Motor Fan's YEAR 2016

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【XVハイブリッドtS試乗】XVハイブリッドtSは新しいカスタマイズの方向性を示したSTIの意欲作

スバルXVハイブリッドtSを目の前にして、心の中でつぶやいたのは「やっちまったなSTI……」でした。私の中でSTIのコンプリートカーというとアスリートのような機能美を追求したエクステリアが特徴と思っていました。

しかし、XVハイブリッドエアロパーツは装着されているものの、オレンジに塗られたホイールなどがポップな印象を強く感じたからです。

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標準車のXVハイブリッドはSUVらしい、ロールがやや大きめのソフトな乗り味が特徴です。エンジンのフィーリングも穏やかでステアリングフィールも良い意味で緩さがあり、全体的に穏やかな乗り味に仕立てています。

しかしXVハイブリッドtSに試乗してみるとポップな見た目とは裏腹に「おぉ!これぞSTIの乗り味!」すぐに納得することができました。

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XVハイブリッドtSのサスペンションは、ピンク色に塗られたノーマルと同じスプリングに専用チューニングされたダンパーを組み合わせます。さらにフレキシブルダンパーをはじめとしたボディ補強を施してしているので、SUVらしいソフトな乗り味は損なっていないのに、ピッチングやロール量は抑えられているのでフラットな乗り味となっています。

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ステアリング操作もリニアな味付けです。ノーマルに比べて、ハンドルを切り始めてからのクルマの動きが素早くなっていますので、クルマと一体感を感じられます。全体的には揺れの少ないフラットな乗り味を実現し、クルマは無駄な動きをしなくなったためシャープさが増しています。これにより、ノーマルのXVの特徴を消すことなく、さらに乗り心地が良くなっています。

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モーターのトルクアップによるエンジンのフィーリングは発進時や追い越し加速を掛けるときなど、アクセルをグッと踏み込んだときに感じられます。それはオプションで設定されているスポーツマフラーのサウンドとの相乗効果もあるでしょう。

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インテリアでは、シート表皮にSTIロゴ入りの本革とウルトラスエードのコンビシートを採用し、ドアトリムにもオレンジとアイボリーを採用したカジュアルな雰囲気を演出しています。

エクテリアのオレンジのピンストライプをはじめとしたXVハイブリッドtSに漂うカジュアルな雰囲気。これに最初戸惑いを感じていましたが、試乗して納得できました。

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XVハイブリッドtSはこれまでのSTIが販売したモデルとは異なり、たとえ、STIを知らない人が試乗して、乗り心地も良くカジュアルな雰囲気が良いと選んでくれることを願って開発されているのです。

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従来のtSのターゲットユーザーはSTIというブランドに惚れ込み、走行性能を高める様々なチューニングメニューを見て満足そして納得して購入してくれる人たちです。しかし、このXVハイブリッドtSは、STIを知らない人でもtSの乗り心地を気に入って、運転しやすいと感じて購入して満足してもらえればいいということなのです。すなわちSTIがターゲットユーザーの拡大を狙った意欲作と呼べるクルマなのです。

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STIの掲げる「強靱でしなやかな走り」は一見、スポーティな走りをイメージしがちですが、ドライバーのスキルに関わらず、意のままに操れるという点では従来のSTIファン以外にも受け入れられるでしょう。

なぜなら、ダンパーとボディの強化キットだけでも市販化してほしいとXVオーナーが思うほどの優れたパーツだったからです。これまでのtSモデルのリセールバリューの高さを考えたら、332万6400円はお値打ち価格といえます。

(文・萩原文博、撮影・小林和久)

台数上限なし! 期間限定販売WRXの特別仕様車「WRX S4 tS」そのお値段は?

スバルテクニカインターナショナル(STI)は、スバル WRX S4をベースとした特別仕様車「WRX S4 tS」を、2016年10月4日から2017年3月12日までの期間限定(台数制限なし)で発売します。

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チェリーレッドストラップの入ったメッシュタイプフロントグリル、過渡領域でのエンジントルクアップ、しなやかに引き締めたサスペンションに19インチタイヤ、大径ホイールの中にはブレンボ4ポットキャリパー(フロント)を収めるなど、STIのノウハウを活かしたコンプリートカーとなっています。

基本となる「WRX S4 tS」の価格は496万8000円。ドライカーボン製リヤスポイラーなどを装備したNBR CHALLENGE PACKAGEは529万2000円で用意しています(いずれも消費税込)。

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【WRX S4 tS主要装備】

■足回り/メカニズム
・STI製低背圧パフォーマンスマフラー(STIロゴ入り)&エキゾーストパイプリヤ
・STI製低圧損エアクリーナーエレメント
・CVTオイルクーラー&ラジエーターファン強化タイプ
・STI製ビルシュタイン フロントストラット(DampMatic®II、倒立式)&コイルスプリング
・STI製ビルシュタイン リヤダンパー&コイルスプリング
・STI製255/35R19 92Yタイヤ(ダンロップSPORT MAXX RT、特殊吸音スポンジ付)
・brembo製17インチ対向4ポット フロントベンチレーテッドディスクブレーキ(STIロゴ入り)
・STI製フレキシブルタワーバー(フロント)
・STI製フレキシブルドロースティフナー(フロント)
・STI製ピロポールブッシュリヤサスリンク(ラテラルリンクフロント内側、ラテラルリンクリヤ内側)
・STI製フレキシブルサポートサブフレームリヤ

■ エクステリア
・STI製BBS19インチ×8 1/2J鍛造アルミホイール(シルバー)
・メッシュタイプフロントグリル(チェリーレッドストライプ、STIオーナメント付)
・大型フロントアンダースポイラー
・ブラックルーフアンテナ(シャークフィンタイプ)
・STIエンブレム付サイドガーニッシュ
・リヤバンパー(チェリーレッドストライプ)

■ インテリア/その他
・ルミネセントメーター(マルチインフォメーションディスプレイ付、STIロゴ入り)
・本革巻ステアリングホイール(高触感革、メッキベゼル、金属調フィニッシャー、シルバーステッチ)
・STI製本革巻シフトレバー(STIロゴ入り)+ピアノブラック調加飾パネル
・STI製プッシュエンジンスイッチ(STIロゴ入り、レッドタイプ)
・STI製RECAROバケットタイプフロントシート[本革(メイン:ブラックセミアニリン、サイド内側:ブラック)、
・シルバーステッチ+シルバーアクセント、シートヒーター付、STIロゴ型押し、SRSサイドエアバッグ]
・リヤシート[本革(ブラック)、シルバーステッチ+シルバーアクセント]
・インパネ加飾パネル(レッド)&オーナメント(tS LIMITED EDITION)
・サイドシルプレート(STIロゴ入り)

■「NBR CHALLENGE PACKAGE」専用装備
・STI製BBS 19インチ×8 1/2J鍛造アルミホイール(ブラック)
・STI製ドライカーボンリヤスポイラー(STIロゴ入り)
・NBR CHALLENGE PACKAGE 専用エンブレム(リヤ)
・ウルトラスエード巻ステアリングホイール(メッキベゼル、金属調フィニッシャー、シルバーステッチ、シルバーセンターマーク付)

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■WRX S4 tS主要スペック
車両型式:DBA-VAG
全長:4635mm
全幅:1795mm
全高:1475mm
車両重量:1550kg(参考値)
エンジン型式:FA20
エンジン形式:水平対向4気筒直噴ターボ
最高出力:221kW(300PS)/5600rpm
最大トルク:400Nm(40.8kg-m)/2000-4800rpm
変速装置:スポーツリニアトロニック(CVT)
燃料消費率:km/L (JC08モード)
タイヤサイズ:255/35R19
メーカー希望小売価格(税込):496万8000円

(山本晋也)

スバル「WRX S4 ts」を2017年3月12日までの期間限定で販売

10月25日から発売されるスバルXV HYBRID tsに続き、「WRX S4 ts」が10月4日から来年3月12日までの期間限定で発売されました。

STIコンプリートカーとして圧倒的な支持を集めた「S207」の技術を受け継ぎながら、「アイサイト3」や「アドバンスドセーフティパッケージ」などのスバルの最新安全装備が搭載されています。

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FA20型の水平対向4気筒直噴ターボエンジンは、吸排気系の通気抵抗を低減し、加速中の過渡トルクを最大約10%向上 (STI測定値)することで強化されています。

また、オイルクーラーを追加するなど、スポーツリニアトロニック(CVT)のクーリング性能も強化され、耐力を向上。

足まわりでの注目点は、「S207」で採用された可変減衰力サスペンション「DampMaticⅡ(ダンプマチック)」の装備で、操縦安定性と乗り心地を両立させています。

ブレーキは、フロントにブレンボ製対向 4ポットブレーキにより制動能力も向上されているほか、VDC とアクティブトルクベクタリングは専用となる前後2輪制御とすることにより、旋回時のライントレース性能を向上。

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さらに、STI 製のフレキシブルタワーバー(フロント)、フレキシブルドロースティフナー(フロント)、プロポールブッシュリヤサスリンク、フレキシブルサポートサブフレームをリヤに装備することで、ステアリングの応答性が高められています。

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アグレッシブな外観も見どころで、STI製BBS 19インチ鍛造アルミホイール(シルバー)やメッシュタイプフロントグリル(チェリーレッドストライプ、STI オーナメント付)をはじめ、大型フロントアンダースポイラー、ブラックルーフアンテナ(シャークフィン タイプ)、STI オーナメント付サイドガーニッシュ、チェリーレッドストライプ入りリヤバンパーが専用装備されています。

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インテリアは、セミアニリンレザーが採用されたSTI製レカロ・バケットタイプのフロントシートや STI ロゴ入りルミネセントメーターなどを専用装備。

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なお、WRX STIで参戦しているニュルブルクリンク 24 時間レースにおいて、2015 年、2016 年とスバルがクラス優勝したことを記念して、STI製BBS 19インチ×8 1/2J 鍛造アルミホイール、STI 製ドライカーボンリヤスポイラー、NBR CHALLENGE PACKAGE 専用リヤエンブレムといった特別な装備が追加された「NBR CHALLENGE PACKAGE」も設定されています。

価格は「WRX S4 tS」が496万8000円、「WRX S4 tS NBR CHALLENGE PACKAGE」が529万2000円です。

(塚田勝弘)

クロスオーバーSUVをSTIチューン!スバルXVハイブリッド tSは10月25日に発売

2016年7月28日から先行予約の始まっていた「スバルXVハイブリッドtS」がついに正式デビュー。発売日は2016年10月25日であることも発表されました。

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オレンジのアクセントカラーが印象的な内外装を与えられた「tS」は、SUBARU XVハイブリッドに足回りの専用チューンも施したSTIコンプリートカー。

そのコンセプトは、「Enjoy Driving Hybrid」と掲げられています。

より具体的にいえば「誰がどこで乗っても気持ちがよく、運転が上手くなるクルマ」に仕上げることがターゲット。STIらしいシュアなハンドリングとSUVに期待される乗り心地を高度にバランスさせているということです。

ボディカラーは、クリスタルホワイト・パール(3万2400円高)、クリスタルブラック・シリカ、ハイパーブルーの3色。メーカー希望小売価格は消費税込332万6400円です。

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■スバルXVハイブリッドtS主要専用装備

足回り/メカニズム
・ STI製フロントストラット&コイルスプリング
・ STI製リヤダンパー&コイルスプリング
・ STI製フレキシブルタワーバーフロント
・ STI製フレキシブルドロースティフナーフロント
・ 17インチアルミホイール(オレンジ塗装&切削光輝)

視界
・ HIDロービームランプ(ブルーインナーレンズ、ブラックアイライン)

シート
・ 専用シート[メイン:ウルトラスエード&本革(ブラック)/サイド:合成皮革(オレンジ)&トリコット(アイボリー)、オレンジステッチ、STIロゴ型押し、フロントシートヒーター付]
・ 可倒式&上下調整式フロントシートヘッドレスト(オレンジステッチ)
・ リヤシートヘッドレスト(オレンジステッチ)

内・外装
・ STIロゴ入りステンレス製サイドシルプレート(フロント)
・ STI製フロントスポイラー(オレンジピンストライプ)
・ STI製サイドアンダースポイラー(オレンジピンストライプ)
・ フロントフォグランプカバーデカール(STIロゴ入り)
・ ルーフエンドスポイラー(LEDハイマウントストップランプ内蔵、オレンジピンストライプ)
・ STIオーナメント(フロント、リヤ)
・ tSオーナメント(リヤ)

■SUBARU XV HYBRID tS 主要スペック

車両型式:DAA-GPE
全長:4485mm
全幅:1780mm
全高:1550mm
車両重量:1530kg
エンジン型式:FB20
エンジン形式:水平対向4気筒エンジン
最高出力:110kW(150PS)/6000rpm
最大トルク:196Nm(20.0kg-m)/4200rpm
メーカー希望小売価格(税込):332万6400円

(山本晋也)

【関連記事】

XVハイブリッドにも「tS」が追加!「XV HYBRID tS」の先行予約開始。価格は332万6400円
http://clicccar.com/2016/07/28/389066/

スバル・レヴォーグの「STI Sport」が発売1ヶ月で異例の3,000台超!

富士重工業が7月21日に発売した、レヴォーグの最上級グレードとなる「STI Sport」の受注台数が、発売後1ヶ月で3,052台に達したそうです。

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専用のフロント周り(バンパー、ラジエータグリル、LEDフォグランプ)や、18インチアルミホイール、大型デュアルマフラーカッター、ボルドーカラーのインテリア、専用に仕上げた可変減衰力サスペンション「DampMatic II」など、最上級モデルにふさわしい内容になっています。

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操縦安定性の向上と乗り心地を高次元で両立、ステアリングギアボックスの取付け剛性の向上により操舵応答性を高めており、ドライバーの意のままに走る愉しさをさらに突き詰めた一台。

2.0Lと1.6Lのパワートレインを用意、もちろん、アイサイトも標準装備しています。

同社の8月23日発表によると、「STI Sport」がレヴォーグ全体に占める割合は「42%」と、追加グレードとしては異例の好調なスタートとなっている模様。

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受注の内訳では、1.6Lモデル(348万8,400円)が52%、2.0Lモデル(394万2,000円)が48%となっています。

ボディカラーの構成比は、

クリスタルホワイト・パール 25%
ダークグレー・メタリック 23%
クリスタルブラック・シリカ 21%
WRブルー・パール 20%
アイスシルバー・メタリック 4%
ラピスブルー・パール 4%
スティールブルー・メタリック 2%
ピュアレッド 1%

購入者年齢の構成比は、

29歳以下 7%
30歳 〜 39歳 15%
40歳 〜 49歳 35%
50歳 〜 59歳 28%
60歳以上 15%

ボディカラーについては上位4色が大勢を占めており、年齢層では車両価格との兼ね合いで40代のユーザーを中心に人気があることがわかります。

2014年6月に登場したレヴォーグですが、今回の「STI Sport」の投入により、再びスバリストからの熱い視線を浴びることになりそうです。

Avanti Yasunori・画像:富士重工業)

【関連記事】

スバル・レヴォーグの最上級グレード「STI Sport」の価格が発表
http://clicccar.com/2016/06/27/381974/

2014年にブレイクしそうなクルマは発売目前のこの3台!
http://clicccar.com/2014/01/08/242019/

ターゲットは輸入ワゴン!! 走りの良さは世界基準に ─ スバル「レヴォーグSTI Sport」画像ギャラリー

6月21日に発表、7月21日に発売されたスバル・レヴォーグSTI Sportは、初期受注で1000台超となっているそう。

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走りの良さは以前から定評があり、さらにドライバーが感じる領域を1/100秒単位で詰めていくことで、さらにブラッシュアップされています。同クラスの輸入車と比べると、課題は走りよりもむしろ、内装を中心とした質感の向上でしょう。

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素のレヴォーグを、NVHや安全性能だけでなく内外装の向上などを年次改良で実施し、さらにSTI Sportを最上級グレードにふさわしいものに仕立てたのが注目点です。

外観では、「STI」エンブレムが付く専用フロントグリルはもちろん、サイドスカート部にメッキ加飾を施した専用フロントバンパー、専用LEDフロントフォグランプ(専用カバー付)などによりスポーティかつ、ワイド感のある佇まいとなっています。

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そのほか、サイドシルスポイラー、LEDハイマウントストップランプ付ルーフスポイラーなどを用意。足元は専用18インチアルミホイール(ダークグレー+切削光輝タイプ)が、リヤは専用大型デュアルマフラーカッターが引き締めています。

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内装の作り込みは、スバルに限らず日本車共通といえる課題。たとえば、ほかにはない個性やデザインではボルボ、細部にまで隙を感じさせない圧倒的な仕上がりならアウディなど、輸入車の多くには抜きんでた点があります(割り切りもありますが)。

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レヴォーグSTI Sportで目を惹くのは、ボルドーの内装色で、かなり思い切った色使いですから好き嫌いが分かれそう。専用装備されるのは、本革巻ステアリングホイール、本革巻シフトノブ、レッドルミネセントメーター、ボルドー/ブラックのドアトリム、ドアアームレストなど。

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中でもSTIのロゴが刻印された本革シートは、短時間の試乗ですがホールド性、快適性のバランスに秀でていている印象を受けました。

1.6Lなら323万円〜(2.0Lは365万円〜)という値付けで、この走りとムードを演出しているレヴォーグSTI Sportは、コストパフォーマンスという項目を入れれば世界に誇れるワゴンであることは間違いありません。

(文/塚田勝弘 写真/森山良雄)

レヴォーグの最上級グレード「STI Sport」の目指すものとは?

2013年11月、第43回東京モーターショーの会場にて華々しいデビューを飾った「レヴォーグ」。

台座に乗せられた「レヴォーグ」がグルグルと回転している演出風景もさることながら、日本の道路事情などを念頭に置いて開発し、日本専売モデルとして販売がスタートすることも大きな話題となりました。

登場からすでに数回の改良を経た「レヴォーグ」ですが、その熟成は滞ることなく2016年4月にも年度改良を実施。その際に嬉しいサプライズとして、新グレード「STI Sport」が追加されました。

スバル車において、「STI」というネーミングは卓越した高性能モデルに与えられることは有名ですが、「レヴォーグ」が冠するのは「STI Sport」と何やら聞き慣れない響き。

実はこれ、スバルとSTI(スバルテクニカインターナショナル株式会社)が協業した新ブランドとして企画・開発されたものなのです。

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■高性能への敷居を下げるための工夫

新ブランド「STI Sport」の使命は、ズバリ、“認知度の拡大”と“手が届く高性能”の2本柱による強い事業構造の創造です。

そのために、ベースとなる市販モデルに後から専用パーツとチューニングを施すという手法ではなく、ベース車両の製造時に「STI」のエッセンスを織り込む手法を編み出したのが最大のポイント。

「レヴォーグ」は先述したように日本を念頭に置いたモデルであり、現在も主力として販売が好調なことから、新ブランド第一号に抜擢されたそうです。

ただし、製造ラインでは「レヴォーグ」だけでなく、「BRZ」や「インプレッサ」「XV」も製造されており、その作業効率と走行性能との両立は悩みどころ。

製造担当者と相談した結果、最終的に足まわりの3項目にSTIのノウハウが活かされることが決定しました。ちなみに、今後これが軌道に乗れば、装着されるアイテム数は増えるかもしれないそうです。

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■機能性の美点を活かしつつ、ボルドーでプレミアムを演出

足回りをSTIが担当した一方、デザインや装備などは富士重工業が担当しました。そもそも「レヴォーグ」は機能と装備については元から充実しており、「レヴォーグ STI Sport」ではいかにしてスポーティかつラグジュアリーな印象を表現するかが鍵だったと言います。

とりわけ目を引くのはボルドーとブラックで彩られたインテリア。

実はこの色使いのバランスが肝で、当初はシフトノブやステアリングにもボルドーを使い、かえってスポーティさをスポイルしてしまったそうです。

そういった目に見える仕立てを変える一方、機能性はベースとなる「レヴォーグ」から踏襲。とはいえ、ドアポケット内側に不織布を張るといった、最上級グレードだからこそのこだわりも施されています。

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より深く知りたい方にはこちらがおススメです。

(今 総一郎)

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XVハイブリッドにも「tS」が追加!「XV HYBRID tS」の先行予約開始。価格は332万6400円

スバルXVハイブリッドをベースとしたSTI(スバルテクニカインターナショナル)コンプリートカー「SUBARU XV HYBRID tS」の登場です。

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STIの手が入っているのはフットワーク、そしてXVが持つカジュアルさを強調するオレンジ色をアクセントとした専用カラーの内外装。

発売は2016年秋、予約は7月28日から始まります。メーカー希望小売価格は332万6400円(消費税込み)、ボディカラーはクリスタルホワイト・パール(3万2400円高)、クリスタルブラック・シリカ、ハイパーブルーの3色となっています。

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【SUBARU XV HYBRID tSの主要装備】※予定

■ 足回り/メカニズム
・ STI製フロントストラット&コイルスプリング
・ STI製リヤダンパー&コイルスプリング
・ STI製フレキシブルタワーバーフロント
・ STI製フレキシブルドロースティフナーフロント
・ 17インチアルミホイール(オレンジ塗装&切削光輝)

■ 視界
・ HIDロービームランプ(ブルーインナーレンズ、ブラックアイライン)
[ヘッドランプレベライザー(オート)、ポップアップ式ヘッドランプウォッシャー付]

■ 操作性・計器盤・警告灯
・ インパネセンターバイザー(レザー調素材巻)
・ 本革巻セレクトレバー(オレンジステッチ、ダークキャストメタリック加飾)+ピアノブラック調加飾パネル
・ シフトブーツ(オレンジステッチ)
・ 本革巻ステアリングホイール(オレンジステッチ、STIオーナメント、シルバー/ブラック加飾
+ダークキャストメタリック加飾)
・ 左右独立温度調整機能付フルオートエアコン(抗アレルゲンフィルター付)(メッキリング/シルバー&ピアノブラック調&オレンジベゼル付エアコンダイアル)
・ 高剛性クランプスティフナー(左右)付電動パワーステアリング

■ シート
・ 専用シート[メイン:ウルトラスエード&本革(ブラック)/サイド:合成皮革(オレンジ)&トリコット(アイボリー)、オレンジステッチ、STIロゴ型押し、フロントシートヒーター付]
・ 可倒式&上下調整式フロントシートヘッドレスト(オレンジステッチ)
・ リヤシートヘッドレスト(オレンジステッチ)

■ 内装
・ インパネ加飾パネル(ピアノブラック調+ダークキャストメタリック)
・ ドアトリム加飾(アイボリー、オレンジステッチ)
・ ドアアームレスト(オレンジ表皮、オレンジステッチ)
・ パワーウインドゥスイッチパネル(ダークキャストメタリック加飾、メッキ加飾付スイッチ)
・ STIロゴ入りステンレス製サイドシルプレート(フロント)
・ フロントコンソール(ダークキャストメタリック加飾パネル、レザー調素材巻+オレンジステッチ)
・ スライド機構付コンソールリッド(オレンジステッチ)

■ 外装
・ STI製フロントスポイラー(オレンジピンストライプ)
・ STI製サイドアンダースポイラー(オレンジピンストライプ)
・ フロントフォグランプカバーデカール(STIロゴ入り)
・ ダークメッキ加飾付フロントグリル
・ ブラック電動格納式リモコンドアミラー(LEDサイドターンランプ&ターンインジケーター付)
・ カラードドアハンドル
・ ルーフエンドスポイラー(LEDハイマウントストップランプ内蔵、オレンジピンストライプ※)
・ STIオーナメント(フロント、リヤ)
・ tSオーナメント(リヤ)

■SUBARU XV HYBRID tS(プロトタイプ・参考値)主要スペック

車両型式:DAA-GPE
全長:4485mm
全幅:1780mm
全高:1550mm
車両重量:1530kg
エンジン型式:FB20
エンジン形式:水平対向4気筒エンジン
最高出力:110kW(150PS)/6000rpm
最大トルク:196Nm(20.0kg-m)/4200rpm
メーカー希望小売価格(税込):332万6400円

(山本晋也)

スバル・レヴォーグ STI Sportは輸入ステーションワゴンを超えた!?

従来のコンプリートカーとは異なり、工場でのインライン化が可能となったスバル・レヴォーグ STI Sport。

その前に2016年4月に年次改良でC型となったレヴォーグのポイントをおさらいします。

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当初、国内専用モデルとしてデビューしたレヴォーグですが、欧州やオセアニア、アジアなどにも投入されています。世界的なSUVブームとはいえ、大きすぎないワゴンのニーズは依然としてあるということでしょう。

C型レヴォーグの改良点は、日本よりも速度域の高い欧州から要望があったという静粛性の向上をはじめ、安全性の強化、質感のアップが盛り込まれています。

静粛性向上のメニューは、フロントドアガラスの室内側ショルダー部ウェザーストリップを2枚化することで車内への透過音を低減させたほか、リヤクォーターガラスの板厚アップやカーゴルームの吸音材追加など、非常に細やかな改善によって静かなキャビン空間を実現しました。

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安全面では、フロントドアビーム強化、リヤシートベルトにプリテンショナーを追加、後席シートクッションの乗員保持向上などが注目点です。

質感向上では「1.6GT EyeSight」に新デザインの17インチアルミホイールを採用。また、「GT-S」には、メーカーオプションで「ブライトパール」内装が新たに加わっています。

C型になってグレード整理もされたレヴォーグですが、やはり最大の注目は「STI Sport」。一見あまり変わっていないように見えるかもしれませんが、外観の変更点は専用18インチアルミホイール、フロントグリル、リヤゲートにSTIロゴの追加、フロントバンパーとグリル&メッキバーの新設計、フロントフォグカバーの新設計、フロントフォグランプのLED化、マフラーカッター(100パイ真円形状)など、多岐にわたっています。

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内装もステアリングなどにSTIロゴの追加、赤ステッチの追加、ドアトリムへの不織布表皮の追加など、細部にまでこだわりを感じさせます。

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「1.6 STI Sport」は323万円〜、「2.0 STI Sport」は365万円〜という価格設定も装備内容を考えると魅力的といえる内容になっています。インライン化により価格を抑えることで、輸入ステーションワゴンにも対抗できる商品力を確保しているのは間違いないでしょう。

(文/塚田勝弘・写真/森山良雄)

【関連記事】

スバル・レヴォーグ「STI Sport」の乗り味はノーマルを超越!?
http://clicccar.com/2016/07/24/387999/

スバル・レヴォーグSTI Sportのシャープで扱いやすいハンドリング
http://clicccar.com/?p=388219

スバル・レヴォーグ STI Sportのシャープで扱いやすいハンドリング

スバル・レヴォーグに最上級グレードとして追加された「LEVORG STI Sport」は、こちらでもご紹介したように、良好な乗り心地を実現するなど、シャーシまわりが最大の見どころになっています。

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フロントダンパーの「ダンプマティックⅡ」は、スバル WRX STI S207譲りで、メルセデス・ベンツCクラスなどが採用していますが、日本の量産車ではスバルが初。

大小様々な路面からの入力に対応する乗り心地だけでなく、ステアリング操作に素直に反応する利点、直進安定性やロール剛性、スラロームなどでステアリングを戻した際の追従性などの向上もレヴォーグ STI Sportの狙いのひとつとなっています。

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「ダンプマティックⅡ」以外にもステアリングギアボックスの取付部の剛性アップにより、切れ味鋭いハンドリング、連続するコーナーでも容易に破綻しない追従性も謳われています。さらにリヤサスペンションの最適化によりロール特性、乗り心地の改善を図っているとのこと。

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ショートサーキットでは、コーナーの大小を問わずロール剛性の高さを感じさせてくれました。

ボディの傾きや揺り返しなども抑制されていますから非常にコントロールしやすいうえに、足も硬く引き締められている印象も希薄で、ハンドリングと乗り心地の両立は想像上以上に高い次元で行われています。

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ただし1.6Lと2.0Lは、AWD方式が異なりますから操縦性には差が感じられます。1.6Lは、イニシャルトルクが「前60:後40」で滑りやすいウェット路面でも安心して走れますし、FFからの乗り換えでも違和感を覚えることは少なそう。

一方、「前45:後55」となるVTD-AWD(不等&可変トルク配分電子制御AWD)の2.0Lモデルは、アクセルを踏んで曲がることがより容易。1.6Lよりも乗り心地は若干硬めに感じますが、動力性能だけでなくフットワークも重視するなら2.0Lをチョイスしたいところです。

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レヴォーグSTI Sportは、高速道路やワインディングなどで気持ちのいい走りを味わえるだけでなく、低・中速域での良好な乗り心地を得るという相反する要素を達成。運転席だけでなく後席でも良好な乗り味が確認できました。

また、レヴォーグそのものマイナーチェンジでC型になり、欧州からの要望で静粛性の向上も図られるなど、最近よく使われる「動的質感」も明らかに高められています。

(文/塚田勝弘・写真/森山良雄)

【関連記事】

スバル・レヴォーグ「STI Sport」の乗り味はノーマルを超越!?
http://clicccar.com/2016/07/24/387999/

スバル・レヴォーグ「STI Sport」の乗り味はノーマルを超越!?

国内外でモータースポーツ系モデルの投入が相次いでいます。

スバルも例に漏れず、レヴォーグに新設定された「STI Sport」は、スバルというメーカーのブランド力を高めるだけでなく、STIにとっても認知度のさらなる向上に貢献するモデルと期待も大きいでしょう。

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7月21日に発売されたレヴォーグSTI Sport最大の見どころはシャーシにありますが、従来のSTI製コンプリートカーとは異なりライン生産されるため、足まわりのパーツ点数を抑えるなどの工夫もされています。

そうなると、STIなのに硬派なモデルではないのでは? という突っ込みもありそうですが、当然、多くの人に売りたいカタログモデルである以上、快適な走りを提供すると同時に価格もある程度抑制する必要があります。

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とはいえ、富士スピードウェイで開催された試乗会では、路面が良好なショートサーキット内はもちろん、一部荒れた路面がある外周路でも想像以上に良好な乗り心地を味わえました。

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「STI Sport」は、1.6Lと2.0Lともに同じ225/45R18タイヤ、そして目玉であるフロントダンパーの「DampMatic Ⅱ」も同じ。この「ダンプマティックⅡ」はビルシュタイン製の倒立式ダンパーで、メルセデス・ベンツのA、B、Cクラスなどの採用例があります。

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主に大きなストロークに作用する「メインバルブ」と、微小な入力に作用する「コンフォートバルブ」の2バルブを組み合わせた可変減衰力ダンパーからなり、非線形的な流量コントロールが可能で良好な乗り心地を実現。

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ただし、「ダンプマティックⅡ」を使っていれば乗り心地と操縦安定性の両立が図れるというほど単純な話ではありません。メルセデスの例でいえば、Cクラスは見事な乗り味とハンドリングを得ていますが、それ以外の車種では完璧とはいえませんし、ほかのセッティングや設計なども重要になっています。

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レヴォーグ STI Sportでは、ニュルブルクリンクなどからのフィードバックで得た知見が活かされているだけでなく、選任のテストドライバーをおかず開発陣自らがステアリングを握るなど、新たな開発手法の構築も利いているのかもしれません。

また、今回の結果次第で、走りと乗り心地が磨かれた仕様が数多くスバル、STIから出てくると予想されます。

(文/塚田勝弘・写真/森山良雄)

レヴォーグ STI Sportを「マニア目線」で徹底チェック!

ついに待望の「レヴォーグ STI Sport」が発表となりました。

すでにクリッカーでもインプレッション記事などがアップされていますが、2015年モデルともいえる「アプライドB型」オーナーの筆者が、気になるポイントをチェックしてみました。

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レヴォーグ STI Sportは、レヴォーグの最上級グレードとして設定され、内外装の質感と乗り心地を含めた走りの部分を高めたモデルとして登場しました。

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これまでSTIといえば走りを重視したモデルを数多くリリースし、WRXシリーズ以外ではSTIの名を冠したモデルは限定車となるコンプリートカーのみとなっていました。

こうした経緯もあり、登場を待ち望んでいたユーザーの中には「MTの設定ないの?」とか「なんでブレンボついてないんだ」といった声も聞こえてきます。

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しかし、今回登場したモデルはあくまでカタログモデルであり、レヴォーグの質感を向上させるために、足回りとステアリングフィールの味付けをSTIが担当したモデルといえます。

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グレード名にSTIの名が入ることから誤解を招いてしまいそうですが、フットワークについてはSTIのエッセンスをふんだんに取り入れていますから、期待を裏切らない仕上がりとなっています。

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足回りでは専用チューニングのダンパーとコイルスプリングを採用。フロントにはS207にも採用されているダンプマチックIIを採用しています。

ダンプマチックIIは、微低速域ではコンフォート・バルブが作動して滑らかに、高速域になるに従いリニアでレスポンスの高い減衰特性となるメイン・バルブが働く構造となっています。これにより乗り心地とハンドリングの楽しさを両立しているのです。

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もちろん、リアのダンパーとスプリングもSTI Sport専用のセッティングとなっており、試乗をさせていただいた富士スピードウェイの外周路からショートコースの領域まで、ノーマルのGT-Sとは一線を画す乗り味を体感できました。

外周路の路面の継ぎ目などはトトンと軽やかな音とともにいなしている乗り心地を実現する一方で、ショートコースのような振り返しの多い場所でも破綻することなくハイレベルなフットワークを披露。

まさに、STI Sportの上質なイメージを走りの部分でも裏切らない仕上がりといえるでしょう。

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STIの手掛けたポイントはダンパーとサスペンション以外にもステアリングフィールを向上させるために、専用クランプスティフナーを装備した電動パワーステアリングもあります。

このスティフナーは標準モデルの2.9mmから4.0mmへとアップ。取り付け部分の剛性をアップさせ直進状態から遅れなくリニアに反応する操舵応答性を実現しています。

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レヴォーグSTI Sportは走りの部分でSTIの提唱する「強靭でしなやかな走り」を誰でも手に入れることができるようにしている、まさにSTIの入門モデルといえるでしょう。

もちろん、より応答性や操縦安定性を向上させたいオーナーにはフレキシブルタワーバーやフレキシブルドロースティフナーといったアイテムもディーラー装着オプションとして設定されているので、好みで追加するのもおススメです。

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さて、STI Sportの魅力は走りの部分だけではありません。エクステリアも専用アイテムが上質さを際立たせています。

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まずは専用のフロントバンパー。フォグランプ周りの造形が変更され、サイド部分まで回り込んだ形状はアグレッシブな印象を受けます。

フロントグリルは標準モデルと比べ外周のメッキ部分を細くし、精悍な印象となっています。もちろんグリル内にはSTIのバッヂが添えられ、バンパー下部のメッキアクセントと併せて、STI Sportであることを上品に主張しています。

ちなみにSTI Sportは今後ほかのスバル車にも展開していく計画とのこと。他のモデルでもひとめでSTI Sportとわかるフロントマスクとするために共通のイメージとなるようです。

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ホイールも専用デザインの18インチホイールを採用。デザインはSTI Sport専用となりますが、ベースとなる部分はSTIからリリースされている18インチホイールセットをベースとした軽量、高剛性の鋳造ホイールとなっています。

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リム部のデザインが異なるものの、スポーク形状などはSTIのホイールセットと同一であることがわかります。カタログモデルでありながら、バネ下荷重の低減により乗り心地の面でもSTIのテクノロジーの恩恵を受けることのできる重要なアイテムの一つといえるでしょう。

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リアに回ると、STIのロゴ入りマフラーカッターがさりげなく装着されています。マフラー本体の性能は標準モデルと変わりはないそうですが、こうしたちょっとした配慮もうれしいアイテムですね。

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注目のインテリアですが、スバルの市販車としては初となるボルドー色の内装が最大のトピックといえるでしょう。

シート形状は標準モデルの本革仕様と同一ですが、プレミアムスポーツツアラーのイメージと、STIの象徴色でもあるチェリーレッドを連想させる配色はSTI Sportに相応しいインテリアカラーといえます。

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ヘッドレストにはSTIロゴが入り、インテリアでもさりげなく主張している部分といえます。もちろん角度調整などの機能は標準モデルと同一の機構を備えます。また、シートヒーターや2名分のポジションメモリーも装備されます。

ただ、個人的には本革だけでなく、ウルトラスエードの設定も欲しかったところ。

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インパネ回りも形状はそのままに、配色やSTIロゴを随所に配置することで、標準車とはまた異なったイメージとなっています。

ベースモデルはGT-S系としながらも、加飾パネルはGT系のピアノブラックを採用。ボルドー色とのマッチングも絶妙です。また、各部のステッチ色はGT-S系のブルーに対し、内装色に合わせレッドとなっています。

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メーターパネルも標準車がブルーを基調としているのに対し、リング部分をレッドに変更し、STIロゴを配置。

フルスケールではないものの、白い文字盤にレッドにリングという組み合わせと併せ、控えめにスポーツさを印象付けています。WRX STIのように赤文字盤ほどの過激さはなく、実用域での視認性が良好な180km/hメーターとしたことは、筆者個人的には高評価です。

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インテリアの気になる部分といえば、ドアポケット内に貼られた専用素材。細かい部分ですが、4枚のすべてのドアに貼られています。

ドアポケットのドリンクホルダーは特にこれからの季節飲み物を多く摂取するので大変重宝する収納ですが、500mlのペットボトルより少しポケットが大きいため、荒れた路面ではボトルがガタつき意外と音が気になるのですが、こうした配慮も最上級モデルならではのきめの細かさといえるでしょう。

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また、注目のオプションとしてはサンルーフの設定があげられます。

これまでスバルでSTIの名を冠したモデルでサンルーフが設定されていたのは先代インプレッサWRX STI A-Lineのみで、大人のためのプレミアムスポーツモデルという部分ではA-LineとSTI Sportは共通している部分といえるでしょう。

レヴォーグ STI Sportは2回目の年次改良と同時に発売され、いわゆるアプライドモデルがC型となりますが、標準モデルもきめ細かな進化を果たしています。

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まずはGT-S系に新たに設定されたブライトパール内装。

これまでブラック系のみしか選択のできなかったGT-Sに白系の内装が設定されたことはトピックといえます。ドアアームレストなどもシート色と統一され、新たなインテリアカラーとして注目されています。

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細かな部分としてはエアコン吹き出し口の開閉ダイアルにホワイトのポイントを追加。一目で開閉状態がわかるようになりました。これはレガシィアウトバックやB4ではすでに採用されており、WRXシリーズも今年の年次改良で追加されて部分です。

もちろんポイントの追加だけでなく、ダイアルを操作したときの質感も向上。タッチが上質になっています。

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後席も左右のクッション内部の発砲ポリプロピレンを拡大し、安全性を向上しているほか、左右のシートベルトにプリテンショナーを内蔵することでさらなる安全性の向上が図られています。

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フロントドアのウェザーストリップを2重化し、静粛性も向上。すでに採用されている遮音ガラスと併せて、より静かな室内空間へと進化しています。

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静粛性の面ではカーゴルームのフロアボードをウレタン高密度化することで遮音性を強化。ルーフ部分の吸音材の追加と併せてカーゴスペースの静粛性を大幅に向上。後席の快適性がさらに高まったといえるでしょう。

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遮音性の向上ではクオーターウインドウの厚みが3.1mmから3.5mmへアップしたことで、こちらもカーゴルームの遮音性がアップしています。

レヴォーグ STI Sportは、プレミアムGTツアラーといった印象で、それに相応しい走りと内外装を手に入れたこだわりのモデルといえます。

もちろんC型へ改良された標準モデルもブライトパール内装の追加や各部の静粛性の向上などで、商品力が強化されています。

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標準モデルでも十分すぎるツアラー性能を有するレヴォーグですが、新たに設定されたSTI Sportはプレミアム感とワンランク上の走りを満喫できるイチオシのグレードです。

レヴォーグの購入を検討している方は、一部の店舗では試乗車も用意されるそうなので、是非標準モデルとの違いを体感し、STIの手掛けた走りを体感することをおすすめします。

(井元 貴幸)

1.6リッターと2.0リッターでSTI Sportの走りは違う!?【スバル・レヴォーグC型試乗】

2016年6月、スバル・レヴォーグが年次改良でC型へ進化したのに合わせて、新グレード「STI Sport」を設定しました。

スバルのモータースポーツ部門ともいえるSTIのノウハウを量産車にフィードバックした、STIの手が加わった初のカタログモデルです。

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そのSTI Sport、最上級グレードという位置づけながら、最高価格のグレードというわけではありません。

もともと1.6リッターと2.0リッターという2つのボクサー直噴ターボエンジンを設定するレヴォーグは、排気量によって安全装備やシャシー性能を差別しないグレード展開をしてきましたが、STI Sportについても同様。外観では見分けがつかないほどです。

とはいえ、走り味には明確な違いを感じます。

レヴォーグSTI Sportには、ステアリングギアボックスの取り付け剛性を上げるスティフナーとフロントにダンプトロニックIIという仕組みを採用したビルシュタイン・ダンパー、そしてSTIらしいチェリーレッドに塗られたコイルスプリングが与えられています。

スプリングの塗装色は、量産車としての耐久性を満たすために新規に開発された塗料というのも隠れた注目点でしょう。

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このサスペンション、1.6リッターと2.0リッターで区別していないといいます。実際、カタログ重量は10kgしか変わらない両車ですから、あえて別々に作り込むよりも、ひとつの仕様に注力したほうがリソースの無駄にならず、有効といえます。

ただし、その乗り味は意外にも異なるものでした。

今回、それぞれ1つの車体しか乗っていないので個体差という可能性もありますが、2.0リッターのSTI Sportが、ズシッと入力を受け止める筋肉質なフィーリングのフラットライドなのに対して、大げさに言えば1.6リッターのSTI Sportは、リアがヒラヒラと旋回を促すような印象があったのです。

STI Sportのシャシーチューニングは、応答遅れの少ないリニアなハンドリングと、ニュルブルクリンクで鍛えられた柔軟で強靭なサスペンションという2つの要素が大きな特徴ということですが、前者が強調されているのは1.6リッター車、後者は2.0リッター車で、より感じやすい傾向にあるといえそう。

その理由についてエンジニア氏にたずねてみたところ、「駆動システムの違いが大きいのではないか」という見解でした。

2.0リッター車は前後トルク配分45:55を基本としたVTD-AWD方式、1.6リッター車は同60:40を基本に、100:0まで可変するアクティブトルクスプリットAWD方式を採用しています。

こうした駆動トルクの違いにより、軽快さや重厚感といった違いが出ているという見立てです。

レヴォーグSTI Sportのメーカー希望小売価格は、1.6リッター車が348万8400円、2.0リッター車が394万2000円(いずれも消費税込)。45万円以上の価格差がありながら、装備面で違うのはエンジンと前述した駆動システムだけで、どちらも先進安全技術のアイサイトやアドバンスドセーフティパッケージは標準装備しています。

また、STIチューンのサスペンションをはじめ、ボルドー&ブラックのレザーシートや専用エクステリアなどの装備面でも違いはありません。

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さらに、1.6リッター車にはアイドリングストップが備わるなど、よりダウンサイジングターボらしい環境性能を意識したキャラクターで、新しいSTIの解釈による新世代スポーツツアラーとしての印象は強まっているようにも感じます。

STI Sportのリニアなハンドリングに価値を見出すのであれば、あえて1.6リッターに乗るというのも、ひとつの選択といえるでしょう。

●スバル レヴォーグ 1.6STI Sport EyeSight主要スペック
車両型式:DBA-VMG
全長:4690mm
全幅:1780mm
全高:1490mm
ホイールベース:2650mm
車両重量:1550kg
乗車定員:5名
エンジン型式:FB16
エンジン形式:水平対向4気筒DOHC直噴ターボ
総排気量:1599cc
最高出力:125kW(170PS)/4800-5600rpm
最大トルク:250Nm(25.5kg-m)/1800-4800rpm
変速装置:CVT(マニュアルモード付き)
燃料消費率:16.0km/L (JC08モード)
タイヤサイズ:225/45R18
メーカー希望小売価格(税込):348万8400円

(写真と文 山本晋也)

323万円(税抜き)から!スバル・レヴォーグの最上級グレード「STI Sport」の価格が発表

スバル・レヴォーグの最上級グレードとして、スバルテクニカインターナショナル(STI)とコラボレーションした「STI Spott」が、2016年7月21日より発売されることが正式発表されました。

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STI Sport専用フロントフェイスやアルミホイール、ボルドーカラーのインテリアに仕上げられた、最上級にふさわしい内容となっています。また、専用に仕上げたビルシュタイン・サスペンションも与えられています。

装備は最上級ながら、パワートレインは2.0リッターと1.6リッターを用意しているのは、絶対的なスピードではないところでスポーツを感じて欲しいという作り手の思いなのでしょうか。もちろん、スバルの先進安全技術「アイサイト」は標準装備されています。

メーカー希望小売価格は、1.6リッターが税込348万8400円(本体価格323万円)、2.0リッターは税込394万2000円(本体365万円)となっています。

WRX STIがクラス2連覇!今年も恵比寿でファンと感動の瞬間を共有!【ニュルブルクリンク24時間レース】

ニュルブルクリンク24時間レースが5月28日と29日の2日間にわたり開催されました。

今年もスバルはWRX STIでSP3Tクラスに参戦。2008年から続くスバルのニュルブルクリンク24時間レースへのチャレンジは初参戦から毎年欠かさず参戦し、今年で9回目となります。

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昨年も東京・渋谷にある富士重工業本社ビル内にあるショールーム「スバル スタースクエア」にてパブリックビューイングが開催され、クラス優勝奪還の瞬間をクリッカーでも紹介しました。

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今年のニュルブルクリンク24時間レースはスバルにとって、レース開催前から波乱続きでした。

3月22日に富士スピードウェイで行われたシェイクダウンテストでは、午後のテスト走行の際にクラッシュ。山内選手は肋骨にひびが入るけがを負い、マシンも深刻なダメージを受けました。

当初はニュル24時間レースの前哨戦ともいえるVLN(ニュルブルクリンク耐久レース)への参戦はおろか、ニュル24時間レースそのものへの参戦も危ぶまれましたが、急ピッチでマシンを製作。5月14日に開催されたVLN第3戦へも出場し、見事クラス2位を獲得しました。

VLNでの結果から、ニュル24時間レースへの期待も高まりました。

しかし、VLNでクラス首位を獲得したのは最大のライバルともいえるアウディTT。もちろん24時間レースにも参戦することもあり、ファンも気が抜けない状況で5月27日の予選を迎えました。

VLN Langstreckenmeisterschaft Nuerburgring 2016, 58. ADAC ACAS H&R-Cup

予選でもクラス2位という結果で、期待と不安が入り交じり、ファンの気持ちは決勝での走りに集中します。

REPLAY

決勝レースは28日22時30分(日本時間)スタート!開始早々45分で激しい降雨に見舞われ赤旗中断。アレンベルクと呼ばれるコーナーでは次々とマシンがスピンやクラッシュするも、WRX STIはカルロ・ヴァンダム選手のドライブで、グラベル上でクラッシュしていたマシンを回避!

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ツイッターなどでは「カルロ神回避!」といったツイートが飛び交い、USTREAM配信などでも神がかり的な回避が何度もリピートされ、多くのスバルファンが歓喜しました。

レースは赤旗中断後も雨に見舞われていましたが、スバルが誇るシンメトリカルAWDが威力を発揮!山内英輝選手のアタックでライバルアウディTT RS 2.0を上回るラップタイムを重ね、ついにクラストップに躍り出ます。

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その後は安定したペースでスティントを重ね、じりじりと2位以下を引き離していきます。残り3時間を切るころ、エビススバルビルにはパブリックビューイング参加者が続々と集まり始めます。

このイベントに参加するファンは、イベント開始前からスマホなどでレースの様子をしっかりチェックしている方が多く見受けられました。

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そして、午後8時からニュル24時間レースでも長きにわたりスバルチームのドライバーとして活躍した吉田寿博選手をゲストに迎えスバルのイベントMCとしてお馴染みの濱田恵梨子さんとともに、トークショーがスタートしました。

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昨年のパブリックビューイングでも吉田選手の解説がおこなわれましたが、やはり実際にニュル24時間レースに参戦したドライバーのトークは現地での様子や休憩時間の話など、スバルチームにいたからこそわかる裏話は実に面白く、大画面の中継とともに実際にその場にいるような感覚になります。

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パブリックビューイング中は吉田選手の解説のほか、来場者からの質問を受けるコーナーも設けられ、過酷な24時間を乗り切るための技なども飛び出しました。

また、現地とネット回線を使いレーシングドライバーの松田晃司選手のレポートや山内選手の生の声が届けられ、モニター越しに会場のファンからエールが送られました。

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そして待ちに待ったゴールの瞬間!会場では来場者が一斉にクラッカーで祝福!日本にいるファンとニュルブルクリンクがひとつになった瞬間でもありました。

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昨年、男泣きを見せた山内選手は、事前に今年は泣きません!といっていたものの、シェイクダウンテストでのクラッシュというアクシデントから見事連覇を成し遂げたこともあり、感極まっていた模様。

予定を変更し、地元でもあるマセール選手にアンカーを譲ったものの、結局男泣きしてしまう山内選手のレースに懸ける思いが強く伝わりました。

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イベントの方は、締めくくりに豪華賞品を懸けたじゃんけん大会を開催。連覇の感動とともに、賞品をゲットした参加者は、一層忘れられないレースとなったことでしょう。

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解説を担当した吉田選手によると「連覇できたことが率直に嬉しいです。スバルファンとみんなが一つになって優勝を祝おう!というイベントは大事なことだと思います。スバルのユーザーやファンとともにコミュニケーションのとれるイベントがいろいろ開催できるよう、スバルの方へも提案していきたいと思います。たとえば山内選手などを迎えて凱旋ツアーなんかもいいですよね!」と語りました。

また、勝因については「個人的にはチームが強くなったことだと思います。やるべきことが明確になり、粗削りながらもディーラーメカニックさんをはじめチームが自信をもってレースに挑んでいたことが結果に結びついたと思います。まだまだスバルチームは強くなると思います!」と語りました。

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来年はいよいよ悲願の3連覇を目指し、スバルチームにはより強く、より心をひとつに勝利を目指してほしいと感じました。

(井元 貴幸)

実は薄氷の勝利だった!? ── ニュル24時間スバルSTIチーム・辰己英治総監督に訊く

2016年のニュルブルクリンク24時間レースが終わりました。スバルSTIチームは、SUBARU WRX STI NBRチャレンジ 2016を投入し、見事SP3Tクラス2連覇を達成したことは皆さんもご存じのことでしょう。

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完走することでも、いや、1周を無事に帰ってくることすら困難なことでも知られる、世界屈指の難コース。そこで24時間レースを2年連続で制することの素晴らしさ! 心から賛辞を送らせていただきます。

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レース開始直後45分に降り出した大雨、そして雹がアレンベルクコーナーを埋め尽くす状況となり、コースアウトするマシンが続出。WRX STIもコースオフしてあわや接触という状況で、なんとかそれを回避したカルロ・ヴァン・ダム選手のドライビングテクニックに『神回避』というネットでの命名もありました。

さて、ネットでの皆さんのリアクションを見ると、賛辞の一方で、終盤になにも起こらなかったからか、その戦いぶりを「退屈だった」と表現する方もいらっしゃるようでしたが、果たして実際はどうだったのでしょうか。

ゴール直後の辰己英治総監督にお話しを伺いました。

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── 辰己総監督、優勝おめでとうございます!

「ありがとうございます。いやぁ、今年も大変でした」

── 勝因は?

「今年は・・・運かな? 運ですね。あとは、スバルのグループの人たち、ディーラーメカとかスバルの人たち、そしてスバルファンの皆さんに、なんとかみんなに喜んでもらいたい。そのためにはなにがなんでもゴールさせるぞ! という執念がありましたよね」

── ここまでの道のり、大変だったですね。

「去年から、このクルマづくりおいては(シェイクダウンでのクラッシュなど)大変なことがあった。そういうことを乗り越えて、とにかく出るんだという執念はものすごいものがあったんじゃないかと思いますね。そういう執念がありながら、現地に来ると、もう運でしたね」

── レース序盤、ヒヤッとするシーンがありました。

「これだけ天気に翻弄されたのは初めてですよ。そのせいか、自分で勝ち取った感は、正直、いまいちなんですよ」

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── WRX STIに不利になるようなレギュレーション変更がありましたが、これも対応は大変だったのでは?

「レギュレーション変更が公表されたのが、実は今年に入ってからだったんです。今年に入って急に変えられてれても、実は間に合わない。アウディ勢は、変更されるレギュレーションにのっとって去年からクルマづくりをしている。そういうところでアウェイだなぁと感じましたね。それがわかったのが、実はけっこう最近でした

うちは2月か3月にはクルマをドイツに送らなければならない。そうなると、エンジンに関しては小さくなったレギュレーションに仕様に合わせて開発ができない。昨年仕様にそのままリストリクターを小さくして臨むしかないわけです。そして、日本で事故をして(船便で)送れなくなった。そうしたことにエネルギーを使われてしまいました」

── アウディはしっかり対応できていたと。

「アウディは、リストリクターが大きくなって、タイヤも太くなって、タンク容量も大きくなって、そういうレギュレーションのなかでクルマづくりをしている。でも、レギュレーションについて我々のほうが理解が低かったということですよね。ルールはヨーロッパで作られています。ドイツで勉強が必要だということを痛感しました」

── そういうマシンの状況下、トップを走るアウディTT RS2を追いかけているとき、また、トップに立った後にアウディTT RS2を引き離そうとしても、なかなかその差が変わらず、我慢比べのような展開が続きましたね。

「完全にクルマ作りで負けたなと思いました。有利な展開なはずなのに、逃げられない。蛇ににらまれたカエル状態。まだまだ力が及んでないなと思いましたね。真っ当に戦ったら追いつけないと思いましたね」

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── いっとき差がついても、また戻ったりという展開はなんだったのでしょうか?

「アウディのドライバーのレベルの差だと思いますね。1人はめちゃめちゃ速い選手がいました。彼が走っているときは、うちはかなわなかった。ほかの2人はまあまあ、1人はあまり速くない。そのドライバーのときにうちは追いつくんだけど、そのあとがうまくいかなかったですね」

── その点、STIチームの4人は全員が総じて高いレベルで走れていますしたね。

「そうですね。4人が、うちのクルマのすべてを出してくれました。雹がふったときにグラベルに飛び出して当たりそうになったときも、よく避けられたよね。あれはカルロの執念でした。普通だったら終わっていましたよ。壁とクルマの間に入っていった。パッと切ってすぐ戻した。だから、リアバンパーをかすったくらいで済んだんです。フロントが当たっていたら、クルマが回転してしまって足がやられて、多分終わりだった。直後に来た車にも挟まれて、絶対に終わっていたと思います」

思うようなマシン開発が進まず、レギュレーションにも邪魔をされた今年のニュル。

それをカバーしたのは『運』であり、それを呼び込んだチーム全体の『執念』であり、ドライバー全員の『実力』だったという辰己総監督。

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勝った嬉しさはもちろんですが、マシン開発に関する困難さ、それがゆえに「スパッと勝ちきれなかった」ことに、どこか『悔しさ』が滲んでいるようにも見えました。

「でもね、我々は勝つために出ているわけですから。やっぱり、勝たないといけない。みんなにきっとしばらくの間は喜んでもらえるんだろうなと思いますよ」

そう語って、辰己総監督はチームの輪のなかに入って行きました。

スバルSTIチームは、すぐにスーパーGTへの戦いに集中するとともに、来年に向けたクルマと体制づくりに入るものと思われます。

スバルSTIチームの戦いは、まだまだ続きます。

(写真・文 ハイパーレブ/86&BRZ WORLD編集長 渡辺文緒)

可変減衰力サスペンションなどを搭載したスバル・レヴォーグ「STI Sport」の先行予約を開始

2016年夏にも発売されるスバル・レヴォーグ「STI Sport」。その先行予約が5月27日から開始されました。

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数ある専用装備の中でも注目は、「DampMatic Ⅱ」と呼ばれる専用のチューニングが施された可変減衰力サスペンションの採用。

ダンパーの特性を活かした専用コイルスプリングとの組み合わせにより、操縦安定性の向上と乗り心地の確保という、相反する性能を高次元で両立したというのが自慢。

もちろん、専用チューニングビルシュタインリヤダンパーコイルスプリングも採用されています。

また、ステアリングギアボックスの取り付け剛性向上により操舵応答性を高めるなど、ハンドリングの向上にも余念がありません。

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外観は、専用設計となるフロントバンパーやフロントグリルをはじめ、LEDフロントフォグランプが採用されているほか、専用18インチアルミホイール、専用大型デュアルマフラーカッターを装備。ボディの前後にはSTIのオーナメントも配置。

なお、ボディカラーはベース車の7色に加えて、「WRブルー・パール」が用意されています。

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一方インテリアは、「STI Sport」専用のテーマカラーである「ボルドー」でコーディネートされていて、レッドステッチやピアノブラックのパネルとの組み合わせにより、スポーティでありながら落ち着きのある上質な雰囲気を演出。

また、専用アイテムとして、STIロゴ付きとなる専用ルミネセントメーター、ステアリングホイール、サイドシルプレート、運転席・助手席ヘッドレストを採用することで、レヴォーグ最上級グレードという位置づけにふさわしい仕上がりになっているそう。

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そのほか、レヴォーグ STI Sportにも専用クランプスティフナー付電動パワーステアリング(なお、フォレスターtSでは、クランプスティフナーの肉厚化されています)が備わり、アドバンスドセイフティパッケージも標準装備されています。

価格は「レヴォーグ 1.6STI Sport EyeSight」が348万8400円、「レヴォーグ2.0STI Sport EyeSight」が394万2000円です。

公式サイト:LEVORG×STI ティザーサイト|SUBARU

(塚田勝弘)

STIのレヴォーグ用エギゾーストキットを試してみた!

スバル車のアフターパーツメーカーといえば真っ先に思い浮かべるのがSTI。

スバル車のスポーツパーツだけでなく、SUPER GTやニュルブルクリンク24時間レースなどのスバルワークスとしての活動など、スバルのモータースポーツにも欠かせないメーカーです。

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STIのスポーツパーツはこうしたモータースポーツなどから得た技術を市販車にフィードバックし、強靭でしなやかな走りを実現しています。

これは、STIのノウハウをふんだんにとりいれたコンプリートカーの「S」シリーズや「tS」シリーズも同様です。

スバル車を知り尽くしたSTIならではの走りのエッセンスを市販車に手軽に取り入れられるSTIスポーツパーツはコンプリートカーには手が届かない筆者のような人間にはありがたい存在ですね(笑)

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STIではWRXをはじめ、BRZなどのスポーツモデルだけでなくレヴォーグやXV、フォレスターといったワゴンやSUVモデルにも様々なスポーツパーツが設定されています。

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最近ではエアロパーツやシャシー系のパーツをセットにした「STI Performanceパッケージ」が設定されているモデルも多く登場しています。

今回はSTIスポーツパーツがふんだんに装着されたレヴォーグのデモカー(1.6GT-S EyeSight)を試乗する機会を得ましたので、新たにリリースされた「エキゾーストキット」を中心に紹介しましょう。

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STIのレヴォーグ用スポーツパーツは、エアロをはじめSTI自慢のフレキシブルシリーズなどラインナップはかなり充実しています。

今回新たにリリースされた「エキゾーストキット」は、すでに発売中の「パフォーマンスマフラー」に中間パイプをセットしたもの。

実は、以前全く同じデモカーに試乗したことがありましたが、その時はパフォーマンスマフラーのみが装着されていたのですが、筆者の個人的な感想からすると、マフラーを交換したときの心地よい排気音や湧き上がるトルク感などが希薄で、ちょっと物足りない感じがしていました。

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しかし、このエキゾーストキットが装着されたレヴォーグに乗って驚愕!「これが同じクルマか?!」と思うほど、劇的にフィーリングが変わりました。

まず排気音はファーストアイドルの状態から乾いたボクサーサウンドを奏で、車内では2500rpmあたりから純正では味わえない気持ちの良い音が聞こえてきます。

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ちなみにスマホの簡易的な音量計測アプリによれば、車外の音量はアイドリング時で54db、約4000rpmで61db。車内のアイドリング時は39dbと、純正とほぼ変わらない数値。車外の音量も決して大きすぎる音量ではなく、アプリに記載されている目安によれば、50dbが静かなオフィス、60dbがデパートの店内とのこと。

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そして、気になる出力のほうは、トルク感が誰でも体感できるほどに向上しています。

このデモカーでワインディングを走ってみたところ、1.6Lモデルにも関わらず、SIドライブをI(インテリジェント)モードのまま切り替えるのを忘れてしまうほどトルクフルに変貌します。

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そのパワーやトルクの出力特性も、決して唐突に出力が上がるわけではなく、全体的に厚みが増した印象。

ブースト圧も純正のマルチインフォメーションディスプレイ上ではオーバーシュート時で0.9kPa程度。実際STIによれば、ピークパワーやピークトルクは純正と変わっていないとのこと。

しかし、体感度でいえば2.0Lには一歩及ばないものの、1.6Lでも高速道路の合流やワインディングの登りでトルクやパワーが足りないと感じることはありませんでした。

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ちなみにこのデモカーにはSTIのエアクリーナーエレメントも装備。吸排気のトータルバランスを考慮したチューニングが施されています。

レヴォーグの1.6Lモデルは、販売台数の半数以上を占めておりレギュラーガソリン仕様であったり、アイドリングストップがついていたりと環境性能の面では2.0Lより魅力的な部分が多いのが特徴となっています。

その反面、一般道や高速道路の巡航では不満が少ないものの、追い越し加速やワインディングの登りなどでは「2.0Lほど過激なパワーはいらないけど、もうちょっとでいいからトルクがほしい……」と感じるユーザーも意外といるようです。

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そんな方にはこのSTI「エキゾーストキット」はおすすめのスポーツパーツです!

もちろん車検対応ですし、各部の溶接の仕上がりなどを見てもそのクオリティの高さから「さすがSTI!」と唸ってしまう逸品。

なによりその心地よいサウンドと満足度の高い力強さは、是非1.6Lモデルで不満を感じているレヴォーグオーナーに強くおススメしたいアイテムです。

個人的には2.0Lにも対応しているので、2.0Lに装着した状態も試してみたいと感じました。

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今回試乗させていただいたレヴォーグには他にも新たにリリースされたアイテムが装着されていました。

それは久々の新デザインとなる19インチホイールセット。従来の18インチと同様に鋳造ながらリム部の成形にスピニング工法を用いているため、軽量化と剛性の確保を両立しています。

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試乗したレヴォーグには純正同等のダンロップスポーツマックス050+を装着。タイヤサイズは225/40R19となっていました。GT-S系の標準サイズは225/45R18ですので、タイヤの性能や幅はほぼ同じ条件といえます。とはいえ、純粋に19インチへインチアップしただけで体感できるレベルで操縦安定性が向上。とくに中高速域でのフィーリングがより軽快になっています。

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もちろんSTI Perfomanceパッケージ装着車ですから、フレキシブルタワーバーやフレキシブルドロースティフナーの恩恵も大きく、トータルで装着することで最大限のパフォーマンスを発揮するといえるでしょう。

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19インチアルミホイールセットを装着することで見た目のイメージもより精悍になり、ドレスアップ面でも効果的なアイテムです。今回リリースされた19インチホイールは、従来の18インチホイールと同じく15本のスポークで構成されていますが、スポーク同士の間隔を変えることでかなり異なった印象となっています。

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また、レヴォーグ用のエアロパーツとして、リヤサイドアンダースカートとルーフエンドスポイラーが追加となり、これでSTIのフルエアロが完成(おそらく……)します。リヤサイドアンダースポイラーはフロント、サイドと流れてきた空気を整流するだけでなく、デザインも統一感をうみだします。

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筆者のレヴォーグは昨年の5月に購入しましたが、その時はまだこのアイテムはリリースされておらず、車体下側の統一感はちょっと物足りない状態となっています。

フロント、サイドにSTIのエアロパーツを装着している人はその効果を最大限に発揮させるためにもぜひ装着しておきたいですね。

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そして、レヴォーグ最新のSTIエアロパーツが、純正ルーフスポイラーにかぶせるカタチで装着する「ルーフエンドスポイラー」。

本格的な風洞実験を繰り返して性能検証したパーツで、走行時のハンドル修正量とふらつきを軽減すること、車両の挙動復元力を向上させることを目的に開発したそうです。

BRZのテールランプ部分や2代目インプレッサWRX STIのフロントバンパーなどにも装着されているボルテックスジェネレーターを上部に6個配置。

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車両の挙動を安定方向に整える効果があり、ダウンフォースにおいては100km/h走行時に後軸を地面に押し付ける荷重を約39.2N(約4kgf) 増加させ、80km/h走行時、ヨーレートの収束は75%、横Gの収束は67%向上する実験結果が得られているそうです。

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それぞれのパーツが本格的なテストを繰り返し開発されたアイテム。レースシーンでのフィードバックも含め、効果の高いパーツがラインナップされています。

もちろん、どのパーツもクオリティの高さと抜群のフィッティングを誇っており、エクステリアの統一感をはじめ、効果に裏付けされているスポーツパーツは新車時の装着はもちろん、すべて後付けが可能なアイテムとなっています。

GTツアラーであるレヴォーグの性能をさらに引き出し、ワンランク上の気持ちの良い走りを求める人にぜひ試していただきたい逸品ぞろいです。

[公式サイト]
STI(スバルテクニカインターナショナル)
STI レヴォーグ用スポーツパーツ

(井元 貴幸)

スバリスト目線でチェック。ここが変わった!新型WRX

スバルから新型WRXシリーズの改良が発表されました。

スバル車に詳しい人であれば、恒例の年次改良で、アプライドモデルと呼ばれる年改記号から今回の改良モデルは「C型」と呼ばれるモデルとなります。

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今回の改良はインテリアの質感と静粛性を向上し、商品力を強化したそうですが、具体的な内容を見ていきましょう。

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プレスリリースにも謳われている「インテリアの質感と静粛性の向上」ですが、ルーフトリムの素材が従来の不織布からトリコットに変更することで、インテリアの質感を向上しているそうです。

不織布とは繊維を織らずに絡み合わせたシート状のもので、クルマの内装材のほかトートバッグなどにも使用されている素材です。

一方今回採用されたトリコットは、WRX S4のGT EyeSightのシートにも使用されている素材で、質感の向上に大きく期待できる部分といえます。

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また、静粛性の向上ではリヤワイパーブレードの形状を空気抵抗の少ないエアロタイプの形状とすることで、不快な風切り音を従来型比で85%低減しているとのこと。リヤワイパーの形状変更は昨年のレガシィB4の改良でも採用されています。

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ほかにもフロントドアガラスの室内側ショルダー部ウェザーストリップを2枚化することで風切り音やロードノイズといった室内への透過音を低減し、静粛性を高めるなど、より高い質感を実現する仕様となっているそうです。

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昨年の改良、いわゆるB型の登場時にアドバンスドセイフティパッケージやWRX S4にサンルーフのOP展開、245タイヤ仕様の追加など充実した改良が行なわれましたが、今年の改良では細部を見直し、さらに質感の向上が進化したといえるでしょう。

スバルのスポーツフラッグシップであるWRXシリーズ。S4だけでなくSTIでも質感が向上している点にも注目です。

スバルオフィシャルサイト:WRX S4 / WRX STI

(井元 貴幸)

スバルWRX S4/STIが一部改良で静粛性を向上、気になる価格は?

クルマの騒音は、パワートレーンが発生源となるものや、タイヤのロードノイズやパターンノイズ、風切り音などいくつもの要因が積み重なっていますが、最近はハイブリッドやEVなどだけでなく、ガソリンやディーゼルエンジン車などパワートレーン由来に代表される騒音がかなり抑えられています。

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「何かが静かになると、ほかの音が気になっている」というのは、音・振動対策担当者を悩ませる問題で、最近ではとくに風切り音が大きな課題となっています。

5月11日から発売される、スバルWRX S4/STIの年次改良モデルは、この風切り音低減がひとつのテーマです。

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早くも発売から3年目を迎えるスバルWRX S4/STIは、インテリアの質感、そして静粛性の向上がトピックス。質感向上のメニューとして、ルーフトリムの素材を従来の不織布からトリコットに変更されています。

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また、リヤワイパーブレードの形状を空気抵抗の少ないエアロタイプの形状とすることでリヤワイパーによる不快な風切り音を従来型比で85%も低減。どういった工夫が施されているのか詳細は分かりませんが、それだけでリヤワイパー由来のノイズが大きく低減されるとは驚き。

さらに、フロントドアガラスの室内側ショルダー部ウェザーストリップを2枚にすることで風切り音やロードノイズといった室内への透過音を低減し、静粛性を高めるなど、走りの面でもクオリティアップが図られています。

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改良後モデルの価格は、改良前と変わらず据え置きで、「WRX S4 2.0GT EyeSight」が334万8000円、「WRX S4 2.0GT-S EyeSight」が356万4000円、「WRX STi」が379万800円、「WRX STI Type S」が411万4800円です。

(塚田勝弘)【関連記事】

「あのモデル」も正式発表!スバル・レヴォーグが年次改良を実施。
http://clicccar.com/?p=365929

スバル、世界一スリリングなタイムアタックに3度目の挑戦を発表!

スバルが世界一危険とも言える公道サーキットに挑戦します。

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スバルとレーシングファクトリーでお馴染みのプロドライブが現行のWRX STIをベースに製作したタイムアタック専用車で、オートバイレースで名高い「マン島」を駆け抜ける非常にチャレンジングなものなのです。

MAP(写真はwelt-atlas.deより)

マン島のコースはオートバイレース「マン島TT」使用される島の外周コース、1周60.7km、200を超えるカーブと海抜0mから396mという高低差が激しい「公道」です。
路面のコンディションも褒められたものではなく、ほんの僅かのミスが言葉通り「命取り」になってしまいます。

スバルは、そんな危険を承知の上で、英国ラリードライバー、マーク・ヒギンズの腕に全幅の信頼を置き、2011年と2014年にWRX STIの市販車にレース用安全装備を追加し、2回とも成功しています。

そして今年は、現行のWRX STIをベースにプロドライブ社がツーリングカー選手権クラスのモデファイを施した「マン島トライアル専用車」で2014年の記録19分26秒(平均速度187.3km/h)の更新だけではなく、同年のマン島TTでホンダCBR1000RRを駆るブルース・アンスティが記録したレコード17分6秒682を狙うぐらいの意気込みをこの純白のマシンから感じ取れます。

[nextpage title=”スペシャルなWRX STIを紐解く!”]

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この「マン島スペシャルカー」は、エンジン、ミッションに関しては、市販車のものをそのまま使用していると思われます。

足回りはマン島専用のサスペンション、ダンパーが与えられ足元はレーシングスリックタイヤを履かせるあたり本気度が伝わります。ボディは、内装に関しては快適装備はすべて外され、サイドウィンドウも固定のアクリル製に交換されています。そしてレーシングカー同様にドライバーの保護と剛性アップの極太ロールゲージで強化されています。

エアロダイナミクスは、長時間のトライからくる熱対策の為と安定した高速走行を可能とするため開口部が拡大され、ボンネットにもダクトが追加されています。

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リアは大きなリアウイングが目立ちます。瞬間的には270km/h近い速度が出るのでマシンを確実にマン島から離さないようにしなければならないのです。マシン下部もおそらく空力をかなり意識したカスタマイズが施されているはずです。

本番は、5月28日〜6月10日の間に開催される「マン島TTレース2016」の間です。一体どれだけのタイムが出るのか、その走る姿を想像しただけでゾクゾクしてしまいます。

(栗原 淳)

17年ぶりの一般開放!スバリストが全国からスバル研究実験センターに大集結!【スバル ファンミーティング】

栃木県 佐野市にあるスバル研究実験センター(通称:SKC)にて、スバルファンミーティングが開催されました。

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スバル研究実験センター(以下SKC)は、スバル車の開発を行なうための実験施設で、通常はスバルのトップシークレットとされる機密施設。

この場所に事前募集で当選した約1000台、2500名のスバリストが全国から集結しました。

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SKCでのイベントは1999年11月7日に開催された「SKC10周年記念イベント」以来実に17年ぶりの一般開放。通常は立ち入ることのできない聖域という事もあり、約3500組8500名もの応募があったそうです。

エビススバルビル(富士重工業本社)、富士重工業群馬製作所など、スバリストから聖地と呼ばれる場所はいくつか存在しますが、なかでもSKCは一般解放がほとんど行なわれないこともあり、聖地度はナンバーワンといえるでしょう。

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今回のイベントの主なコンテンツは、「高速走行体験」や「SUBARUの動く博物館」といった体験型プログラムから、「SKCバスツアー」や「技術資料館見学」といった見て楽しむコンテンツのほか、「SUBARU オーナーズミーティング」、「DNAフォーラム」といったエンジニアとオーナーが直接触れ合うことのできるプログラムまで大変充実した内容となっていました。

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「ドキドキSUBARUステージ」と呼ばれるメインステージではドライバートークショーなどが展開されたほか、同日に富士スピードウェイでSUPER GTのテストをおこなっていた辰己監督や井口卓人選手、山内 英輝選手、現地イベントにゲストとして参加していた山野 哲也選手との中継によるトークショーもおこなわれました。

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会場には富士重工の吉永社長やSTIの平川社長をはじめ、役員の方々や現行各モデルのPGM(開発責任者)やエンジニアの方も数多く来場していました。ステージイベント以外の時間帯には会場内でオーナーの皆さんと直接触れ合い、生の声が伝えられるという夢のような機会に恵まれました。

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スバル車を乗り継ぐいちスバルファンの筆者からすると、天国のような場所に神様みたいな人たちが溢れている環境で、一般参加の方々が羨ましい限り!「あぁあのステージ見たい……」「あの方とゆっくりお話ししてみたい……」といった状況も残念ながらかなわず(笑)丸一日会場内を取材して回りました。

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会場内にはスバルを得意とするアフターパーツメーカーの出展をはじめ、スバル専門各誌の販売ブース、そして地元佐野警察署のブースも設置され、インプレッサWRX STIのパトカーが展示されました。

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ほかにも歴代のラリーカーやレースマシンの展示もおこなわれましたが、やはり感慨深いのは「10万キロ世界速度記録」に挑戦した初代レガシィの展示でしょう。

このクルマはスバル車の競技車両の製作やパーツ販売などでスバリストにもお馴染みの「K・I・Tサービス(ケー・アイ・テーサービス)」にて保存されている車両で、この日は展示のほか高速周回路のデモランも披露されました。

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スバルが挑んだ数々の記録への挑戦のなかでも過酷なチャレンジであった10万キロ世界速度記録は当時中学生だった筆者の心をガッチリつかみ、のちにレガシィを購入するきっかけとなった1台であったこともあり、個人的には感激のワンシーンでした!

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ほかにも様々なコンテンツが催され、大盛況のうちに閉会の時間となりました。最後は参加車両が高速周回路を1周したのち、会場を後にするパレードランがおこなわれ、吉永社長をはじめ、メーカーの方々やスタッフ全員によって見送られました。

パレードランではほとんどの参加者が笑顔で手をふり、イベントの楽しさや充実度がそれだけで伝わってくるような気がしました。

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イベントに参加されたオーナーからは、

「SKCに入れただけでも感動しました。そのうえ直接エンジニアの方からクルマを作る思いや苦労話を聞けたことで、より自分のクルマに愛着がわきました!」

「SKCでのイベント開催はとてもハードルの高いことと思いますが、是非ともこうした機会を再び設けてほしいです。残念ながら抽選に漏れてしまった方達のためにも切に願います」

という熱いコメントが寄せられていました。

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今回のイベントは、スバルオーナーとメーカーのエンジニアや社員の方々が直接触れ合う貴重な機会であることが、最も印象に残りました。

普段愛車を乗り続けることで発見する使い勝手や不満だけでなく、スバルに乗っていたことで、こんな状況で助かりました!といったことも、直接声が届けられたのはスバルにとっても実に有益だったのではと感じました。

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もちろんオーナーにとっては、普段知ることのできない開発秘話やスバルの歴史、そして開発の第一線であるSKCに入れたことで自分のクルマの生い立ちなどをフィールドワークで学べる有意義な時間だったはず。いちスバルファンとしても、是非こうした機会を数多く設けてほしいと感じる充実のイベントでした。

スバルが実施している「スバル アクティブライフスクェア」では、他にも様々なイベントを実施。スバリストが楽しめるイベントから、アウトドアでのアクティビティなど内容も様々。こちらも是非チェックしてみてはいかがでしょう。

公式HP:スバル アクティブライフスクェア

(井元 貴幸)