Motor Fan's YEAR 2016

三栄書房

サンプル

モトチャンプ

新型C-HRは「格好の良さと走りの良さ」で、アンチトヨタ派を狙い撃ち!

■新型C-HRは、TNGAの開発責任者が統括するコンパクトSUV

現在トヨタはカンパニー制を導入しており、小西CE(チーフエンジニア)は、カローラやオーリス、そして新型C-HRを統括する立場にあります。しかも前職は、次世代プラットフォーム「TNGA」の開発責任者その人であります。

小西CEは、新型C-HRを拡大を続けるコンパクトSUV市場の世界戦略車と位置付け、プリウスに続くTNGA第2弾として開発を決定。そしてTNGAのポテンシャルをフルに引き出すように、マネジメントしていったのです。

8226

また個車としての新型C-HR・開発責任者には、レースをこよなく愛する古場主査が任に付きました。最重要ポイントに「格好の良さと走りの良さ」を掲げ、開発当初は専用プラットフォームの新設も検討したというのですがら、半端なくハートが熱いデス。

■走りを鍛えた場所は、ニュルブルクリンクとドイツの一般道の山坂道

古場主査は、開発中のTNGAを採用する検討に入った際、走りに不足している部分を指摘して、幾度もグレードアップを要請したとのこと。当時TNGAの開発責任者だった小西CEは、大掛かりな設計変更を承知でTNGAに織り込んだそうです。

その小西CEが、今度はC-HRを統括する立場になるのですから、クルマというものは人の情熱と信頼関係でできているとあらためて実感します。

8228

そして古場主査は、TNGAをベースに走りを鍛え上げるために、会社から進捗の心配をされるほど頻繁にニュルブルクリンク通いを敢行しました。

更に、宿舎とニュルの近くにある「L74」という狭くて交通量が多く路面の荒れた一般の山坂道で、 地元のドライバーが速度を落とさず路肩に沿って走り抜けていく様子から、ここを意のままに安定して走る性能が必要だと判断。

わざわざ「L74」を評価コースに加えて、開発を行ったとのこと。まさしく新型C-HRは、ドイツで鍛え上げた走りを身に付けているのです。

■「もっといいクルマづくり」で、アンチトヨタ派を狙い撃ち

新型C-HRは、スタイルも非常に斬新で、コンパクトSUVの中でも突出した個性を放っています。実車を見るととても国産の市販車とは思えないほど、切れの良いプレスラインや強烈な抑揚のフェンダーなど、個性的なデザインが満載。

そのため鋼板のプレスラインでも、通常トヨタ車は10R以上、レクサスでも8Rのところを、新型C-HRでは最小5Rを実現しました。欧州プレミアムカーでも歪みが出てしまう程の難易度ですが、開発陣の熱い情熱でトヨタ品質でのプレスを可能にしたのです。

8223

古場主査は「新型C-HRは、台数狙いではなくアンチトヨタ派への提案」の旨を語り、小西CEは「今はトヨタの誰もが、どうしたらやれるのか?を考えて取り組んでいる」とコメントしています。新型C-HRの開発ストーリーから、豊田章男社長の「もっといいクルマづくり」の提言がトヨタに深く根差し始めたと、あらためて実感した次第です。

(星崎 俊浩)

【関連リンク】

■第545弾新型C-HRのすべて (より深く知りたい方はこちらがオススメ)

8219

アバンギャルドなC-HRを選ぶなら、都会派のFFハイブリッド?それともアウトドア派の4WDターボ?

■C-HRは、目を見張るアバンギャルドなスタイルで登場

世界的にコンパクトSUVが人気を博している中、ホンダのヴェゼルやマツダのCX-3に続き、トヨタから新型C-HRが発売されました。

これまでもショーモデルで個性的なデザインを見てきましたが、市販モデルでもほとんどそのままで登場してきたのだから凄い!

フロントの押しの強いキーンルックもさることながら、ボディサイドのうねるようなプレスラインやリアの超立体造形は圧巻。SUVらしい大口径タイヤとあいまって、「アバンギャルド」という表現が最も似合うデザインに仕上がっています。

8222

ちなみにちょうど通りかかったディーラーで、新型C-HRがプリウスやシエンタと仲良く停まっているのを見かけました。この個性派の3台が揃うと、今にも変身合体でもしそうな勢いを感じましたヨ。その中でも新型C-HRは、目を見張るような抑揚を持つシルエットを実現していると思います。

■TNGAボディにFFのハイブリッドと4WDのダウンサイジングターボで武装

新型C-HRでは、プリウスでお目見えしたトヨタの次世代プラットフォーム「TNGA」を採用しています。TNGAは、乗り心地や走りをレベルアップしながら多様なジャンルに対応できるのが自慢で、新型C-HRでは更に走りの性能を磨き込んできました。

8224

パワーユニットはFFと4WDの2種類を用意。FFでは、プリウスと同じ1.8Lのハイブリッドを搭載。カタログ燃費で30.2km/lを達成し、都会派SUVとして申し分ないエコ性能を備えています。また4WDでは、オーリスが搭載する直4の1.2Lダウンサイジングターボを採用。アウトドアで頼れる性能を確保するとともに、CVTを組み合わせてイージードライブと燃費15.4km/lを両立しました。

■都会派のFFとアウトドア派の4WDは、近い価格設定

新型C-HRの価格帯は、FFのハイブリッドが約264.6〜290.5万円。4WDのダウンサイジングターボが約251.6〜277.6万円で、価格帯は近い設定となっています。カーライフが都会派かアウトドア派で、パワーユニットを選択できるところが嬉しいですネ。

8241

新型C-HRのグレードは、FFも4WDも標準と上級の2構成。標準グレードのS(S-T)でも、必要にして充分な装備を備えています。オススメは上級グレードのG(G-T)で、大口径18インチアルミや豪華な内装等の価格差以上の装備が付く上、オプションも豊富に選べる設定となっています。

(星崎 俊浩)

【関連リンク】

■第545弾新型C-HRのすべて (より深く知りたい方はこちらがオススメ)

8215

販売台数は二の次!? コンパクトSUV「C-HR」の使命とは?

初めて「プリウス」に乗ったのは教習所における高速教習でのこと。その日、ワタシにあてがわれたのが3代目「プリウス」でした。

当時、世間の注目を集めていたハイブリッドカーだけに、大いに期待していたのですが、アクセルの踏み込みに対する加速が鈍く、ブレーキは慣れ親しんだ教習車と同じ感覚で踏んだ瞬間にガツッと前のめりになるほど強烈。仮免許の身でも思い通りの運転ができない「プリウス」に明らかな違和感を覚えました。

さらに、自家用だけでなくレンタカーや社用車そしてタクシーと、道路を見渡せば必ず1台は視界に入るほど多くの台数が普及しており、そのいかにも「量産機」という感じも好きになれませんでした。

%e5%86%99%e7%9c%9f-2016-01-15-13-48-32

しかし、2015年に転機を迎えました。現行となる4代目「プリウス」がデビューしたのです。

豊田章男社長の「もっと良いクルマを作ろう」の号令のもと、「プリウス」はトヨタの新たなクルマづくりの指針であるTNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)に則って開発。プラットフォームはもちろんハイブリッドユニットも全面刷新して燃費を40.8km/Lまで向上させただけでなく、ドライバーの意図に忠実な運転感覚も徹底的に磨かれました。

実際、その走りに先述した違和感は皆無でした。恐るべし、TNGA。

しかも、「プリウス」はTNGAの序章にすぎず、今後TNGAに沿ったクルマが登場することも示唆されていました。そのシリーズ第二弾が今回発売されたコンパクトSUV「C-HR」なのです。

%e8%a9%a6%e4%b9%97%e3%82%a4%e3%83%b3%e3%83%97%e3%83%ac%e3%83%83%e3%82%b7%e3%83%a7%e3%83%b3

%e9%96%8b%e7%99%ba%e3%82%b9%e3%83%88%e3%83%bc%e3%83%aa%e3%83%bc

「C-HR」の開発における重要なテーマのひとつはデザインだったといいます。

コンパクトSUVへ人気が集まる理由にデザインと走りの良さが大きいことを掴み、「C-HR」はライバルを凌ぐパーソナル感あふれる一台へ仕立てることを決定。

「センシュアル・スピード-クロス」をコンセプトとするルックスは、ダイヤモンドをモチーフとし、ボディサイドの彫りが深いラインやトヨタ車で初採用のシーケンシャルターンランプ(オプション装備)など、逞しさやスピード感さらに上質感が随所に溢れており、思わず見入ってしまうような引力があります。

%e3%83%87%e3%82%b6%e3%82%a4%e3%83%b3%e3%82%a4%e3%83%b3%e3%82%bf%e3%83%93%e3%83%a5%e3%83%bc%e4%bd%bf%e3%81%84%e5%8b%9d%e6%89%8b

一方のインテリアも「センシュアル・テック」をコンセプトに、コックピット感を強調。デザインを優先した分、後席の居住性や荷室などの一部に生じるネガは潔く割り切ったそうです。

「C-HR」では走りの良さもテーマのひとつでした。

TNGAのもとで作り上げた新プラットフォームにパワフルな外装を被せただけと思いがちですが、「C-HR」の課題となったスタビライザーの剛性を上げるためにサスペンションメンバーを見直すなど、細かく手が加えられています。

%e3%83%a1%e3%82%ab%e3%83%8b%e3%82%ba%e3%83%a0%e3%83%a2%e3%83%bc%e3%82%bf%e3%83%bc%e3%82%b9%e3%83%9d%e3%83%bc%e3%83%84

また、欧州において10万kmにもおよぶテストを行なっただけでなく、数多くのスポーツカーもテストを行うことで有名なニュルブルクリンクでも徹底した走り込みが行なわれたことも特徴です。

開発を率いた古場主査によると「C-HRの使命は今までトヨタに興味のなかったお客様に買っていただけるクルマになることでした。台数ではありません」と言います。たしかに、3代目「プリウス」にショックを受けたワタシも「C-HR」のルックスと走りには心惹かれるものが……見事に術中にハマっています。

(今 総一郎)

【関連リンク】

「ニューモデル速報 第545弾 トヨタC-HRのすべて」
発売予定:12月22日(木)
価格:500円+税

%e8%a1%a8%e7%b4%99

駆動もブレーキも…新型ノートe-POWERは「逆転の発想」でできている!

■パワーユニットは新開発のシリーズ式ハイブリッド

新型ノートe-POWERの特徴は、駆動もブレーキも従来のEV車やエンジン車とは異なる発想で構成されていることでしょう。

駆動面では、EV車で最も重要な大容量の駆動用バッテリーをほとんど降ろしてしまいました。そして、リーフの弱点だった航続距離と充電問題(充電時間と充電拠点)を解決するために、エンジンを搭載して発電機として活用し、モーターが100%駆動を行う「シリーズ式ハイブリッド」を開発したのです。

1230

発電に徹するエンジンは、直3の1.2Lで圧縮比を12.0と高く設定したミラーサイクルを採用。街中ドライブでは最も効率が良い2000回転前半で発電しますが、急発進や急加速時には、発電量を稼ぐために結構な回転数まで上がります。

モーターは、発電用と駆動用の2機をエンジンに組み合わせて搭載。駆動用モーターは、リーフと同タイプでパワー109psとトルク25.9kgmを発揮。瞬時に反応するレスポンスと野太いトルクが自慢です。

駆動用のバッテリーは新開発のリチウムイオン式で、プリウスよりも1割程度の多い1.5kWhを確保。フロントシート下部に配置することで、ガソリン車と同等の居住空間を実現しました。

■高張力鋼板を贅沢に使って軽量化と高剛性を両立

ノートのVプラットフォームは、世界のどこでも生産できるように標準鋼板と低グレードの高張力鋼板を利用する設計となっています。

ただ日本向けのノートは、九州工場で生産されているため、590MPaまでの高張力鋼板を採用してきました。今回のe-POWERでは大掛かりなカスタマイズが必要なため、更に高いグレードの高張力鋼板を積極的に導入しています。

1231

プラットフォームでは、フロントシート下部に駆動用バッテリーを搭載するために、床構造を専用設計。2本のクロスメンバーを780MPa級の高張力鋼板で仕立てて、軽量化と高剛性を両立。またボディでも、左右のサイドシルに980MPa級を配置して衝突安全性能を確保しています。

■逆転の発想、ワンペダルドライブ!

また新型ノートe-POWERでは、アクセルOFFで減速操作を行うドライビング機能「ワンペダルドライブ」を新たに開発しました。駆動用モーターは、減速時には電力を回生する発電機として動作します。その際、発電が抵抗となって減速を促し、エンジンブレーキとよく似た回生ブレーキがかかりますが、e-POWERでは減速だけでなく停止まで動作するようにしました。

1232

またノーマル・エコ・スポーツのドライブモードを設定。特にエコとスポーツでは、アクセルOFF時にノーマルの3倍近い回生ブレーキで減速がかかります。そのためアクセルのペダル操作一つで「走り出し〜加速〜巡航〜減速〜停止」まで自在にできるようになったのです。

新型ノートe-POWERでは、エンジンに駆動を任せなかったように、ブレーキでもフットブレーキ無しで止まれる仕組みを採用しました。e-POWERは駆動でもブレーキでも、逆転の発想が発揮されているのです。

(星崎 俊浩)

【関連リンク】

■第544弾新型ノートe-POWERのすべて (より深く知りたい方はこちらがオススメ)

1213

2016年はコンパクトカーの当たり年だった!?

12月に入り、2016年もそろそろ終わりが見えてきました。今年も多くのブランドから様々なクルマが登場し、スポーツカーでは「86」「BRZ」さらに「GT-R」のビッグマイナーチェンジが、スーパーカーでは「NSX」が復活。SUVでは「F-PACE」や「レヴァンテ」「ベンテイガ」といった新ブランドの参入など、振り返ってみるとジャンルごとに特徴的な出来事が多い1年だったと思います。

とはいえ、こういった見た目も走りも派手なクルマたちを抑えるほど元気だったのは、実はコンパクトカーであります。

2016-11-09-14-16-39

2015年7月に登場した「トヨタ・シエンタ」は相変わらずの人気で、2016年1月に登場した「スズキ・イグニス」を皮切りに、3月は「スズキ・バレーノ」、4月は「トヨタ・パッソ/ダイハツ・ブーン」、7月は「ルノー・トゥインゴ」、そして9月には8年ぶりのフルモデルチェンジを果たした「ホンダ・フリード/フリード+」、11月には「ダイハツ・トール」「トヨタ・タンク&ルーミー」など新モデルが続々登場。

また、100%モーター駆動がウリの“e-POWER”を追加した「日産・ノート」は発売から約3週間で約2万台(約78%がe-POWER)を達成するなど、1年を通して話題に事欠くことがありませんでした。

小回りの効くボディサイズと十分な実用性を兼ね備えるコンパクトカーは、“日常生活の足”として親しまれていますが、その人気をさらに後押ししたのがハイブリッドによる低燃費です。

これまで「トヨタ・アクア(37.0km/L)」と「ホンダ・フィット(36.4km/L)」の2台が存在感を示していましたが、日産がクラストップとなる37.2km/Lを掲げる「ノートe-POWER」を投入。

%e4%bc%81%e7%94%bb1

しかし、大切なのはハイブリッドという看板やカタログで謳われる数値よりも、実際に使ってみたら?ということです。実は各車でメカニズムは異なり、走る道や走り方で燃費は大きく左右されます。また、クルマの体型によって視界や操作性も異なります。

今回はそんな各車の実態を公道で比較し、それぞれの味わいを調べてきました。

コンパクトカーの魅力である実用性も大きく進化しています。

たとえば「ホンダ・フリード+」では荷室のアレンジ次第で様々なレジャーに役立ちます。また、「ダイハツ・トール」「トヨタ・タンク&ルーミー」では“家族”に嬉しい空間づくりとするなど、これまではスペースを1mmでも多く稼ぐことがテーマでしたが、最近では実際に使う人の視点で「これがあったら便利だよね」といった細かな部分のつくり込みが目を引きます。

%e4%bc%81%e7%94%bb3 %e4%bc%81%e7%94%bb2

(今 総一郎)

【関連リンク】

「ノートe-POWER」「アクア」「フィット」の三つ巴の戦いの結果や、着実に進化を遂げている各メーカーのコンパクトカーの詳細をより深く知りたい方にはこちらがおススメです。

%e8%a1%a8%e7%b4%99

新型・ノートe-POWERは、ガソリン車と同じ室内空間を実現!

■ブラックパネルやコマンダーで近未来感を演出

新型ノートe-POWERの運転席ドアを開けると、蒲鉾型のステアリングが迎えてくれます。下部がフラットなので、運転席に乗り込みやすいのが良いですネ。

インパネは、センターパネルのピアノブラックが上質感を演習。メーターは、中央に綺麗な白地でクッキリ見易す大型スピードメーターが陣取っています。内側のディスプレイには、瞬間燃費や平均燃費、航続可能距離等が表示されます。

1227

またe-POWERでは、コンソールからシフトノブがなくなりました。かわりにリーフと同じコマンダーが採用されており、操作面でもデジタル感を演出して、近未来感を上手に作り出しています。

ただ左手のすぐ後ろに、お馴染みのブレーキレバーがニョキっと伸びており、少しだけアナログチックが残っていたりします。

■e-POWERは、ガソリン車と同じ室内空間を実現

居住性は、フロントもリアもガソリン車とほとんど変わりません。電動化で新設した駆動バッテリーをフロントシート下部に収納するなどの工夫で、同じ居住空間を維持しているのは立派!

車重も電動パーツや補強材等で約120kg増えていますが、その分静粛性や乗心地、ボディ剛性の改善に活かしています。

1229

荷室もガソリン車と同じ空間容量を確保しています。大きな違いは荷室下部で、底面のボードを上げるとタイヤ補修キットと一緒に、本来エンジンルームにあるはずの補機用の鉛バッテリーも収まっています。

新型ノートe-powerは、新開発の電動システムだからといって、居住性や使い勝手の面で言い訳をすることのない見事な仕上がりとなっています。

(星崎 俊浩)

【関連リンク】

■第544弾新型ノートe-POWERのすべて (より深く知りたい方はこちらがオススメ)

1212

新型ノートのVモーショングリルは、e-POWERのための国内限定デザイン!

■国内限定の大掛かりなフェイスリフト

ビックチェンジした新型ノートですが、目玉メカのe-POWERの搭載は、当面国内販売に限定されるとのこと。また。せっかく大掛かりなフェイスリフトも行ったのに、こちらのデザインも国内向けとのこと。生産の都合もあると思いますが、実質的にはe-POWERのためにフェイスリフトを行ったようなものなのです。

1223

従来のフロントマスクは、横方向のラウンド感をテーマにしていましたが、新型では、Vモーショングリルとフェンダーからショルダーに流れる縦基調のデザインを採用しました。リアデザインも、従来はリアゲートを中心に円を描くまとまったイメージでしたが、新型では逆に外へ外へと張り出していく勢いを重視しています。

■見せ場は、ダイナミックなVモーショングリル

新しいデザインの見せ場は、やはりフロントのVモーショングリルでしょう。Vモーションがグリル内にとどまらず、ボンネットからAピラーにかけて、ダイナミックに造形されているのですネ。

あまりの変貌振りに、バンパーやヘッドライトだけでなくボンネットも新設計かと思いきや、ボンネットはそのまま流用しているとのこと。

1224

Vモーショングリルは、ヘッドライト上部にあるライン状のポジションライトとも連続しており、フロントマスクを一層シャープに引き締めています。新型ノートのダイナミックな変貌振りに、e-powerにかけるデザイン陣の気合いと熱意を垣間見た気がしました。

(星崎 俊浩)

【関連リンク】

■第544弾新型ノートe-POWERのすべて (より深く知りたい方はこちらがオススメ)

1211

燃料はガソリンなのに100%電動!新型ノートe-POWERはエネルギッシュなデザインとスマートな走りを両立!

■ビックチェンジで、エネルギッシュなデザインとスマートな走りを両立

新型ノートのビックチェンジに参画した谷内RPM(リージョナルプロダクトマネジャー)は、「ノートは日産の最量販車ながら、エネルギッシュなデザインとスマートな走りが不足している」と指摘。特に走りの面では、アクアやフィットのハイブリッドに対抗するパワーユニットを持ち合わせていませんでした。

1219

そこで日産は、電気自動車リーフで培ったEV技術をフルに活用して、新しい電動システム「e-POWER」を開発。新型ノートにおいて「エネルギッシュなデザインとスマートな走り」を両立するべく、フェイスリフトとe-POWER搭載のビックチェンジを実施したのです。

e-POWERはライバルと全く異なり、エンジンは発電に徹してモーターだけで駆動する「シリーズ式ハイブリッド」を採用しています。

開発の狙いは、リーフの良さである「100%電動」をいかに活かし、弱点の「航続距離」をいかに克服するかがポイント。また今後、市場拡大が確実な電動車の力強い走りの魅力を、出来るだけ早く多くの人に知って欲しいという思いもありました。

■e-POWERは、リーフの電動技術をフルに活用

e-POWERは、リーフのモーターユニットを中核にして構成されています。ただやはりエンジンとバッテリーのバランスが非常に難しく、どちらかが偏ると、駆動モーターがフルに性能を発揮できないというから悩ましいところ。苦心の結果、開発陣は公道のいかなる走行状況でも80kwの駆動モーターの性能を発揮するために、58kwの発電用エンジンと55kw程度の駆動用バッテリーを組み合わせるというベストアンサーを導きだしたのです。

1220

また新システムだからといって、激戦区のコンパクトカー市場において、居住性や使い勝手が犠牲になることは許されません。そこで、パッケージングにも工夫を重ねています。

例えば駆動バッテリーはフロントシート下部に、また補機用の鉛バッテリーはリア荷室下部に配置するなどして、エンジン車と同等の室内空間を確保しています。

■ワンペダルドライブで、新しい走りを提案

さらに日産は新型ノートe-POWERで、新しいドライビングを提案しています。それは「走り出す〜走る〜減速する〜停まる」の一連の動作を、ブレーキを使わずアクセルだけで実現する「ワンペダルドライブ」です。

1222

e-POWERでは、一般的なノーマルモードとECO、そしてスポーツのSと、3つの走行モードが選択できます。中でもECOとSは、アクセルOFFでの電力回生を高めており、ノーマルモードの約3倍の回生ブレーキを効かせながら、減速から停止まで行います。つまりドライバーはアクセル操作だけで減速度合いを調整できる訳で、まさしく文字どおり「ワンペダルドライブ」を実現しているのです。

モーターを主役にすると、ドライビングでも新たな差別化がはかれるのですネ。e-POWERを開発した日産も見事なら、こんなにも多様なハイブリッドシステムをリーズナブルな価格で提供する日本の自動車メーカーも、本当に素晴らしいと思います!

(星崎 俊浩)

【関連リンク】

■第544弾新型ノートe-POWERのすべて (より深く知りたい方はこちらがオススメ)

1210

新型インプレッサをSTIスポーツパーツやビルトインナビでドレスアップ!

■ドレスアップは機能性抜群のSTIスポーツパーツで!

新型インプレッサは、純正のアフターパーツも充実しています。外装のドレスアップなら、STIスポーツパーツがオススメ。フロントアンダースポイラーやリアサイドアンダースポイラーは、整流効果もしっかり発揮してくれます。またフレキシブルタワーバーは、中央のリンクボールで縦方向の突き上げをいなす高性能タイプで、新型インプレッサの走りを一層際立たせてくれます。

5226

ユーティリティの純正オプションでは、ラゲッジだけでなく後席背もたれまでカバーする樹脂製のカーゴトレーマットや、後席のペット用パートナーズカバー等の商品が盛り沢山。様々な便利グッズが、アクティブなカーライフをサポートしてくれます。

■内装では8インチのビルトインナビがオススメ

スバルは新型インプレッサから工場の生産ラインで取り付けるメーカーオプションのカーナビを廃止しました。これは開発に時間がかかり、最新版をタイムリーに提供できないのが理由とのこと。相当思い切った戦略転換で、ユーザーはディーラーのオプション品やカー用品店での市販品から、好きなカーナビを選ぶようになります。

5225

そこでスバルはディーラーオプションに、メーカーオプションと同等の魅力的なカーナビを準備しています。中でもパナソニック製のビルトインナビは、大型8インチディスプレイタイプで、コンソール全面が専用パネルで覆われた高級感溢れる仕様。もちろん、ステアリングスイッチやインパネ上部のマルチファンクションディスプレイとも連動しているからオススメです。

(星崎 俊浩)

【関連リンク】

■第543弾新型インプレッサのすべて (より深く知りたい方はこちらがオススメ)

3208

アクアを抜いてクラス燃費1位。新型ノートe-POWERは100%モーター駆動が魅力!

■ビックチェンジで100%モーター駆動のe-POWERを追加

日産の国内販売で屋台骨を支えるノートが、ビックチェンジを実施しました。今回は、大幅なフェイスリフトでイメージを一新するだけでなく、目玉として新開発した100%モーター駆動のe-POWERを投入。ハイブリッド優位のコンパクトカー市場へ最新システムで勝負をかけてきたのです。

1215

新型ノートのフロントデザインは、グリルのVモーションを強調した最新の日産トレンド。バンパーとヘッドライトのデザインを一新した精悍なマスクが、ボディサイドの個性的な造形とマッチして、エネルギッシュなイメージを強調しています。

新型ノートは、直列3気筒1.2Lガソリンエンジンをベースにして3種類を用意。NA仕様とスーパーチャージャー仕様は従来どおりCVTと組合せて搭載。そして新開発のe-POWERでは、エンジンは発電だけを担当してモーターが全ての駆動を担うシリーズ式ハイブリッドを採用しました。

■e-powerのモーターによる力強く新しい走り

新型ノートe-POWERの走りは、100%モーター駆動ならではの特性を活かしています。アクセルONの出力では、エンジン駆動ではできない卓越したレスポンスと加速を実現。またアクセルOFFの電力回生では、減速だけでなく停止まで行う新たな走行モードを備えています。

1217

ちなみにバッテリー容量が少ない状態でアクセルを踏み込むと、発電のためにエンジンもグワーっと回ります。まるでエンジンが、普通に駆動力を発揮しているようで、何やら可笑しかったりします。

実用面では燃料がガソリンなので、航続距離はエンジン駆動車と遜色ありません。カタログ燃費でも、37.2km/lを達成。これはハイブリッド・ベストセラーことアクアの37.0km/lを抜いてクラストップを奪取! 日産の新型ノートe-POWERにかける意気込みが、ビシバシ伝わってくるようです。

■新型ノートe-POWERは、ライバル他車とガチンコ勝負!

新型ノートの価格帯は約139.3万〜224.4万円で、中でもe-POWERは上位の約177.2万〜224.4万円に設定されています。コンパクトカー市場では、アクアやフィットとガチンコ勝負になります。新型ノートe-POWERは、他社対抗はもちろん新型ノート全体でも販売を牽引する商品力を有していると思います。

1218

e-POWERのグレードは3種類で、ベースグレードのSは、エアコンレスでオプション制限もある燃費スペシャル仕様。実用的には中位グレードのXが、エアコンはもちろんオプション制限もなく、200万の大台を切った戦略価格でオススメです。またトップグレードの「メダリスト」では、本革巻きステアリングや高級生地のシート、15インチアルミなどを装備して、高級感を演出しています。

(星崎 俊浩)

【関連リンク】

■第544弾新型ノートe-POWERのすべて (より深く知りたい方はこちらがオススメ)

1209

新型インプレッサの爽快な走りは「ボディの歪み」と「人の感性」を分析した成果!

■SGPは、ボディ歪みと感性を分析して構築

新型インプレッサでの大注目は、今後スバルが全車種に展開する次世代プラットフォーム「スバルグローバルプラットフォーム(SGP)」の第一号であること。「世界最高水準の衝突安全性能」と「動的質感の向上」を目指して開発されました。

3231

特に「動的質感」では、走行時にボディがどのように歪むかを、ボディ骨格の200ヶ所に歪みゲージを貼って計測。そして1/1000秒単位で捉えた歪みの変化値を、ドライバーの官能評価と比較分析していきました。

その結果、ドライバーの違和感の原因を数値で捉えながらボディ開発ができるようになり、人の感性に響く走りを創り上げていったのです。

■SGPの驚異的な剛性アップが凄い!

完全新設計のSGPは、全長を一気に貫くメインフレームを左右に配置して、骨格結合部を強化することで、先代比で各部1.7〜2倍の剛性を確保。また連続的な剛性変化を適正化して、爽快な走りを実現。さらに衝突エネルギー吸収率を1.4倍に向上して、安全性能も進化させました。

3232

エンジンは「吹け上がりの質感」にこだわった改良を実施。例えばエンジンのゴロゴロ音対策として、クランクシャフトの支持剛性の強化を行い、約23%の振動低減を実現しています。2Lエンジンでは、直噴化により圧縮比を10.5から12.5にアップさせることで、レスポンスと燃費を向上させています。

■2つの最新安全装備を全車に標準装備

新型インプレッサは、ボディの衝突性能向上に加えて安全装備も充実強化しています。全車に標準装備される「アイサイト3.0」は、スバル独創の2眼カラーカメラ式運転支援システム。歩行者や自転車にも対応する衝突回避・軽減軽減ブレーキや全車速追従型オートクルーズ、車線逸脱抑止機能などを備えています。

ちなみにアイサイト登載車は、非登載車に比べて追突事故率が84%も減少しているのですから、本当に素晴らしい!

3233

アイサイトと合わせて全車に標準装備されるのが、「歩行者保護エアバック」です。これは事故の際にボンネット上にエアバックを展開して、歩行者頭部を保護する最新の安全装備。ボルボとランドローバーにつづいて世界3例目の採用ですから、まさに大奮発なのですネ。

新型インプレッサのメカニズムを見ると、スバルのクルマ創りが王道を歩み始めたと強く感じる次第です。

(星崎 俊浩)

【関連リンク】

■第543弾新型インプレッサのすべて(より深く知りたい方はこちらがオススメ)

3213

目を見張るグレードアップを実現した、新型インプレッサの内装

■目を見張る内装のグレードアップを実現

新型インプレッサのドアを開けると、大幅にグレードアップした内装が迎えてくれます。インパネは、スバルらしい機能的なレイアウトを踏襲しながら、ナビ両側にエアアウトレットを縦型で配置してクールな印象を演出。中央上部の大型マルチファンクションディスプレイでは、水温や油温、アイサイトの動作状況などが確認できます。

3228

特に目を見張るのが高級感で、インパネはソフトパットで造作し、2L仕様では贅沢にも本物のステッチを採用しています。またステアリングステーや空調、コンソールの枠等をシルバー調の枠で囲い、シャープさと高級感を演出。特にこの立体感を持たせたシルバー枠が、内装のグレードアップに効いています。

■大切なのは運転しやすさと使いやすさ

フロントシートは先代よりもホールド性を高めた形状ですが、ウレタンを2倍にして振動吸収性を高めており、タイトというよりも体の収まりが良く快適な仕上がりとなっています。頭上中央にあるアイサイトのユニットも、小型のVer3.0なので目立たなくなりました。また、太目のステアリングと2眼式のアナログメーターから、運転のしやすさと楽しさを大切にするスバルのポリシーを感じます。

3229

リアシートは、ハッチバックの「スポーツ」もセダンの「G4」も、リアシートの座面幅が広く、座面中央の盛り上がりも少な目なので、横3人でも座りやすくなっています。足元も十分広く、頭上高は「G4」が「スポーツ」がよりも少くなっていますが、標準以上の居住性を確保しています。

荷室では、リアサスペンションの張り出しを抑えることで容量と使い勝手を向上。「スポーツ」は、ゴルフバック3個が後席背もたれ上部よりも低い位置に収まるのが自慢。また後席格納では、6:4分割可倒式を採用しています。「G4」のトランクは、ゴルフバック4個が収まる大容量を確保。ここでも使い勝手や使う楽しさを重視するスバルのポリシーが、強く感じられました。

(星崎 俊浩)

【関連リンク】

第543弾新型インプレッサのすべて(より深く知りたい方はこちらがオススメ)

3212

ノート「e-POWER」がハイブリッドと名乗らなかったワケは?

いま、ワタクシはパソコンの前でこの原稿を一字一句進めています。キーボードのキーを打つたびに画面上には文字が綴られ、逆に「delete」キーを押すごとに文字は消えていく。さらにコピー&ペーストも使えば、好きな位置に文章を瞬間移動させられます。非常に便利ですが、この操作の裏側、つまり仕組みについて考えたことはありません。

思うに、クルマについても同じことが言えるのではないでしょうか?

多くの人にとってクルマとは、アクセルを踏めば前進、ブレーキを踏めば減速、そしてハンドルを傾けた方に移動するモノであり、エンジンが生みだしたパワーがトランスミッションやドライブシャフトを介してタイヤに伝わったことで動き出すという仕組みについては二の次のはず。

だからこそ、ひょっとしたら知らない方もいるかもしれません。日産が販売するコンパクトカー「ノート」に加わった「ノートe-POWER」が、エコカーとして人気の “ハイブリッド”とはひと味違う仕組みで動いているということを。

%e5%8d%98%e5%93%81%e8%a9%a6%e4%b9%97

そもそも、現在人気のハイブリッドカーのほとんどは、あくまでエンジンが主役でモーターは脇役。ガソリン消費量を抑えるためにエンジンを小型化する一方で、発進時などエンジンが心許ない場面でモーターがアシストすることで、動力性能と燃費性能を両立させています。

「ノートe-POWER」もエンジン(79ps/10.5kgm)とモーター(109ps/25.9kgm)の両方を搭載する点は共通。ですが、エンジンは駆動用モーターを動かすために必要な電力を賄う発電機であり、モーターがタイヤを動かしている点が決定的に異なります。その結果、加速の滑らかさや走行時の静粛性などは向上し、電気自動車(EV)に近い感覚に仕上がっています。

%e9%96%8b%e7%99%ba%e3%82%b9%e3%83%88%e3%83%bc%e3%83%aa%e3%83%bc

すでに日産は「リーフ」と「e-NV200」など電気自動車を次世代エコカーとして普及させようとしていますが、当初から充電インフラと航続距離がネックとなることを予想しており、その解決策のひとつとしてこの「e-POWER」の開発は行なわれたと言います。

実際、「ノートe-POWER」は、充電の必要は無く、ガソリンを給油するだけとお手軽。電気自動車の魅力はそのままに弱点を克服していることから、慣れ親しまれている“ハイブリッド”というバッジではなく、一歩先を行くエコカーというニュアンスを込めて「e-POWER」と冠したと思われます。

ハイブリッドや電気自動車さらには燃料電池車など、新たなパワートレーンが登場するたびに指摘されるのが居住空間や荷室など実用性の低下でしょう。

%e4%bd%bf%e3%81%84%e5%8b%9d%e6%89%8b

「ノートe-POWER」の場合、ガソリンエンジン車とほぼ同じボディサイズ(全長:4100mm×全幅:1695mm×全高:1520mm)にエンジン/モーター/バッテリーを収めるために、プラットフォームの構造がガソリンエンジン車と異なる専用品を採用し、ガソリンエンジン車と同等の空間を確保しています。その上で、インテリアには電気自動車「リーフ」と共通のギヤセレクターを採用し、先進性を強調。

「ノートe-POWER」は、使えば使うほど後戻りできない先進性が随所に宿った一台に仕上がっています。

(今 総一郎)

【関連リンク】

より深く知りたい方にはこちらがおススメです。

%e8%a1%a8%e7%b4%99

新型インプレッサのデザインは、躍動感と塊感のかけ算でできている!

■躍動感と塊感は、たし算ではなくかけ算

新型インプレッサは、次世代プラットフォーム「SGP」を最初に採用するでなく、スバルの次世代デザインの先駆けでもあります。スバル次世代デザインのテーマは「ダイナミック×ソリッド」で、躍動感と塊感を融合したスタイルを目指しています。

ポイントは、躍動感と塊感の関係が「足し算」ではなく「掛け算」ということ。つまり全てのスバル車が同じ割合ではなく、車格やキャラクターに応じて割合を変化させていくというのです。

3223

新型インプレッサのデザイン開発は、ダイナミックが7でソリッドが3の割合で造形。躍動感を強調して、若年層マーケットへアピールする狙いがあります。

ちなみに他の車種はどうかというと「SUVのフォレスターなら3:7、フラッグシップのレガシィなら5:5という割合になるかもしれません」とは、石井デザイン部長兼商品開発企画部長のコメント。

■若々しい「スポーツ」と伸びやかな「G4」

あらためて、新型インプレッサのデザインを見てみましょう。フロントマスクは中央にフロントグリルを置いて、両サイドにコの字型のポジションライトを配置する最近のスバルトレンド。

またヘッドライト前のうねるような段違いの面構成と力強いフロントフェンダーを加えて、新たな個性を主張。更にショルダーライン下を凹面に切り取ることで、サイド面に躍動感と塊感を与えています。

3224

なおハッチバックの「スポーツ」とセダンの「G4」は、フロントセッションからリアドアまでが共通ですが、リアセッションのシルエットと造形で「スポーツ」では若々しさを、また「G4」では伸びやかさを表現しています。

新型インプレッサでは、デザイン陣が狙ったダイナミック7とソリッド3のかけ算が、異なるボディタイプでもしっかり具現化されているのです。

(星崎 俊浩)

【関連リンク】

■第543弾 新型インプレッサのすべて (電子本はこちら

3212

新型インプレッサが「次世代スバルの成功の試金石となる」とは!?

■新型インプレッサは、次世代スバルの成功の試金石!

スバルは中期経営計画で、「際立とう2020」というスローガンを打ち出しています。しかし競争厳しいクルマ市場では「ダントツ」で良くならない限り際立つことなどできません。

そこでスバルは、今後10年近くレガシィやフォレスターなど、全スバル車の基盤となるプラットフォームの刷新を計画。性能を大進化させた次世代プラットフォーム「スバルグローバルプラットフォーム(SGP)」を開発しました。

3219

従来のプラットフォームでは、開発陣がやりたくてもできない制約が数多く存在します。しかし全く新しいプラットフォームならば、できなかったことが実現できるのですネ。

新型インプレッサ開発責任者の阿部PGM(プロダクトゼネラルマネジャー)は、「SGP採用第一号の新型インプレッサは次世代スバルの幕開けであり、次世代スバルの成功の試金石」と表現しました。まさに社運をかけたプロジェクトであることが、コメントから滲み出ています。

■ダントツに良くなっても、発揮しているポテンシャルはまだ6〜7割程度

そこで新型インプレッサの開発陣は、あらゆる領域で「ダントツ」を目指しました。

エクステリアとインテリアでは、パネルの繋ぎ目や見映え品質等の「静的質感」を大幅に向上。ボディ開発では、走行時の連続するボディ剛性の変化を適正化して「動的質感」を進化させてきました。また衝突安全ボディや安全装備でも、大幅なアップグレードを果たしています。

3220

しかも阿部PGM自身が「新型インプレッサでは、狙った性能を実現できた」と満足を語る一方で、「SGPが発揮しているポテンシャルは6〜7割程度にすぎず、伸び代はまだまだある」と自信満々にコメントしていますから、将来への期待もますます膨らむばかりです。

■開発も生産も営業も、心をひとつに!

新型インプレッサは初めてSGPを採用するため、開発陣は関連部署と密に連携してきました。

生産面では、高剛性化のためにボディ溶接に接着剤を併用していますが、生産サイドからすると手間が増えて大変なのですネ。そこで接着剤有りと無しの試験車を用意して、生産担当者に走行性能や快適性の変化を実体験して貰い、接着剤の必要性を相互に共有しました。

3221

安全性能も、運転支援等の安全装備は車両価格が割高になるため、営業サイドが標準装備に難色を示すケースが一般的です。ところが新型インプレッサでは、アイサイト3.0だけでなく国産車初の歩行者保護エアバックも標準装備にする企画について、営業サイドは反対どころかごく自然に合意!  既にスバル社内ではアイサイト等の安全機能は当たり前の装備なのですネ。

「次世代スバルの成功の試金石」と位置づけられた新型インプレッサは、まさしく「ダントツ」の期待を裏切らない仕上がりで誕生したのです。

(星崎 俊浩)

【関連リンク】

■第543弾 新型インプレッサのすべて (電子版はこちら

3210

新型インプレッサは、ドイツ車に匹敵する走行性能とボルボに負けない安全性能を全車標準装備

■次世代プラットフォームでドイツ車に匹敵する走行性能と、アイサイトでボルボに負けない安全性能を標準装備

アメリカでの販売戦略が成功して、大いに勢いに乗るスバル。その勢いを更に加速させるために、スバルはグローバル車種に成長したインプレッサのフルモデルチェンジを実施しました。新型インプレッサの一番の特徴は、クルマの基盤となる次世代の「スバルグローバルプラットフォーム(SGP)」をスバル車種で最初に採用したことでしょう。これにより新型インプレッサは、VWなどのドイツ車に匹敵する走行性能を実現することができました。

また、スバルでは安全装備にも力を入れています。新型インプレッサでは、最新版「アイサイト3.0」と国産車初「歩行者安全エアバック」を全車に標準装備して、ボルボに負けない安全性能を確保しているのです。

3214

ボディ形状は、4ドアハッチバックの「スポーツ」と4ドアセダンの「G4」の2タイプを用意。ヘキサゴングリルやCシェイプのポジションランプをアイコンとしながら、ボディサイドのダイナミックなフェンダーやキャラクターラインで力強いボリューム感を訴求しています。

インテリアも質感を大幅に向上。インパネは機能性をそのままにデザインを刷新するとともに、シルバー調の枠加飾を効果的に配置して高級感を演出しています。

■水平対向NAエンジンとCVTの組合せにFFとAWDを用意

新型インプレッサのエンジンはNAのみの設定で、直噴化した水平対向NA・2Lと改良を施した1.6Lの2種類。ミッションは、全車にマニュアルモード付のリニアトロニック(CVT)を組合せて、自分でギア操作する楽しさを用意してくれました。そして2種類のエンジン双方に、FFと4WDを設定しています。

3217

新型インプレッサで特筆すべきは、2つの安全装備です。ひとつはスバルお馴染みのアイサイトで、2眼カラーカメラ式の最新版アイサイト3.0を全車に標準装備しました。

さらに、人身事故の際にボンネットに激突する歩行者を保護する「歩行者保護エアバック」を国産車初めて搭載。コストアップ覚悟で全車に標準装備しているのですから、スバルの安全に対するポリシーは本当に素晴らしいと思います!

■グレードと価格はシンプルで特徴的な設定

新型インプレッサの車両本体価格帯は約192.2万〜259.2万円。ハッチバックの「スポーツ」もセダンの「G4」も共通の価格設定になっています。グレードは1.6L仕様が「L」だけ、2.0L仕様が「L」と「S」の2つというシンプル構成。それぞれFFの約20万円増で、4WDを選択することができます。

またLグレードの燃費を見ると、1.6L仕様のFFが18.2km/l、4WDが17.0km/l。2.0L仕様のFFが17.0km/l、4WDが16.8km/lとなっています。

3218

Lグレードの装備を見ると、16インチアルミや分割可倒式リアシート、アイドリングストップ、アイサイト3.0、歩行者エアバック等が標準で、非常に充実しています。

特に200万を切ってアイサイト3.0を装備した1.6L仕様は、大いに魅力。また内装の高級感を増し、17インチアルミを装備した余裕の2L仕様もおススメです。

2L仕様のSグレードは、パワーシートや18インチアルミ、トルクベクトリング機能等、価格差以上の装備が付いてお買い得。どのグレードにも特徴があって、わかりやすい設定だと思います。

星崎 俊浩

【関連リンク】

第543弾 新型インプレッサのすべて(電子版

3209

新型NSXは、横置きから縦置きミッドシップへ大変更!

■新型NSXは、横置きから縦置きミッドシップへ大変更

当初新型NSXは、レジェンドの横置きSH-AWDユニットを流用すべく、開発が進められていました。実際、2012年のプロトタイプでは横置きミッドシップでしたが、世界のスーパーカーと闘うために500ps超えのハイパワーを目指す方針に変更。

そしてハイパワー化と熱対策、さらに操縦性向上を踏まえ、縦置きミッドシップへの設計変更が決まりました。

1197

縦置き化とハイパワー化にともない、新型NSXではエンジンもDCTもボディも新開発&専用設計になりました。コストダウンのために量販車種のコンポーネントを流用するのではなく、スポーツハイブリッドとして最高かつ最適な性能の実現を目指して、新たなメカニズムの開発がすすめられたのです。

■スポーツハイブリッドSH-AWDのトータルパワーは581ps

スポーツハイブリッドSH-AWDの心臓部は、V6・3.5lのツインターボエンジンで507psを発揮。バンク角を75度にするとともに、オイルのドライサンプ方式を採用して、徹底した低重心化をはかりました。圧縮比はターボとしては高めの10.0に設定して、ドライバビリティと燃費を両立しています。

1204

パッケージングでは、V6エンジンに48psのリアモーターと9DCTを組み合わせてミッドに搭載しています。リアモーターは、発進やターボラグ等での出力補助と電力回生を担当。また前輪には、左右にそれぞれ37psのフロントモーターを配置して4WDとして動作させるとともに、トルクベクトリング制御によりハンドリング性能を大きく向上させているのです。

なおハイブリッドシステムでのトータルパワーは、581psを発揮。また燃費も非常に優秀で、トヨタ86/スバルBRZと同等の12.4km/Lをマークするのですから、本当に素晴らしいと思います。

■高剛性ボディと低重心パッケージの両立

先代NSXは、総アルミボディで世界中をあっと言わせました。今度の新型NSXではあえて総アルミにこだわらず、フロントピラーに高張力鋼板を組み合わせるとともに、外装でも樹脂製フェンダーやカーボン製ルーフを採用して、高剛性化と軽量化を実現しました。

1206

パッケージングでも、パワーユニットの縦置き化にともない、当初センターコンソールに配置していた駆動用バッテリーをシート後方下部へ移設。パワーユニットに加えて駆動用バッテリーでも低重心化をはかり、徹底して操縦安定性を高めているのです。

■第542弾  新型NSXのすべて  (電子版はこちら

0184

(星崎  俊浩)

意外や意外!新型GT-Rが箱根ターンパイクの下りで発揮したハンドリング性能とは!?【等身大インプレ】

■箱根ターンパイクの急な上り坂で、アクセルが踏めない!?

東名高速での高速巡行を終え、いよいよ有名スポットのMAZDA箱根ターンパイクにやってきました。新型GT-Rの走りを、MTモードを駆使して体感してみましょう。

料金所を抜け、最初の見通しの良い上りの直線でアクセルを踏み込みました。すると新型GT-Rは非常に強いGで加速するのですが、何しろ2速でアクセルを踏み込んだ直後に法定速度に達してしまうのですネ。さらに3速と4速でも加速が強烈で、急な上り坂なのに次のコーナーが一気に眼前に迫ってくるような勢いでした。

20184

新型GT-Rが素晴らしいのは、暴力的な加速Gなのに乗心地が滑らかなこと。レスポンスとパワーの特性がリニアで、パワーコントロールがとてもしやすいこと。そしてあり余るパワーのおかげで、サイドウインドウの景色が急角度で傾いているのに、全くドライブ中は全く上り坂に感じないこと、でした!

■箱根ターンパイクの急な下り坂も、下りに感じない!?

箱根ターンパイクの下り坂といえば、クルマを突っ込んで止めるための「緊急避難所」があります。箱根ターンパイクがどれだけ長く急なワインディングであるかは、「頭文字D」でR32GT-Rのブレーキがフェードしたエピソードでもお馴染みですよネ。

0200

そんなフロントヘビーなイメージを思い浮かべながら、新型GT-Rで下りのワインディングに入っていくと、意外や意外、全く異なる印象が待っていました。

コーナーの手前で強めにブレーキをかけると、クルマ全体がググッと沈み混むように減速。そしてステアリングを切ると、ドライバーを中心軸にしてクルマが旋回していきます。この挙動は、前後の重量バランスにこだわったFRのBMWやマツダロードスターに近い感覚なのですネ! まさか重量級ハイパワーマシンのGT-Rが、同様の挙動を示すとは夢にも思っていませんでした。

20187

R35GT-Rでは、R32からR34GT-Rが抱えていたフロントヘビーの悪癖を消すために、エンジンとミッションを前後に分離した「PMパッケージ」を採用しました。これにより重量バランスを改善した訳ですが、まさにその素性を、箱根ターンパイクの過酷な下りで体験することができたのです。ひょっとすると、過酷な環境だからこそ、その素性が顕著に現れたのかもしれません。

さらに、強靭なボディと逞しい足回り、そして野太いタイヤが、下りのワインディングでしなやかに踏んばり、安定したままコーナーを駆け抜けていくのですから本当に素晴らしい。新型GT-Rの基本的な素性は、実はPMパッケージを基盤とした「爽快なハンドリングマシン」だったのです!

20189

しかも自分自身、新型GT-Rをドライブしていて、事故を起こす気がしませんでした。というのも、自分が体で覚えている公道での体感限界よりも、新型GT-Rの性能の方が比較にならないほど高いのですネ。だから万一誤って体感限界を超える領域に入ってしまっても、クルマが逞しくカバーくれるという不思議な信頼を感じていました。

新型GT-Rを運転して、あらためて非日常の超性能が安全に資すると実感できたように思います。

■でも1000万円のクルマですから、何かと気疲れしちゃいました!

ところで新型GT-Rは、車両価格1000万円のクルマですから、事故はもちろん傷でもつけたら大変です。ただとにかく目立つし、出ているんですよネ、強烈なオーラが! コンビニやファミレスの駐車場に停めるだけでも、イタズラが心配で冷や冷やものでした。

0230

また追い越しや割り込みでは、前後のクルマが何度も道を譲ってくれました。いつもどおり流れに合わせて運転していても、相手方が率先して道を開けてくれるのですネ。新型GT-Rは、フロントマスクが精悍さと迫力を増したから尚更なのでしょう。

ちなみに今回の費用ですが、割引期間中の24時間レンタル代で約4万円。気になる燃費は、434km走って約7.2km/lでした。これだけ走りを楽しませて貰って、この費用と燃費なら大満足です!

20239

「箱根の山は天下の険」と言いますが、峻険な箱根の山をもろともしない新型GT-R。極低速での柔軟性や圧倒的な加速力、そして重量級なのにハンドリングマシンという超性能の素晴らしさを、あらためて実感した次第です。

絶え間ない進化と熟成の勝利だ!凄すぎるゾ、技術の日産!

【関連記事】ビックリ仰天!新型GT-Rの低回転域での柔軟性とワープのような加速感が凄い【等身大インプレ】

(「第540弾新型GT-Rのすべて」の関連記事もどうぞ@星崎俊浩

新型NSXのセンターコンソールからシフトノブが消えた!?

■センターコンソールにシフトノブがない!?

新型NSXのドア開けると、太いサイドシルとお尻とペダルの高さがほとんど変わらないローポジションが迎えてくれます。メーターは、中央に大型タコメーターを置き、その内側の液晶でデジタルスピードメーターやタイヤ空域圧等の各種情報を掲示。両脇の小型メーターに、ハイブリッドのチャージ/アシストとバッテリー残量計を配置しています。

1201

運転席で一番の特徴は、センターコンソールにシフトノブが存在しないことでしょう。代わりにスイッチ式が採用されており、Dはプッシュ、Rはプル式とするなど、人の感覚を大切にしています。

9速DCTのマニュアル操作はステアリングのパドルシフトで行います。シフトノブがないのは正直寂しい気もしますが、ホンダが提案する最新の操作方法は、合理的な仕立てになっています。

■4つの走行モードでポテンシャルを適正化

走りでは、4つの走行モードをセンターコンソールのダイヤルで選択することができます。

走行モードは、①クワイアット②スポーツ③スポーツ+④トラックがあり、街中のエコ走行から峠、サーキットにいたるまで、様々な走行シーンに合わせて適正なポテンシャルを引き出すことができます。

1202

ユーティリティは、簡易な脱着式ドリンクホルダーを採用するなど、あえて必要最低限にとどめています。トランクも先代NSXではゴルフバッグの搭載に強くこだわっていましたが、さすがにメインマーケットのアメリカではニーズがなかったようで、新型NSXでは2人分のミニトランクや旅行バックが入る位の容量を確保。

スーパーカーでありながら、日常生活やドライブ旅行に充分対応できるのも魅力です。

■第542弾 新型NSXのすべて (電子版はこちら

0183

(星崎 俊浩)

新型NSXの空力デザインは、冷却との闘いを制した成果だ!

■本田宗一郎の意志が根付くデザイン

新型NSXのデザイン開発は、不況と天災の逆風が吹きすさむなか、日本発の企画として立ち上がりました。当初デザイナーは、NSXオーナーズミーティング等に参加してオーナーの声を聴き、「NSXを未来につなげてほしい」という熱い熱意を強く感じたそうです。

1198

デザイン陣は、新型NSXに「環境を考えながら走りを両立する」という二律背反のテーマを設定。この難題に取り組むデザイン陣を支えたのは「もし今の時代に本田宗一郎が生きていたらどう考えたのか?」というイメージでした。新型NSXは、性能だけで認められるべきではなく人間が中心の存在であると定め、「人間中心の高性能」をデザイン目標に掲げたのです。

■日本で産まれアメリカで磨いたデザイン

デザイン開発では、最初に日本で各国デザイナーを交えたコンペを実施。そして、キャビンフォワードのシルエットに前後のフェンダーが交差して重なりあうキースケッチを作成するとともに、プロトタイプでは高性能メカを複数の表皮が包むワイド&ローの造型を生み出しました。

1199

ただ2012年と2013年のデトロイトショーモデルでは、完成度の高いシルエットと個性派マスクを備えながらも、線の細さが残りダイナミックな力感が不足気味。そこで更なる高みを目指して、アメリカホンダが中心となって量販モデルのデザインを磨き込んでいったのです。

■冷却との闘いを制した空力デザイン

量販デザインの迫力アップに加えて、スポーツハイブリットSH-AWDのモーターやバッテリーの冷却も重要な課題でした。特にサーキット走行をこなすには、冷却機能の強化は不可欠。ただクルマの冷却機能は、スタイルや空力性能に大きく影響するのが難しいところです。

1200

そこで市販モデルではサイドインテークを切り口鋭く大口径化して、迫力スタイルと冷却機能を両立しました。ただこれでもバッテリーが冷却不足に陥るため、なんと室内用エアコンから冷風を引き込んで対策しました。

新型NSXは、冷却との闘いを制し、空力とスタイルのベストバランスから産まれたデザインなのです。

■第542弾 新型NSXのすべて (電子版はこちら

0182

(星崎 俊浩)

ビックリ仰天!新型GT-Rの低回転域での柔軟性とワープのような加速感が凄い【等身大インプレ】

■東京近郊で、最新型GT-Rのレンタカーを見つけた!

筆者は、サーキットや峠の「走り屋」ではなく、クルマの素性や個性を味わいながらドライブをエンジョイする「ドライブ派」です。カーライフでも、日常は家族を乗せて安全運転を、また山坂道ではクルマと対話するような爽快な走りを心がけてきました。

そこで、そんな自分なりのカーライフの視点から、レンタカー等でじっくり試乗した”等身大インプレ”をお届けしたいと思います。

20182

今回は、東京近郊で見つけた「新型GT-R」のレンタカー! まだ2000kmしか走行していないバリバリの新車を24時間借りて、首都高〜東名高速〜箱根ターンパイク〜箱根スカイライン等のコースで、総走行距離434kmを走ってきました。

■ビックリ仰天、新型GT-Rの極低回転域での柔軟性

ドアを開けて運転席に乗り込むと、高級感がアップしたインパネが迎えてくれます。1000万円超のスーパーカーながら乗用車ベースなので、視界は前後左右とも良好。窮屈な姿勢を強いられることも、視界を遮る構造物もありません。

全幅が広いのがちょっと心配でしたが、運転席からは常時ボンネットが見えるため、車幅が気にならず運転しやすいですネ。何よりどんなに速度域でもクルマが思った通りに動いてくれるので、ドライビングでボディサイズに不安を感じるシーンはありませんでした。

0233

街中を走り出すと、新型GT-RのATモードは、積極的にシフトアップしていくエコ優先設定であることがわかります。どのギアでも1000〜1500回転の間で粘って走る様子は、まるでディーゼルエンジンのよう。大排気量3800ccの強味を引き出していると思います。

新型GT-Rは、570psを捻り出すモンスターマシンとは思えないほど、極低回転域でもとてつもない柔軟性を備えているのです。

0220

唯一残念なのは、ATモードでは低回転域に留まりすぎるため、室内にエンジン音がこもりぎみになるところ。でもパドルシフトでシフトダウンすると、パワーがクルマ全体に行き渡り、音も挙動も乗り心地も活き活きして別物に変身したようでした。

とはいえ、本当に高いギアでもよく粘り、6速2000回転強で100km/hが出ますから、ちょっと回しただけでも速度が出すぎてしまうので注意が必要です。

■いよいよ高速道路に突入、まるで”ワープ”のような加速感!

次は首都高に入りましたが、混雑していたので流れに乗って走りました。首都高名物のワインディングでは、重量級のボディに関わらず良く曲がってくれます。4WDのトルクメーターを見るとほとんど後輪駆動のままでしたから、FRとして非常に素性が良いことが伺えます。

足回りは固めで、道路の継ぎ目や荒れた路面を結構拾い、わだちではハンドルが取られる印象。そこでサスをコンフォートモードに切り替えたところ、固さにしなやかさが加わりドイツ車風の乗り味になりました。

20179R

首都高ではアクセルを踏めず終いだったので、東名高速の料金所から加速を体感すべくアクセルを踏み込むことに。すると次の瞬間「おいおいおい〜っ」と絶叫している自分がいました。

何しろ、今までクルマの運転で体験したことないスタートダッシュが炸裂! アクセルを踏み込んだのはほんの数秒なのに、強烈かつ滑らかな加速を発揮して、まるで一瞬で前方のクルマまで”ワープ”したようでした。

正直ビビッて、すぐに右足をブレーキペダルに移しましたヨ。街中での柔軟性に驚いた後に、今度は570psの超性能の片鱗を見せつけられた次第です。

0195R

ただこの光景を目撃した白バイが静かに追跡してきたので、東名高速では流れに合わせつつ、たまに前車を「プチワープ」で追い越して、快適なクルージングを楽しみました。

箱根ターンパイク編に続きます。

(「第540弾新型GT-Rのすべて」の関連記事もどうぞ@星崎俊浩

新型NSXの開発責任者、テッド・クラウスLPLのハートが熱い!

■リーマンショックの大どんでん返しからの再出発

実は2代目NSX開発の道程には、大どんでん返しがありました。2008年のリーマンショックにより、世界規模で不況が勃発。ホンダも大打撃を受け、V10を搭載したFRベースの2代目NSXが、発売間近にも関わらず発売中止に追い込まれました。発売延期や限定販売ではなく発売中止ですから、大変な経営判断だったと思います。

1195

そしてリーマンショック後も、東日本大震災やタイ水害、また円高に苦しめられつつも、ホンダは激変した社会を先取りすべく、全く新たに2代目NSXの開発を推進したのです。

再出発した新型NSXの開発責任者に任命されたテッド・クラウスLPLは、20代の若き頃に初代NSXに魅せられてホンダ入社を決意。クライスラーから転職したアメリカ人技術者です。自分の未来を決定付けた車種の開発責任者になるなんて、まさしくホンダドリームですよネ。

■開発責任者テッド・クラウスLPLのコメントが熱すぎる!

開発コンセプトについては、テッド・クラウスLPLの熱いコメントから紹介しましょう。

「NSXという車名の意味は、初代では”ニュースポーツ・エクスペリメンタル=実験的な新しいスポーツカー”でした。新型ではその意味を”ニュースポーツ・エクスペリエンス=新しいスポーツカー体験”と定義していますが、新しい走りの提案、そしてクラフトマンシップなど、初代の”エクスペリメンタル”という心は忘れていません。」

1196

「NSXは初代も新型も、人間をブロックするものではなく、その能力をサポートすることが最大のコンセプトです。NSXは人間ばなれした筋力や反射神経を要求しませんし、サーキットに持ち込まないと楽しめないクルマではありません。そこには当然、好き嫌いはあるでしょう。100%に好かれようとは思っていません。しかし、これが次世代に向けたスポーツカーの姿のひとつと確信しています」

生粋のホンダマンは、日本人とかアメリカ人とかの国籍に全く依存しないのが、本当に素晴らしいと思います。

■行けるところまでトコトン行くのが、ホンダのスポーツカー開発

新型NSXが採用した3モーター式ハイブリット”SH-AWD”は、トルクベクトリング機能を備えた4WDシステムです。開発当初は、レジェンドの横置きFFベースを流用する予定でしたが、ミッドシップスポーツに相応しい縦置きに変更するために、エンジンやDCTを専用開発! 初代NSXでも総アルミボディとV-TECエンジンを専用開発しましたから、行けるところまでトコトン行くのが、ホンダのスポーツカー開発なのでしょう。

1190

新型NSXの開発では、日本が企画とプロトタイプ開発を行い、米国が市販モデルの開発を担当。まさに国境を越え、グローバルで開発が進められました。創業者の本田宗一郎氏が伝えたホンダの熱いDNAは、世代と国境を越えて確実に継承されているのです。

■第542弾 新型NSXのすべて (電子版はこちら

0181

(星崎 俊浩)

新型インプレッサは、まだ実力の6割しか出していない!?

クルマ選びにおいて、具体的なブランドや車種よりも、まず検討するのは「どのボディタイプにするか」ではないでしょうか?

セダンやワゴンさらにSUVなど様々なジャンルがありますが、なかでも操縦性と実用性から、ハッチバックの人気は根強いものがあります。

そのなかでも車両価格などのバランスの良さから、「フォルクスワーゲン・ゴルフ」に代表される『Cセグメント』のクルマは各メーカーのメインストリームとなっています。

海外では「フォード・フォーカス」や「プジョー・308」といったモデルが売れ筋となっており、国産ブランドもこのクラスにおいてはグローバルを視野に入れたモデルを開発・生産しています。

その過酷な戦いの中にスバルが送り込んでいるのが「インプレッサ」です。1992年の初代「インプレッサ」の登場時から、実用的な乗用車という側面を持つ一方で、WRC(世界ラリー選手権)も視野に入れるほど武闘派の一面も持ち、その名前に特別な想いを抱く人は少なくありません。

試乗記

その「インプレッサ」が新型となって登場しました。

5代目となる新型のトピックスは、新しいプラットフォーム「スバルグローバルプラットフォーム」と歩行者保護エアバッグを含めた安全性の強化です。

とはいえ、「先進環境技術の採用で圧倒的な低燃費を実現!!」や「自動運転技術を初搭載!」といったことが声高に叫ばれるなかでは、新型「インプレッサ」の内容は「ちょっと地味」に見えませんか? しかし、この部分こそが販売台数の多い『Cセグメント』には欠かせない魅力なのです。

■クルマの基本を徹底的に極める

近年、自動車の土台であるプラットフォームの刷新がトレンドになっており、トヨタやフォルクスワーゲンを筆頭に、ひとつのプラットフォームをベースに様々なクルマを仕立てることで生産や開発の効率化が図られています。

メカニズム

新型「インプレッサ」に初めて採用された「スバルグローバルプラットフォーム」もまさにそれ。今後、レガシィやフォレスターの次期型にも展開される予定だといいます。

そうなると、最初の一歩が肝心。計測技術の進歩によりドライバーが違和感を覚えるツボを特定できたほか、剛性の連続性を高めるために骨格の途切れや屈曲を極力減らしたことでポテンシャルは大幅上昇。新型「インプレッサ」では、その実力のうちまだ6〜7割ほどしか引き出せていないそうです。

開発ストーリー

また、新型「インプレッサ」でスバルの持ち味である安全性はさらにワンランク上へ。その大きな要素が25-60km/hで作動する歩行者保護エアバッグです。すでに海外ブランドでは採用例がありますが、国産車としては初なうえに、全車に標準装備されるのも魅力。社内では「スバル=安全」という考えが浸透しており、標準装備化はさも当然の如く進んでいったそうです。

■デザインから機能まで全面刷新!

新プラットフォームの採用はクルマの走りを磨いただけでなく、インテリアの仕立てを含めた質感向上にも貢献しています。

使い勝手

インテリアで最も目を引く8インチの大画面をもつナビゲーションシステムと、6.3インチへ拡大したマルチファンクションディスプレイが設けられたインパネをはじめ、エアコンユニットも全面刷新され、より使い勝手が良くなっています。

こうした内容を踏まえると、ハイブリッドや自動運転技術といった飛び道具こそ持たないですが、普段当たり前に思っているからこそ忘れがちなクルマの本質(走る、曲がる、止まる、使う)が徹底的に磨かれたことが分かります。

より深く知りたい方にはこちらがおススメです。

表紙

(今 総一郎)

新型NSXは、スーパーカーらしい○○○と、らしからぬ○○○で勝負!

■新型NSXは、スポーツハイブリットSH-AWDでスーパーカーと真っ向勝負!

スポーツハイブリットSH-AWDで武装した新型NSXが、颯爽と登場しました。

今回は2代目に当たりますが、実は数年前、幻のNSXが存在したのをご存知でしょうか? あのリーマンショックのために、フロントにV10エンジンを搭載したNSXが発売中止に追い込まれ、幻となってしまいました。

そのため新型NSXは、メカニズム的には3世代目に相当するといえます。

1191

あらためて2代目となる新型NSXの実車を見ると、スーパーカーの王道を行く超ワイド&ローのエアロダイナミクスボディをまとっています。

またアグレッシブなジュエルアイLEDヘッドライトや広いウィンドウエリア、鋭利な切り口のサイドインテーク等で強烈な個性と存在感を訴求。21世紀に相応しい斬新なデザインで、スーパーカー・オーラをビンビン発散しています。

■ツインターボエンジンと3モーターでスポーツハイブリットSH-AWDを実現

新型NSXのパワーユニットは、3.5LのV6ツインターボに大型モーターと9速DCTを組合わせて、シート後方に縦置きミッドシップ。これはもちろん、NSX専用設計です! 更に2つの小型モーターをフロント左右に向けて搭載して、スポーツハイブリットSH-AWDを実現しました。

パワーもスーパーカーらしく強烈で、エンジン単体で3.5Lから507psを発揮。またエンジンとモーターを合算したシステム最大出力では、なんと581psに到達しています。

1192

スポーツハイブリットSH-AWDのハイブリッド機能は、モーターの出力と回生だけに留まりません。走りでコーナーに入ると、イン側のフロントモーターが回生するとともに、アウト側のモーターが出力を実施。つまり左右のフロントモーターがトルクベクトリング制御を行い、コーナーリング性能を飛躍的に向上させているのです。

■スーパーカーらしからぬ燃費と日常性、スーパーカーらしい価格と走り

新型NSXは燃費も素晴らしく、スーパーカーらしからぬ12.4km/l(10.15モード)を実現しました。昭和の大排気量スーパーカーを思い起こすと、到底信じられないほどの優秀な値をマークしています。

しかも新型NSXは、日常の公道走行から非日常のサーキット走行まで、特別なスキルがなくてもドライビングを楽しめるのですネ。先代NSXをはるかに超える柔軟性とポテンシャルを備えているのですから、本当に素晴らしいと思います。

1194

ちなみに専用設計の縦置きミッドシップを奢ったためか、お値段もスーパーカーらしく2370万円となっております。新型NSXは、世界最先端のスポーツ&ハイブリット技術で、ドイツやイタリアのスーパーカーに真っ向勝負を挑んでいるのです。

■第542弾 新型NSXのすべて (電子版はこちら

0180

(星崎 俊浩)

新型フリード/フリード+の個性と利便性を両立するドレスアップはこちら!

■新型フリード/フリード+の個性と利便性を両立する「モデューロ」

新型フリード/フリード+のスタイルは、男女を問わないユニセックスなデザインを備えています。しかし売れっ子ライバルのシエンタは、歌舞伎役者のような隈取りフェイスで個性を発散していますから、新型フリード/フリード+のプレーンなノーマルデザインでは、物足りなさを感じる方もいるかもしれません。

そんな声に応えるべく、ホンダは2種類の純正アクセサリー&エアロパーツを用意してきました。

105

ひとつはホンダアクセスが提供する「モデューロ」。銀の羽を広げたようなグリルや両サイドに張り出したフロントバンパーは、新型フリードに力強い個性と存在感を与えてくれます。

また新型フリード+用のラゲッジ活用アクセサリーでは、快適な車中泊を約束するラゲッジクッションマットや収納性を向上するラゲッジマルチボード等、広大な超低床ラゲッジ空間の利便性をより一層高めてくれます。

■ホンダのスポーティカスタマイズ・ブランド「無限」

2つ目は、ホンダ車のスポーティカスタマイズで知られる「無限」。アグレッシブなグリルやバンパーに加え、専用マフラーまでラインナップ。また5本のツインスポーク・アルミホイールなどで、ドレスアップが楽しめます。

106

インテリアでは、赤く縁取られた黒いフロアマットを設定。車種とパワーユニット毎に、ジャストフィットサイズを用意しています。またハイブリット用のカーボンセレクトノブはリアルカーボン製で、ドライブ気分を高めてくれます。

新型フリード/フリード+の個性と利便性を両立する「モデューロ&無限」で、自分なりのドレスアップをエンジョイしてみてはいかがでしょう!?

■第541弾 新型フリード/フリード+のすべて (電子版はこちら

84

星崎 俊浩

5ナンバー枠でよくぞ! 新型フリード/フリード+は、ダイナミックなフォルムに機能を満載!

■「ダイナミズム&ファンクショナリティ」が共通スタイルのテーマ

先代フリード&フリードスパイクでは、乗員数やラゲッジスペースの機能面だけでなく、スタイルでも異なるデザインを採用。機能とスタイルの両面から、差別化をはかっていました。

しかしスタイルの市場調査を行ったところ、スパイク・ユーザーはフリードとの差別化よりも、クルマとしてのカッコ良さを重視していることが判明。

そこで今回の新型フリードと新型フリード+では、あえてボディデザインを分けずに統一することにしたのです。

96

デザインテーマは「ダイナミズム&ファンクショナリティ」。

デザイン開発では、パーソナルでダイナミックなA案とビックキャビンで機能的なB案を選抜。そして双方の良いところを融合して、両車共通のデザインを練り上げました。

■デザインポイントは、A案のアンダーボディとB案のキャビンの融合

デザインのイイトコ取りポイントは、A案の彫りの深いアンダーボディと、B案の伸びやかなキャビンの融合です。

実車を見ると狭い5ナンバー枠でよくぞというくらい、A案の彫りの深いボディサイドが、ダイナミックな立体感を訴求。またスライドドアのレールがリアランプに刺さるように伸びているのも特徴的で、個性的な造型を実現しています。

97

一方B案からは、広いフロントウィンドウと、伸びやかなルーフライン、更に切れ上がったリアサイドウィンドウを採用しました。

またフロントウィンドウの上端中央では、ルーフが凸面形状になっています。これはグリル形状を反復したデザインで、新型フリード/フリード+の新しいワンポイントアクセントになっています。

■第541弾 新型フリード/フリード+のすべて (電子版はこちら

78

星崎 俊浩

新型フリード/フリード+で、家族構成や世代、趣味にマッチしたカーライフをエンジョイ!

■新型フリード/フリード++は、居住性も視界も広いのが自慢!

新型フリード/フリード++の運転席に乗り込むと、ステアリング越しのデジタルメーターが目に入ってきます。インパネは、センターのカーナビ画面から木目調パネルが水平に広がり、爽やかな印象を演出しています。

92

またデジタルメーターを薄型化して前方の見通しを改善するとともに、フロントウィンドウも頭上近くまで拡大。視界はより明るくより広く、上方の信号も見えやすいのが特徴です。

■新型フリードは、まさしくファミリーにちょうどいい!

新型フリードはコンパクトなサイズながらも3列シートを備え、多人数が無理なく乗れる居住空間を確保しています。2列目シートは、2座のキャプテンシートとタンブル収納式の3人乗りベンチシートから選択。

3列目シートは跳ね上げ収納式。背もたれが小振りながら縦長のヘッドレストが備わりますし、座面クッションもしっかりしており、実用的な仕立てとなっています。
94

新型フリードは、街乗りや小旅行が中心で、時々に祖父母や友人家族を乗せるようなファミリーにピッタリ。まさに日本の家族事情にマッチした「ちょうどいい」クルマだと思います。

■新型フリード+をトコトン使い倒してみたい!

新型フリード+は、2列シートの5人乗り仕様。圧巻なのは、底が抜けたような超低床がもたらす広大なラゲッジ空間。福祉用車イス仕様と共通構造なので、外観からは想像できないほどの容量を備えています。

また2列目シートの背もたれを倒してラゲッジにユーティリティボードを被せると、173cmの筆者が縦に寝れるフラットなスペースが出来上がります。
95

例えば新型フリード+なら、ヤングファミリーが装備のかさ張るアクティブレジャーに出掛けても、大抵の荷物を飲み込んでくれるでしょう。また夜討ち朝駆けの釣り紀行であれば、ユーティリティボードでラゲッジを寝床仕様にしたままでも、ボード下部のラゲッジ空間にクーラーや釣竿などを収納できるので大変便利。

新型フリード/フリード++なら、家族構成や世代、目的や趣味に合ったカーライフを、存分に堪能できると思います。

■第541弾 新型フリード/フリード++のすべて (電子版はこちら

82

星崎 俊浩

新型フリード+の超低床ラゲッジに、人に優しいMM思想の真髄を見た!

■ちょうどいいサイズのまま居住性向上、ハイブリッドではレアアースレス・モーターを開発

新型フリード/フリード+開発責任者の田辺LPL(ラージプロジェクトリーダー)は、歴代フリードの全長である4.2〜4.3m枠が、まさしくコンパクトミニバンの「ちょうどいいサイズ」だと判断。

その枠内で全長を50mm伸ばしつつ、1〜3列目のヒップポイント間距離を90mm拡大して、居住性を改善しました。

86

また新型フリード/フリード+では、コンパクトミニバンとしては初めて、4WDにハイブリッドを設定しました。

さらに、資源として希少で高価なレアアース(重希土類)を使わないハイブリッド用モーターを新たに開発。磁石の配置や冷却方法等の様々な創意工夫を組み合せて、世界初のレアアースレス技術の実用化を達成したのです。

■フリード+の超低床ラゲッジ空間は、目から鱗のワクワク大発見!

新型フリード+は、先代フリードスパイクのエンジョイ・コンセプトを引き継ぎました。

リアのハッチバックを開けると、眼前に底が抜けたような広大な超低床ラゲッジ空間が展開されるのですから、ビックリ仰天! この今まで見たことのない空間が、アクティブレジャーから車中泊まで、ワクワクするようなカーライフの可能性を予感させてくれるのです。

89

例えばユーティリティボードを使ってラゲッジをフラットにすると、快適な寝床とともに、ボード下部に大きなラゲッジ空間が確保できるのですね。そのため従来は、雨降りでも車外に置くしかなかった荷物や道具を、ラゲッジ内に収納することができます。

この超低床ラゲッジは、いかにもホンダらしい目から鱗の大発見だと思います。

■福祉用車イス仕様とエンジョイ仕様の統合に、MM思想の真髄を見た!

この超低床ラゲッジのきっかけは、福祉用車イス仕様の検討でした。

「高齢化が進行する中、車イスの搭乗はもはや特別ではない」というシビアな議論から「車イスを載せるための超低床をラゲッジとして使うことで、新しいカーライフを提案できる」とポジティブな発想に思い当たったというのですから素晴らしい!

90

ただ、開発では様々な難問があったそう。

最大の難関はボディ剛性の確保が困難なこと。リアハッチバックの大開口部と超低床の大空間はボディ剛性には不利な要素ばかりなのですね。そこで新型フリード+では、福祉用車イス仕様を統合。同一ボディとして開発したことで設計の共通化がはかれ、コストを抑えたボディ開発が可能になったのです。

筆者は、福祉とエンジョイ仕様を両立する新型フルード+のコンセプトに、人に優しいホンダのMM思想の真髄を見た思いがしました!

 ■第541弾 新型フリード/フリード+のすべて (電子版はこちら)

80

(星崎 俊浩)

新型フリードが「プラス」した、広大な超低床ラゲッジ空間とは!?

■新型フリードは、広大な底抜けラゲッジをもつ「フリード+」をプラス

新型フリードのフルモデルチェンジは実に8年振り。

一足先にモデルチェンジして大ヒットをかっ飛ばしているトヨタ・シエンタを追撃すべく、3列シートのフリードと2列シートのフリード+の2種類のボディで登場しました。

2つのボディといっても外側のスタイルはほぼ共通で、フィットファミリーに準じたユニセックス風デザインを採用。その分実利本位で内側のラゲッジ構造を大幅に変更し、それぞれ全く異なる機能や使い勝手を実現しています。

85

3列シートの新型フリードは、従来どおり多人数ミニバンながらコンパクトなサイズを継承。2列目がキャプテンシートの6人乗りと、ベンチシートの7人乗りを設定しています。

注目は、スパイク後継車である2列シート5人乗りの新型フリード+。

人が座ったままの車イスを乗せられる程、床底をごっそりとくり抜いた「超低床ラゲッジ空間」を出現させました。

この広大さは本当に見事で、シートやユーティリティボードのアレンジによって、装備がかさばるアウトドアから車中泊まで様々なカーライフシーンが目に浮かんでくるようです。

■パワーユニットは、ハイブリッドにも4WDを設定

新型フリード/フリード+ともにパワーユニットは、直4・1.5Lガソリンエンジン+CVTと直4・1.5L+モーター内蔵7速DCTのハイブリッド仕様の2種類。

更にエンジン仕様だけでなく、ハイブリッド仕様にも4WD(フリードは6人乗りのみ)を設定。燃費はエンジン仕様が17.6〜19km/l、ハイブリッド仕様が25.2〜27.2km/lと優秀です。

87

このように新型フリードは、先行するシエンタを追撃するべく、従来の多人数仕様に磨きをかけるとともに、新型フリード+で今までにない超低床ラゲッジを提案。

更にコンパクトミニバンでは初となるハイブリッド4WDを設定し、充実したラインナップで攻勢をかけてきたのです。

■ホンダセンシングが付いた上級グレードがお買い得

新型フリード/フリード+の価格帯は、190万〜約273万円。

フリードとフリード+の価格差は、6人乗りフリードより5人乗りフリード+の方が2万円高く、7人乗りフリードが更に数千円高くなっています。またハイブリッドは約38万円高、4WDは約23万円高の価格設定になっています。

88

新型フリード/フルード+では、家族構成やカーライフ、予算等に応じて、本当に幅広い選択肢が用意されています。

お買い得なのは上級グレードに運転支援機能が付いた「G Honda SENSING」で、価格以上の機能と装備が魅力。ただ同じグレードでも、フリードとフリード+、またガソリンとハイブリッド仕様で装備が微妙に異なりますから、ご注意ください。

■第541弾 新型フルード/フルード+のすべて (電子版はこちら

79

(星崎 俊浩)

新型GT-Rで熟成したメカと製造精度とは!?

■熟成の極み、PMパッケージとV6・3.8Lツインターボ

R35GT-Rが採用したプレミアムミッドシップパッケージ(PMパッケージ)は、2007年の登場当時から変わらず、新型GT-Rも踏襲しています。

おさらいするとPMパッケージは、エンジンはフロントに搭載したまま、ミッションを車両後方に配置したトランスアクスル方式の4WDシステムです。重量物のミッションがリアに移ったことによって、R32〜34GT-R時代の悪癖だったフロントヘビーが一気に解決しました。

2196

エンジンは3.8LのV6ツインターボで、標準車では発売当初の480psから2015年モデルの550ps、そして新型では、気筒別点火時期制御といった制御系の熟成で、20psアップの570psを達成しました。

ミッションは、2ペダル式の6速DCT。フライホイールダンパーの特性変更等によって、駆動系ノイズと変速ショックを低減し、静粛性や快適性を向上しました。

また4WDは、有り余るパワーを確実に路面に伝え、いかなる速度域や路面状況でも安定した走りを実現しています。

■ボディはバランス向上に加え、製造精度も進化

新型GT-Rでは、堅牢なボディ剛性のバランス向上にも注力。特にねじり剛性の前後バランスを改善するために、フロントウィンドウまわりを補強し、乗心地や操縦安定性を改善しました。

また、超高速の300km/h走行時には、ボンネットが130kgの揚力で変形して空力を悪化させていたことが判明。そこで新型では、ボンネットの剛性を33%高めて、揚力による変形を抑えています。

これらのきめ細かいメカニズムの熟成によって、新型GT-Rは高級スーパースポーツカーとしての完成度を大幅に向上させたのです。

2197

ちなみにR35GT-Rは、フーガやスカイライン、フェアレディZ等のFRベースのFMパッケージ車を担当する栃木工場で製造されています。他の市販車に比べて、高度な製造技術を要するにも関わらず、混成ラインを活用して製造されていることでも知られています。

中でもR35GT-Rは、全ボディを対象にした「全数加振テスト」を生産開始以来継続しており、今では検査失格で廃棄されるボディはほぼなくなったとのこと。R35GT-Rの車両性能UPとともに、栃木工場の製造精度も進化していることが伺えます。

■第540弾 新型GT-Rのすべて (電子版はこちら

2184

(星崎 俊浩)

新型GT-Rのデザインは、ゲーム「グランツーリスモ」に由来する!?

■新型GT-Rの精悍なデザインは、ゲームのグランツーリスモに由来していた!?

ビックチェンジを受けた新型GT-Rの実車は理屈抜きにカッコいい!

9年に及ぶモデルライフの中で、遂に理想のデザインにたどり着いたと思えるくらい、精悍かつ重厚な存在感を放っています。

その新型GT-Rのデザインのモチーフには「日産コンセプト2020 ビジョン グランツーリスモ(NC2020VGT)」が採用されました。昨年の東京モーターショーに超アグレッシブな1/1モデルが出品されていましたが、もともとはゲームのグランツーリスモ「GT」用にデザインしたコンセプトカーなのです。

2193

そして新型GT-Rでは、このNC2020VGTが持つ2つのモチーフを取り入れています。

ひとつは、Vモーショングリルからボンネットに続くラインの外側にフロントフェンダーのカタマリがあること。2つ目は、グリルの両サイドの面がフェンダーの裏側を通ってボディサイドに伸びること。

これらのデザインモチーフが、新型GT-Rに新たにダイナミックな印象を与えているのです。

■「GT-Rコンセプト」に原点回帰したデザインも新鮮!

また従来と大きく異なるのが、ヘッドライト下部のフロントバンパー・デザインです。

2007年の市販以来ボディ同色のデザインでしたが、今回新たにブラックガーニッシュを新設しました。どこかで見覚えがあると思いきや、実は01年発表の「GT-Rコンセプト」と05年発表の「GT-Rプロト」が、ヘッドライトからブラックガーニッシュに伸びるデザインを採用していました。

2194

また新型GT-Rでは、NC2020VGT譲りのフロント両端のエッジに加え、リア両端でもエッジを効かせました。実はこのリア造形も「GT-Rコンセプト」に織り込まれていたデザインで、空力的にもしっかりと清流効果を発揮。15年の時を経て原点回帰した「GT-Rコンセプト」のデザインが、機能面でも効果を発揮しているのです。

今回の新型GT-Rのスタイルには、ゲーム用のコンセプトカーと15年前のコンセプトカーがモチーフとして採用されているわけですが、新旧様々なデザイン要素を融合させることで、こんなにも大きく印象が変わるものなのですね。

クルマのデザインとはかくも奥が深いものかと、改めて実感した次第です。

■第540弾 新型GT-Rのすべて (電子版はこちら

2182

(星崎  俊浩)

新型NSXの開発者が「叶えた」夢と「叶えたい」夢とは?

この瞬間を待っていた方は多いのではないでしょうか?

そう、遂に新型「NSX」が日本での販売をスタートさせたのです。

試乗記

初代モデルが発表されたのは1989年のこと。オールアルミ製ボディの後方にV6エンジンを搭載するミッドシップレイアウトを採用した和製スーパーカーである「NSX」は、その性能から国内をはじめ海外でも多くのファンを獲得し、登場から20年以上が経った現在でも強い憧れを抱いている方は少なくありません。

開発を率いたテッド・クラウス氏もその一人。「初代NSXに憧れてホンダに入社した」と公言するほどのNSXファンです。

テッド・クラウス氏とNSXの出会いは90年のデトロイト・オートショーでのこと。

周囲が気にならなくなるほど強烈な出会いから9ヵ月後にはホンダR&Dアメリカに入社し、栃木県にある四輪R&Dセンターに駐在。その際に両親が遊びに来たタイミングで青山にある本社下のギャラリーにてNSXと再会を果たしました。

その後は、アメリカにてシャシー領域の研究に従事していたわけですが、入社から25年を経て、初めて開発責任者を務めることとなったのが新型「NSX」だったのです。

開発ストーリー

登場を待ち望まれていた新型「NSX」は、オールアルミ製ではないものの適材適所を考え抜いたボディの後方に3.5L V6ツインターボを搭載するミッドシップレイアウトを踏襲。

さらに前輪に2個、後輪に1個と合計3つのモーターを搭載するハイブリッドとして登場しました。

車両本体価格は2370万円と初代よりも圧倒的に高価になりましたが、同価格帯のモデルと比べても決して見劣りしないユニークな魅力となっています。

これらの先進的なメカニズムもさることながら、やはりそれを包み込むデザインも新型の見所。

「人間中心の高性能」と掲げたデザインでは、第一に乗員が車体の中心に座ることとし、次いで意図した感覚そのままで運転できるための要素(広い視界、直感的な操作が出来るレイアウトなど)を織り込み、その上でバッテリーなどの搭載位置が決められていきました。

見た目/機能性/走行性能と様々な要素が高いレベルで実現する上で創業者である本田宗一郎の意志(「世界一へのこだわり」「他にないものをつくる」)も支えになったとか。

デザインインタビュー

人間中心でつくられた新型NSXのコックピット周りは、色使いや細部の造形にこだわりがある一方で、ステアリングの外周から250mmの範囲に操作系がまとめられており、シフトは「レジェンド」と同じくボタンとレバーを組み合わせて操作性と先進性を表現したものが採用されています。

また、ナビやエアコンなどの操作系は慣れ親しんだホンダ車のそれで直感的な操作が可能なのが美点です。

使い勝手

初代NSXに憧れ、そして新型NSXの開発の舵取りを担ったテッド・クラウス氏によると「初代が“実験的な新しいスポーツカー”であるなら、新型は“新しいスポーツカー体験”であり、サーキットでなくともスポーツカーの歓びや楽しみを感じられるようにした」といいます。

そして「環境をはじめとした逆境の中で開発したNSXこそ次世代のスポーツカーの在り方を示してくれるに違いない」と。

より深く知りたい方にはこちらがおススメです。

(今 総一郎)

表紙

新型GT-Rは、グランドツーリングの「GT」とレーシングの「R」、2極に深化

■グランドツーリングの標準車とレーシングのNISMOで2極深化

2007年の登場以来、日産GT-Rは着実に進化を遂げてきました。そして2014年からは、持ち前の超性能をベースにして、標準車ではグランドツーリング性能を、またNISMOではレーシング性能を大きく向上させています。

そして今回は、9年目にしてビックチェンジを実施。新型GT-Rは、内外装をスーパースポーツに相応しいデザインに仕立て直すとともに、GTのグランドツーリングとRのレーシングの2極のベクトルで、更に性能を深化させてきたのです。

2186

■精悍なVモーショングリルに重厚なインパネ、パワーアップを実現!

新型GT-Rのスタイルは、フロントマスクにVモーションを織り込み、精悍さと存在感をアップ。

内装では、インパネを全面変更して重厚な高級感を演出しています。パワーユニットは、お馴染みのV6の3.8Lターボに6DCTと4WDを組み合わせた日産の独自技術を継承。エンジンは発売時の480PSに対し、標準車で570PS、NISMOで600PSを発揮しています。

2188

またボディと足回りでは、NISMOとNISMOチューンの標準車で、ボディパネルを接着剤で補強するボンディングボディや専用サスペンション、専用アルミ&タイヤを採用。

さらにNISMOは、空力性能を突き詰めた赤いライン入りのエアロパーツで武装して、標準車以上にアグレッシブなデザインを採用しました。

■標準車とNISMOチューンの標準車、NISMOの3つの個性で1000万円の大台へ

思い起こせば、デビュー時には777万円の衝撃プライスで発売されたGT-Rも、アップデートを繰り返すうちに1000万円の大台に乗ってきました。今回の新型GT-Rは、装備や性能面から3つのカテゴリーに分けられます。

1つ目の標準車では、装備毎に「ピュア、プレミアム、ブラックエディション」のグレードがあり、車両本体価格は約996万〜約1186.9万円となっています。

2つ目はボディや足回りをNISMOチューンで固めた「トラックエディション」で、価格は約1370万円。実はこのグレードが、コンセプト的には一番GT-Rらしいかもしれません。

3つ目は、サーキットで走るために生まれてきた「NISMO」で、約1870万円のプライスタグとなっています。

2206

新型GT-Rは、標準仕様でもアウトバーンを300km/hで安全快適にドライブできる超性能車。その上にニュルブルクリンク対策を施したNISMOがあるのですから、新型GT-Rは、真に日本を代表するスーパーカーに成長したと強く実感した次第です。

■第540弾 新型GT-Rのすべて (電子版はこちら

2180

(拓波幸 としひろ)

新型GT-Rの開発責任者はGT-RコンセプトとR34 GT-R Mスペックの産みの親!

■新型GT-R開発責任者は、GT-RコンセプトとR34GT-R Mスペックの産みの親!

縁は異なもの味なものといいますが、新型GT-Rにも不思議な縁を感じます。

開発責任者の田村CPS(チーフプロジェクトスペシャリスト)は、かつてR35GT-Rの原点ともいうべき2001年発表の「GT-Rコンセプト」を立案。当時は斬新すぎて2ペダルに対する反発も強かったというエピソードからも伺えるとおり、まさしくR35GT-Rの基本構想の産みの親なのです。

2190

さらにR34GT-R時代には、走りを極めたVスペックに対し、大人のプレミアムな乗り味を実現したMスペックを開発してGT-Rの新しい価値を創造しました。ちなみにR34GT-Rでは、MスペックはVスペックと同じくらいの販売台数を誇るとのこと。

そして今回の新型R35GT-Rのビックチェンジでも、腕を振るうことになったのです。

[nextpage title=”標準車で目指したのは、非日常の超性能と日常のプレミアム性能の両立”]

■標準車で目指したのは「非日常の超性能」と「日常のプレミアム性能」の両立

新型GT-Rの開発では、1000万円を超えるスーパースポーツカーとして、速さの追求はもちろんのこと、Mスペック同様に大人が味わいを堪能できる性能の実現を目指しました。
ただそれは、非日常の走りを堪能できる超性能と、日常では快適性と高級感を備えたプレミアム性能を同時に両立すること。

2191

開発陣にとって、この難易度は「目標」というよりも「理想」に近いものかもしれません。そのため、フルモデルチェンジではないにも関わらず、開発における熟成の手は、タイヤ以外全てに及んだそうです。

[nextpage title=”R36、R37GT-Rと呼べる程の進化で「究極のドライビングプレジャー」を実現”]

■R36、R37GT-Rと呼べる程の進化で「究極のドライビングプレジャー」を実現

例えばボディ剛性では、前後のねじり剛性のバランス改善に着目。しかしながら調整は微妙で大変難しく、技術要素を見つけ出すまでに様々な試行錯誤を要したとのこと。同様にエンジンやトランスミッションでも技術要素の改善を積み上げるとともに、精力的に走行試験も実施。

特に速度域の異なるクルマが混走するアウトバーンを超高速で徹底的に走り込むことで、300km/hで安全かつ快適にドライブできるクルマに仕上っています。

2192

新型R35GT-Rは、田村CPSが「R36とかR37と言ってもいいくらいの進化をしています」と胸を張るくらい、新たな高みに到達。非日常の超性能と日常のプレミアム性能を両立し、「究極のドライビングプレジャー」を実現しているのです。

■第540弾 新型GT-Rのすべて (電子版はこちら

2181

(拓波幸 としひろ)

新型セレナのエンジンにはGT-Rのエンジンコーティング技術が採用されている!

■先代から継承したプラットホームをきめ細かく熟成

新型セレナは、先代から評価の高いプラットホームを熟成させることで、基本性能を向上させています。

ボディでは高張力鋼板の利用を拡大するとともに、結合部構造の最適化とサス取り付け部等の補強により、剛性アップと軽量化を両立しました。

1017

サスペンションも、フロントはストラット、リアはFFがトーションビームで4WDがマルチリンク式を継承。リアダンパーをサイズアップして、安定感のある乗り心地に改善しています。

またデュアルバックドアでは、上半分のバックドアを樹脂製して、大幅な軽量化を実現しています。

■GT-R譲りのシリンダーコーティング技術

新型セレナのエンジンは型番こそ変わりませんが、中身は大幅に改良されました。

一番のポイントは、圧縮比を11.2から12.5に大幅に高めたこと。高圧縮比による効率向上を実現するために、日産は様々な技術を投入してきました。

1019

中でも注目なのが、エンジン冷却効果を高めるためにシリンダー内の鋳鉄ライナーを廃止して、低炭素鋼の薄膜コーティングを採用したこと。

これはGT-Rのエンジンに使われている先進技術で、新型セレナでは更にシリンダー研磨まで実施。この「ミラーボアコーティング」によって、冷却効果に加え、大幅なフリクションの低減を実現しました。

このように1000万円のスーパースポーツカーの技術が、ファミリー向けのミニバンに採用されることこそ、技術の進歩であり醍醐味だと思います。

■第539弾新型セレナのすべて (電子版はこちら

1005

(拓波幸 としひろ)

新型フリードの進化とスマホの進化に共通するものとは?

先日、AppleからiPhone7とiPhone7 Plusが発売されました。

新型では防水機能や電子マネーでの支払い機能も加わり、さらにiPhone7 Plusには2つのカメラが備わって綺麗な写真を撮ることができると言います。

この数日間、いま持っている「iPhone5S」から変えるかどうかで頭を悩ませています。

すでに型落ちとなって久しく、例えばカメラの性能が上がればもっとクルマを綺麗に撮影できますし、たまにアプリが落ちることにイライラ、そしてバッテリーの消耗が激しいなどの細かな不満があるのも事実。

とりあえず日常生活に支障はないものの、スマホの役割は日々大きく広がっており、このままでは時代に取り残されることは明らか。

だからこそ、暮らしをより豊かにするには、その時代に“ちょうどいい”ものを持つことが大切だと思う次第であります。

00

これが「フリード」に繋がります。

初代モデルが登場した頃は、依然として室内の広いミニバンの人気が高かった一方で、ただ大きくなるだけではかえって運転が難しくなるため、両方を上手く掛けあわせたモデルのニーズが高まっており、ホンダが提案した「フリード」は市場から評価され、大ヒットしました。

しかし、その登場は2008年。数回の改良が行なわれているものの、新しいレジャーが増えるなど使われ方の幅が広がり、いつしか痒いところに手が届かなくなりつつありました。

そこで新型「フリード/フリード+」では、実際の使い方に近いかたちで検証が入念に行ない、いまのニーズにしっかり応えられるようにしていると言います。

01

「フリード」そして「フリード+」の名前で販売がスタートしたわけですが、両者の決定的な違いは2列目シートから後ろの空間にあります。

3列目シートを備えて6人または7人乗りが可能な「フリード」は、3列目シートの位置を先代モデルから後ろに下げたことで足元の空間を広げて、より快適に。

その一方、「フリード+」では3列目シートがないため乗車定員は5人。その代わりにボディ下端まで伸ばしたテールゲートにより荷室の広さと積載性がアップしています。

さらに、荷室を上下二段に分割するユーティリティボードのおかげで、車中泊も可能なほど広大でフラットな空間をつくることもできます。

02

そんな荷室をさらに便利にするための純正アクセサリーも多数用意しているのもポイント。開発のハードルは当然高くなりますが、DIYではできない領域まで踏み込んだ機能性を有しています。

02-2

機能性では「フリード」および「フリード+」の両者の違いは明確ですが、その一方でデザインの違いは少なく、見分けるポイントはテールゲートの長さくらいのものです。

先代の「フリード」および「フリードスパイク」では外観でも違いを表現していましたが、見た目を変えるということは大きな投資が必要になります。当然、開発時も議論があったわけですが、ユーザーへの聞き取りで“見た目より中身が大切だ”ということに気付いたそうです。

しかし、それは見た目を妥協することではありません。

新型では「ダイナミズム&ファンクショナリティ」として機能性と躍動感をどう表現するか?さらには表情も男性的もしくは女性的ではなく中性的を狙ったと言います。

ボディサイドにある力強いラインと大きな抉り、さらにリヤフェンダーの張り出しが目を引く下半身に伸びやかなグラスエリアで室内の広さを表現した上半身を合体させて、それを実現。誰が乗ってもしっくりくるポイントの狙い撃ちを完遂しています。

クルマがあることで得られる便利さを徹底的にアップデートした新型「フリード」。新規の方も、乗り換えの方も検討してみては?

03

より深く知りたい方にはこちらがおススメです。

(今 総一郎)

表紙

新型セレナは、広くて使える快適空間が魅力!

■パノラマ感がある見晴らしの良いフロントシート

新型セレナのドアを開けて運転席に乗り込むと、低いインパネと見晴らしの良さに気づきます。またAピラーが細く左右のフロントドアのガラス面が大きいので、前方のパノラマ感がとても素晴らしく印象的です。

1022

デジタルスピードメーターと並んで配置される7インチ液晶ディスプレイでは、タコメーターや燃費、走行距離等を表示。またインパネ中央には9インチの大型ディスプレイ(オプション)が鎮座して、存在感をアピール。ステアリングは下面を真っ直ぐにして、ゆったり感や乗降性を向上させました。

■すべてのシートが使える広くて快適な空間を実現

2列目シートは、前に大きくスライドしてフロントシートの肘掛にもなるスマートマルチセンターシートが自慢。上級グレードでは、左右にスライドする機能も備えています。またシートベルトを背もたれから出して、3列目乗降の邪魔にならないようにしました。

1024

3列目シートでは、座面と幅に十分なサイズを確保するとともに、スライド機能を持たせて足元空間を確保できるようにしています。またUSB電源ソケットを最大で6か所設置できるので、どの席でもバッテリー残量を気にすることなく、スマホやゲームを楽しむことができます。

■使い勝手に優れたデュアルバックドアと新型スマートルームミラー

新開発のデュアルバックドアは、上半分とバックドア全体が開く優れもの。これまで大きくて重いバックドアを開けるのが面倒で、2列目シートの足元に荷物を置く人が多かったそうです。特に上半分のバックドアは、樹脂製で軽く作られていますから、手軽に使えますネ。

1025

カメラ映像で後方を映し出すスマートルームミラーも、新型セレナ用では、カメラとデジタル処理の向上でより鮮明な表示に進化しました。

ミニバンの場合、通常のルームミラーでは、人や荷物を満載すると後方が見えにくくなりますが、スマートルームミラーなら安心です。日産は、駐車時のアラウンドビュー機能をはじめ、視界のスマート化について先進的に取り組んでいます。

■第539弾新型セレナのすべて (電子版はこちら) 

1004

(拓波幸 としひろ)

現役続行?それとも引退? 新型GT-Rの決断とは……

「GT-R」というネーミングに興奮を覚えないクルマ好きは少ないのではないでしょうか?

その歴史は長く、古くは1969年の“ハコスカ”こと「スカイライン2000GT-R」から始まり、全日本ツーリングカー選手権をはじめとした活躍が輝かしい「スカイラインGT-R(R32)」など、「GT-R」を冠するモデルはいずれも人気が高いです。

0

2002年に販売を終了した「スカイラインGT-R(R34)」までは同社のセダン「スカイライン」をベースとした高性能グレードでしたが、2007年の「NISSAN GT-R(R35)」ではスカイラインから独立した専用モデルとして登場したことが話題を呼びました。

デビュー当初のスペックで最高出力は480ps、ドイツのニュルブルクリンクで7分38秒54を記録するなど、高性能モデルから距離を置いていた国産メーカーの中で明らかに異彩を放っていました。

さらに「NISSAN GT-R(R35)」では、2007年から2014年にかけて毎年欠かさず改良を行なって、その実力を研鑽してきたのも特徴のひとつであります。

そして、2016年7月。2017年モデルにあたる新型GT-Rが登場しました。

デビューから9年が経過し、一流アスリートでは現役の続行もしくは引退がちらつく頃のはず。ひょっとしたら、2017年モデルはR35の集大成として役目を終えて、R36の登場を期待している方もいることでしょう。

しかし、開発を率いた田村宏志氏が言うには「R36とかR37と言っても良いくらいの進化をしている」そうです。

1

2017年モデルのGT-Rの改良内容を見ると、エンジンに新たに気筒別点火時期制御を採用してトルクの向上を図ったこともポイントですが、とくに大きく手が加えたのがボディです。なかでもAピラー周りの強化が肝。この解答を見つけ出すのに2年間を費やしたそうです。

エンジンそしてボディの強化が進めば、次はサスペンション。4輪の接地荷重を最適化するためのチューニングが行なわれ、結果としてスラローム時の車速が約4%向上しています。

これらメカニズムの改良が運動性能の向上をもたらすのはイメージしやすいですが、実はボディのデザインもクルマの性能向上には欠かせない要素なのです。

新型GT-Rではエンジンのパワーアップに伴って、グリルの開口面積が20%拡大しており、それによって空気抵抗が増えてしまったのです。それをいかにして取り戻すかがデザインの命題ですが、これはフロントとリヤのフェンダーを延ばすことで対処に成功。

そのほかにもフロントバンパーやサイドシルさらにはボンネットの形状も変えてダウンフォースを向上させています。

その上で、最近の日産車が採り入れているVモーショングリルを織り込むなど、新型GT-Rのデザインは緻密な計算のもと成り立っているのです。

2

とにかく卓越した走行性能を追求してきたのがGT-Rでしたが、実は2014年に行なわれた改良で、その趣に変化が起きたことをご存知でしょうか?

デビューから数年は走行性能をひたすらに追い求めたストイックなキャラクターでしたが、2014年の改良を機に、通常のGT-Rでは走りに加えて日常での快適性や上質感も含めた総合力の高さを追求。その一方で、走りをひたすらに磨くのは「GT-R NISMO」と、その役割を分担しています。

今回の新型では快適性や上質感をさらに押し上げるべく、インパネの水平基調を強めたほか、新たに8インチのタッチパネル式ナビを搭載してスイッチの数を半減して、視認性と操作性を改善。

さらに「プレミアムエディション」のインパネには牛革を一枚使って余計なステッチのない上質な空間づくりが行なわれています。新型GT-Rの内容を見る限り、まだまだ現役続行の意思が伺えます。

使い勝手

より深く知りたい方にはこちらがおススメです。

(今 総一郎)

540_GTR

新型セレナのベースデザインは、押しの強いハイウェイスターだった!

■グローバルな新世代デザインと「BIG,EASY,FUN」のセレナらしさの融合

新型セレナのスタイリングは、日産のグローバルデザインである「エモーショナル・ジオメトリー」と、ファミリーを象徴するセレナのコンセプトである「BIG,EASY,FUN」をいかに融合させるかが、大きな課題でした。

言うなれば、「革新と保守の融合」という難しいデザイン・チャレンジだったのです。

1013

開発初期デザインでは、日産の最新トレンドであるVモーショングリルやフローティングルーフ、ブーメランランプで構成。さらに彫りの深いサイドのシュプールラインやリアサイドラインのキックバックを織り込み、革新の塊のようなデザインが採用されました。

一方でカプセルキャビンをイメージして、居住空間を最大限確保しているところが、セレナらしさだといえるでしょう。

■デザイン開発のベースは、押しの強いハイウェイスターの方だった!

デザイン開発が進むにつれて、強烈な印象のブーメランランプは無くなりましたが、その他のデザイン要素はしっかりとスタイルに反映されました。

またフロントマスクでは、Vモーショングリルが重厚なデザインとなって進化。標準車でも、堂々たるグリルを備えています。

1014

ちなみに一般的には、大人しい標準車が先にベースとしてデザイン開発されます。

ところが新型セレナでは、押しの強いエアロパーツで武装したハイウェイスターを優先して開発したとのこと。確かに初期デザインのアグレッシブ振りを見れば、納得ですよね。

また、ボディカラーでは、ルーフとボディを塗り分けたバリエーションも4タイプから選べるので、様々な印象のセレナを楽しむことができます。

■第539弾新型セレナのすべて (電子版はこちら

1003

(拓波幸 としひろ)

新型でもミニバン販売No.1へ 新型セレナの王道を行く進化が凄い!

クルマのグローバル化が進む中、今やミニバンは日本における独自かつ専用のカテゴリーになってきました。

NA2000cc級のパワーと全幅1700mm程度のサイズでCVTを搭載し、両側スライドドアと7〜8人が乗れる広い居住空間を備え、FFと4WDが選べる設定が定番となっています。

ファミリー世代にとってこんなに便利で快適な乗り物が、なぜもっと世界に広まっていかないのか本当に不思議なくらいです.

そんな中で新型日産セレナは、単一車種としては国内販売台数No.1を誇ってきました。

1007

今回のフルモデルチェンジでは、従来の「BIG・EASY・FUN」のコンセプトを更に進化。そしてマーケットの王道を突き進むべく、スタイリッシュなデザインとより便利な使い勝手を実現するとともに、日産の戦略的商品である自動運転技術「プロパイロット」を搭載して登場したのです。

■王道を行く進化と最新の自動運転技術「プロ・パイロット」

新型セレナは、従来どおり標準車とハイウェイスターの2タイプをラインナップ。

日産デザインの最新トレンド「Vモーショングリル」と彫りの深いウエーブしたサイドラインで、躍動感のあるスタイリッシュなデザインを実現しています。

1009

室内はメーターを低くして広々感を演出。また3列目シートにスライド機能を付けて、居住性も向上させました。バックドアでは、上半分が開くデュアル式を採用して、使い勝手も進化させています。

パワーユニットは、直4のNA2000ccエンジンにCVTを組み合わせたFF仕様と、エンジン+モーターにCVTを組み合わせたスマートハイブリッドにFFと4WD仕様が設定されています。

燃費は、スマートハイブリッドのFF仕様が17.2km/l、4WDでも15.8km/lで優秀です。

「プロパイロット」と命名された自動運転機能は、車線中央走行と先行車追従走行機能等を駆使して、高速道路での巡航と渋滞時の自動運転を実現しています。一定条件の元ではクルマがアクセル・ブレーキ・ステアリングを制御してくれますが、現時点ではTV-CMのような完全自動運転には届いておらず、ドライバーがコントロールすることを前提とした仕組みとなっております。

■お買い得なグレードは「G」

新型セレナの車両本体価格は、約231.6万〜約313.5万円。パワーユニットはNAエンジンを搭載したFFと、NAエンジンにモーターを組み合わせたスマートハイブリッドにFFと4WDを用意。

スポーティと豪華さで人気のハイウェイスターは、後者に設定されています。なおスマートハイブリッドは、ジェネレーターをアシストモーターとして活用する仕組みで、アイドリングストップ等による燃費向上を実現しています。

お買い得グレードは、標準車ではスマートハイブリッド仕様で、LEDヘッドライトや3列目スライドシート、両側オートスライドドアやアルミホイールを装備したGがお勧めです。

また自動運転の「プロパイロット」はオプションですが、エアロパーツで武装したハイウェイスターでは、期間限定オプションの「プロパイロットエディション」がお勧め。価格帯は291.6万〜318.7万で、贅沢仕様のGは装備以上にお買い得です。

1020

■第539弾新型セレナのすべて (電子本はこちら)

1001

(拓波幸としひろ)

ミニバン販売No.1の実績とプライド。新型セレナの揺るぎないコンセプトとは!?

日本の5ナンバーミニバン市場は、セレナ、ヴォクシー/ノア、ステップワゴンの3車種が中心となってしのぎを削ってきました。

ライバル他車が様々なパッケージや付加機能、パワーユニットにトライする中、セレナはいささかもぶれることなく進化を続け、先々代と先代の過去11年間においてミニバン販売No.1の王座を維持してきました。

セレナの原点は「モノより思い出」というキャッチコピーです。これは1999年からのCMですが、17年経っても全く色褪せないのは、この言葉がセレナの本質とユーザーの本音を言い当てているからなのでしょう。

そして新型セレナは、変わらぬコンセプトをベースにして、最新のアイディアと技術を織り込んで開発されたのです。

1011

■揺るがない「BIG,EASY,FUN」の基本コンセプト

新型セレナ開発責任者の遠藤RPM(リージョナルプロダクトマネージャー)は、歴代セレナの人気の秘密を「BIG,EASY,FUN」の価値が受け入れられたからだと語ります。

それはまさしく「室内が広く、使いやすく、家族みんなが楽しめる」ということ。歴代セレナは、「クルマで家族、友人、知人をもてなしたい」「クルマはみんなで乗った方が楽しい」という子育て世代のニーズに合致していたのです。

また最近では、子育て世代と親が1時間以内に住む「近居率」が増加しており、更に「家族の範囲」が、祖父母や兄弟姉妹の家族にまで拡大傾向にあるとのこと。そのため3列目シートの利用頻度が、これまで以上に増えてきているのだそうです。

そこで新型セレナでは、3列目のスライド化やバックドアのデュアル化をはかり、居住性や乗降性、使い勝手のおもてなし度を大幅に向上させました。

1012

■ワクワクする新たなユーティリティも大量投入

開発陣は新たなユーティリティにもこだわりました。足をスライドドア下にかざすと自動開閉する「ハンズフリーパワースライドドア」や6個のUSBソケット設定は、開発陣から商品企画に逆提案したもの。

また3列目への乗降の動線を確保するために2列目のシートベルトを背もたれ内蔵式に変更したり、ママのネイルを傷つけないようにキャップレス給油口を採用する等、なるほどアイディアを機能に盛り込みました。

自動運転「プロパイロット」も、新型セレナで初搭載された新機能です。日産の世界戦略技術ですが、最初から世界市場に出すのではなく、国内でしっかり熟成させる方針とのこと。ファミリー世代がドライブに出かけた場合、月曜の子どもの学校を考えると、渋滞とわかっていても帰路につかざるを得ません。だからこそミニバンのセレナにプロパイロットが必要との判断は、本当にそのとおりだと思います。

ただですネ、「セレナは国内市場で横綱相撲ができている、日産では数少ない車種です。」なんて言わないでくださいまし。いつだって多くの日産ファンが、新型セレナのように開発陣の魂がこもった魅力的でリーズナブルなクルマの登場を心待ちにしてるんですから!

1026

■第539弾新型セレナのすべて (電子版はこちら

1002

(拓波幸 としひろ)

新型アクセラは乗るほどにじわじわと効く漢方薬だった!?

クルマにおける進化というと、多くの人はフルモデルチェンジやマイナーチェンジなど、これまでの姿カタチがガラッと変わるほどの大変化を想像することでしょう。

たしかにそれは王道ですが、現在のマツダはその王道とはひと違った独自の路線を歩んでいるのをご存知でしょうか?

最近の動きを振り返ると、2012年に登場したSUV「CX-5」を皮切りに魂動デザインとスカイアクティブテクノロジーを全面採用した新モデルを続々投入。ライトウェイトスポーツカーの雄「ロードスター」をもって、この新世代商品群へのシフトが完了しました。

とまぁ、ここまでは王道中の王道。しかし、面白いのは、これら新世代商品群が根っこの部分でお互いが密接に繋がりを持っていることです。

具体的にはシャシーやエンジンといったメカニズムのほか、運転席周りの操作性などです。一括企画・一括開発のもと開発されたこれらのテクノロジーは、同じく一括企画・一括開発という絆で繋がるモデルならば速やかな展開を可能としています。

そしてマツダが取り組んでいるのが、新技術の速やかな展開によりクルマを常に新鮮な状態として保つことなのです。

02

■さらなる一体感に貢献「G-ベクタリングコントロール」

今回の改良で新たに「アクセラ」に盛り込まれたものを挙げていくと、まず「デミオ」や「CX-3」ですでに搭載されている1.5Lディーゼルエンジンが遂に「アクセラ」にも投入されました。安全装備が充実したグレード「15XD PROACTIVE」で243万円と、1.5L版を加えたことでディーゼルへの入り口は広がりました。

また、ディーゼルエンジンについては1.5Lですでに実装済みのナチュラル・サウンド・スムーザーを2.2L版にも導入して、エンジンから放たれる3.5kHzの音圧レベルの低減に成功。

さらに、エンジン回転数の高まりにより生じる周波数のピーク変動を整えるナチュラル・サウンド・周波数コントロールの新採用で、加速感ともリンクした上品な音色を奏でます。

ここまでは既存の技術をもとにしたブラッシュアップですが、改良後の「アクセラ」で初出しとなったのがG-ベクタリングコントロールです。

運転に自信のある方なら、例えばコーナーでは、手前から緩やかに減速してフロントタイヤに荷重をのせて旋回し、コーナーの脱出では逆に緩やかにアクセルを踏んで加速というプロセスを滑らかに行ない、それができるクルマを「気持ちいい」と形容します。

そんな気持ちよさを誰もが実感できるようにしたのがG-ベクタリングコントロールなのです。

ただし、その制御は人間の足ではほぼ不可能な微小域で行なわれているため、あたかも自分の運転が上手くなったかのように感じるそうです。高性能スポーツカーが積むシステムがドライバーの想像を越える走りを実現させる特効薬だとするなら、G-ベクタリングコントロールは良い運転へじわじわとドライバーを導く点から漢方のようなものだといいます。

01

■上質か、スポーティか、選んだのは……

少し話が脱線するかもしれませんが、ここで“ある場面”を想像していただきたいです。それは、“書類でも何でもいいですが、とにかく探し物を探す”というありふれた日常の一コマです。この場面を乗り越えるコツは「無いと思って探す」のではなく「あると思って探す」ことで、そう考えるだけですんなりと探し物は見つかったりします。

それと似たようなことが「アクセラ」にも。今回の改良の第一報を聞いて「見た目は変わっていないよね」と率直に思った方は少なくないのではないでしょうか? しかし「見た目は変わった」と思って改めて見ると……フロントマスク、ホイール、さらに5ドアハッチバックのスポーツではリヤバンパーなど、実はその外観のほとんどに手が加えられています。

この新デザインが目指したのは上質感の向上。当初はCセグメントのハッチバックらしく躍動感あふれるスポーティ路線で行くことも検討されたそうですが、現在はプレミアムブランドにも負けないレベルで質感を高める時期との考えに至り、上質路線でのデザイン変更が行なわれたそうです。

03

より深く知りたい方にはこちらがおススメです。

(今 総一郎)

00

レヴォーグの最上級グレード「STI Sport」の目指すものとは?

2013年11月、第43回東京モーターショーの会場にて華々しいデビューを飾った「レヴォーグ」。

台座に乗せられた「レヴォーグ」がグルグルと回転している演出風景もさることながら、日本の道路事情などを念頭に置いて開発し、日本専売モデルとして販売がスタートすることも大きな話題となりました。

登場からすでに数回の改良を経た「レヴォーグ」ですが、その熟成は滞ることなく2016年4月にも年度改良を実施。その際に嬉しいサプライズとして、新グレード「STI Sport」が追加されました。

スバル車において、「STI」というネーミングは卓越した高性能モデルに与えられることは有名ですが、「レヴォーグ」が冠するのは「STI Sport」と何やら聞き慣れない響き。

実はこれ、スバルとSTI(スバルテクニカインターナショナル株式会社)が協業した新ブランドとして企画・開発されたものなのです。

01

■高性能への敷居を下げるための工夫

新ブランド「STI Sport」の使命は、ズバリ、“認知度の拡大”と“手が届く高性能”の2本柱による強い事業構造の創造です。

そのために、ベースとなる市販モデルに後から専用パーツとチューニングを施すという手法ではなく、ベース車両の製造時に「STI」のエッセンスを織り込む手法を編み出したのが最大のポイント。

「レヴォーグ」は先述したように日本を念頭に置いたモデルであり、現在も主力として販売が好調なことから、新ブランド第一号に抜擢されたそうです。

ただし、製造ラインでは「レヴォーグ」だけでなく、「BRZ」や「インプレッサ」「XV」も製造されており、その作業効率と走行性能との両立は悩みどころ。

製造担当者と相談した結果、最終的に足まわりの3項目にSTIのノウハウが活かされることが決定しました。ちなみに、今後これが軌道に乗れば、装着されるアイテム数は増えるかもしれないそうです。

02

■機能性の美点を活かしつつ、ボルドーでプレミアムを演出

足回りをSTIが担当した一方、デザインや装備などは富士重工業が担当しました。そもそも「レヴォーグ」は機能と装備については元から充実しており、「レヴォーグ STI Sport」ではいかにしてスポーティかつラグジュアリーな印象を表現するかが鍵だったと言います。

とりわけ目を引くのはボルドーとブラックで彩られたインテリア。

実はこの色使いのバランスが肝で、当初はシフトノブやステアリングにもボルドーを使い、かえってスポーティさをスポイルしてしまったそうです。

そういった目に見える仕立てを変える一方、機能性はベースとなる「レヴォーグ」から踏襲。とはいえ、ドアポケット内側に不織布を張るといった、最上級グレードだからこそのこだわりも施されています。

03

より深く知りたい方にはこちらがおススメです。

(今 総一郎)

00

「スバル・BRZ」の毎年の進化はマイナーチェンジへの伏線だった!?

振り返ると、21世紀に入ってから数年でスポーツカーは、その存続が危ぶまれていました。一部の高性能モデルは販売が続いていましたが、その一方で手頃なスポーツカーは姿を消していき、「もはやこれまで……」と嘆いていた方は多いのではないでしょうか?

そんな冬の時代に舞い降りた「BRZ」と「86」。

スバルとトヨタのコラボで生みだされたこの2台は、後輪駆動(FR)を採用するだけでなく、低重心が魅力の水平対向エンジンを搭載し、トランスミッションは6速のATとMTを設定。

価格も手頃だったことから瞬く間に注目を集め、スポーツカーひいては運転することの楽しみを再び味わわせてくれる救世主となりました。

あれから4年。スポーツカーはもちろん、クルマそのものに走る楽しみという潤いをもたらしたこの2台に内外装からパワートレーンにまで及ぶ大規模なマイナーチェンジが行なわれました。

01

■大規模改良へ向けた変更を毎年実施!

今回のマイナーチェンジは、内外装の仕立ての刷新からエンジン性能向上に至るまで、その規模は相当に大掛かり。

とはいえ、実は「BRZ」は登場から毎年なにかしらの改良が施されており、具体的にはダンパーのフリクション特性、減衰力特性のチューニング、リヤバルクヘッド周辺の剛性向上、EPSのリチューニングがそのメニュー。また、特別仕様車の設定も行なわれ、毎年話題に事欠く事がありませんでした。

このように毎年進化させる目的は、ズバリ、話題喚起であります。登場当初は爆発的にヒットするものの、話題がないとそのまま台数は右肩下がりとなってしまうそうです。そのため、毎年改良を実施して存在感を示しているとのこと。しかも、「BRZ」の場合、これまでの改良は今回のマイナーチェンジを見据えてのものだったそうです。

02

■素材や形状など、細部のつくり込みで魅力を1UP!!

ルックスやパワートレーンの変更が目を引く一方、インテリアは登場以来のレイアウトを踏襲。しかし、改良後の「BRZ」に乗り込むと細部の仕立てが上質になっていて、よりスポーツカーらしさに磨きが掛かっていることが分かります。

真っ先に違いを感じるのがステアリング。セッティングの変更だけでなく、素材と形状も見直し、362mmへ小径化されたことで、より手にフィットする感覚が強められています。さらに、メーターには走行中のGや、水温/油温/電圧などを表示する液晶を採用。いずれもスポーツマインドを高めるだけでなく、実用面でも重要な役割を果たしています。

そのほかには、インパネやドアトリムにレザー調素材をあしらい質感を向上。オーナーの満足度をアップさせる演出が随所に光っています。

03

より深く知りたい方にはこちらがおススメです。

(今 総一郎)

00

エスティマのマイナーチェンジの背景に隠れているものとは?

1990年に初代モデルが登場し、7人乗りの大空間とエンジンを床下に置く特異なパッケージングから「天才タマゴ」の愛称で親しまれた「エスティマ」。

2000年には2代目、2006年には3代目へと進化を果たしてきました。

そんな3代目も今年で10周年。「そろそろフルモデルチェンジか?」と期待していた方も多いのではないでしょうか?

そして2016年6月、いよいよその時が……と思ったら、フルモデルチェンジではなく、なんと行なわれたのはマイナーチェンジ!?

しかし、肩を落とすことはありません。一般的にマイナーチェンジと聞くと内外装の化粧直しを想像しますが、「エスティマ」は見た目だけでなく中身も時代のニーズに合わせた抜本的な改革が行なわれているのです!!

00

■「エスティマは大切にすべき」の想いが下した英断!!

そもそもフルモデルチェンジを行なわなかった要因のひとつに、「エスティマ」をはじめとしたデザイン系ミニバンの市場規模の縮小が挙げられます。

低床プラットフォームの採用で室内空間の広さをとことん追求した「ノア/ヴォクシー」をはじめ、高級サルーンに匹敵する質感を誇る「アルファード/ヴェルファイア」の好調を横目に、「エスティマ」はたとえフルモデルチェンジしても先行きが不透明だったそうです。

しかし、その一方で初代モデルから一貫する高効率パッケージとデザイン性など、それらが立派な個性として根付いていたのも事実。

国内だけでも40万台が保有されていることから、減少傾向だからといってスッパリと見切りをつけずに、多くのファンに向けて出した答えが今回のマイナーチェンジだったというわけです。

01

■新グレード「アエラス スマート」設定、温もりあふれるベージュが心地よい

今回のマイナーチェンジに際してラインナップが見直されました。なかでも注目は新グレード「アエラス スマート」です。

かつて女性ライフスタイル誌「VERY」とコラボレーションした特別仕様車「VERYエディション」で得た知見を活かしたグレードで、ベージュもしくはホワイトのインテリアや紫外線(UV)を約99%カットするガラスを全面に採用するなど、女性が喜ぶ仕立てや機能が満載!

そのほかには、自動ブレーキと車線逸脱警報さらにオートマチックハイビームがセットの「トヨタ・セーフティ・センスC」を全車に標準装備。一部グレードには、走行時のボディのたわみを吸収するパフォーマンスダンパーを採用する点も注目です。

02

より深く知りたい方にはこちらがおススメです。

(今 総一郎)

03

前代未聞!? クルマが載った音楽アルバムだけを集めた「タモリ倶楽部」的な珍書が発売!

008-009今月、三栄書房から一風変わった本が出版されました。その名も「カージャケ〜CAR JACKET GRAPHIC」。

カバーなのかオビなのか微妙な装丁に、レコードジャケットがずらり。

クレイジーケンバンド・横山剣さんの「車があるとジャケットの画が締まるんだよね」とのコメントで、およそ察しがつきますが、クルマを絵柄にあしらった音楽ジャケットのコレクションブックです。その数、約500枚。

ジャンルも、ロック、ジャズ、ポップス、ヒップホップ、サントラ、歌謡曲、アイドル、アニメなど洋楽・邦楽問わず実に様々。登場する車も、国産車、欧州車、アメ車、レーシングカーなど古今東西の名車・珍車がずらりと並びます。

044-045

この本を出版したのは、自動車関連が得意な三栄書房。企画は音楽系制作物に強い金羊社クリエイティブワークス。この2社の接点から生まれたのが、このウルトラマニアックな本というわけです。

「ビーチ・ボーイズ、クレイジーケンバンド、矢沢永吉、一連のジャズの名盤等々を代表的な例として、レコードやCDのジャケットにクルマが映っている、いわゆるカージャケは昔から魅力的なものが多いことから、10年くらい前から音楽とクルマの結びつきを分かりやすく見せたビジュアル本を作れないものかと画策していました」

とは、本書の編集長・竹部吉晃さん。

「でも、いざ作り始めると、その数の多さに収拾がつかず、どのようにまとめたらいいのか、かなり悩まされました。年代で切るのか、音楽ジャンルで切るのか、車種で切るのか。最初は音楽ジャンルでという話もありましたが、最終的にまず年代で切り、その次に音楽ジャンルということが決まっていきました」

096-097200-201

500枚ものジャケットを掲載するための苦労話を伺うと、

「音楽ライターさんたちの協力を得ながら全方位でカージャケを洗い出し、掲載するジャケと並べる順番を決め、そこから本格的なジャケット探しが始まりました。約500枚を掲載ということで、自分が持っているジャケでは当然足りませんから、ジャンルごとのコレクター諸氏に相談し、協力を取り付け、レコードを借りに行ったり送ってもらったりで、500枚に近づけていきました。今回協力していたいただいた方は日本を代表するコレクターばかりで、ある意味レコード・コレクターのオールスターが揃った感があります。何より、横山剣さんにインタビューできたことは、この本に箔をつけてもらった気がします」

とのこと。多大な労力に見合う、自信のほどが窺えました。

cover

「カージャケ〜CAR JACKET GRAPHIC」は、5月21日から発売中。書店でお見かけの際はぜひご購入を!

(クリッカー編集部)