Motor Fan's YEAR 2016

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モトチャンプ

アクセラ・ディーゼルターボは、爽快なハンドリングマシンだ!(その3)【等身大インプレ】

■最大トルクを活かした中速域での加速が魅力

もう一度、千葉から湾岸線を戻って首都高環状線に入ります。今度はマニュアルモードはやめて、ドライブモードのままで乗り入れたところ、前回とは全く違う特性が待っていました。

首都高環状線の流れに乗っている限り、ドライブモードでのエンジン回転は、1600〜2000回転強に終始します。これがじれったいと思いきや、とても快適なのですネ。低回転でも欲しい時に欲しいだけのトルクを発揮してくれるので、余裕で流れに乗っていけます。

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また走行ペースを上げても、ドライブモードでは2000〜3000回転位しか使いません。この時6ATは頻繁に自動変速を繰り返しており、この最大トルクを発揮する回転域をフルに使おうとしているのがよくわかります。しかも「これがさっきと同じクルマか?」と思うほど、加速が楽しいのです。コーナーを抜けてからの加速は力強いですし、追い抜きも期待以上でした。

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さらにディーゼルとは思えないほど、レスポンスに優れています。新技術の「DE精密過給制御」による緻密な燃料噴射が効いているのだと思います。1.5Lはさすがにアウトバーンでは物足りないでしょうが、日本の公道なら必要にして充分な性能だと実感。エンジンを回して最大出力に頼って走ろうとした午前の自分に反省しつつ、午後は最大トルクを活かした走りを大いに楽しみました。

■ええい、マツダのGベクタリングは化物か!?

またエンジン回転が低いと、ハンドリングの素性もよくわかります。街中と高速巡行で体験した直進安定性に加えて、コーナーリング性能も見極めるべく、ステアリングを握り直しました。

コーナーが連続する首都高環状線で、アクセラはステアリングを切った分だけ綺麗に旋回していきます。ハンドリングに、FF車の鼻先を引っ張られるような雑味が感じられないのです。

なにより凄いのは、ステアリングの舵角が嘘のように一発で決まることでした。首都高環状線で、切り増しや切り戻しがこんなに少なくて済むクルマは、他に体験したことがありません。「ええい、マツダのGベクタリングは化物か!」と本当に思いました。

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アクセラは、ドイツ車のようにボディ剛性が高く、逞しい足回りとしなやかな乗り心地とを備えています。これにレスポンスに優れたダウンサイジングディーゼルターボと荷重制御のGベクタリングが加わるのですから、まさに鬼に金棒!「ディーゼルなのに爽快なハンドリングマシン」という、いかにもディーゼルにネガティブな印象を持つ昭和のおっさん(筆者です)らしい感想を抱いた次第です。

■カタログ値に肉薄する実燃費と安い軽油代にビックリ

今回の試乗は、街中と千葉往復、そして首都高環状線の周回で約250kmを走りました。

実燃費は、カタログ値の21.6km/lに対して驚きの19.1km/l。軽油が91円/lでしたから、燃料代は約1200円で済みました。当日はレギュラーガソリンが115円/lでしたから、ハイブリッド車が24km/lで走ったのと同じ燃料代になることを意味しています。

アクセラでは、2000ccのガソリン仕様がカタログから外れましたが、あらためてダウンサイジングディーゼルターボのトルクに乗った走りとハイブリッドに匹敵する経済性に納得した次第です!

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今回の試乗で感じたのは、エコカーとして比較されるハイブリッドとは特性が全く異なることでした。ハイブリッドの強みは、静粛性と渋滞での燃費が良いことで街中向き。ちなみにアクセラには、トヨタ由来のハイブリッドもラインナップされています。

一方ディーゼルターボの強みは、低回転での力強い走りと遠乗り燃費でロングドライブ向き。ガソリン車とも特性が違いますから、本当に眼から鱗の試乗体験となりました。

またアクセラは、1.5Lと2.2Lのディーゼルターボをラインアップしています。今回試乗した1.5Lは、公道での性能には充分余裕がありますし経済性も抜群。またエンジンが軽い分、ハンドリングでも爽快な走りを楽しめます。まさに日本のために開発した仕様といっても過言ではないと実感しました。

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アクセラの1.5Lディーゼルターボは、国産ガソリン車の物差しでは測りきれない多くの特性を備えていました。残念なのはこれらの特性は、実際に様々なシーンを運転してみないと分からないこと。特にディーラーの回りを一周する試乗だけではわからない良さがたくさんありますから、是非関東マツダのキャンペーンのような機会があったら、ロングドライブをおすすめします。

(星崎 俊浩)

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■首都高環状線で最高出力を引き出すも、走りは不発でした

街中でGベクトリングの直進安定性を実感してから、中速のワインディング走行が試せる首都高環状線に入りました。料金所に向かって急な勾配の急カーブを上がっていくと、力強いトルクと滑るようなハンドリングに好感。期待が大いに高まります。

早速シフトをマニュアルモードに切り替え、パドルシフトを手元で操作して最高出力を活かした走りを試みたのですが、そこには予想外の事態が待っていました。

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エンジンは、ディーゼルとは思えないほど軽やかに回ります。さすがは、マツダ独創の低圧縮比を採用したスカイアクティブディーゼル! そこで最高出力を活かすべく、4000回転を越える位まで回してシフトアップしてみました。

ところが、クルマが期待ほど加速してくれません。エンジン回転と音の高まりほど、パワーがついてこないのです。

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またコーナー手前でパドルシフトでシフトダウンすると、今度はエンジンブレーキが効きません。ダウンサイジングターボは、エンジン排気量が小さいため、抵抗も小さいのです。

更にコーナーを抜けて、低いギアからアクセルを踏みこんでシフトアップしても、やはり勇ましい音をたてるわりには思うような加速が得られません。最高出力を活かすべく回転を上げてドライブしたのですが、全然面白味がなく正直しょんぼりしてしまいました。

■高速巡航でディーゼルターボの強みを実感

気を取り直して、ディーゼルターボが得意とする高速巡航を試そうと思い、シフトモードをドライブモードに切り替えて、首都高環状線から湾岸線、そして東関東自動車道へ乗り入れて千葉方面に向かいました。

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湾岸線に合流する際に流れに乗ろうと軽くアクセルを踏むと、グイッと押し出されるように加速して行きます。この時6速100km/hで、エンジンは2000回転を少し超えるくらいしか回っていません。エンジンを回してしょんぼりした直後だったので、低回転での力強い加速はちょっとしたカルチャーショックでした。

次に、前方車を抜こうと追い越し車線に入りながらアクセルを踏むと、2000回転前後をキープしながら力強く加速して、軽々と追い抜きをかけることができました。高速道路を巡航してようやく低回転トルクに乗った走りというか、欧州のアウトバーンで育まれたディーゼルターボの持ち味がわかってきました。

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1.5Lのディーゼルターボが最大トルク27.5kgmを1600〜2500回転で発揮することは、頭では分かっていました。でもエンジンは小排気量だし良く回るから、低回転だけでは物足りないと感じて最高出力を引き出そうとしたのですが、それが逆効果だったのです。

そもそも最高出力は105psなので、フルパワーでも大柄なアクセラのボディをグイッと引っ張り上げることはできません。それより小排気量の1.5Lでも27.5kgmの野太いトルクを発揮する低回転こそが美味しい走りの領域なのです。

しかもGベクタリングコントロールのおかげで直進安定性は抜群ですから、アクセラディーゼルターボは、ロングツーリングが得意中の得意ということをようやく実感することができたのです。

■リベンジ、首都高速環状線へ

続いて房総の海岸線と山坂道に向かおうと思いましたが、紅葉シーズン最後の土曜日でしかも晴天でしたから、道路はどこも行楽のクルマで混雑しています。渋滞での時間ロスや返却時間を勘案すると、房総を走った後にもう一度首都高環状線を走る時間はありません。

むしろ土日の午後1時〜4時の時間帯なら都心の首都高は比較的空いています。そこでリベンジではありませんが、首都高環状線に戻ってC1とC2を何度も周回して、ダウンサイジングディーゼルターボとGベクタリングで武装したアクセラの実力を掘り下げることにしました。

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ちなみに首都高環状線へ向かう東関道の高速巡行では、ダウンサイジングディーゼルターボが1600回転から発揮する粘り強い加速感と、Gベクタリングがもたらす車線変更での滑らかな走行安定性をしっかり味わうことができました。

その3では、首都高速リベンジ編に続きます。

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■正しい姿勢に矯正する2つのメーター

等身大インプレの第3弾は、マツダのアクセラスポーツです。

今夏、マイナーチェンジとともに追加された直4・1.5Lのダウンサイジングディーゼルターボと、エンジンのトルク制御で走行安定性を向上するGベクタリングコントロールをぜひ試したいと思い、関東マツダの一日試乗キャンペーンにエントリーしました。

試乗当日は、最上級グレードの15XD Lパッケージを借りることができました。

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まずは運転席に座り、ステアリングの内側にあるインパネのメーターとステアリングの上越しから見るアクティブ・ドライビング・ディスプレイの両方が見えるように、シートとステアリングの位置決めをします。すると、自然と理想的なシートポジションが取れるから不思議。これは見事な姿勢矯正法だと、感心した次第です。

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カーナビは工場作り付けの専用タイプで、手元のコマンダーコントロールで操作します。画面をタッチするために身を乗り出す必要はありませんし、操作手順が理詰めで整理されているので、とても使いやすく感じました。

ただしナビの性能は、標準レベルにとどまります。これしか選べないのですから、もっともっと頑張って欲しいところです。

■1.5Lでも静かで野太いトルクのディーゼルターボ

支度を整えてスタートボタンを押すと、105ps/27.5kgmを発揮する直4ディーゼルターボが始動を開始します。車外にいるとガソリン車よりも音や振動が目立ちますが、室内ではアイドリングが少し気になるくらいで、慣れてしまうとほとんど意識しなくなりました。

ピストンピンに仕込んだマツダ独創のナチュラル・サウンド・スムーサーや、3本のボルトで固定する巨大なエンジンマウントなどの様々な技術の合わせ技で、静粛性を向上させているのでしょう。

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ハンドリングを試したかったので運転支援システムをOFFにして街中に乗り出すと、1.5Lディーゼルターボがアクセラスポーツのボディを力強く押し出していきます。

NA2.5L級の野太いトルクを発揮するエンジンは、街中では2000回転まで回さなくても充分でレスポンスも良いですネ。1.5Lディーゼルターボが新設された代わりに、2Lガソリンエンジンが廃止になりましたが、なるほど納得です。

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ボディは剛性感が非常に高く、街中での走りの挙動も滑らか。タイヤは太くて薄い215/45R18ですが、乗り心地は少し固めながらしなやかで筆者好み。6速ATのシフトモードは、オートのDモードに入れておけば、街中や国道を快適にドライブできます。

また、アイドリングストップはブレーキを深く踏み込むと作動するタイプで、ドライバーの意思で調整できるようになっています。

■これが、マツダのGベクタリングコントロールの威力なのか!?

国道を運転して気づいたのが、ステアリングの動きです。試乗車にはステアリングの上部中央にマークが入っているので、ステアリングの位置が一目でわかるのですが、直進時には中央でロックしているかのようにピタッと固定して動きません。

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実際の国道は、直線でも路面は凸凹だらけですし、クルマも太いタイヤを履いていますから、轍などでクルマが左右に振られるのは自明の理。なのに微修正すらなく、整備されたテストコースを走るかのように、ステアリングのマークが中央に留まり続けるのです!

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まるでマジックのようで、「これが、マツダのGベクタリングの威力なのか!?」とひとり叫んでしまったのは本当です。

その2では、首都高環状線に乗り入れてマニュアルシフトを試します。

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マツダ・アクセラが「対歩行者被害軽減ブレーキ」で1位を獲得!

国交省と自動車事故対策機構による、予防安全性能アセスメントの2016年度(前期分)のテスト結果が公開されました。このテストはエマージェンシーブレーキの性能だけでなく乗員保護性能などクルマの安全性能を確認するもので、JNCAPと呼ばれています。

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2016年度の前期分としてテストされたのは、スズキ:イグニス、スバル:インプレッサ、フォレスター、レヴォーグ、レガシィ、レクサス:GS、RX、トヨタ:クラウン、プリウス、ホンダ:フリード、マツダ:アクセラの計11台。

「どうしてこの車種がテストされて、あのモデルがないのか?」と疑問を抱く人もいるでしょう。

自動車事故対策機構(NASVA)のホームページよると、車種の選定については

「販売台数を考慮して、学識経験者やユーザー代表者などから構成される自動車アセスメント評価検討会で公正に選定されます」

とのこと。

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また、試験対象車の調達については、

「NASVA職員が身分を明かさずに販売店に出向いて展示車または在庫車から即時に購入し、部品交換等ができないようその場でマーキングを行っています。また、販売店で購入が困難な場合は、生産工場で無作為に抜き取って購入します」

とあり、公平性に注意が払われています。

高齢のドライバーによる歩行者などを巻き込んだ事故が社会問題化している昨今、今年からテストに加わった対歩行者のエマージェンシーブレーキ(被害軽減ブレーキ)の結果に注目が集まっています。

今年から加わった被害軽減ブレーキは「車両が直進時に横断している歩行者」に対してテストされるもので、歩行者の急な飛び出しもテスト内容から除外されています。速度は10km/h〜60km/hの間で10km/h刻み(6つの速度)で評価され、この試験は25点満点となっています。

被害軽減ブレーキ(対歩行者)の得点のみで順位をつけると、

1位:マツダ・アクセラ(24.5点)
2位:スバル・フォレスター(23.5点)
3位:スバル・インプレッサ(22.9点)
4位:スバル・レヴォーグ(22.5点)
5位:トヨタ・プリウス(22.1点)
6位:スバル・レガシィ(22.0点)
6位:レクサスRX(22.0点)
8位:レクサスGS(21.9点)
9位:トヨタ・クラウン(21.3点)
10位:スズキ・イグニス(20.3点)
11位:ホンダ・フリード(12.5点)となっています。対歩行者の被害軽減ブレーキテストは、先述したようにNASVAの基準でされていますから、試験方法によっては燃費計測のように点数が変わる可能性もあるでしょう。

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なお、ほかにも予防安全性能アセスメントは「被害軽減ブレーキ(対車両)」、「はみ出し警報」、「後方視界情報」があります。なお、予防安全性能アセスメントの2016年前期分では、すべてのテスト車両が最高ランクの「ASV++(ダブルダブル)」を獲得しています。

(文/写真 塚田勝弘)

国交省、日本初の対歩行者自動ブレーキの評価を公表。最高得点はマツダ アクセラ

国土交通省は12月1日、日本初となる11車種の対歩行者自動ブレーキの評価を公表しました。評価試験での最高得点はマツダ アクセラが獲得しました。

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今回、同省が公表した対歩行者自動ブレーキ評価は、平成7年から行っている自動車アセスメントの一環として今年度の平成28年から新たに加えられたもので、国産乗用車11車種の対歩行者自動ブレーキ評価を実施しました。

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公表された対歩行者自動ブレーキ評価の結果を得点順(25点満点)に並べると次の通り。

1.マツダ アクセラ:24.5
2.スバル フォレスター:23.5
3.スバル インプレッサ:22.9
4.スバル レヴォーグ/WRX:22.5
5.トヨタ プリウス:22.1
6.スバル レガシィ:22.0
6.レクサス RX:22.0
8.レクサス GS/GS F:21.9
9.トヨタ クラウンアスリート/ロイヤル/マジェスタ:21.3
10.スズキ イグニス:20.3

今回の評価は、歩く速度で車の前方を横断する人形に対して、車を10km/h〜60km/hの速度で複数回直進させ、横断する人形を検知して停車するまでの距離をメインに、衝突の回避・減速量に応じて点数を計算しました。

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今回、同省が対歩行者自動ブレーキ評価を公表したのは、日本国内の交通事故実態では、①死者数の約37%を歩行者が占めて最多となっていること、②交通事故死者数が減少しているなかで、歩行者の死者数減少幅が小さいこと、を重視したものと見られます。

公表された評価は、一般ユーザーが車種を選択する際に大きな指針となるもので、今後評価対象の車種をどこまで広げるか、特に輸入車を評価の対象に加えるかに注目が集まっています。

なお、対歩行者自動自動ブレーキが検知する対象は、あくまでも歩く速度で横断する人形であり、歩行者が急に飛び出すようなケースは評価対象になっていないので、現状では自動ブレーキを過信することはできません。

(山内 博・画像:国土交通省)

シトロエンC4の乗り心地に惚れた!? ─ 注目のCセグメント・ディーゼル車3モデルを比較

VWゴルフがベンチマークとなる、欧州Cセグメントに属するマツダアクセラスポーツ、シトロエンC4、BMW1シリーズにディーゼルエンジンが追加設定され、注目が高まっています。

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マツダアクセラスポーツが2016年7月14日にマイナーチェンジを行い、従来の2.2Lに加えて、デミオに搭載されている1.5Lディーゼルエンジンを追加設定しました。一方の輸入車ブランドでは、いち早くクリーンディーゼルエンジンを導入したBMWが、2016年5月21日にエントリーモデルとなる1シリーズに新世代直列4気筒ディーゼルターボエンジンを搭載した118dを追加しました。

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さらに2016年7月12日にプジョー、シトロエン、DS AUTOMOBILESの3ブランドを展開しているPSAグループがディーゼル車導入を発表。シトロエンブランドの中核となるC4のディーゼルエンジンを搭載するフィールブルーHDiは輸入車ディーゼル車の最安価格となる279万円という戦略的な価格設定で登場しています。

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それでは注目のCセグメントのディーゼル車3モデルをボディサイズや価格など様々な面で比較してみましょう。

今回比較する3モデルはマツダアクセラ15XD L パッケージ、BMW118dスタイル、シトロエンC4 フィール ブルーHDiです。

まずはボディサイズ。アクセラスポーツは全長4470mm×全幅1795mm×全高1470mm、ホイールベースは2700mmで車両重量は1360kgです。BMW118dは全長4340mm×全幅1765mm×全高1440mm、ホイールベース2690mmで車両重量1480kgです。

そしてシトロエンC4は全長4330mm×全幅1790mm×全高1490mm、ホイールベース2610mmで車両重量1380kgです。

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アクセラは最もボディサイズは大きいですが、車両重量が軽いのが特徴です。シトロエンC4は一般的な立体駐車場を利用できる大きさをキープしながら、全高を1490mmと3台中最も高くすることで、室内空間を広く確保しています。この3台の中ではBMW118dが最もコンパクトで、FR(後輪駆動)を活かした取り回しの良さがポイントです。

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続いて、パワートレインです。アクセラスポーツに搭載されているのは1.5L直列4気筒ディーゼルターボエンジンで組み合わされるミッションは6ATです。最高出力は77kW(105ps)、最大トルクは270Nmを発生し、JC08モード燃費は21.6km/Lを実現しています。

シトロエンC4は1.6L直列4気筒SOHCディーゼルターボエンジンに6ATが組み合わされます。最高出力は88kW(120ps)、最大トルクは300Nmを発生し、JC08モード燃費は20.2km/Lを実現しています。そしてBMW118dは2L直列4気筒DOHCディーゼルターボエンジンに8ATが組み合わされます。最高出力は110kW(150ps)、最大トルクは320Nmを発生し、JC08モード燃費は22.2km/Lを実現しています。

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排気量が最も大きなBMW118dが最高出力、最大トルクと共にカタログ燃費が最も優れているのには驚きです。やはり多段化した8速ATの効果は大きいようです。しかし最高出力の発生回転数を見ると、唯一SOHCのシトロエンC4の方が低回転域で発生。そして最大トルクもわずか250回転差とパフォーマンスは互角です。

アクセラスポーツのエンジンはパワーと燃費性能のバランスが非常に良いと感じます。排気量が最も小さいため、パワーではリードされていますが、燃費性能でリカバリーしています。

3つ目は安全装備と価格です。

マツダアクセラスポーツ15XD L パッケージの車両価格は268万9200円。衝突回避軽減ブレーキをはじめ、レーダークルーズコントロール、レーンキープアシストといった先進安全装備はすべて標準装備となっています。

シトロエンC4 フィール ブルーHDiの車両価格は279万円とアクセラスポーツと約12万円差です。しかし、先進安全装備がほとんど装着されていないというのが少々残念です。

そしてBMW118dスタイルの車両価格は378万円と、他の2台より約100万円高です。しかし衝突回避・被害軽減ブレーキや車線逸脱警報システムなどがセットになったドライビングアシストが用意され、万が一の時に役立つBMWコネクテッドドライブスタンダードなどが標準装備となっています。

安全装備の充実度と価格的な魅力はアクセラが一番です。

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最後はインプレッションです。BMW118dスタイルはスポーティさを前面に出していないため、やや柔らかめの乗り心地にビックリしてしまいました。しかし、高速走行時やコーナリング時の安定感はやはりBMWらしく、駆け抜ける歓びは健在です。

アクセラスポーツ15XDLパッケージは新機能であるGベクタリングを搭載し、コーナリングや高速走行の安定性に磨きを掛けています。ただ、3台の中で最もパワーがないため、走行中のエンジン音が大きいのが気になります。

最後にシトロエンC4 フィール ブルーHDi。このクルマは東京から仙台を往復するロングツーリングを行いました。シトロエンC4 フィール ブルーHDiのJC08モード燃費は20.2km/Lでタンク容量は60Lなので、単純に計算すると満タンで1200kmは走行できることになります。

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シトロエンC4の乗り心地は本当にソフトです。母国の首都、パリでもまだ石畳の道も残っているので、サスペンションを良く動かして路面からの衝撃を吸収してくれます。サスペンションのストローク量を大きくさせ、ゆったりとした味付けが特徴です。その効果はロングドライブでも大きく、非常に疲れづらいです。

直進安定性も高く、日帰りで仙台を往復した約850kmも一人でラクラクこなせました。しかも854km走行しても燃料計はまだ残量がタップリで平均燃費は17.2km/L。満タンで1000kmは余裕でこなせるという計算です。

仕事柄、遠くまでクルマで行くことが多いため、シトロエンC4の疲労感の少なさと財布に優しいディーゼルに心が奪われてしまいました。ただ、安全装備がもう少し充実してくれるとさらに魅力が増すと思います。

(萩原文博)

マツダのエンジニアが語った「共創」による開発体制とは?

9月25日(日)、好天に恵まれた富士スピードウェイで、マツダが「人とクルマの絆を、もっともっと深くする」と題したファンイベント「Be a driver. Experience at FUJI SPEEDWAY」を開催。

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早朝から多くのマツダファンが押し寄せ、6,000人が来場した同イベントでは、実行委員長を務める寺田陽次郎氏の挨拶に続き、モータージャーナリスト竹岡圭さんの司会進行により、マツダの開発陣を交えたトークショーが行われました。

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ステージ上には「アクセラ」「CX-5」の開発主査、児玉眞也氏、同チーフデザイナーの玉谷 聡氏、ロードスター アンバサダーの山本修弘氏、ロードスターのチーフデザイナーで開発主査の中山雅氏が登壇。

「ND」系開発主査を務めた山本氏(画像中央)が、同社のシンボル的なロードスターの主査業務を後任者へ引き継ぐにあたり、「ロードスター愛」が最も強かったとして、同車のデザインを担当した中山氏(画像左)を開発主査に推薦したエピソードを紹介。

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マツダではユーザーに高い次元の「ワクワク」を届けるため、部門の垣根を超えて力を合わせる「共創」に取組んでおり、「SKYACTIV」、「魂動デザイン」、「モノづくり革新」といった大きな動きがある中で、企画、デザイン、設計、実験、生産技術、購買部門が各々「ありたい姿」を描き、全てが一丸となって活動しているそうです。

ともすると大企業では「開発」側の思いと、「生産」側の思いが噛み合わずに対立しがちですが、山本氏によれば、マツダでは「開発側がその価値をきちんと伝えれば、各部門はそれを実現するための知恵を出してくれる」、「阻害している要因、課題をブレイクスルーによって克服するという風土が長い時間をかけて根付いている」といいます。

山本氏は、’91年にルマン24H耐久レース参戦で総合優勝したマシン「787B」用のロータリーエンジン開発を経て、それを確信したようで、今回のトークショーでも「無理と思える難題も、全員の力を結集すれば、大きな目標を達成することができる」と力をこめて説明。

おりしも、マツダがイベントの3日後となる9月28日に発表した8月のグローバル生産台数は12.6万台(+9.2%)で、国内生産が7.2万台(+4.7%)、海外生産が5.4万台(+16%)と伸びています。

生産車種でみると、国内ではCX-5(+16.5%)、アクセラ(+17.1%)、アテンザ(+6.3%)、海外ではアクセラ(+7.3%)、デミオ(+19.3%)が伸長。

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その一方、8月の国内販売では1.5万台(-14.1%)と前年実績を割り込んでおり、1月からの累計販売でも13.9万台(-21.4%)と落ち込みが目立ちます。

先頃改良を施したアクセラが2,708台(+42.9%)、同アテンザが1,357台(+83.4%)と好調なものの、昨秋あたりから主力のデミオの販売が急減しているのが影響しているようです。

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これは開発陣による商品力向上への努力に連動させて、商品価値に見合った収益を確保する方針へと切替えたことが要因のようで、かつてトヨタ自動車が同目的で国内に「レクサス」ブランドの逆輸入に踏みきった際の状況に似ているかもしれません。

こうした現状の販売状況に歯止めをかけれるかが、今度はマツダの販売サイドの腕の見せどころ。

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値引きが無くても新車が売れるようになるまで、マツダの国内販売台数減は続く可能性が高そうですが、ここは踏ん張りどころ。

同社の今後の国内市場における販売努力が注目されます。

(Text/Photo: Avanti Yasunori

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Be a driver. Experience at FUJI SPEEDWAY
http://fuji.beadriver-experience.com/

MAZDAの取組み「共創」
http://www2.mazda.com/ja/about/dealer/recruit/copro/copro.html

新型インプレッサとマツダ・アクセラ、VWゴルフのフットワークはどう違う?

スバル・インプレッサが新型に移行するにあたって、「輸入車を含めてCセグメントでトップを取る!!」という意気込みで開発されたことがプロトタイプの走りからも伝わってきました。

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従来型インプレッサのガチンコとなるライバルは、マイナーチェンジを受けたばかりのマツダ・アクセラ。スバルによると、従来型インプレッサを買った人も、アクセラを買った人も購入時に同じような比率でライバル車として意識(競合させた)していたそうです(割合でいうと20数%)。

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一方、従来型インプレッサとCセグメントのベンチマークとして自他ともに認めるフォルクスワーゲン・ゴルフではどうでしょうか。

インプレッサを買った人はゴルフを「ほとんど見ていない」そうで、比率は10%以下のひと桁台。逆にVWゴルフを買った人は、「そこそこ」インプレッサを競合として見ていたそう。

ここでは新型スバル・インプレッサ、マツダ・アクセラ、フォルクスワーゲン・ゴルフの3台を取り上げてフットワークの違いをチェック。ただし、インプレッサはプロトタイプという条件付き。

また、同じコースで、同条件下で乗り比べたわけではありませんので参考程度です。

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スバル・インプレッサの魅力は、なんといっても「ハンドリングと乗り心地」のバランスがCセグメント随一といえる次元にまで引き上げられている点。

足を引き締めてフットワークを機敏にすることは可能ですが、突き上げが大きくなるなど乗り心地への影響が出る場合が多く、そうしたモデルはいくつもあります。

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現行VWゴルフの登場時は、とくに高速域で圧倒的なスタビリティを披露する一方で、コツコツとした乗り心地傾向にありましたし、最新モデルでも多少そうした乗り味があります。

また、日本車と異なるのがとくに高速域の直進安定性で、矢のように走り抜くのであれば、GTIでなくても「TSI Highline」でも十分に期待に応えてくれるはず。

マツダ・アクセラは、まずハンドリング命といえるほど旋回性能に注力。マイナーチェンジで採用された「G-VECTORING CONTROL」がそのキモとなっています。エンジンの駆動トルクを制御して減速Gを発生し、フロントへの荷重移動をスムーズにするというもの。

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FF車で、ある程度速く走るときに、前荷重をかけて曲がることを意識しなくても「スー」っと自然に曲がっていく感じ。アクセラの新旧モデルを乗り比べると「G-VECTORING CONTROL」の有無でフットワークは明らかに異なり、運転が上手くなったようが気がします。

一方の新型インプレッサの「アクティブ・トルク・ベクタリング」は、従来どおり横滑り防止装置のVDCを使って旋回時に内輪側(FFは前輪のみ)にブレーキを掛けることで、外輪側の駆動力を大きくして旋回していくものです。

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新型インプレッサでは、最近の他モデル同様に介入をあまり意識させない自然なフィーリングになっているという条件をクリアしつつ、ノーズが容易にインを向き「曲がる!! 曲がる!!」と驚かされました。

走り慣れている公道で、実際にどういった旋回性能を披露してくれるか気になるところではあります。

(文/塚田勝弘 写真/前田惠介、ダン・アオキ)

新型アクセラは乗るほどにじわじわと効く漢方薬だった!?

クルマにおける進化というと、多くの人はフルモデルチェンジやマイナーチェンジなど、これまでの姿カタチがガラッと変わるほどの大変化を想像することでしょう。

たしかにそれは王道ですが、現在のマツダはその王道とはひと違った独自の路線を歩んでいるのをご存知でしょうか?

最近の動きを振り返ると、2012年に登場したSUV「CX-5」を皮切りに魂動デザインとスカイアクティブテクノロジーを全面採用した新モデルを続々投入。ライトウェイトスポーツカーの雄「ロードスター」をもって、この新世代商品群へのシフトが完了しました。

とまぁ、ここまでは王道中の王道。しかし、面白いのは、これら新世代商品群が根っこの部分でお互いが密接に繋がりを持っていることです。

具体的にはシャシーやエンジンといったメカニズムのほか、運転席周りの操作性などです。一括企画・一括開発のもと開発されたこれらのテクノロジーは、同じく一括企画・一括開発という絆で繋がるモデルならば速やかな展開を可能としています。

そしてマツダが取り組んでいるのが、新技術の速やかな展開によりクルマを常に新鮮な状態として保つことなのです。

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■さらなる一体感に貢献「G-ベクタリングコントロール」

今回の改良で新たに「アクセラ」に盛り込まれたものを挙げていくと、まず「デミオ」や「CX-3」ですでに搭載されている1.5Lディーゼルエンジンが遂に「アクセラ」にも投入されました。安全装備が充実したグレード「15XD PROACTIVE」で243万円と、1.5L版を加えたことでディーゼルへの入り口は広がりました。

また、ディーゼルエンジンについては1.5Lですでに実装済みのナチュラル・サウンド・スムーザーを2.2L版にも導入して、エンジンから放たれる3.5kHzの音圧レベルの低減に成功。

さらに、エンジン回転数の高まりにより生じる周波数のピーク変動を整えるナチュラル・サウンド・周波数コントロールの新採用で、加速感ともリンクした上品な音色を奏でます。

ここまでは既存の技術をもとにしたブラッシュアップですが、改良後の「アクセラ」で初出しとなったのがG-ベクタリングコントロールです。

運転に自信のある方なら、例えばコーナーでは、手前から緩やかに減速してフロントタイヤに荷重をのせて旋回し、コーナーの脱出では逆に緩やかにアクセルを踏んで加速というプロセスを滑らかに行ない、それができるクルマを「気持ちいい」と形容します。

そんな気持ちよさを誰もが実感できるようにしたのがG-ベクタリングコントロールなのです。

ただし、その制御は人間の足ではほぼ不可能な微小域で行なわれているため、あたかも自分の運転が上手くなったかのように感じるそうです。高性能スポーツカーが積むシステムがドライバーの想像を越える走りを実現させる特効薬だとするなら、G-ベクタリングコントロールは良い運転へじわじわとドライバーを導く点から漢方のようなものだといいます。

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■上質か、スポーティか、選んだのは……

少し話が脱線するかもしれませんが、ここで“ある場面”を想像していただきたいです。それは、“書類でも何でもいいですが、とにかく探し物を探す”というありふれた日常の一コマです。この場面を乗り越えるコツは「無いと思って探す」のではなく「あると思って探す」ことで、そう考えるだけですんなりと探し物は見つかったりします。

それと似たようなことが「アクセラ」にも。今回の改良の第一報を聞いて「見た目は変わっていないよね」と率直に思った方は少なくないのではないでしょうか? しかし「見た目は変わった」と思って改めて見ると……フロントマスク、ホイール、さらに5ドアハッチバックのスポーツではリヤバンパーなど、実はその外観のほとんどに手が加えられています。

この新デザインが目指したのは上質感の向上。当初はCセグメントのハッチバックらしく躍動感あふれるスポーティ路線で行くことも検討されたそうですが、現在はプレミアムブランドにも負けないレベルで質感を高める時期との考えに至り、上質路線でのデザイン変更が行なわれたそうです。

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より深く知りたい方にはこちらがおススメです。

(今 総一郎)

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マツダ「G-ベクタリング・コントロール」はエンジンで実現したのがスゴイ!

マツダは、2016年7月14日にビッグマイナーチェンジを果たしたアクセラに搭載された新技術「G-ベクタリングコントロール(略称:GVC)」を、ほかのラインナップにも拡大していくことを発表しています。

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では、『エンジンでシャシー性能を高める』というマツダのGVCとは、どのような仕組みになっているのでしょうか。

簡単にいえば、ステアリング操作に合わせてエンジンの出力を絞ることで微妙にエンジンブレーキをかけて、スムースなコーナリングをサポートするというものです。もちろん、コーナーの立ち上がり(ターンアウト)ではエンジン出力を戻してくれます。

ちょこまかと曲がって山道を一定速度で走っているように見えても、ベテランドライバーは微妙なアクセル操作をすることでスムースに走り抜けるものですが、そうした「上手な運転」をアシストしてくれる機能といえます。

それだけでなく、直進状態においてもステアリング操作に合わせて駆動力をコントロールすることで、修正舵を最小限にでき、クルマの揺れを低減できるというのもメリットのひとつといいます。

つまり、「同乗者がクルマ酔いしづらい運転ができる」機能という見方もできるものです。

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では、この『G-ベクタリング』制御というアイデアがマツダ独自かといえば、そうではありません。

遡ると、2009年に日立製作所の自動車部門が、ESC(横滑り防止装置)の機能を利用してブレーキを四輪独立制御することによってステアリング操作に合わせた姿勢をコントロールする論文を発表しています。

また、市販車では日産の電気自動車リーフが、駆動力を使って車両を安定させる制御システムを搭載しています。リーフのシステムも、ドライバーのステアリング操作に応じて、駆動トルクをわずかに変化させることで、なめらかにクルマをコーナリングさせようというもので、ドライバーのリニアリティ感をアップさせるという点ではマツダのGVCと狙いが似ています。

では、こうした先人に対してマツダのGVCは何が違い、どこがスゴイのかといえば、そうした微妙な駆動トルクの変化を、エンジンによって行なっているという点にあります。

従来であれば、電気モーターのレスポンスが必要と思われていた微妙で精緻なトルク制御を、内燃機関で実現したことがマツダの特徴でありスゴイところ。ここ数年SKYACTIVテクノロジーを進化させてきたことの成果といえそうです。

(写真:小林和久 文:山本晋也)

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マツダ・アクセラに搭載された「G-Vectoring Control」が走りを変える!?

今年5月に開催された「人とくるまのテクノロジー展2016」で動画紹介を含めた技術展示されていた「G-Vectoring Control(G-ベクタリング コントロール)」が、ビッグマイナーチェンジを受けた新型マツダ・アクセラに搭載されました。

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トルクベクタリングというキーワードを聞くことが多くなったと思いますが、主に横滑り防止装置などを使ってコーナリング中に前輪内側にブレーキを掛けることで旋回性能を高めるという機構で、三菱自動車のようにAYC(横滑り防止装置)と4WD技術を応用し、4輪の駆動力と制動力を制御するなどの例もあります。

最近のトルクベクタリングやそれに似た効果をもたらす機能は、ブレーキ制御方式、左右のトルク配分を変える、つまり駆動力で曲がる(ハイブリッド含めて)方式など、いずれもある程度の旋回スピードが必要になる場合が多いですが、最近はその制御(介入)を感じさせない仕上がりになっている例が増えています。

マツダが発表した新世代車両運動制御技術「スカイアクティブ ビークル ダイナミクス(SKYACTIV-VEHICLE DYNAMICS)」の第一弾としてアクセラに搭載された「G-ベクタリング コントロール」は、今後すべてのマツダ新世代モデルに採用されます。

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「スカイアクティブ ビークル ダイナミクス」とは、マツダの新世代技術である「スカイアクティブ テクノロジー」のひとつで、パワートレーン、ボディ、シャーシなどのSKYACTIV技術の個々のユニットを統合制御することで、マツダのコアバリューである「人馬一体」の走行性能を向上させる「新世代車両運動制御技術」の総称となっています。

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アクセラから搭載された「G-ベクタリング コントロール」は、日立オートモーティブシステムズ社の「G-Vectoring」制御のアルゴリズムを基にマツダが応用開発したもの。

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「エンジンでシャーシ性能を高める」という発想と、人間中心の開発哲学に基づいて開発されています。

ハンドル操作に応じてエンジンの駆動トルクを変化させることで、これまで別々に制御されていた車両の横方向と前後方向の加速度(G)を統合的に制御して四輪への接地荷重を最適化。スムーズで効率的な車両挙動を実現したという世界初(2016年6月現在の量産車において)の制御技術だそうです。

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「G-ベクタリング コントロール」によりどんな効果が得られるのでしょうか?

タイヤの接地荷重状態の最適化が可能になることで、車両がよりドライバーの意図どおりに動くようになり、無意識のものも含めたハンドルの修正操作が減少。

ロードフォールディングスの向上は、運転の楽しさや安心感に直結し、疲れも軽減させます。また、乗員にかかる加速度(G)の変化がよりスムーズになるため、乗員の揺れが減り、乗り心地も改善するとのこと。

さらに、雨の日や雪道などの滑りやすい路面での車両の操縦性と安定性も高まる利点も挙げています。

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マツダは「Be a Driver」というキーワードを掲げていますが、「G-ベクタリング コントロール」の搭載によりドライバーの運転技量に関係なく、高速域だけでなく「低速からの日常走行」も含めて、より威力を発揮しそうな高速走行やワインディング走行や緊急回避時など、幅広い走行シーンで一貫した効果を発揮するそう。

また、緻密に駆動トルクをコントロールできるSKYACTIVエンジンと、理想的な車両挙動を実現できるSKYACTIVシャーシの搭載モデルであれば、駆動方式やセグメントによらず様々なモデルに展開することが可能な汎用性の高い技術で、先述したようにマツダの新世代モデルに順次採用していく予定とされています。

(塚田勝弘)

マツダ・アクセラが12年10ヵ月のマツダ最短で世界累計生産500万台を達成!

マツダは、「アクセラ」の累計生産台数が2016年4月末までに500万台に達したと発表しました。

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マツダ車で500万台を達成するのは、「マツダ ファミリア」に続いて2車種目になります。「アクセラ」は2003年6月の生産開始から12年10ヵ月で累計生産500万台を達成したことになり、マツダ車として最短記録となりました。

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マツダの年間販売台数の約3割を占める基幹モデルである「アクセラ」は、日本では防府工場(山口県防府市)が国内の生産拠点になります。

海外では「Mazda3」として長安マツダ汽車有限公司(中国)、オートアライアンス(タイ)、マツダデメヒコビークルオペレーション(メキシコ)の世界3拠点で海外生産されており、マレーシアとベトナムでは現地組立が行われています。

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「アクセラ」というと2003年に登場した初代モデルを思い出す方も多いかと思います。初代アクセラも高評価を受けたモデルで、2004年欧州カー・オブ・ザ・イヤー第2位に選出されたことも特筆されます。

現行モデルの「アクセラ」は、2013年のフルモデルチェンジされた際に「SKYACTIV技術」とデザインテーマ「魂動(こどう)-Soul of Motion」が全面的に採用されたマツダの新世代を代表する車種になりました。

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2013年にはカナダ・カー・オブ・ザ・イヤーの「ベスト・ニュー・スモール・カー」を、2014年には国際的なデザイン賞である「レッド・ドット・デザイン」賞を受賞したほか、「2014年ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー」および「2014年ワールド・カー・デザイン・オブ・ザ・イヤー」のトップ3 ファイナリストに選出されるなど、近年のマツダ躍進を象徴するモデルに成長しました。

(山内 博・画像:マツダ)

思ったよりも売れている!? マツダ・アクセラの世界生産台数500万台を最速で達成

マツダのCセグメントモデルであるアクセラは、長年ファンに愛されてきた「ファミリア」の後を受け継ぐモデルで、初代は2003年10月に発売を開始しました。

MAZDA_axela_04生産を開始した2003年6月から2016年4月末までの12年10か月で累計生産500万台を達成。これはマツダ車として最短記録となるそうです。

3 代目となる現行アクセラは2013年に登場。

セダン、スポーツというボディタイプに加えて、ガソリン、ディーゼル、ハイブリッド、そしてAT/MT(ハイブリッドはCVTのみ)など、多彩なバリエーションが用意されています。

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グローバルモデルである現行アクセラは、「SKYACTIV(スカイアクティブ)技術」とデザインテーマ「魂動(こどう)- Soul of Motion」が全面的に採用された新世代モデルの第3弾。

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デビューした2013年には、カナダ・カー・オブ・ザ・イヤーの「ベスト・ニュー・スモール・カー」を、翌年には国際的なデザイン賞である「レッド・ドット・デザイン」賞を受賞したほか、「2014年ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー」、「2014年ワールド・カー・デザイン・オブ・ザ・イ ヤー」のトップ3ファイナリストに選出されています。

自販連の販売ランキングでは、2015年のデータで2カ月に1度くらいのペースで30位に入るくらい(2000台前後〜3000台前後/月)という日本の販売データ。その完成度の高さからすると、思ったよりも苦戦している印象もありますが、アクセラはマツダの年間販売台数の約3割を占めているそうです。

生産工場は日本の防府工場(山口県防府市)をはじめ、長安マツダ汽車(中国)、オートア ライアンス(タイ)、マツダデメヒコビークルオペレーション(メキシコ)があり、マレーシアとベトナムでは現地組立が行われています。

(塚田勝弘)