Motor Fan's YEAR 2016

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マツダ・アクセラが「対歩行者被害軽減ブレーキ」で1位を獲得!

国交省と自動車事故対策機構による、予防安全性能アセスメントの2016年度(前期分)のテスト結果が公開されました。このテストはエマージェンシーブレーキの性能だけでなく乗員保護性能などクルマの安全性能を確認するもので、JNCAPと呼ばれています。

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2016年度の前期分としてテストされたのは、スズキ:イグニス、スバル:インプレッサ、フォレスター、レヴォーグ、レガシィ、レクサス:GS、RX、トヨタ:クラウン、プリウス、ホンダ:フリード、マツダ:アクセラの計11台。

「どうしてこの車種がテストされて、あのモデルがないのか?」と疑問を抱く人もいるでしょう。

自動車事故対策機構(NASVA)のホームページよると、車種の選定については

「販売台数を考慮して、学識経験者やユーザー代表者などから構成される自動車アセスメント評価検討会で公正に選定されます」

とのこと。

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また、試験対象車の調達については、

「NASVA職員が身分を明かさずに販売店に出向いて展示車または在庫車から即時に購入し、部品交換等ができないようその場でマーキングを行っています。また、販売店で購入が困難な場合は、生産工場で無作為に抜き取って購入します」

とあり、公平性に注意が払われています。

高齢のドライバーによる歩行者などを巻き込んだ事故が社会問題化している昨今、今年からテストに加わった対歩行者のエマージェンシーブレーキ(被害軽減ブレーキ)の結果に注目が集まっています。

今年から加わった被害軽減ブレーキは「車両が直進時に横断している歩行者」に対してテストされるもので、歩行者の急な飛び出しもテスト内容から除外されています。速度は10km/h〜60km/hの間で10km/h刻み(6つの速度)で評価され、この試験は25点満点となっています。

被害軽減ブレーキ(対歩行者)の得点のみで順位をつけると、

1位:マツダ・アクセラ(24.5点)
2位:スバル・フォレスター(23.5点)
3位:スバル・インプレッサ(22.9点)
4位:スバル・レヴォーグ(22.5点)
5位:トヨタ・プリウス(22.1点)
6位:スバル・レガシィ(22.0点)
6位:レクサスRX(22.0点)
8位:レクサスGS(21.9点)
9位:トヨタ・クラウン(21.3点)
10位:スズキ・イグニス(20.3点)
11位:ホンダ・フリード(12.5点)となっています。対歩行者の被害軽減ブレーキテストは、先述したようにNASVAの基準でされていますから、試験方法によっては燃費計測のように点数が変わる可能性もあるでしょう。

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なお、ほかにも予防安全性能アセスメントは「被害軽減ブレーキ(対車両)」、「はみ出し警報」、「後方視界情報」があります。なお、予防安全性能アセスメントの2016年前期分では、すべてのテスト車両が最高ランクの「ASV++(ダブルダブル)」を獲得しています。

(文/写真 塚田勝弘)

日産ADシリーズが「NV150 AD」に進化。単眼カメラの衝突被害軽減ブレーキを装備

モデルライフが10年にもなる日産の小型商用車「AD」シリーズが、車名を「NV150 AD」に変更するというビッグマイナーチェンジです。

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FFは1.5リッターエンジン、4WDは1.6リッターエンジンとなるパワートレインの基本は従来通り。フロントマスクに新世代日産のデザインシグネチャーである「Vモーショングリル」を採用しているのが外観で目立つポイント。

内装では、インストアッパーボックスの容量拡大や大容量グローブボックスの採用、さらにセンターコンソールに500ml紙パックに対応したカップホルダーを設定するなど、ビジネスシーンでの使い勝手を向上させています。

注目は安全性能。単眼カメラを用いた先進安全装備とVDC(横滑り防止装置)を全車に標準装備。カメラを使うことで歩行者も検知できるエマージェンシーブレーキ(10〜80km/hで作動)や居眠りなどでのハンドル操作を誤り車線を逸脱したときに警告する機能も備えます。

メーカー希望小売価格は、2WDが155万3040円〜171万1800円、4WDは178万2000円〜193万5360円となっています。

(山本晋也)

デンソーがソニー製イメージセンサーを使用して車載用画像センサーを高性能化

デンソーは、先進運転支援システム(ADAS)や自動運転の目となる車載用画像センサーに、ソニーセミコンダクタソリューションズ(以下ソニー)のイメージセンサーを採用し、夜間でも歩行者を認識できるように高性能化しました。

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車載用画像センサーは、ADAS・自動運転において道路上の白線や前方の物体を識別するセンサーとして開発されています。

今回デンソーは、ソニー製イメージセンサーを採用するため、車載用として要求される搭載性、耐熱性、耐振性などを向上させ、車両搭載を可能にしたということです。

同時に同社では、イメージセンサーで得られたデータの画像処理に関しても、ソニーの画像処理装置(ISP:Image Signal Processor)を活用して、ノイズリダクション・露出の設定を最適化することで認識性能を向上。従来品の画像と比べて夜間の歩行者を認識しやすく撮影できるようにしました。

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ソニー製のイメージセンサーは、世界中のデジタルカメラ・スマートフォン・監視カメラ・産業機器に多用されており、世界的にトップシェアを誇っています。

業界では、同業他社に対して2年以上の技術的アドバンテージを保っているといわれており、先日の熊本地震では熊本県菊池市にある画像センンサーの生産拠点が被災、ソニー製イメージセンサーの供給が滞るのではないか、と危惧されたほどです。

夜間の交通事故では、ドライバーが歩行者の存在を目で視認できないケースが多く、重大な事故につながる危険性があります。

日本・欧州が採用している自動車アセスメント「NCAP(New Car Assessment Program)」の安全性能評価基準では、自動ブレーキによる衝突回避の対象に夜間の歩行者を加えることが検討されており、今回デンソーが開発した画像センサーはこれに対応することができます。

(山内 博・画像:デンソー、ソニーセミコンダクタソリューションズ)

2020年に「ADAS(先進運転支援システム)」市場が1.4兆円規模に!

車両の前後や側方に装着したセンサーにより、車両周辺の状況を検知して事故を未然に防ぐ先進運転支援システム「ADAS」(Advanced Driving Assistant System)。

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市場調査や企業向けコンサルティングを手掛ける矢野経済研究所が、「ADAS」の世界市場動向について調査したそうです。

ADASの主な運転支援機能には、車線維持支援(LKS)、前方車両追従(ACC)、緊急自動ブレーキ(AEB)、標識認識(TSR)などがあり、センシング・デバイスとしてはミリ波レーダーやカメラ、赤外線レーザー、ナイトビジョン、超音波センサーなどが挙げられます。

矢野経済研究所が今年の3月から6月にかけて、カーエレクトロニクスや半導体、自動車メーカーなどを対象に動向を調査した結果、2015年から日米欧でADAS装着車が急増しており、世界市場が本格的に拡大していることが判明したそうです。

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今後も2020年にかけて年平均成長率29.3%で推移し、2015年時点で約4,300億円だったADAS市場は、2020年に1.4兆円を超える規模にまで成長する見通しといいます。

米国運輸省やIIHS、NHTSAが、2022年までに主要自動車メーカー20社が製造する全新規販売車両において「AEB」(緊急自動ブレーキ)が標準装備になると発表。

これを受けて、各自動車メーカーが搭載を前倒しする可能性が高く、2020年までに9割以上の新規販売車両に「ADAS」が標準装備されると推測しています。

センシング・デバイス別に見ると、特に車載カメラは自動運転車向けに複数の搭載が検討されていることから、昨年の約1,500億円から2020年には約6,800億円市場(年平均成長率43.6%)に拡大する見込み。

また、ミリ波レーダーについても、2019年以降に検知距離が100m以下の周辺監視向けSRR(Short Range Rader)として複数個の搭載が進むため、市場規模が約1,100億円→約3,900億円(同27.8%)に、超音波センサーも300億円→860億円(同19.0%)にそれぞれ拡大する見込みといいます。

一方、廉価タイプの赤外線レーザーや、高価なナイトビジョンについては伸びが鈍化する傾向にある模様。

このように、自動運転車両の普及とともに、ADAS市場は2020年に向けて飛躍的に拡大するとみてよさそうです。

Avanti Yasunori・画像:TOYOTA、矢野経済研究所)

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JAFの調査で判明した「自動ブレーキ」に対する誤解とは?

近年、軽自動車も含めて装備が進む「自動ブレーキ」。

ニュースやCMで頻繁に登場することもあり、「ぶつからないクルマ」とともに、衝突回避に向けた技術として認識が高まっています。

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JAFが全国のドライバー35,614名を対象にしたオンライン調査でも97.3%がその存在を「知っている」と回答したそうです。

しかし、その中の約半数のドライバーが「ぶつからないよう、勝手にブレーキをかけてくれる装置」と誤解しているとして警鐘を鳴らしています。

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「自動ブレーキ」は、正しくは「衝突被害軽減ブレーキ」。その名が示すとおり、ドライバーに警告音で危険を知らせることで減速を促し、それでも反応が無い場合に強制的にブレーキングして衝突を回避、または衝突被害を最小限に軽減する装置。

ドライバーの認知ミスを補完する装置に過ぎず、将来に向けて研究が進みつつある「自動運転車」が装備しているような物とは本質的に異なります。

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もっとも、遠方まで障害物を検知できる「ミリ波レーダー」や「カメラ」などのセンサーと「クルーズコントロール」の組み合せにより、前走車との車間距離を常に一定に保ちながら全車速で追従走行できる車種も存在します。

「自動ブレーキ」と言ってもその性能は様々であり、特に軽自動車ではコストの関係で比較的安価な「レーザーセンサー(赤外線)」を使っているケースがほとんど。

軽自動車にも遠方まで検知できる「ステレオカメラ」装着モデルが登場していますが、中には「レーザーセンサー」を「レーザーレーダー」と謳っているケースも見受けられ、消費者としてはあらかじめその性能をよく理解しておく必要があります。

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また「自動ブレーキ」が機能する速度域についても、30km/h以下、もしくは50km/h以下と、動作速度域が限定されているシステムもあります。さらに、天候や道路状況によってもシステムが十分に作動しない場合もあります。

システムは日々進化を続けていますが、ドライバーは決して過信せず、安全運転を心がけることが重要です。

Avanti Yasunori ・画像:JAF)

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政府が交通事故死者数削減で自動ブレーキ装備義務化を検討
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トヨタ・ダイナ/トヨエース2t積系を一部改良し、プリクラッシュセーフティを2t積系トラックに初搭載

高速ツアーバスの事故などを受け、12tを超える大型バスは2014年(平成26年)11月1日以降の新型車、継続生産車は2017年(平成29年)9月1日以降、衝突被害軽減ブレーキ(自動ブレーキ含む)の装着義務化が決定していて、22tを超える大型トラックもすでに2014年(平成26年)11月からの義務化がスタートしています。

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それよりも小さいトラックでは、3.5t以上のトラックでも平成31年11月以降(新型車)、2021年(平成33)年11月以降(継続生産車)への義務化、さらにバス、トラックへの車線逸脱警報装置(LDWS)の義務づけも国土交通省より発表されていて、車両総重量により施行時期は異なりますが、新型車は2017年(平成29年)11月から、継続生産車は2019年(平成31年)11月から順次適用されます。

[nextpage title=”トヨタ・ダイナ/トヨエース2t積系に、プリクラッシュセーフティを搭載”]

4月7日、トヨタのダイナ、トヨエース2t積系が一部改良され、5月6日から発売されます。

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その目玉は、衝突回避や衝突時の被害軽減を支援する「プリクラッシュセーフティ(歩行者検知機能付)」と、車線逸脱による衝突事故の回避を支援する「レーンディパーチャーアラート」の標準装備(標準キャブ 車両総重量5t未満の一部車型)。

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システムは、「Toyota Safety Sense P」と同様に、ミリ波レーダーと単眼カメラを組み合わせ、異なる2つのセンサーで高い認識性能と信頼性を両立し、多面的な安全運転支援を可能としたもの。

なお、「プリクラッシュセーフティ」は、先進安全自動車(ASV/Advanced Safety Vehicle)に対する減税措置に適合し、横滑り防止装置である車両安定性制御システムの「VSC」と合わせて装備することにより、自動車取得税が取得価額から525万円控除、自動車重量税は75%(初回のみ)減税の対象になります。

そのほかの装備では、スマートエントリー(運転席・助手席アンサーバック機能付)&スタートシステムを設定(オプション)し、利便性も向上。また、TECS(メーカー完成特装車)もベース車と同様の改良が施されているほか、新仕様のスライド式ダンプや荷台フロアの強度を高めたダンプを設定するなど、ラインナップも充実しています。

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価格帯はカーゴが417万2727円〜508万6800円、ルートバンが427万9745円、TECS(メーカー完成特装車)が440万9345円〜546万6763円となっています。

(塚田勝弘)

阪神高速湾岸線の特定区間で大型トラックの自動ブレーキが謎の誤作動?

阪神高速湾岸線の特定区間で、UDトラックスの大型トラック・クオン2014年モデルの「トラフィックアイブレーキ」と呼ぶ自動ブレーキに謎の誤作動が発生しており、UDトラックスがユーザーに対処を呼びかけています。

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UDトラックスの発表によると、同社のクオン2014年モデルで確認されているトラフィックアイブレーキの誤作動(同社は不要作動としています)は、前に他車がいないのにトラフィックアイブレーキが作動して自動ブレーキがかかってしまうことがある、ということです。

この誤作動は、下図に示す阪神高速湾岸線の2区間で発生しています。

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この区間には、高架道路の橋脚などが設置されており、同社ではこれらの構造物をトラフィックアイブレーキが誤検知している可能性がある、としています。

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この事態に、UDトラックスは対策として

・阪神高速湾岸線の特定区間でトラフィックアイブレーキを解除する
・時速75キロ以下にスピードを抑える

ことを呼びかけています。

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また、UDトラックスは発表で

・トラフィックアイブレーキは保安基準の性能用件を満たしている
・トラフィックアイブレーキには機能上の限界から前方の車両検知以外で作動する場合がある
・クオン2014年モデル以外は誤作動しない

として、クオン2014年モデルの誤作動の原因を究明し、対策を検討するとしています。

自動ブレーキに関しては、我々一般ユーザーの乗用車でも誤作動?を経験することがありますが、今後のUDトラックスの対応に注目が集まっています。

メーカー告知ページ:クオン2014年モデル トラフィックアイブレーキについて

(山内 博・画像:UDトラックス)