ワン 」は、電気モーターによる駆動系で駆動され、容量320kWhのリチウムイオン電池と燃料電池を搭載しています。燃料電池からの電力でリチウムイオン電池を充電しながら走行し、800〜1200マイル(1280〜1920km)の航続距離があります。

1000馬力以上の出力と2000ft.lbsのトルクを発揮し、米国でクラス8と呼ばれている軽油燃料のディーゼルエンジンを搭載する従来型のトラックの性能を、完全なゼロ・エミッションで超えているということです。

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「ニコラ ワン 」には燃料電池でバッテリーを自動的に充電するシステムが備えられていますが、万一燃料電池からの充電が停止しても、満充電なら100〜200マイル(160km〜320km)をバッテリーだけで走行できます。

「ニコラ ワン 」は当面リースのみで提供され、リース・プログラムでは、72カ月のリース期間中、保証とメンテナンスが含まれているだけでなく、水素燃料を回数制限なく充填することが可能です。

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ニコラ・モーターは、これから「ニコラ ワン 」の製造工場を米国内に建設する計画で、2017年の前半には工場の設置場所を決定する予定です。米国とカナダに水素ステーションのネットワークを構築する計画もあり、こちらは2018年1月から開始する予定で、水素を製造する電力にはメガソーラー(大規模太陽光発電所)を活用して、エコをアピールすると見られます。

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気になるバッテリーパックの構造は、発表によるとテスラ社と同様の汎用「18650サイズ」のバッテリーセルを多数個連結している模様で、1個のバッテリーパックの容量は107 kWhで重量は1000lb(450kg)であるとしています。

これから推測すると、発表されたプロイトタイプ車には3個のバッテリーパックが搭載されている模様です。だたし、量産モデルのバッテリーの搭載量については、今後のテスト結果で増やすことも、減らすこともあり得るとしています。

バッテリーパックの保証期間は7年間または1,000,000 マイル(160万km)に設定され、あらゆる天候・気候に耐えることができ、路面の凍結防止剤にも耐久性を備えています。

最近、日本のトヨタも燃料電池を搭載した大型トラックについて、米国で事業化調査を進めると発表したばかりで、今後トラック分野でも燃料電池車の開発・実用化が急速に進展するものと見られます。

(山内 博・画像:ニコラ・モーター)

米Uberが自動運転の長距離トラックでビール5万本を配送!

Uberの子会社「Otto」が、自動運転トラックで5万本のバドワイザービールの長距離配送に成功したそうです。

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このトラックは、完全自動運転が可能な「レベル4」を満たしているそうですが、複雑な交差点が存在する一般道ではドライバーが運転を担当。ハイウェイに入ると、ドライバーは運転席後方の仮眠用スペースに移動して自動運転中の様子を確認。

Uber-Otto

トラックは安全な車間距離を維持し、システムが必要と判断した際に車線変更を実行、コロラド州フォート・コリンズからコロラド・スプリングスまでのハイウエイ部分120マイル(約190km)を自動運転で走りきったそうです。

Uber-Otto

米国の運送業界では、需要に対して4.8万人のドライバーが不足しているそうで、2024年には17.5万人にまで拡大すると予想されています。

Uber-Otto

Uberはこの点に着目し、今年の8月に約7億円で「Otto」を買収。

「Otto」の自動運転システムは一式約300万円程度で、一般的なA/T仕様の大型トラックにも取り付け可能といいます。

同社はサンフランシスコ地域に6台のテスト車両を配置しており、システムの更なる改良に向けて実験走向を繰り返している模様。

日本でも運転手不足に伴う過重労働により、バスや大型トラックの事故が絶えず、こうした自動運転システムは乗用車よりも先に実現すべきなのかもしれません。

Avanti Yasunori

【IAA 2016】ダイムラーがEVトラックを来年後半に導入!

ドイツのハノーバーで9月22日に開幕した商用車ショー「IAA 2016」。

同ショーでダイムラーが、メルセデス・ベンツの大型EVトラック「Urban eTrack」と、FUSOの小型EVトラック「eCanter」をワールドプレミアしました。

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ダイムラーでは、市街地での騒音・排気ガス問題など、社会ニーズへの対応として、ディーゼル車に代わるEVトラックの開発を急いでいるそうです。

「Urban eTrack」は車両総重量26トンで、都市部での食料品輸送などの用途を想定しており、高性能リチウムイオン電池(2.5トン)搭載により、出力100kWの場合、2〜3時間で充電を完了。

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最大で200Kmまでの輸送が可能で、自動運転(CityPilot)やコネクテッドカーの機能を搭載して、2020年頃の実用化を目指しているそうです。

また「eCanter」は、FUSOの「キャンター」をベースにした「eCELL」の第3世代となる7.5トンクラスで、最大航続距離は100km、市内での積荷配達等での利用を想定しているそうです。

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ディーゼル車比で維持費を30%削減可能で、初期費用を2年で回収できるとか。

ポルトガル工場と川崎工場で製造、単眼カメラによるレーン逸脱防止機能を搭載しており、リチウムイオンバッテリーの搭載数を用途に応じて変更できるモジュール形式を採用。2017年後半から欧州、北米、日本の市場に投入する計画。

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日本でも依然として坂道にさしかかると、黒鉛を吐きながら重い積荷を苦しげに運搬するトラックが散見され、近隣への環境や後続車への影響を考えると、EV化は本来、乗用車よりもトラックを優先させるべきなのかもしれません。

Avanti Yasunori・画像:ダイムラー、IAA)

【関連リンク】

IAA(ハノーバーモーターショー)
http://www.iaa.de/

東京アールアンドデーが燃料電池小型トラックの技術を開発し、福岡で実証へ

自動車技術の研究・開発会社の東京アールアンドデーは、環境省の技術開発・実証事業で「燃料電池小型トラックの技術開発・実証」事業を行うと、発表しました。

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東京アールアンドデーとグループ会社のピューズは共同で燃料電池トラックの技術開発を行い、車両の基本性能や働く車としての実用性などの検証を経て、普及の基本型となる燃料電池トラックを実現するということです。

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(この画像は東京アールアンドデーのEVです)

実証事業では、福岡市で「下水バイオガス原料による 水素製造時にCo2を排出しないグリーン水素」を用いて、福岡市内のエリア共同輸配送を手がける天神地区共同輸送株式会社(通称:イエローバード、本社:福岡市)と共同で2018年度に実際の配送業務を行い、本事業後の2019年度に燃料電池トラックの量産を目指しています。

(山内 博・画像:東京アールアンドデー)

トヨタ・ダイナ/トヨエース2t積系を一部改良し、プリクラッシュセーフティを2t積系トラックに初搭載

高速ツアーバスの事故などを受け、12tを超える大型バスは2014年(平成26年)11月1日以降の新型車、継続生産車は2017年(平成29年)9月1日以降、衝突被害軽減ブレーキ(自動ブレーキ含む)の装着義務化が決定していて、22tを超える大型トラックもすでに2014年(平成26年)11月からの義務化がスタートしています。

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それよりも小さいトラックでは、3.5t以上のトラックでも平成31年11月以降(新型車)、2021年(平成33)年11月以降(継続生産車)への義務化、さらにバス、トラックへの車線逸脱警報装置(LDWS)の義務づけも国土交通省より発表されていて、車両総重量により施行時期は異なりますが、新型車は2017年(平成29年)11月から、継続生産車は2019年(平成31年)11月から順次適用されます。

[nextpage title=”トヨタ・ダイナ/トヨエース2t積系に、プリクラッシュセーフティを搭載”]

4月7日、トヨタのダイナ、トヨエース2t積系が一部改良され、5月6日から発売されます。

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その目玉は、衝突回避や衝突時の被害軽減を支援する「プリクラッシュセーフティ(歩行者検知機能付)」と、車線逸脱による衝突事故の回避を支援する「レーンディパーチャーアラート」の標準装備(標準キャブ 車両総重量5t未満の一部車型)。

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システムは、「Toyota Safety Sense P」と同様に、ミリ波レーダーと単眼カメラを組み合わせ、異なる2つのセンサーで高い認識性能と信頼性を両立し、多面的な安全運転支援を可能としたもの。

なお、「プリクラッシュセーフティ」は、先進安全自動車(ASV/Advanced Safety Vehicle)に対する減税措置に適合し、横滑り防止装置である車両安定性制御システムの「VSC」と合わせて装備することにより、自動車取得税が取得価額から525万円控除、自動車重量税は75%(初回のみ)減税の対象になります。

そのほかの装備では、スマートエントリー(運転席・助手席アンサーバック機能付)&スタートシステムを設定(オプション)し、利便性も向上。また、TECS(メーカー完成特装車)もベース車と同様の改良が施されているほか、新仕様のスライド式ダンプや荷台フロアの強度を高めたダンプを設定するなど、ラインナップも充実しています。

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価格帯はカーゴが417万2727円〜508万6800円、ルートバンが427万9745円、TECS(メーカー完成特装車)が440万9345円〜546万6763円となっています。

(塚田勝弘)

まるでUFO。日産の電動トラックe-NT400の走りの衝撃は異次元の世界だった

これは素晴らしい! まるでプロペラ機からUFOに乗り換えたみたいな異次元感。

軽トラックからマイクロバスまでたくさんの商用車を集めて開催された日産の商用車大試乗会。

とっかえひっかえいろんな商用車に触れた後、帰りがけに広報スタッフから聞かれたのが「いちばんよかったのはどれですか?」という質問。

「e-NT400に決まっているじゃないですか」とボクは即答しました。

だって凄いんです、e-NT400。ここまで異次元感を味わえるのは、年間200台以上の車に乗る僕だってそう経験できることじゃありません。まるで脳天を貫かれたようなレベルです。

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e-NT400のどこが素晴らしいか。走りが凄いんです。

エンジンをかけるとガラガラガラと荒々しい音を立ててアイドリングする、振動も乗員にたくさん伝わってくる。加速は鈍くてかったるい。

ディーゼルエンジンを積む商用トラックはだいだいそういう感じ。ドライバビリティとか快適と言う言葉は本当に本当に縁遠い。

だけど、e-NT400はそんなトラックらしさがすべてない。「影を潜めている」とか「緩和されている」なんてレベルじゃなくて一切ないんです。これを大革命といわずしてなんと表現したらよいものか。

……なんて書くと大げさだと思うでしょ? でもこれでも控えめに書いているくらいの衝撃だったのです。

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ところで「e-NT200」ってなにか。実はエンジンを取り外してかわりにリーフ譲りの電動ユニットを組み込んだモーターで走る電気トラック。

まだ試作車レベルで発売はしていないけれど、量産化を目指して宅配会社や生協が日産のパートナーとなりモニターで使用しています。

その走りが凄い。見た目が普通のトラックだから動きが鈍いと思うじゃないですか。だけどアクセルを踏み込むとヒューンという甲高いインバーター音(だけどうるさくはない)を発しながら滑るように加速。

それが滑らかなだけじゃなく俊足なのだから最初に見たときは目を疑いましたワタクシ。そのうえ加速感だって伸びやかで爽快。なんだこの見た目のギャップの大きさは。

その様子は言うなれば目を疑う速さで疾走するカバ。その見た目の想像を裏切る感覚が痛快です。もはや異次元の世界。道路を走るUFOですこれは。

そのうえ、メリットは加速感だけじゃないのだからまた素敵。

「EVだから環境にやさしい」なんて優等生的なことを言うつもりはないけれど、アイドリングがないから閑静な住宅街でも音が迷惑にならないし、エンジンの振動がないから乗り心地だっていい。

ドライバーにとってはいかにもトラック的な加減速のクセが少なくて運転しやすい。そして振動がないから精密機械などの荷物がシェイクされずにだってすむ(かもしれない)。

もちろん通常のEV同様に長距離は無理だけど、担当地区を回る宅配会社の集配業務など狭い範囲での使い方には最適です。

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だけどすぐに実用化できないネックがやっぱりあって、そのひとつが航続距離の短さ。いまの仕様(リーフ用24kWバッテリーを搭載)だと実質30キロくらいしか走行距離が持たないのだそうで。

「この倍くらい走れば広く活用できると思うのですが」と開発者は言ってました。まずはリーフ上級仕様用の30kWバッテリー搭載かな。ポテンシャルは高いと思います。

それから高価なバッテリーを積むので価格も安くはない。これも事業者にとっては難しい問題。バッテリー搭載の都合で荷物スペースも狭くなってしまう。

とはいえ、個人的にはこの電気トラックにはとても将来性を感じるし期待したいところ。だって、ガラガラうるさいエンジン音で近所迷惑にならないし、とっても運転しやすいんだから。乗用車よりも電動化のメリットがあるんじゃない?と思っているくらい。

それにしても、あの加速の爽快感は思わず顔がにやけちゃった。トラックなのに。

(工藤貴宏)

本場のドラッグレースを目の当たりに!【モーターファンフェスタ in FSW】

ドラッグレースという競技をご存知ですか?ドラッグレースとは1/4マイル、つまり400mをいかに早く駆け抜けるかという競技で、本場はアメリカ。

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日本ではゼロヨンといわれたこともあるドラッグレースですが、本場のドラッグレースは一味もふた味も違います。

上の写真のドラッグマシンはK’s SPEED MASTER CUTLASS BASE TOP ALCOHOL FUNNY CARというマシンで排気量は8,620ccにスーパーチャージャー装備でアルコール燃料を使って1/4マイルを6.9秒で駆け抜けます。

7秒かからないなんて想像してください、っていっても出来るものではないですよね。そんなとんでもない怪物がモーターファンフェスタ in FSWにやってきます。

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一番上で紹介したファニーカーのほかにも本場のドラッグマシンの数々が搭乗!

DR,ROBERT’S RACING THE GUN FIGHTERS
ドライバーSchekenberg,E Robert
ガスドラックスター(ガソリン仕様)
エンジン=シボレースモールブロック400キュービックインチ(約6555cc)
NOSシステム搭載 1150馬力
ベストタイム 7秒9
トップスピード307.2キロ

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バイクもあります。

REDMOTOR スズキGSX-R
車体 TRACDYNAMICS  T-4プロストックシャーシー
エンジン スズキGSX1150EFベース 1640cc 最大圧縮比21:1 最高出力350PS 重量180kg
電装 DYNATEC製 DYNA400SP
外装 エアーテック製 GSXR-750
最高タイム 0-400m 7.3秒/290km 最大加速G    4.5G
過去戦歴 全日本ドラッグレース選手権 8位

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アベグミGSX-R
本場NHRAプロストックバイク専用車体
車両ベース GSX-R1000R
エンジン スズキGS(空冷)ベース1500㏄2バルブ 350馬力
国内最高タイム 仙台ハイランド専用コースで7.469秒のPSBコースレコード

参加するマシンのスペックがすごすぎてイメージが掴めないという方もいらっしゃることでしょう。そんな方は下に紹介する動画で、とにかくすごいということだけでも感じていただけたら幸いです。

こんなスゴイドラッグマシンもやってくるモーターファンフェスタ in FSWは4月24日に富士スピードウェイで開催です。

モーターファンフェスタ in FSW
イベント概要
タイトル:モーターファンフェスタ in 富士スピードウェイ
会 場:富士スピードウェイ(静岡県駿東郡 小山町中日向694)
日 程:2016年 4月 24日(日)8:00〜18:00
主 催:モーターファンフェスタ運営委員会
協 力:富士スピードウェイ株式会社
メディアパートナー:J-WAVE 81.3FM、InterFM897、TOKYO FM
FM NACK5、bayfm、K-mix、ZIP-FM
TOKYO MX、静岡朝日テレビ
入 場 料:無料
駐 車 場:前売り ¥1,600 / 当日 ¥2,000

 

(松永和浩)