Motor Fan's YEAR 2016

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トヨタの新型パワートレイン発表で見えてくる、今後の車載電池の動向

トヨタは、2021年までの今後5年間に導入する新型パワートレインを発表しました。

今回の発表には、エンジン・トランスミッションと並ぶハイブリッドシステムの重要な構成要素である車載電池に関する発表も含まれており、今後5年間のトヨタの車載電池に対する基本的な考え方が明らかになりました。

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今回の発表の要旨は、

①新型バッテリーの小型化でリアシート下への配置が可能になった
②2021年まではハイブリッド車にはリチウム電池とニッケル水素電池を併用する
③新型プリウスPHVにはリチウム電池を搭載する

という3点です。

まず、①の新型バッテリーの小型化については、従来リアトランクの底に配置されていた車載電池をリアシート下へ移動させることが可能になり、荷室容量の増加が期待できます。

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次に②の、リチウム電池とニッケル水素電池の併用については、従来からのトヨタの基本方針を踏襲したかたちです。

トヨタではハイブリッド車の車載電池について、ニッケル水素電池は古い、枯れた技術ではなく、まだまだ進歩する余地があり、今後も活用していくと説明しており、今回のリチウム電池とニッケル水素電池の併用も、その考え方に基づくものです。

公表された両方の電池の写真を見ると、リチウム電池の方がニッケル水素電池より一回り小さな印象で、リチウム電池の容量4,0Ahでニッケル水素電池の容量が6.5Ahとなっている発表資料のデータからも納得できます。トヨタでは、車載電池の搭載スペース、充放電能力によってリチウム電池とニッケル水素電池を選択しているものと見られます。

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われわれユーザーが車種を選択する際には、自分の希望する車種・モデルがリチウム電池を搭載しているのか、ニッケル水素電池なのかが気になるところです。

③の新型プリウスPHVにリチウム電池を搭載する点については、車載電池の容量を大きくして、EV走行距離・速度粋を拡大することを重視して、リチウム電池搭載を決定したものと考えられます。

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今回の発表でトヨタの車載電池の方針が明らかになり、今後ハイブリッド車・PHV車の電動走行が拡大するにつれて、トヨタもリチウム電池を重視する方向に転換して行くと予想されます。

ハイブリッド・PHVを重視するトヨタの車載電池に対する姿勢の動向に注目が集まっています。

(山内 博・画像:トヨタ)

トヨタが新型2.5L 直列4気筒直噴エンジンと8速/10速ATを開発!! CO2排出量を15%以上削減へ

豊田章男社長の直轄であり、トヨタグループ総力を挙げてのEV参入で話題を集めているトヨタ。しかし、2040年時点でも何らかの形で内燃機関を使った車両は80%近く残るという分析もあります。

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EVやFCVなどの電動化車両へのシフトは徐々に進んでいくのは間違いないにしても、従来からのガソリン、ディーゼルエンジン、トランスミッションの進化はまだまだ伸ばす必要があり、マツダが「HCCI(予混合圧縮着火)」の開発を推進しているのもその一例といえます。

今回、トヨタから発表された2.5L 直列4気筒の新型直噴エンジンは、エンジンの実力を最大限引き出すために「TNGA」により基本骨格を一から見直したものだそうで、構造と構成を刷新することにより、高い走行性能と環境性能を両立させた「Dynamic Force Engine」と命名。今後もさらに進化させていくとしています。

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同エンジンは、高速燃焼技術、可変制御システムの採用のほか、排気・冷却・機械作動時などの様々なエネルギーロスを少なくして熱効率を向上させるとともに、高出力を両立するとしています。

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新開発の2.5Lガソリン車用エンジン、ハイブリッド用エンジンは、それぞれ世界トップレベルの熱効率40%、41%を達成しています。同時に、緻密な制御による高レスポンス化と全速度域での高トルク化など、多くの新技術の採用により全面的に見直し、大幅に進化させたそうです。

また、新しい8速AT(FF用)、10速AT(FR用)も、エネルギーロスを最小限にし、伝達効率を高めるためにギヤやクラッチなどに様々な対策が施されています。

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ギヤは、歯面の摩擦係数を低くする新たな加工が施され、ギヤが噛み合う時のエネルギー伝達ロスを削減。機構内の摩擦材形状が最適化されたクラッチは、回転時のクラッチの損失トルクを約50%低減(従来型6速AT比)するなど世界トップレベルの伝達効率を達成。

ほかにも、小型軽量化により車両燃費を向上させるとともに、低重心化により直進およびコーナリングの走行安定性向上に寄与するそうです。

また、ギヤをワイド化するとともに、高性能・小型トルクコンバーターを新開発し、ロックアップ領域を拡大。アクセル操作に素早く、滑らかに反応するようになり、走りの質が高められています。

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10速ATの「Direct Shift-10AT」は、8速から10速に段数をアップさせてトータルのギヤ数を増やしながら、低・中速域を中心に、各段の使用領域(段数)を最適化するクロスギヤが採用されています。これにより、FRプレミアム車にふさわしいスムースかつ世界最速レベルのクイックな変速が生み出すダイナミックな走りを実現。

もちろん、FR向けハイブリッドも進化しています。4代目プリウスに採用された小型、軽量、低損失化技術を継承し、2.5Lエンジン用ハイブリッドシステムを一新するとともに、FR用の高性能「マルチステージTHSⅡ」を新開発。

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この2.5LのTHSⅡは、小型・軽量・低損失化技術と、TNGAによる新型エンジンの高い燃焼効率と高出力との相乗効果により、優れた動力性能、低燃費を高次元で追求したとしています。

具体的には、ハイブリッド車の走りのイメージを一新する高い発進加速性能とダイレクト感あふれる走りを実現。高速走行時のシステム効率の向上に加えて、高車速域でもエンジン間欠運転を可能にすることで高速燃費を向上しているそうです。

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プラグインハイブリッドシステムは、従来のモーター走行に加えて、これまで発電機として使用していたモーターを走行用としても使用する「デュアルモードドライブシステム」を搭載。欧州車などでも採用されている技術ですが、これにより力強いEVモード走行を実現。

各国の排ガス規制に対応すべく環境性能を高めるのは必須になっています。しかし、そこには従来よりも力強い走りも必要で、新パワートレーンを搭載させた車両を2021年には、トヨタの車両販売台数の60%以上に拡大(日本、米国、欧州、中国が対象)。CO2排出量は15%以上削減するとしていますから、新生トヨタに注目が集まります。

2021年までの5年間でエンジンは、今回開発した2.5Lガソリンエンジンを含め、9機種(17バリエーション)、トランスミッションは多段化AT、新機構の無断変速機(CVT)など4機種(10バリエーション)、ハイブリッドシステムは6機種(10バリエーション)の投入予定とされています。

(塚田勝弘)

SUVなのにリムジン!? ボルボXC90にショーファードリブン仕様が登場

ショーファードリブンの定番といえば高級サルーンが思い浮かびますが、ボルボがリリースした「XC90 Excellence(エクセレンス)」は、オーナー自らがステアリングを握るよりもリヤシートにゆったりと身をゆだねるのが似合う、いままでにないSUVに仕上げられています。

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「XC90 Excellence」は、ボルボが初めて投入する4人乗りSUVで、運転手付で移動するユーザーを想定。注目のリヤシートは、フロントシート同様の独立式で、シートヒーター、ベンチレーション、マッサージなどの機能が付加されています。

ほかにも、クーリングボックス、後席それぞれで使える折り畳みテーブル、保温/保冷機能付カップホルダーなどビジネスクラスのような豪華なシート、装備を用意。

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XC90のインテリアは、ベース車でも北欧デザインらしいクールで、高い質感を備えています。

「XC90 Excellence」には、さらにひし形の専用デザインが施された「パーフォレーテッド・ファインナッパレザー」のシートをはじめ、レザートップ・ダッシュボードなど、最高級の品質にこだわった素材を採用。

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スウェーデンを代表するクリスタルブランドであるオレフォス社によるハンドメイドのクリスタルグラスと クリスタル製グラスカップホルダーも見どころです。

ほかにも、ショーファードリブンにふさわしく、車内の防音性能も強化されていて、「Bowers&Wilkins」のサウンドシステムの性能をより引き出せるそうです。

ベース車は、XC90の最上級グレードであるPHVの「T8 Twin Engine」がチョイスされています。

同パワートレーンは「Drive-E」と呼ばれる2.0Lの直列4気筒スーパーチャージャー付直噴ターボエンジンと電気モーターの2つのユニットを組み合わせることで、320ps+87ps (欧州参考値)という高出力と、15.3km/L(JC08モード)の燃費性能を実現。電気モーターのみで35.4km (充電電力使用時走行距離)のEV走行が可能になっています。

「XC90 Excellence」の正式なモデル名は、「XC90 T8 Twin Engine AWD Excellence」 で、価格は1299万円です。

(塚田勝弘)

新型トヨタ・プリウスPHVの発売延期が決定。その理由とは?

トヨタ・プリウスPHVの新型モデルは、国内では2016年6月に開催された「スマートコミュニティJapan 2016」において初めて日本仕様が披露されました。

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新型プリウスPHVは、モーターだけで60kmと、現行型(26.4km)の2倍超となる走行距離を目標値に掲げ、さらに、EV走行時の最高速度も100km/hから時速135kmまで引き上げられています。

気になる燃費(JC08モード走行ハイブリッド燃費)も従来型の31.6km/Lから37km/Lに向上。なお、素の新型プリウスは燃費スペシャルのS(2WD)が37.2km/L、4WDのE-Four「S」が34.0km/Lとなっています。

ほかにも、ソーラー充電システム(日本、欧州仕様のみ)を搭載しているほか、急速充電機能(日本仕様のみ)や、11.6インチ大型ディスプレイを備えるなど、トヨタMIRAIには手が届かない、インフラ面からも現実的ではないけれど、気になる存在という方も多いはず。

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見どころ満載の新型プリウスPHVの発売は、今秋頃の予定とされていましたが、今冬に少しずれ込んだそうで、ティザーサイトの表示も今冬と変更されています。

発売延期の理由は、部品供給などの生産面なのか、市販車での性能達成までもう少し時間が掛かるのかなど技術面なのか、いくつか考えられます。詳細は明らかにされていませんが、後者は少し考えにくいですね。

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なお、プレスリリースによると、

「今回モデルチェンジ予定の新型車は、4代目プリウスをベースとしながら、EV走行距離の大幅拡大や先進的なデザインの採用など、お客様がPHVに求められる要望に応えることで、電気を活用した新しいカーライフスタイルを提案できるクルマを目指し開発に取り組んでまいりました。今回、お客様により良いクルマを着実にお届けするため、発売時期を延期することを決定しました。何卒ご理解賜りますようお願いいたします」

とアナウンスされており、さらに性能を上げるのか、先述したように目標値に達していないのか明確には分かりません。

「着実にお届けする」という言葉から、生産上の都合であり、新型プリウスPHVに殺到するであろうオーダーに対応する体制強化であることを願いたいものです。

(文/写真 塚田勝弘)

次期スープラは DCT搭載の「スポーツ PHV」で登場か?

東京モーターショー17、もしくは翌年1月のデトロイトショー18でワールドプレミアされ、同年秋頃の発売が予想されている新型スープラ。

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海外でも同車に関する報道が増えつつあるなか、イギリスの自動車メディア「Auto EXPRESS」が興味深い情報を伝えています。

これまでにもお伝えして来たとおり、新型スープラはデザインこそトヨタ・オリジナルですが、スポーツカーとして肝となるパワーユニットに加えてプラットフォームも「Z4」の後継となる「Z5」と共通化され、生産もBMWが担当するようです。

BMW製2.0L直4ターボエンジン(2種類)と3.0L直6ターボエンジンが搭載され、後者にはトヨタのハイブリッド・システムが組み合わされるとの予想。

同メディアでは、そのハイブリッド・システムについて詳しく伝えており、ルマン24Hレースで戦う「トヨタ TS050ハイブリッド」の技術を採り入れる可能性があるとしています。

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具体的には、BMW製ガソリンエンジンで後輪を駆動、車両前後に搭載したトヨタ製モーターの出力を全輪に伝えるハイブリッド・システムを採用しているとのこと。

米国のZEV規制対応に伴って充電可能な「PHV」仕様とし、減速時の回生電力を利用してリチウムイオンバッテリーを充電する構造。

トランスミッションについても、ハイブリッド車用のCVTではなく、スピーディなシフトを可能にするトヨタ初の「DCT」(デュアルクラッチトランスミッション)が採用されるとしています。

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さらに、BMWの軽量化技術により車重を1,400kg以下に抑えており、Z5共々軽量化が図られているそうなので、その「走り」には相当期待できそう。

新型「スープラ」のワールドプレミアが今から大いに待たれます。

Avanti Yasunori ・画像:TOYOTA USA)

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新しいプリウスPHVは4人乗り ─ トヨタ「プリウスPHV」画像ギャラリー

デザインの好き嫌いは人により差があるでしょうが、新しいプリウスPHV、個人的にはノーマルのプリウスよりもカッコよく見えました。

タブレットのようなサイズの11.6インチ大型ディスプレイを備えた内装の先進性の高さも魅力的に思えます。

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居住性で気になるのは、後席が2人掛けになることで乗車定員が4名になる点。

販売現場の声を聞くと、普段は5人乗車などほとんどしないのに「気になる人は気になる」ポイントだそうで、どう評価されるでしょうか。

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ボディサイズは、ノーマルのプリウスよりも全長が105mm長い、全長4645×全幅1760×全高1470mm。ホイールベースは2700mmで同値になっています。車両重量は1510kgで150kg重くなっています。

重量増がハイブリッド走行時の実燃費にどう影響するかも気になるところ。

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エンジンは素のプリウスと同じ「2ZR-FXE」型の1.8L直列4気筒DOHCで、98ps/142Nm、トランスミッションも同じ電気式無段変速機。

モーターは駆動用に加えて発電用モーターも駆動時に使われるようになり、モーター形式は「1NM」に「1SM」が加わり、「1NM/1SM」となっています。

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駆動用モーターの最高出力は53kW(72ps)、最大トルクは163Nmとノーマルのプリウスと変わっていませんが、発電用モーターの「1SM」が駆動にも使われることで23kW(31ps)、40Nmという出力とトルクを得ています。

ただし、システム最高出力は90kW(122ps)でプリウスと同値で、先代プリウスPHVの100kW(136ps)よりも若干下がっています。

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すでにテストコースでの走行試験はもちろん、販売店関係者によると営業担当者のトレーニングも実施されているそうですから、ほぼこのまま市販化されるのは間違いなく、あとは値付けがどうなるかが最大の注目ポイントになりそうです。

(文/写真 塚田勝弘)

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2035年にPHVの世界市場が32倍、EVが17倍に拡大する!?

世界のマーケット情報や企業情報のレポートを手掛ける富士経済が、次世代自動車の市場動向を調査、その結果をまとめた「2016年版 HEV、EV関連市場徹底分析調査」を公開しました。

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報告書によると、現状ではHVが次世代自動車市場を牽引しているものの、2020年頃を起点にPHV、EVの市場拡大ペースが加速。2030年頃には拮抗し、その後PHVとEVがHVを抜き去り、逆転するとしています。

PHV:欧州、北米、中国で2025年頃より大幅な需要増加
EV:2015年に市場が大きく伸張。今後中国の需要増加がけん引
HV:日本を中心に市場が拡大。欧州や中国は伸び悩む

2035年頃にはPHVの世界市場が欧・米・中を中心に665万台(2015年比:約32倍)まで拡大、EVについても567万台(同 約17倍)に達するとしており、共にHVの468万台(同 約3倍)を上回ると予測。

欧米各メーカーを中心としたPHVとEVの多車種展開により、市場の伸びが予想されるとしています。

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その背景として、北米のZEV(Zero Emission Vehicle)規制により、HVがZEV認定の対象から外れたことや、各国に於けるPHV・EVへの優遇策(購入補助他)による普及拡大とそれに伴う車両の低価格化、急速充電器の普及、二次バッテリーの容量アップによる航続距離拡大などをあげています。

次世代自動車の更なる普及拡大には世界的に需要が高いSUV、ピックアップトラックの電動化が有効としており、今後の企業戦略に活かせそうな内容となっています。

Avanti Yasunori ・画像:富士経済、トヨタ自動車)

554万円〜という戦略的価格を付けたプラグインハイブリッドのBMW 330 eの走りは?

こちらでは、プラグインハイブリッドのBMW 330 eとメルセデス・ベンツC 350 e アバンギャルドの価格設定をはじめとした比較をお届けしました。

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554万円〜というBMW 330 eと、メルセデス・ベンツC 350 e アバンギャルド(単一グレード)の721万円という価格差には驚かされますが、BMW 330 eは、カタログから落ちた2.0L直列4気筒ターボを搭載する純ガソリン仕様の330i系と価格は同じくらいで、その代役と考えると納得できます。

さて、330 eの魅力はなんと言ってもモーター駆動らしく低速域の力強さ、スムーズかつ静かな走りでしょう。

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状況に応じてモーターとガソリンエンジンをバランス良く使う「AUTO eDrive」、最速120km/hまでモーター走行が可能な「MAX eDrive」、バッテリー残量を最大50%まで増やせる「SAVE Battery」の3つに加えて、シフトレバーをM/S側に倒すことで充電量を最大80%まで増やせる「CHARGE Battery」と、走行モードを選べる点もプラグインハイブリッドならではの長所といえそう。

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最も気になるのは、BMWらしいフットワークを味わえるかどうか、という方も多いでしょう。

部分的とはいえ電動車両らしく重量を感じさせる乗り味に加えて、それをカバーするためか、パワーステアリングの手応えが妙に軽く感じるのが少し気になります。また、乗り心地はMスポーツだと路面によってはやや硬めに感じられるシーンもありました。

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PHV化されても前後重量配分50:50にするなど、BMWらしいこだわりはコーナリング時の重心の低さという恩恵を得ているとも受け取れますが、バッテリー搭載による低重心フィーリングは好みが分かれそうです。

(文/塚田勝弘 写真/前田惠介)

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プラグインハイブリッド対決! BMW 330eとメルセデス・ベンツC 350 eの違いとは?
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プラグインハイブリッド対決! BMW 330eとメルセデス・ベンツC 350 eの違いとは?

2016年3月から納車が開始されているプラグインハイブリッドのBMW 330e。

EV走行距離は36.8kmとやや短いものの、120km/hまでモーター走行が可能で、そこにBMWらしい走りが備わっていれば気になる存在ではないでしょうか。

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554万〜599万円という価格帯も注目点で、最大のライバルといえるメルセデス・ベンツのC 350 eアバンギャルドが721万円という高めの設定ですから、BMW 330eの価格帯は確かに戦略的といえそう。

なお、C 350 eアバンギャルドはEV走行が28.6km、最高速は130km/hとなっています。

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では、両車を比べるとBMW 330eの勝ちでキマリか、というとそんな簡単ではありません。

BMW 330e は2.0Lの直列4気筒ターボエンジンと8ATによるパワートレーンを搭載し、184ps/5000rpm、290Nm/1350-4250rpm、モーターは88ps(65kW)/2500rpm、最大トルク250Nm。システムトータルの最高出力は252ps(185kW)、最大トルクは420Nmとなっています。

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一方のC 350 eアバンギャルドは、211ps/350Nmというパワフルな2.0L直列4気筒ターボに、82ps(60kW)/340Nmというモーター、システム出力も279ps(205kW)/600Nm。パワー、トルクともに圧倒的に上回っています。

同じコースを乗り比べたわけではありませんが、BMW 330eもアクセルを踏み込めばまさしく必要十分といえる力強さが得られるものの、まさにスポーツハイブリッドといえるC 350 eアバンギャルドの「いざ」という時のトルク感、加速力の伸びも明確に違います。

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トランスミッションはBMW 330eは8AT、C 350 eアバンギャルドは7AT。ただし、実際の走行フィールはどちらもスムーズでほとんどケチのつけようがない印象ですから、気になるポイントとはいえないでしょう。

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なお、JC08モードハイブリッド燃費はBMW 330eが17.7km/L、C 350 eアバンギャルド(セダン)のJC08モード燃費が17.2km/Lとほぼ互角となっています。

(文/塚田勝弘・写真/前田惠介、小林和久)

プリウスPHVを「見て座って」分かった、プリウスとの違いは?

日刊工業新聞などの一部報道によると、9月後半から生産を開始する新型プリウスPHVの生産台数は年間5〜6万台規模だそう。

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新型プリウスPHVは「素のプリウスで十分じゃない?」といわれないように、内・外装のデザインや装備を一部変更するなど、「売る気満々」というのが「スマートコミュニティJapan 2016」で公開された実車からも伝わってきます。

専用の4眼LEDヘッドライトやブラックアウト化されたフロントグリルなど、顔つきからも違いを感じさせますが、見た目での最大の違いはオプションのソーラーパネル、インパネの11.6インチ「T-Connect SDナビゲーション」でしょう。

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ソーラーパネル発電で走行できる距離は、当然ながら地域や日照などの条件により異なりますが、豊田市で充電させたところ、JC08モード換算で5km程度の走行が可能という数値が出たそう。なお、発売時には一定の参考値が公表されるはず、とのことです。

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11.6インチの「T-Connect SDナビゲーション」の完成度も非常に高く、タッチコントロールの反応も、たとえばテスラ・モデルSや三菱電機製パネルを採用するボルボXC90(こちらは手袋をしたままでも操作できるのがウリ)と比較しても申し分ないという印象。

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機能としては最新の「T-Connectナビ」と変わらないですが、充電状態や充電スケジュールなどPHVならではのメニューが追加されているほか、ソーラーパネルを含めたエネルギーフローも当然表示されます。

また、PHV化で気になるのがバッテリーによる居住性、積載性への影響ですが、ノーマルのプリウスは後席下にバッテリーが積まれていますが、プリウスPHVは荷室下に配置が換えられていて、荷室フロアが77mm高くなっていますが、ゴルフバッグ2セットが積載できるとのこと。

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なお、荷室フロアボードの下をのぞこうとしたり、後席背もたれを倒して段差ができるか確認したりしましたが、この2つはNGが出ました。

後席の座り心地は、新型プリウスって「こんなに低かったかな?」という低い位置に座らせるのも印象的ですが、中央の大型コンソールはアームレストとしても機能するうえに、座面、背もたれともに後席としてはまずまずのフィット感を抱かせるのも朗報といえそう。

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そのほか、バックドアの一部にカーボンを採用しているプリウスPHVですが、その開閉感は軽く、ボディの軽量化以外にも力を入れずに開閉できるという利点も感じさせてくれます。

(文/写真 塚田勝弘)

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EVとしても使える新型「プリウスPHV」、年間生産6万台!
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プラグイン車両の利便性を高めるメルセデスのワイヤレス充電

メルセデスに代表されるプレミアムブランドを展開するダイムラーが「TecDay」と名付けた技術発表会をドイツにて開催しました。

次世代に向けて、様々なテクノロジーが発表された中に、電気自動車やプラグインハイブリッドなどの利便性を上げるアイデアがありました。

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それが「非接触充電」です。駐車場の床面と車両側それぞれにコイルを配置することで実現するダイムラーの非接触充電は、最大3.6kWの出力が可能で、伝送効率は約90%といいます。

非接触充電自体は他メーカーも実験・デモンストレーションをしていますが、2017年にSクラスのプラグインハイブリッド車にオプション設定するというロードマップを描いていることが、ダイムラーの先進性です。

非接触充電システムが現実となれば、駐車場に止めるたびに充電プラグを車両に接続するといった手間がなくなるため、充電を忘れてしまうことも減り、ユーザーは意識することなくプラグインハイブリッドであるメリットを享受できるというわけです。

(山本晋也)

トヨタと米スタンフォード大、駆動用バッテリーのコストを半分に!

米スタンフォード大学とトヨタグループの豊田中央研究所が共同で、EVやPHVに使用する駆動用2次バッテリーの価格をリチウムイオン電池の半分以下にできる技術を開発したそうです。

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日経新聞によると、使い切りタイプの「亜鉛電池」をベースに従来の弱点を克服、蓄電池化に成功した模様。

これまでの亜鉛を使う電池には「デンドライト」(樹状析出)と呼ばれる充電時に樹氷のような形状に成長する針状結晶がセパレーターを貫通してショートが発生するなど、蓄電池には応用しにくい課題がありました。

そこで、充電時に発生する針状の亜鉛が電池を破壊しない方向に伸びるよう設計を工夫し、繰り返し充電できるようにしたそうです。

亜鉛を使った電池は電解液を使っているため発火リスクが無く、製造、維持コストを抑制でき、既存設備が使用できることから追加投資も抑えられます。

現行のリチウムイオン電池と同等の性能を維持した上で、価格を半分以下に抑えることができるそうなので、電動車のように大量に電力を使う用途向けに普及しそう。

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一方、リチウムイオン電池にもまだ伸びる余地があり、亜鉛の蓄電池との間で棲み分けが進みそうです。

Avanti Yasunori ・画像:トヨタ自動車、豊田中研)

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NEDO、500km走れる「革新型EV電池」の開発に着手!
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次世代リチウムイオン電池開発が本格化!電動車のモーター走行距離倍増へ
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バッテリー性能革新とインフラ整備進展でEV本格普及へ
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VWパサート・ヴァリアントのPHV「GTE」登場。EV走行距離51.7km/L、価格は519万9000円〜

フォルクワーゲンからゴルフGTEに続く、プラグインハイブリッド(PHV)第2弾となるパサートGTE、パサートヴァリアントGTEが登場しました。

後日、プレス向けに発表会・試乗会が開催されますので、ここでは注目ポイントをご紹介します。

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パワートレーンは、1.4L TSIガソリンエンジン(156ps)とPHEV用に専用開発された3つのクラッチを内蔵する6速DSG。

エンジンとトランスミッションの間には、発電機を兼ねた85kW(116ps)を発生する電気モーターをコンパクトに挟みこんだ「GTE」専用のPHEVドライブユニットが採用されています。

駆動用バッテリーは、外部からの充電が可能なエネルギー容量9.9kW/hのリチウムイオンバッテリーを搭載。

なお、ゴルフGTEは同じ1.4L TSIですが最高出力は150ps、駆動用バッテリーは8.7kWですから、大型化・重量増に対応したパサート用のパワートレーンになっています。

走行モードはゴルフGTE同様に、「EV」、「ハイブリッド」、「GTE」という3つのモードを用意。イグニッションをオンにすると、モーター走行の「Eモード」としてスタートし、走行します。

EVモードでの航続距離は、現在国内で販売されているすべてのPHVのセダン、ステーションワゴンの中で最長となる51.7kmを誇ります(JC08モード)。

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さらにこのEモードでは、電気モーターだけで最高時速130km/hまでの加速が可能で、「ハイブリッド(以下:HV)モード」では、エンジンと電気モーターを効率よく駆動して走行することでJC08モード燃費21.4km/Lという燃費を実現。

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グレード構成は、標準仕様の「GTE(セダン、ヴァリアント)」、安全、先進装備をより充実させた「GTE Advance」という上級グレードをセダン、ヴァリアントの両方に設定。

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追加装備として、デジタルメータークラスター「Active Info Display」、ヘッドアップディスプレイ、アラウンドビューカメラ「Area View」、駐車支援システム「Park Assist」、ドライビングプロファイル機能のほか、ナパレザーが採用用されたパワーシート(シートヒーター付き:運転席/助手席)、アダプティブシャシーコントロール「DCC」、235/45R18インチモビリティタイヤと8JX18インチアルミホイールなどが用意されます。

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価格は「パサートGTE」が519万9000円、「パサートGTE Advance」が579万9000円、「パサートヴァリアントGTE」が539万9000円、「パサートヴァリアントGTE Advance」が599万9000円です。

(塚田勝弘)

BMW 2シリーズ アクティブツアラーのPHVモデル、225xeの走りは上質か?

「BMW 2シリーズ アクティブ ツアラー」に追加されたプラグインハイブリッド(PHV)の「225xe」は、4WDの「xDrive」とモーター走行の組み合わせと思われる車名の「xe」からも分かるように、1.5Lの直列3気筒ターボに後輪を駆動するモーターを組み合わせた4WDとなっています。

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エンジンは「218iアクティブツアラー」と同じく、最高出力136ps/4400rpm、最大トルク220Nm/1250-4300rpmというスペック。モーターは88ps(65kW)/4000rpm、165Nm/3000rpmという数値になっています。

システム合計で224ps/385Nmというパワーを誇ります。0-100km/h加速は6.7秒(ヨーロッパ仕様車値)ですから、まずまずの俊足ぶりというのが分かります。なお、組み合わされるトランスミッションは6AT。

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4WDシステムはフロントを駆動するエンジンと、リヤを駆動するモーターという組み合わせたオンデマンド式ですが、モーターは停止時から最大トルクを発生するため、バッテリー状態やアクセルの踏み込む方次第によりますが、125km/hまでは(MAX eDriveモード時)まではモーターによる後輪駆動になります。

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走り出しはモーター走行なのでもちろん静かで、エンジンが始動しても1.5Lの直列3気筒は予想以上に力強さがありますから、街中、そして郊外の坂道などを乗る分には動力性能に不満を抱くことはまったくありませんでした。

「SPORT」モードで気持ちよく走っていると、バッテリーはあっという間に減っていきますが、バッテリーの充電量を最大50%まで増やせる「SAVE」モードにも変更できますので、状況に応じた走りをゲーム感覚で楽しめます。

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気になる乗り味は、バッテリーを低い位置に積むとはいえ重量物がプラスされることを感じさせるもので、ボディが前後、左右に揺すられるような動きが気になりました。

もう少しストローク感があるといいのでしょうが、SUVのような車高の高さがないだけに仕方ないかも。

短時間の試乗だったため実燃費や高速域の走りなど、分からないことだらけでしたが、街中では部分電動車両らしい静粛性の高さなど、純ガソリン仕様やディーゼル車にはない魅力も確認できました。

(文/塚田勝弘 写真/前田惠介)

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■「BMW 225 xe アクティブ ツアラー」は買いか? 欧州メーカーがPHVを導入するワケは?
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BMW創立100周年を記念した特別な「330e」が登場!!

BMWは創立100周年を迎え、それを記念した特別仕様車「Celebration Edition(セレブレーションエディション)」を2016年5月から相次いで発表しています。

すでに「3シリーズ セダン/ツーリング」「2シリーズアクティブツアラー」「7シリーズ」「M6」「i8」をベースにした特別仕様車が発表されており、今回、BMWの中核を担う「3シリーズ」のプラグインハイブリッドモデルである「330e」がそのラインナップに新たに加わりました。

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「330e」は、同社が販売するDセグメントセダン「3シリーズ」のバリエーションのひとつであり、最大の特徴は2.0L直4ターボエンジンに電気モーターを組み合わせたプラグインハイブリッドである点。

モーター単体で36.8kmの走行を可能とするほか、外部電源から車載バッテリーへの充電もできるため、使い方次第ではガソリンをまったく使わずに走るという芸当もこなせる1台であります。

7月9日(土)から100台限定での販売がはじまる「330e Celebration Edition」では、特別オプション・プログラムである「BMW Individual」から厳選のアイテムを多数装備。

エンブレムに彩られるブルーとホワイトの世界観を際立てるために、角度や光の当たり方によってダーク・ブルーの中に微細なターコイズが輝いているような煌きを放つタンザナイト・ブルーを纏うほか、19インチのBMW Individualアロイ・ホイール・スタイリング626を装備しています。

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一方のインテリアでは、手作業による仕上げで手触りと風合いにこだわったオパール・ホワイト色のメリノ・レザー・シートに加えて、ピアノの製作工程と同様のピアノ・ラッカー技術を利用したBMW Individualピアノ・フィニシュ・ブラック・インテリア・トリムと、レザー・フィニッシュ・ダッシュボードを組み合わせて上質な空間に仕立てられています。

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その他にも、速度や簡易ルート案内をフロントウィンドウに表示するBMWヘッドアップ・ディスプレイやharman/kardonサラウンド・サウンド・システムなどの実用的なアイテムも標準で装備。車両本体価格はベースの「330e Luxury(597万円)」より81万円高の678万円。

(今 総一郎)

専用色「タンザナイト・ブルー」が輝く「BMW 330e Celebration Edition」は100台限定

BMW3シリーズに追加されたプラグインハイブリッド(PHV)の「BMW 330e」は、554万円〜599万円という価格設定で、CクラスのPHVは「C350eアバンギャルド」のみで、707万円という価格になっています。

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長年のライバルである3シリーズとCクラス、PHVで戦略が分かれたのは興味深いですが、「BMW 330e」は120km/hまでの速度域で最長36.8kmまでEV走行が可能。「C350eアバンギャルド」は、最長28.6km、最高130km/hまでのモーター走行に対応するとしています。もちろん上記数値はカタログ値なので、実走行では半分から7割程度に減ると思われます。

BMW100周年記念モデルが続々と登場していますが、7月9日から100台限定で発売される「BMW 330e Celebration Edition(セレブレーション・エディション)」は、最上級グレードの「BMW 330e Luxury(ラグジュアリー)」がベース。

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BMWのブルーとホワイトの世界観が表現されたエンブレムがありますが、同限定車はオプションプログラムの「BMW Individual(インディビデュアル)」による最高品質のボディカラーとレザーインテリアで表現されているのが特徴です。

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同エンブレムは、プロペラをモチーフにして、バイエルンの白い雲と青い空をイメージしたとされています。「青い空」をイメージしたブルーをテーマにした同限定車の外観は、特殊な顔料が生み出す色彩の変化が特徴的な「BMW Individual」のカラーの中から、角度や光の当たり方によってダークブルーの色調の中に微細なターコイズが輝いているかのような煌めきを放つという「タンザナイト・ブルー」が採用されています。

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また、質感の高さを感じさせる19インチの「BMW Individual」アルミホイールが足元を引き締めています。

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一方のインテリアは、ホワイトの世界観が表現されていて最高品質の牛革のみを使用し、手作業によるレザー本来の滑らかな手触りと自然な風合いを実現したという「BMW Individualレザー・メリノ・インテリア・プログラム」からオパール・ホワイト色の「メリノ・レザー・シート」をチョイス。

さらに、ピアノの製作工程と同様のピアノラッカー技術が採用されている「BMW Individualピアノ・フィニシュ・ブラック・インテリア・トリム」、「レザー・フィニッシュ・ダッシュボード」との組み合わせも鮮烈な印象を与えます。

100台限定の「BMW 330e Celebration Edition」の価格は678万円で、ベース車よりも約80万円高という設定です。

(塚田勝弘)

「BMW 225 xe アクティブ ツアラー」は買いか? 欧州メーカーがPHVを導入するワケは?

BMW 2シリーズに追加されたプラグインハイブリッド「BMW 225 xe アクティブ ツアラー」。

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最近は、BMWだけでなくメルセデス・ベンツやVWグループ(フォルクワーゲン、アウディ、ポルシェ)、ボルボなど欧州系メーカーのプラグインハイブリッド(PHV)攻勢が続いていますが、欧州メーカーがこぞってPHVを投入するのは、燃費向上はもちろん、最大の理由はEUで2021年に待ち構えているC02排出量95g/km(メーカーの平均値)という壁。

アメリカのZEV規制をクリアできずにクレジットを購入するのも避けたいところでしょうが、お膝元で罰金を払うのも避けたいところでしょう。

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そう考えると、メルセデス・ベンツがPHVを2017年までに10モデルを、BMWが7シリーズに追加することで2016年中に全5モデルを日本導入し、ボルボが今後、全モデルにPHVを導入するとアナウンスしていることも理解できます。

なにせ、EUでは充電してEV走行した分はCO2排出量がカウントされませんから、PHVはCO2削減の有効な切り札になりえます。

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さて、メルセデス・ベンツBクラスの対抗馬として登場させたはずのBMW 2シリーズ アクティブ ツアラーは、コンパクトなボディサイズでも4人家族がゆったり過ごせるキャビンや使い勝手のいい荷室などを備えています。

なんだか日本車が得意とする使い勝手を備えている気がしますが、そこに誰が見てもBMWと分かるデザイン(ブランド力)と、前輪駆動でもBMWらしい走りが味わえるのが人気の理由でしょう。

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プラグインハイブリッドの「225xe アクティブツアラー」は、モーター走行のみで最大42.4km走行可能(EV走行換算距離/JC08モード)で、最高速度は125km/h(ヨーロッパ仕様車値)。電気モーター走行時は後輪駆動になります。

ゴルフGTEの53.1km(アウディA3スポーツバック e-tronは52.8km)には及びませんし、JC08モードなので実走行では5〜7割くらいに減るかもしれません。それでも近所の買い物や駅までの送迎程度なら充電した電気でまかなえるのではないでしょうか。

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価格は「225xe アクティブ ツアラー Luxury」が488万円、「225xe アクティブ ツアラー M Sport」が509万円。もちろん、自動車取得税、重量税が免税になり、翌年度の自動車税も75%減税となります。

なお、1.5Lターボ搭載車が342万円〜、2.0Lのディーゼルターボ363万円〜という値付けですから、アクティブ ツアラーの居住性や使い勝手を享受すればいい、というのであればわざわざPHVに手を出す必要はないかもしれません。

ただし、2.0Lガソリンターボで4WDの「225i xDrive アクティブツアラー M Sport」は504万円という設定で、カタログ燃費は14.6km/L。

一方、PHVの「225xe アクティブ ツアラー 」のハイブリッド燃費は17.6km/L。充電分のEV走行を別にしても燃費面ではPHVの「225xe」の優位が目を惹きます。

(文/塚田勝弘・写真/前田惠介)

次期「86/BRZ」も富士重工業とトヨタが共同開発、2021年にはEV投入!

先頃社名を2017年4月1日以降「SUBARU」に変更すると発表した富士重工業ですが、同社の吉永社長は提携しているトヨタ自動車と開発面で協力を深める方針を改めて示しました。

SUBARU

これは日経新聞の取材に対して明らかにしたもので、次期「86/BRZ」についても共同で開発するほか、PHVなどの電動車両についてもトヨタの技術を導入することを明言。

吉永社長は「巨額の投資を伴う環境技術を全て自社開発するのは難しい」としており、トヨタからハイブリッド技術で協力を受ける一方、同社のエンジンを搭載した「トヨタ86」「スバルBRZ」の次期モデル開発に向けて協議を進めていることを明らかにするなど、開発面でもトヨタとの協力を続ける考えを示しました。

同社は主力の米国工場でトヨタ車の生産を受託(〜今夏)しており、年内に61万5千台の販売達成に自信を見せています。

また、吉永社長はNHKの取材に対して5年後の2021年をめどに電気自動車を発売するとコメント。走行中に排出するCO2を大幅に抑えるエコカーの開発競争が激しさを増すなか、一旦撤退した電気自動車を再び開発し、発売する方針を明らかにしました。

米カリフォルニア州のZEV(Zero Emission Vehicle)規制が今後更に強化され、富士重も同規制の対象となるため、ZEVを一定以上販売する必要があります。

SUBARU

ZEV規制では2018年までにカリフォルニア州内で販売する車のうち、16%をゼロエミッション車にするよう、自動車メーカーに義務付けています。

これに対応すべく、同社としてはガソリンモデルのプラットフォームをベースにEVを開発することでコストアップを抑制、車両価格を抑えたい考え。

同社では以前に軽自動車「STELA(ステラ)」にリチウムイオン電池を搭載したEV「スバル プラグイン ステラ」を国内の法人向けにリース販売していましたが、インフラ整備が進まないことや、軽自動車の自社生産から退いたことからEV事業からも撤退した経緯があります。

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今回同社が米国に投入するEVは、その際に蓄積した技術をベースに自社で開発を進めていく方針のようで、吉永社長はどのモデルにEVを設定するかは未定としています。

このように同社では一昨年にお伝えしたEV参入への動きががいよいよ具体的になってきたようです。

Avanti Yasunori

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メルセデス・ベンツ「S 550 e long」が一部改良でPHVらしさを強調

一部改良前の価格は1620万円と、「マイバッハ」を含めて998万〜3264万円という価格帯となるメルセデス・ベンツSクラスにおいては中間グレードといえる「S 550 e long」が一部改良を受けました。

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「e」というグレード名からも分かるように、同車はプラグインハイブリッドモデル。「long」が示すように全長は5250mm、ホイールベースは3165mmと標準ボディよりもそれぞれ130mm延長されたロングホイールベースモデル。

エンジンは333ps/480Nmを誇る3.0LのV6「BlueDIRECT」ツインターボを搭載し、115ps(85kW)/350Nmという高出力のモーターの組み合わせによりV8エンジンに匹敵するパワーを実現。

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また、安全性の高さも最上級セダンにふさわしく、ミリ波レーダーによる部分自動運転技術をゼロエミッションに活用するなど、環境性能も高めた「インテリジェント」プラグインハイブリッドモデルを謳っています。

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なお「インテリジェントドライブ」のキモとなるのがクルマの周囲360度をカバーする複合的なセンサーシステム。

フロントウインドウ内側のステレオカメラが最大500mの範囲で大まかな様子をモニターするほか、2つのカメラで車両前方約50mの範囲を立体的に捉えます。

ミリ波レーダーセンサーは前後バンパーの側面に内蔵され、25GHzの短距離がレーダー4つ、ラジエータグリル奥の77GHzの中・長距離レーダーが1つ、リヤバンパー中央の25GHzマルチモードレーダー1つの合計6つから構成。

カメラやセンサーが得たデータを高度なアルゴリズムで解析することにより、先行車両や横切る車両、後方車両や対向車はもちろん歩行者なども検出し、状況によりアクセルとブレーキ、ステアリングを自動でアシストする機能になっています。

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今回の変更では、ヘッドライトのレンズを「ブルーリング」で縁どり、さらにフロントブレーキキャリパーにブルーペイントを施すことで、プラグインハイブリッドモデルであることを強調。また、フロントフェンダーの左右に「PLUG-IN HYBRID」ブルーサイドエンブレムが配置されています。

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一部改良を受けた「S 550 e long」価格は1638万円で、改良前から18万円アップとなっています。

(塚田勝弘)

「焼酎粕」から作るEV用の超高速充電池を福岡工大が開発!

福岡工業大学工学部の研究室が焼酎製造時に生じる「粕(かす)」を活用した電動車(EV・PHV)用の超高速充電池を開発したと発表しました。

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これまで廃棄に困っていた九州地方で大量に発生する焼酎粕を使って電動車などへの充電時間と地域の環境問題を一気に解決しようというもの。

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同大学では焼酎粕の新たな活用法を開拓、廃棄物を使用するため、低コストなうえに放充電の際に劣化が少なく長期間の使用も可能で、地域の環境保護や産業の活性化が期待できるとしています。

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同充電地は焼酎粕を炭化させ、炭の表面にある微細な隙間に多数のイオンが付着したり放出されたりする現象を利用した「電気二重層キャパシタ」タイプ。

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通常の充電池と比較して貯められる電気の量は少ないものの、短時間で充放電する瞬発力に優れており、繰り返しの使用に非常に強く、HVのブレーキ回生や発進・加速時の大電流の供給に適しているそうです。

製法の工夫により、従来から多く用いられてきたヤシ殻由来の活性炭と比較して、イオンを表面に保持する能力を約13%向上、活性炭を電気二重層キャパシタの電極として応用し、蓄電容量も約20%向上させたとしています。

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焼酎の種類によって蓄えられる電気の量が異なるそうで、今後実用化に向けてさらに研究を進めるそうです。

長時間かかっていた充電が将来「瞬間的に可能になる」というだけに、焼酎粕をキャパシターの材料に活用するというこの興味深い研究、実用化の進展が注目されます。

Avanti Yasunori ・画像:福岡工業大学)

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2016年秋にBMW7シリーズにプラグインハイブリッドを追加。年内にPHV全5モデルが揃う

2016年5月現在、「BMW」は3シリーズ、2シリーズ アクティブツアラー、X5、サブブランドの「BMW i」のi8という、合計4モデルのプラグインハイブリッド(以下、PHV)が導入されています。

さらに、新型にスイッチした現行7シリーズにもPHVが2016年中にも設定されるとアナウンスされていました。

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7シリーズのPHVは、最長距離約40 km(欧州仕様値)までEV走行が可能と発表されていましたが、時期に関しても「今秋にも導入予定」と発表されました。

将来的にはBMWグループの中核モデルすべてにPHVを設定予定とのことで、人気のクリーンディーゼルエンジンとともに、PHVにより走りと環境性能(燃費)を両立させる戦略です。

なお、7シリーズ以外で発売済みの4モデル(PHV)の概要は下記のとおり。

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BMWi8は、量産車として初めてCFRP(カーボンファイバー強化樹脂)製の基本骨格(パッセンジャーセル)を採用したBMW i3と同様の基本骨格とし、前輪はモーター、後輪はエンジンのみで駆動。前輪駆動、後輪駆動、4WDを状況により使い分けることが可能で、価格は1966万円です。

BMW X5 xDrive40eは、スムーズかつパワフルな走りだけでなく、SUV離れした感のある上質な乗り味など新しい高級SUVといえる世界観を提示。BMW自慢の4WDシステム「xDrive」により高い走行安定性と悪路走破性を兼ね備えています。エンジンのみでもモーターのみでも常に4輪を駆動することができます。価格は933万円〜。

P90193322_highRes_the-bmw-330e-09-2015BMW 330eは、PHVでも約50対50の前後重量配分を実現するなどして、3シリーズらしい軽快なフットワークを得ています。エンジンと電気モーターにより後輪を駆動。プレミアムセダンのPHVで唯一となる500万円台という価格設定(554万円〜)も魅力です。

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扱いやすいサイズでありながらファミリーにも使える広い室内が魅力のBMW2シリーズアクティブツアラー。488万円〜となるBMW 225xe Active Tourerは、前輪はエンジン、後輪はモーターのみで駆動し、前輪駆動、後輪駆動、4輪駆動を状況により使い分けるシステムになっています。

(塚田勝弘)

35.4kmは長い?短い?ボルボ・XC90 プラグインハイブリッドのEV走行可能距離

96セルのリチウムイオン電池を搭載し、総電力は9.2kWh、200Vの普通充電で2.5〜3.0時間で充電が完了する、ボルボ・XC90のプラグインハイブリッド「T8 Twin Engine AWD Inscription」。

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バッテリーは床下中央に搭載され87ps(65kW)を発生。後輪を駆動するリヤモーターは後輪の左右間に配置されています。

さらに、エンジンのスターターモーターだけでなく、バッテリー用の発電・パワーブーストを兼ねるCISGと呼ぶジェネレーターも搭載されているほか、8ATのトランスミッションには、電動オイルポンプ、CIGSのための空間を確保するクラッチカバー、シフトバイワイヤ化のための改良が施されています。

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気になるEV走行の航続可能距離は最大で35.4km。

フォルクワーゲンのゴルフGTIが53.1km/hなど50km超のモデルもあることを考えると、短く思えますが、重量級SUVとしてはライバルと比べても遜色なく、BMW X5 xDrive40e(EU値)は31km、ポルシェ・カイエンS Hybridは36kmとなっています。

なお、国産勢では三菱のアウトランダーPHEVが60.8kmと、SUVでは群を抜いていますが、カタログスペックであることを考えるとどう評価するか難しいところ。

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充電は車両左前のリッドを開けて差し込むだけ。充電中は自動的にロックがかかり、キー操作をしないと充電ケーブルが抜けないようになっています。

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なお、電気モーターのエネルギー消費量をはじめ、エンジンの使用や電気モーターが推進として使われているか、回生中かどうかなどを中央の大型ディスプレイに表示される機能も用意されています。

(文/塚田勝弘・写真/前田惠介)

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■ボルボXC90プラグインハイブリッドの走りはどうか?
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ボルボ・XC90 プラグインハイブリッドの走りはどうか?

スーパーチャージャーと直噴ターボのダブル過給器付2.0Lエンジンに、リヤモーターが後輪を駆動するボルボ・XC90のプラグインハイブリッドモデル。

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グレード名は「XC90 T8 Twin Engine AWD Inscription」で、エンジンスペックは320ps/5700rpm、400Nm/2200-5400rpm。リヤモーターは87ps(65kW)/240Nmという数値で、システムトータルでは407ps/640Nm(欧州値)という高い出力、トルクを誇ります。

発進時から非常に静かでスムーズなのはもちろん、21インチタイヤとは思えないほど乗り心地は良好。試乗車はオプションのエアサスペンションを装着。

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エアサスペンション装着車でもひと昔前のフワフワとした乗り味ではなく、適度に引き締まっているのも印象的。ノーマルサスがどんな乗り味を示すのか興味深いですが、試乗する機会があればご報告したいと思います。

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ただし、同じエアサスのガソリン仕様と比較すると、車両重量の重さを感じさせるフィーリング。床下に重量物のバッテリーを積むPHVらしい乗り心地で、荒れた路面だと左右にボディが揺すられるようなシーンもありました。

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動力性能はもちろん不満を一切感じさせないもので、エンジンが始動し、スーパーチャージャー、ターボと過給が切り替わっても遮音対策が念入りにされているためか静粛性の高さも1000万円超の価格にふさわしいレベルといえます。

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そのほか、PHV向けに「DRIVE MODE」も用意されていて、「Pure mode」にするとモーター走行が最優先となり、バッテリー状態などによっては125km/hまでEV走行となるそうです。また、同モード時は車高が10mm下がります。

そのほか、エンジン、バッテリー、モーターを走行状況などに応じてバランスよく使い、燃費も最も良い「Hybrid mode」、市街地などでのモーター走行に備えてバッテリーを温存する「Save mode」は、バッテリー残量が少ないと33%まで充電が可能に。

「AWD mode」が用意されているのも特徴で、路面状態が悪い場合などはトラクションが最大化されます。

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音・振動面の対策も抜かりのないボルボXC90プラグインハイブリッド。1009万円という価格は万人に推奨できるものではありませんが、大型SUVのPHVで3列を実現するなどによりモデルライフを通して一定の支持を得そうです。

(文/塚田勝弘・写真/前田惠介)

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1000万円超となるボルボ・XC90 プラグインハイブリッドの強みとは?

北米などを中心に好調のボルボXC90は、「北米トラック・オブ・ザ・イヤー」、「2016 SUVオブ・ザ・イヤー」に輝くなど、世界的な話題を集めている新世代ボルボを象徴するモデルといえるでしょう。

日本でも1月27日の発売以来、3月末までの約2カ月で300台以上を受注しているそうです。

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新しさを感じさせる内・外装だけでなく、パワートレーンも見どころ満載。

なかでも1000万円超えとなるプラグインハイブリッドの「XC90 T8 Twin Engine AWD Inscription」は、環境性能だけでなく動力性能などXC90を象徴するモデル。

フロントに搭載されるエンジンは、2.0Lの直列4気筒直噴ガソリンターボにスーパーチャージャーを加えたダブル過給器付き。それに加えて87ps(65kW)、240Nmを発揮するリヤモーターが後輪を駆動する4WDとなっています。トランスミッションは他グレードと同じように8ATを搭載。

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The all-new Volvo XC90 Twin Engine is a plug-in electric car, hybrid car and high-performance car rolled into one. A two-litre, four-cylinder supercharged and turbocharged Drive-E petrol engine powers the front wheels and an 80 hp (60 kW) electric motor drives the rear wheels. The battery pack is located in the centre of the vehicle.

気になる燃費は15.3km/Lで、200Vで2.5〜3時間かかるという充電電力使用時の航続可能距離は35.4km。近所への買い物などなら充電電力でもまかなえそうです。

なお、システムトータルでは407ps/640Nm(欧州参考値)と大出力を誇り、燃費だけでなく動力性能への期待も高まります。

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また、PHV化によりボディ補強など一部手が入れられています。

トンネルは高電圧バッテリーを積むためボディ中央部が高くなっていて、リヤのフロアはハイブリッドコンポーネント搭載のためガソリン仕様よりも高く、サイドシルにはガソリン仕様よりも370mm長い補強メンバーが配置されているそうです。

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それでも7人乗りを実現しているのもポイントで、バッテリーは車両の中央に配置し、リヤモーターによりドライブシャフトが不要など、巧みなパッケージングも自慢です。

SUVのPHVは最近モデル数が増えていて、BMW X5をはじめ、レクサスRXや三菱アウトランダーなどもありますが、7人乗りのXC90(PHV)は確かに強み。

20160414Volvo XC90 PHV028

あとは1009万円という価格でしょうが、ボルボが高級ブランドとしても認知されるには1000万円超という価格帯は不可欠でしょうし、それを最上級SUVのプラグインハイブリッドで提供するというのは確かな戦略といえそうです。

(文/塚田勝弘・写真/前田惠介)

トヨタがカローラ・レビンに「PHV」を導入する理由とは?

先日、トヨタ自動車が中国市場に現地製の「カローラ」「レビン」のPHVを2018年に導入すると発表しました。

TOYOTA_COROLLA

中国へのPHV導入は日本メーカーでは初となるもので、現地でのエコカー市場開拓を本格化させ、中国政府による環境規制の強化にも対応する構えを示してます。

同社はこれまでHVを中心に現地生産・販売してきましたが、中国政府は最高100万円超の補助金を支給するなど、“新エネルギー車”(EV、PHV)の普及を目指しており、HVは支給の対象外となっています。

そこでトヨタとしても現地製「カローラ」「レビン」にPHVを設定することで“新エネルギー車”認定を受け、車両価格を抑えてエコカー市場の開拓を急ぐことにしたもの。

日経新聞によると、中国では政府の手厚い補助金の後押しにより、昨年の新エネルギー車販売は前年比約4倍の33万台まで急増しているそうで、なかでもPHVの勢いが鮮明になっているといいます。

TOYOTA_LEVIN

中国政府は新エネルギー車に対する補助金の支給政策を2020年まで続ける方針のようで、ホンダも2020年を目処に現地製「アコード」PHVを発売する方針とか。

中国では景気減速が続くものの、今年は昨年以上に新車販売が増える見込みで、外資系である日本勢がPHV攻勢に出ることで、“新エネルギー車”を巡る競争が本格化しそうな情勢になってきました。

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トヨタ、新型カローラ/レビンのPHVを2018年投入へ!
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トヨタが中国で「カローラ」「レビン」のHVを一貫生産へ!
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トヨタが世界最大市場の中国を舞台に現地製HVで勝負!
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トヨタの新型車「レビン」復活! 【北京モーターショー14】
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トヨタ、新型カローラ/レビンのPHVを2018年投入へ!

トヨタ自動車が「カローラ」「レビン」のPHVを中国に導入すると発表しました。

TOYOTA_COROLLA_HV

同社は中国での環境車の普及を目指し、2005年から海外で初となるハイブリッド車「プリウス」の生産を開始。2010年には環境技術の現地化推進のため、中国に研究開発センターを設立しています。

さらに、2011年にはハイブリッドユニットの現地生産に向け、駆動用バッテリーやトランスアクスル製造会社を設立、2015年秋に初の中国産ハイブリッドシステムを搭載した「カローラハイブリッド」「レビンハイブリッド」を発売しており、現在、累計受注台数が約4万台に達しているそうです。

TOYOTA_LEVIN_HV

今後はPHVの現地開発に取組み、2018年に「カローラ」「レビン」へのPHV設定を予定しているそうで、「次世代環境車の柱」であるPHVの導入により、環境車のさらなる普及を目指していくとしています。

Avanti Yasunori

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「2025年までに電動化車両を100万台販売」を計画するボルボの戦略とは?

電動化車両には、ピュアEVだけでなくPHEV(プラグインハイブリッド)などがありますが、ボルボでは「2025年までに累計100万台販売」するというビジョンを掲げています。

The all-new Volvo XC90 - Charging

すでに、最上級SUVのXC90に「XC90 T8」と呼ばれるプラグインハイブリッドを設定、日本にも導入していますが、価格は1000万円の大台を超えていますので、指名するのはほんの限られた層といえるでしょう。

この目標をクリアするため、すべてのプロダクトラインナップで少なくとも2種類のハイブリッドモデルの投入を計画しているそうで、2019年には初めてのピュアEV(電気自動車)を発売する予定とのこと。

The all-new Volvo XC90 Twin Engine powertrain

世界販売台数で2015年度に過去最高を記録し、50万台規模(2014年度比8%増)になったといはいえ、ボルボが10年を切った残りの年月で累計100万台の電動化車両を販売するには、手が届きやすい価格帯のモデルも不可欠でしょう。

ボルボが掲げる「Drive-E」と呼ぶパワートレーン戦略では、最大4気筒までのエンジン、クリーンディーゼル、そして電動化も見据えられていて、ここ5年間、加速するクルマの電動化に準備を進めてきたとのこと。

Twin Engine T8 Volvo S90 Inscription White

大型車用、小型車用の2種類のまったく新しい車台(プラットフォーム)を開発し、「スケーラブル・プロダクト・アーキテクチャ(SPA)」と「コンパクト・モジュラー・アーキテクチャ(CMA)」と呼ばれ、ハイブリッドまたは電気自動車のいずれにも対応可能となっています。

Front Quarter Volvo S90 White

大型の90シリーズと60シリーズの車種の「SPA」によるモデルチェンジを開始しており、近い将来、小型の40シリーズを「CMA」により開発、生産する予定だそう。

Profile Left Volvo S90 White

これらの車種すべてに電動化されたモデルが設定され、2025年までに累計で100万台販売するという目標が設定されています。

ボルボは「2020年までに新しいボルボ車で死亡者や重傷者をゼロ」にするという「VISION2020」を掲げていますが、社是といえる安全性に加えて、電動化車両、また力を注いでいる自動運転技術でも存在感を示すことで、さらなる拡販につなげる計画です。

(塚田勝弘)

今秋発売の新型プリウス「PHV」詳細仕様が判明!【エクステリア編】

トヨタ自動車が2016年秋の発売を予定している新型「プリウスPHV」を3月のニューヨーク国際オートショー16でワールドプレミアしたのは記憶に新しいところ。

TOYOTA_PRIUS(出展 TOYOTA )ハイブリッドモデルに比べてリヤオーバーハングが80mm延長されており、それに伴って全長も4,645mmと+105mm長くなっています。

また、フードやフェンダー、バックドアを専用化するなど、従来モデルに比べてHVとPHVの区別がより明確化されました。

トヨタはニューヨーク国際オートショーの後、同車の詳細情報を公表。本稿ではエクステリアを中心にその内容について見ていきたいと思います。

まずフロント周りでは8眼LEDヘッドランプと、ダイナミックな意匠の大型アクリルグリルの採用により、かなり精悍な顔立ちになっています。

TOYOTA_PRIUS(出展 TOYOTA )各ランプの機能についてはヘッドランプの車両内側4灯がポジション&ハイビーム、外側4灯がロービーム、バンパーの両サイドに縦長のターンランプ&アクセサリーランプ、その内側にフォグランプを配置。(全てLED)TOYOTA_PRIUS_PHV(出展 TOYOTA )ヘッドランプにはハイビーム走行を基本に、先行車や対向車に光が当たる部分だけを自動的に遮光する「AHS」(アダプティブハイビームシステム)を採用しています。

またリヤ周りではバックドアにCFRP材を採用、軽量化と左右方向の後方視界拡大を実現しており、空力に寄与する2つの膨らみを持った“ダブルバブルバックドアウインドゥ”の採用と相まって、かなり印象的なリヤビューを構成しています。

TOYOTA_PRIUS_PHV(出展 TOYOTA )ランプ類についてはテールランプとハイマウントストップランプがサブウインドゥを取り囲む構成になっており、リヤバンパーの両サイドには縦長のターンランプとバックアップランプを配置。

TOYOTA_PRIUS_PHV(出展 TOYOTA )こちらも全てLED式で、PHVモデルとして省電力に配慮されています。

極め付けはルーフに仕込まれた大型ソーラーパネルによる太陽光発電で、駐車中は駆動用バッテリーを充電し、走行中は駆動用バッテリーの消費を抑えることで、EV走行距離や燃費の向上に貢献しています。

TOYOTA_PRIUS_PHV(出展 TOYOTA )このように新型プリウス「PHV」は一目でソレと判る外観を得ており、ベースモデルに対していっそう高級感の有る仕上がりになっているようです。

次稿では引き続き、インテリアについて見ていきたいと思います。

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経産省がEV・PHVの普及促進で「ロードマップ」を公表!
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新型「プリウスPHV」米国デビュー!EV走行距離が60km超に倍増
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トヨタ「プリウス」が快走、国内販売で3ヶ月連続首位!
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PSAプジョー・シトロエン・グループが「Groupe PSA」に社名変更。PHVを7車種、EVを4車種投入へ

プジョーとシトロエン、高級ブランドのDS Automobilesを擁するPSAプジョー・シトロエン・グループが社名の変更を発表しました。

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同時に、新経営戦略「Push to Pass」の導入もアナウンスされています。

「Push to Pass」では「最先端の効率を備えた一大自動車メーカーとなること」、「世界で通用し愛されるモビリティサービスを提供し、顧客との関係を生涯にわたり築くこと」という2点が掲げられています。

現在「Groupe PSA(グループPSA)」は、フランス政府に加えて、中国の東風汽車から出資を受けています。

ここ数年で、プジョー308などに代表されるようにライバルに十分対抗できる魅力を備えたモデルがリリースされているだけに、今後ブランドの再浮上を狙うにはEVやPHVなどのエコカーの開発と販売は必須でしょう。

発表された中長期経営目標にもエコカーの開発なども盛り込まれています。

具体的な数値としては、パフォーマンス向上とコストの徹底的な見直しなどにより、「2016年から2018年までの自動車部門における平均営業利益率を4%、2021年に6%を目標とする」というもの。

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ほかにも「26モデルの乗用車と8モデルの商用車を生産し、毎年3ブランドで各リージョンにおいて最低1台のニューモデルを発表する」、「7モデルのプラグイン・ハイブリッドと4モデルの電気自動車、そしてネット接続された自動運転プログラムの導入に代表される、充実した最先端の技術戦略を継続する」などが掲げられています。

新しい社名のGroupe PSA(グループPSA)は、グループが持つ3つのブランド(プジョー、シトロエン、DS)のブランド力を均等に表現したものだそう。

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新社名のロゴは、プジョーデザインラボのクリエイティブ・チームである、グローバル・デザイン・スタジオによってデザインされ、「新たな夜明けを切り開く情熱と野心を象徴し、新しい時代に向けて製品とサービスの進化を体現」されているそうです。

ロゴに使用されているミッドナイトブルーは、たとえば2010年に創業200年を迎えた、自動車メーカーでも世界屈指の歴史を誇るグループの豊かな歴史を裏付けるものとしています(シトロエンは1919年設立)。

(塚田勝弘)

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■これぞ「エロい クルマ!?」新生DS Automobilesの「DS 5」が登場
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■他とはまったく似ていない内・外装をブラッシュアップ ─ DS 5画像ギャラリー
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EV走行時と全開走行時のギャップに驚かされるCクラスPHV「C 350 e」

Cクラスに加わったプラグインハイブリッド(PHV)の「C 350 e」。ベースとなる純ガソリン車の完成度の高さを活かし、フットワークや乗り心地の良さなどが大きくスポイルされることなく半電動化されています。

20160223Mercedes-Benz C350e_045

エンジンだけでも211ps/350Nmというスペックで、力強い走りを披露する「C 250 Sports」向けの2.0L直列4気筒ターボに、最高出力82ps(60kW)、最大トルク340Nmを発生する電気モーターの組み合わせは、システムトータルで279ps/600Nmに達するだけあって、高速道路やワインディングなど飛ばせる場所ほど輝きを放ち「PHV化=エコカー化」ではないのがよく分かります。

一方で、思いのほかEV走行の速度領域は高く、充電状態がよければ約130km/hまでモーター走行が可能という謳い文句も伺い知ることができました。

c350e_01

C 350 eには、4つの走行モードが用意されていて、「HYBRID」は走行環境やバッテリーの残量に合わせてエンジンと電気モーターを併用。先述したように、高出力電気モーターのブースト機能によりスムーズな加速感を享受できます。

c350e_05

「E-MODE」は、文字どおりモーターのみのEV走行で、バッテリー状態により約30kmの走行と最高速度130km/hの走行を実現するもの。

「E-SAVE」は、早朝深夜の住宅街などで静かにEV走行したい際など、バッテリー残量をキープするモードです。走行しながらバッテリーを充電する「CHARGE」モードは、積極的にエンジンを始動。残量が減っても少しずつ増えてきますので、あと数kmだけモーター走行したい際などは重宝しそうです。

せっかくPHVを買ったのであれば夜間など使わない時に充電し、近場はモーター走行のみで、遠出する際はハイブリッド走行やチャージモードで走るなど、走り方を選べるのが魅力。同車も同じでしょう。

20160223Mercedes-Benz C350e_012

なお、リチウムイオンバッテリーの充電時間はフル充電まで「CHARGE」モードで約40分、AC200V電源使用で約4時間。急速充電には対応していません。

20160223Mercedes-Benz C350e_01520160223Mercedes-Benz C350e_017セダンのトランク容量は335Lで、純ガソリン車の445Lよりは見た目も小さく、リチウムイオンバッテリーを床下に積むため荷室奥が一段高くなっています。それでも後席の分割可倒式機構が残されていますから、荷物が多い際も対応できます。

20160223Mercedes-Benz C350e_016

荷室がある程度狭くなるのは仕方ないですし、ブレーキのフィールに電動化モデルの癖(急に制動力が高まり、「カックン」ブレーキになりやすい)があり、また「ここまで速くなくてもいいのでは?」と思うほど、ゆっくり走った際と踏み込んだ時との二面性には驚かされますが、退屈とは無縁のPHVといえそうです。

(文/塚田勝弘・写真/小林和久、塚田勝弘)

メルセデス・ベンツCクラスのPHV「C 350 e」の走りはどうか?

昨年、輸入車ナンバーワンの座に輝いたメルセデス・ベンツ。大きく貢献したのは、AクラスやBクラスなどのFF系モデル、そして中核モデルのCクラスでしょう。

20160223Mercedes-Benz C350e_039

車種ラインナップの拡充だけでなく、2017年までにプラグインハイブリッド(PHV)を10車種まで増やすとアナウンスしているメルセデス・ベンツですが、数あるラインナップの中でも基幹モデルといっていいCクラスにも「C350 e AVANTGARDE」と呼ぶPHVが昨年末に発表され、今年1月から発売されています。

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その走りは想像以上に完成度が高く、圧倒的といえる高い静粛性はもちろん、211ps/350Nmの2.0L直列4気筒「BlueDIRECT」エンジンに、最高出力82ps、最大トルク340Nmを発生するモーターが組み合わされるパワートレーンのスムーズかつパワフルな走りも印象的です。

20160223Mercedes-Benz C350e_022

モーターがブースターとなって再加速するシーンなどでは、2.0Lターボの純ガソリン車よりも約300kgも重いとは思えないほどの加速感を披露してくれます。痛快とまではいえませんが、高速道路で流れをリードするのも容易。

フットワークや乗り心地には、純ガソリン車やディーゼルと比べると重量感がありますが、大きな欠点にまではつながっていない印象。その静かさから純ガソリン車やディーゼルとは違った、別の味わいを高級車という雰囲気も漂ってきます。

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一方、Cクラスの中でもガソリン車は「アジリティ(俊敏性)」というキーワードを掲げ、思いのほか軽快なフットワークで山岳路から高速道路まで駆け抜けるのも魅力。そうした走りを期待するのであればPHVは選択肢から外した方が無難です。

20160223Mercedes-Benz C350e_024

ハイブリッド走行ですが、街中ではモーター走行でほとんどまかなえるほか、130km/hくらいまでならEV走行が可能(充電状態やアクセルの踏み方)で、実際に高速道路でもエンジンが掛からずに法定速度まで乗せることもできました。

なお、モーターのみのEV走行は最大約30km可能(急速充電には対応しない)なうえ、バッテリーへの充電を優先するチャージモードもありますから、近場ならほぼEVでまかなえそう。

20160223Mercedes-Benz C350e_005

PHVに期待するハイブリッド走行や燃費などは、別の記事で詳しくご紹介しますが、707万円(セダン)という価格ですから、その価値を見極めて手に入れるのは必須でしょう。

(文/塚田勝弘・写真/小林和久)

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■新型アウディA4のフットワークと乗り心地をCクラス、3シリーズと比べてみると?
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BMWがEV、PHVなど電動化による新戦略「ナンバーワン・ネクスト」を発表!

BMWが決算報告会で、電動車両と自動運転車の拡大を柱とする2025年までの経営戦略「NUMBER ONE NEXT」(ナンバーワンネクスト)を発表しました。

BMW_2016

「BMW i」ブランドのラインナップを拡充させるほか、デジタル化や自動運転技術の開発を強化予定で、2020年以降に新モデル「iNEXT」を発売する計画といいます。

ハラルド・クルーガー会長の説明によると、2016年からPHVやBMW「i3」に続くピュアEVなど7モデルを投入するとしており、年内にはバッテリー容量の増量により、航続距離を大幅に拡大した「i3」を発売するそうです。

BMW_2016BMW_i3

また既存モデルではPHV「i8」のオープン版(ロードスター)の追加や、「MINI」のPHVを数年内に投入する予定とか。

BMWブランド車についても「BMW i」の技術を採用したPHV「iパフォーマンス」モデルの販売を強化していく考え。

BMW_i8

フラッグシップモデルとなるBMW7シリーズでは「リモートコントロール駐車」や「ジェスチャーコントロール」などを既に実用化しており、今後他のモデルへの展開を予定している模様。

トヨタと共同開発中のFCVについては試験車両で水素1回の充填当たり700kmの航続距離を達成しているそうです。

一方、自動運転車については「Project i 2.0」のもと、高精細デジタル地図、 センサー技術、クラウド技術や人工知能を積極採用、2020年に発売予定。

このようにBMWはEV、PHV、FCVといった様々なシステムを並存させる方針。

エコカーで先行した日本勢もこれまでの「燃費性能」に加えて、欧州勢が得意とする「走り」などの新たな魅力の確保に向けた技術開発が必要になりそうです。

Avanti Yasunori

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IHI、EV向け非接触給電システムを戸建住宅で実証実験

重工大手のIHI(旧:石川島播磨重工業)は、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)へ、コネクタなし充電できる非接触給電システムの実用化に向けて、戸建住宅での非接触給電システムの実証実験を実施する、と発表しました。

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(画像出展:三井ホーム)

実証実験では、三井ホームのスマートハウスMIDEAS(千葉県柏市)を非接触給電システムが設置される戸建住宅として、EV, PHV用普通充電器の電力に相当する3.3kWの電力をEVへ非接触で給電した場合の使い勝手を実証します。

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(画像出展:IHI)

非接触給電システムは、コネクタの接続なしで、充電スポットに停車するだけで、充電スポットに設置された送電コイルから車両側の受電コイルへ給電することで車両へ充電することができます。

ただし、車両はいつも同じ位置に駐車するとは限りませんし、実際に使用した場合、どの程度の給電効率になるのかを今回の実証実験で試されることになります。

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(画像出展:IHI)

今回の実験では,IHIの非接触給電システム単体だけではなく、三井ホームMIDEAS のHEMS(家庭内エネルギー管理システム)に非接触給電システムを接続し、戸建住宅のHEMSとの相性や周辺の送電網への影響も検証されることになります。

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(画像出展:IHI)

住宅内のHEMS画面で非接触給電システムへの送電量を表示することができ、タブレット端末に非接触給電システムの充電状態を表示することもできるようです。

IHIでは、2〜3年後の非接触給電システムの実用化を目指して、開発を進めているようです。

(山内 博)

経産省がEV・PHVの普及促進で「ロードマップ」を公表!

経済産業省が3月23日、自動車メーカーや電力会社、大学教授など、幅広い関係者で構成される「EV・PHVロードマップ検討会」でとりまとめた「EV・PHVロードマップ」を公表しました。

TOYOTA_PRIUS_PHV(出展 トヨタ自動車)

次世代自動車「EV」や「PHV」は「FCV」と共にCO2排出削減効果が高く、災害対応等の新たな価値も期待できることから、経産省が普及に向けて2020年までに必要となる戦略について検討を重ねて来たもの。

EV_PHV(出展 経済産業省)

「PHV」はこれまで日本が先行して普及させて来たハイブリッド車に、モーター(EV)走行のための充電機能を持たせたもの。

欧州では「EV・PHV」を次世代自動車の主軸に位置付けており、日本にも多くのモデルを投入するなど、その動きが積極化しています。

EV_PHV

こうした状況を受け、今回公表された「EV・PHVロードマップ」の概要は以下となっています。

・2020年における普及台数目標を最大で100万台に設定
・電欠回避のため、わかりやすい場所に充電器を計画設置
・EV、PHVユーザーが設置費を広く薄く支える仕組みを作る
・国民の4割が居住する共同住宅への充電器設置を促進
・居住者の合意形成を得るための必要情報をガイドブック化

経済産業省は「EV・PHVロードマップ」を「水素・燃料電池戦略ロードマップ」のFCVに関連する部分とともに、今後の次世代自動車戦略の柱としていくそうです。

Avanti Yasunori

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新型「プリウスPHV」のEV走行距離が60km超に
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新型「プリウスPHV」米国デビュー!EV走行距離が60km超に倍増

トヨタ自動車が3月23日に開幕したニューヨーク国際オートショーで新型「プリウスPHV」(米国名 プリウス プライム)を公開しました。

TOYOTA_PRIUS_PRIME(出展 トヨタUSA)

モーターによるEV走行距離を現行モデルの26.4kmから倍増となる60km以上にまで拡大しているのが最大の特徴となっています。

外観では4連タイプの角型LEDヘッドランプを採用。

TOYOTA_PRIUS_PRIME(出展 トヨタUSA)

フロントバンパー中央の開口面積を大きくとり、両サイドには縦長のLED式DRL(デイタイム・ランニング・ランプ)を配置するなど、積極的に差別化されており、迫力のあるフロントマスクに仕上げっています。

[nextpage title=”フード、フェンダーは専用品”]プリウスHVとの外観の差別化に伴い、フードパネルやフェンダーパネルが専用品になっている点も見逃せません。

[youtube]https://youtu.be/BS8usnK7BrM[/youtube]

また、東京モーターショー2013年に同社が出展した「Premi AQUA」との類似性が見られるのも興味深いところです。

TOYOTA_PRIUS_PRIME TOYOTA_Premi_AQUA

一方、リヤ廻りについてもHVモデルと大きく差別化されています。プリウスHVの縦長のテールランプに対して横長意匠を採用することでワイド感を強調。

TOYOTA_PRIUS_PRIME(出展 トヨタUSA)

2つの膨らみを持たせた波状断面の「ダブルバブルバックドアウインドウ」と称する新形状ガラスにより、空力にも配慮。中央部に凹形状を伴ったリヤスポイラーが目を引きます。

また軽量化を目的にトヨタ初となるCFRP製バックドアを採用。

TOYOTA_PRIUS_PRIME(出展 トヨタUSA)

プリウスHVに比べてリヤオーバーハングが80mm延長されており、全長も4,645mmと+105mm長くなっています。

TOYOTA_PRIUS_PRIME(出展 トヨタ自動車)

[nextpage title=”ルーフにソーラーパネルを装備”]ルーフにはソーラーパネルが設置されており、駐車時は駆動用2次バッテリーの充電、走行時は補機類に電力を供給する構造になっています。

さらにインテリアではインパネセンターに構えるテスラ「モデルS」風のフルHD 11.6インチ大型液晶モニターを装備。

TOYOTA_PRIUS_PRIME(出展 トヨタUSA)

動力系ではエンジンと動力分割機構の間に新たにワンウェイクラッチを採用することで、従来のハイブリッドシステムでは発電機としてのみ使用していたモーターを、走行用モーターとしても利用する「デュアルモータードライブシステム」を搭載。

2モーターでの走行が可能で、EVモードにおける力強い走りを実現しています。

充電は従来の家庭用電源に加え、充電ステーションでの急速充電にも対応。急速充電時には充電量80%まで約20分での充電が可能となっています。

TOYOTA_PRIUS_PRIME TOYOTA_PRIUS_PRIME
(出展 トヨタUSA)

新型プリウス「PHV」の国内発売は今秋を予定しているそうで、既にPHVが主流になりつつある欧州市場に攻勢をかけることになる模様。

気になる価格は300万円台後半と予想され、新型プリウスへの買い替えを検討している方には大いに気になる存在になりそうです。

Avanti Yasunori

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米国市場で日本車の人気高し!トヨタは4.1%増の19万台
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トヨタ「プリウス」が快走、国内販売で3ヶ月連続首位!
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トヨタ「C‐HR」にはHV以外に2.0Lモデルが存在する!
http://clicccar.com/2016/03/08/357764/

プリウスPHV世界初公開。11.6インチの大画面や独自エクステリアで差別化

ニューヨークオートショーにて、新型プリウスPHVが世界初公開されています。

北米では「プリウス プライム」という名前を与えられた、2代目のPHV(プラグインハイブリッド)モデルは、初代PHVとは異なり『アイコニックヒューマンテック』をコンセプトに、4連LEDヘッドライトやカーボンファイバー製バックドアなど、フロントやリヤを専用アピアランスとしているのが特徴です。

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初代PHVと同様に、通常のハイブリッド仕様と同じ1.8リッターエンジンを積んでいますが、2つのモーターを同時に駆動力として使える『デュアルモータードライブシステム』を採用するなど、EVモードでの力強さを増しているのが大きな進化ポイント。リチウムイオンバッテリーもサイズアップされ、EV走行モードも60km(日本仕様の初代プリウスPHVは26.4km)と大きく伸びています。

プラグインハイブリッドの特徴となる充電は、普通充電のほか日本仕様では急速充電にも対応。さらに太陽光発電による充電機能も持っているというから驚きです。

エンジンを(あまり)使わない電動車両では空調の効きが課題といわれていますが、新型プリウスPHVには、世界初となるガスインジェクション機能付きヒートポンプオートエアコンを装備。暖房性能のアップが期待できます。

インパネにはトヨタ初となる11.6インチのフルHDディスプレイを装備、未来的なコクピットとしています。ナビゲーションモードでは、先読み減速支援機能を採用し、エネルギー回生を積極的に燃費向上に利用するというのも注目でしょう。

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ハイブリッド燃料消費率は37.0km/Lと、初代モデルの31.6km/Lから性能アップしています。前述した『デュアルモータードライブシステム』は、エンジンと発電用モーターの間にワンウェイクラッチを新設することで、発電用モーターを駆動に利用するもの。2つのモーターを合わせて100馬力を超える走りがEVモードで味わえるというわけです。

日米欧で発売されるという新型プリウスPHV。日本での発売は2016年秋とアナウンスされました。

●プリウス プライム主要スペック
全長:4645mm
全幅:1760mm
全高:1470mm
ホイールベース:2700mm
エンジン形式:直列4気筒
総排気量:1797cc
エンジン最高出力:72kW/5200rpm
エンジン最大トルク:142Nm/3600rpm
第一モーター最高出力:53kW
第一モーター最大トルク:163Nm
第二モーター最高出力:23kW
第二モーター最大トルク:40Nm
バッテリー:リチウムイオン

(山本晋也)