Motor Fan's YEAR 2016

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トヨタの新型パワートレイン発表で見えてくる、今後の車載電池の動向

トヨタは、2021年までの今後5年間に導入する新型パワートレインを発表しました。

今回の発表には、エンジン・トランスミッションと並ぶハイブリッドシステムの重要な構成要素である車載電池に関する発表も含まれており、今後5年間のトヨタの車載電池に対する基本的な考え方が明らかになりました。

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今回の発表の要旨は、

①新型バッテリーの小型化でリアシート下への配置が可能になった
②2021年まではハイブリッド車にはリチウム電池とニッケル水素電池を併用する
③新型プリウスPHVにはリチウム電池を搭載する

という3点です。

まず、①の新型バッテリーの小型化については、従来リアトランクの底に配置されていた車載電池をリアシート下へ移動させることが可能になり、荷室容量の増加が期待できます。

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次に②の、リチウム電池とニッケル水素電池の併用については、従来からのトヨタの基本方針を踏襲したかたちです。

トヨタではハイブリッド車の車載電池について、ニッケル水素電池は古い、枯れた技術ではなく、まだまだ進歩する余地があり、今後も活用していくと説明しており、今回のリチウム電池とニッケル水素電池の併用も、その考え方に基づくものです。

公表された両方の電池の写真を見ると、リチウム電池の方がニッケル水素電池より一回り小さな印象で、リチウム電池の容量4,0Ahでニッケル水素電池の容量が6.5Ahとなっている発表資料のデータからも納得できます。トヨタでは、車載電池の搭載スペース、充放電能力によってリチウム電池とニッケル水素電池を選択しているものと見られます。

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われわれユーザーが車種を選択する際には、自分の希望する車種・モデルがリチウム電池を搭載しているのか、ニッケル水素電池なのかが気になるところです。

③の新型プリウスPHVにリチウム電池を搭載する点については、車載電池の容量を大きくして、EV走行距離・速度粋を拡大することを重視して、リチウム電池搭載を決定したものと考えられます。

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今回の発表でトヨタの車載電池の方針が明らかになり、今後ハイブリッド車・PHV車の電動走行が拡大するにつれて、トヨタもリチウム電池を重視する方向に転換して行くと予想されます。

ハイブリッド・PHVを重視するトヨタの車載電池に対する姿勢の動向に注目が集まっています。

(山内 博・画像:トヨタ)

国際宇宙ステーション用バッテリーがリチウムイオン電池に!

GSユアサは、グループ会社のジーエス・ユアサ テクノロジー社(GYT)が開発・製造した高性能宇宙用リチウムイオン電池(セル)が、国際宇宙ステーション用バッテリー(新型ISS用バッテリー)に採用されたと発表しました。

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新型ISS用バッテリーは、12月から4回に分けて国際宇宙ステーション(ISS)への輸送が開始されます。

現在、ISSでは米国製のニッケル水素電池が太陽電池の電力を蓄えるために使われていますが、寿命に近づいてきたので、今回GYT製のリチウムイオン電池からなる新型ISS用バッテリーに置換えられることになりました。

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新型ISS用バッテリーは、現在ISSに搭載されている電池と比較して質量あたり約3倍の高エネルギー密度であることから、現在の48個のバッテリーと相当の能力を半数の24個で実現することができます。新型ISS用バッテリーは、満充電、完全放電を1サイクルとした場合、5000サイクル以上の利用が可能で、10年の寿命があるということです。

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この新型ISS用バッテリーは、日本のJAXAが打ち上げる宇宙ステーション補給機「こうのとり」で4回に分けてISSへ輸送されることが発表されています。

自動車でもハイブリッド車用の車載電池でリチウムイオン電池を搭載する車種が増えていますが、宇宙でもニッケル水素電池からリチウムイオン電池への置換えが進んでいます。

(山内 博・画像:GSユアサ、JAXA)

電解液中のリチウムイオンの挙動を観察する手法をトヨタが世界で初めて開発

トヨタは、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)に搭載されているリチウムイオン電池内部で、充放電する際に電解液中で移動するリチウムイオンの挙動を観察する手法を世界で初めて開発したと発表しました。

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トヨタでは、今回開発された手法を使えば、リチウムイオン電池の性能を低下させる電解液中のリチウムイオンの偏りをリアルタイムで観察することが可能になり、「EV・PHVなどの航続距離や電池寿命を向上させる研究の有効なツールとなる」としています。

リチウムイオン電池は、正極の金属酸化物と負極の炭素材料との間を、リチウムイオンを通過させる樹脂薄膜製のセパレーターで隔離・絶縁した状態で有機電解液中に漬した構造になっています。

リチウムイオン電池の充放電時には、電解液中のリチウムイオンが正極と負極との間を移動することで両極間に電流が流れるようになっているので、電解液中でリチウムイオンに偏りが発生すると電池の性能を低下させてしまいます。

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ところが、従来では電解液中のリチウムイオンの動きを観察することができなかったために、電解駅中のリチウムイオンの偏りを防止する研究が進まないという事情がありました。

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そこで、リチウムイオンの挙動を観察するために、豊田中央研究所が理研と高輝度光科学研究センター(JASRI)の協力を得て、大型放射光施設「SPring-8」に専用の豊田ビームラインを設置して、通常のレントゲン装置の約10億倍という大強度X線を用いて、リチウムイオンの動きを高解像度かつ高速に計測できる施設を準備しました。

見えない電解液中のリチウムイオンの挙動を観察するために開発した方法は、電解液を重元素を含有したものに変更するという方法。通常のリンを含む電解液から今回の重元素を含む電解液に変更すると、リチウムイオンが電解液中を移動する際に結合する「リン含有イオン」が「重元素含有イオン」に置き換わります。

このとき、重元素はリンに比べX線を透過させにくいという性質を持っているため、X線を透過させた撮影画像では「重元素含有イオン」が影の濃淡となって現れることで、電解液中で重元素と結合しているリチウムイオンが偏る動きを観察することが可能となります。

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この新開発の観察手法を使用して、車載されている製品と同等のラミネートセル型のリチウムイオン電池を実際に使用される環境・条件と同一の状態で、充放電の過程で電解液中のリチウムイオンの偏りが発生するプロセスをリアルタイムで観察することが可能になりました。

トヨタでは今後、正負極やセパレーター、電解液の材料や構造、電池の制御方法を変えてリチウムイオンの挙動を観察し、電池の性能が低下するメカニズムを解析することで、リチウムイオン電池の性能・耐久性向上につなげたいとしています。

(山内 博・画像:トヨタ)

BMWが米・テスラへの対抗で全モデルにEVを設定?

昨年あたりから、EV普及のネックになっているバッテリー容量拡大に関する情報が流れ始め、それに連動してEVの航続距離拡大が注目されるようになってきました。

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BMWは今年3月、電動車両と自動運転車の拡大を柱とする2025年までの経営戦略「NUMBER ONE NEXT」を発表。

ハラルド・クルーガーCEOによれば、今後PHVやBMW「i3」に続くピュアEVなど7モデルを投入するそうで、年内にバッテリー性能の向上により、航続距離を200km(+40%超)に拡大した「i3」を発売する計画とか。

一方、米テスラは年間8万台のペースでセダンやSUV系のEVを生産しており、2018年までに年間50万台を生産できる体制を着々と準備中。来年には従来モデルよりも低価格なセダン「モデル3」の投入を予定しているようです。

こうした状況を受け、同CEOは10月11日、米WSJの取材に対して「全てのブランドとモデルのEV化を組織的に進める」と述べたそうです。

BMWでは既存モデルのハイテク化に取り組んでおり、先月には「MINI」のピュアEVを2019年に、BMW「X3」のピュアEVを2020年にそれぞれ投入すると発表。

10月16日には同社のHP上でMINIのPHVバージョンを紹介するなど、電動化をアピールしています。

しかし米国では、昨年来からの原油価格低下によりガソリン価格が低下しており、従来のように低燃費車よりも大型SUVへの人気が高まっており、HVやPHVも含め、電動車へのニーズが低減しているのが実情。

調査会社オートデータによると、「i3」の2015年の世界販売台数は約2万5000台でしたが、今年9月の米国における同車の販売台数は、前年同月比で77%減の391台と低迷しています。

こうした状況から、米市場でのEV展開に際しては、やはりリーズナブルな価格帯のSUV系ラインナップから充実させる必要性がありそうです。

Avanti Yasunori・画像:BMW)

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日産がアライアンスを組むルノーでは、「SM3 Z.E.」、「ZOE(ゾエ)」、「Kangoo Z.E.」、「Twizy」の4車種のEVを販売しており、2011年10月の「KangooZ.E.」発売以降、世界で累計10万台のEVを販売しています。

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その中の「ZOE」はジュネーブショー12でデビュー、同年11月にフランスで販売を開始し、欧州で販売を伸ばしているキュートなデザインを採用したピュアEVです。

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全長4,084mm×全幅1,788mm×全高1,562mmと、トヨタ「アクア」を少し大きくしたような5ドアハッチバックモデルで、発売後3年半で累計生産台数が5万台に達するなど、年間1万台以上を生産する人気車となっています。

発売当初のスペックは最高出力88ps/最大トルク22.4kgmを発生するモーターと韓国LG製のリチウムイオンバッテリー(22kWh)の組み合わせにより、NEDC(新欧州ドライビングサイクル)による航続距離が210kmとなっていました。

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その後、昨年3月に開催されたジュネーブショー15では、電気制御の最適化により、モーターの効率を向上させ、航続距離を240km(+30km)に延長、車載充電システム「カメレオン・チャージャー」の改良により同車の充電時間を10%短縮したと発表。

さらに今年のパリモーターショー16では航続距離400km(NEDC)を達成したと発表、実用上で300km程度の性能を有しており、約270万円からの価格帯で販売を予定しているようです。

ただし、同車に搭載するリチウムイオンバッテリーはリース方式をとっており、年間走行距離7,500Km当たり約8,000円のリース料金が別に発生する模様。

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ルノーでは今後、ZOEに自動運転機能の搭載を予定しているそうで、中国の自動運転モデル地区で走行テストを開始するようです。

自動運転機能付きのEVといえば米「テスラ」を思い浮かべますが、ZOEは超コンパクトモデルだけに、使用性や価格面からも普及する可能性が高そうです。

昨今、PHVなど主にモーターで走行する電動車に注目が集まるなか、ようやく実現し始めたバッテリー性能の向上に伴い、再びEVにも目が向けられ始めており、今後はZOEのようなエントリークラスのEVが各社から登場する可能性が出てきました。

Avanti Yasunori・画像:RENAULT、パリモーターショー)

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パリモーターショー2016
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ルノー ZOE
https://group.renault.com/vehicules-groupe/decouvrir/renault-vehicules-electriques/

宇部興産が車載用リチウムイオン電池向けセパレータ製造設備を増強

最近、車載用リチウム電池向けのセパレータを手がける素材メーカーで、製造設備を増強する動きが続いています。

宇部興産でも車載用リチウムイオン電池の需要増大を見越して、同社堺工場(大阪府堺市)でセパレータ製造設備を増強することを決定しました。

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リチウム電池のセパレータとは、リチウム電池の正極と負極を絶縁しながら、電解液中のリチウムイオンを通過させる微小な孔があいた分離膜のことです。

宇部興産が計画している設備の増強は、2018年4月完工予定で、現在堺工場で建設中の新規設備に続いての設備増設となります。この増強が完成すると、宇部ケミカル工場と堺工場を合わせた合計の生産能力は2.5億平方mになります。

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宇部興産では、単に製造能力を増やすだけではなく、供給拠点を2カ所に分割することで、セパレータの安定供給につなげたいとしています。

同社の関係するセパレータ事業としては、2011年に日立マクセルと合弁で設立した宇部マクセル社(京都府乙訓郡)が手がける高機能塗布型セパレータがあり、この塗布型セパレータは新型プリウスのリチウムイオン電池に採用されています。

リチウム電池のセパレータはEV、HV、PHVといった電動車の性能に直結する素材で、素材メーカー各社のセパレータ事業の動きに注目が集まっています。

(山内 博・画像:宇部興産)

住友化学、リチウムイオン二次電池用セパレータを大幅増産

住友化学は、同社が商標名「ペルヴィオ(登録商標)」として販売しているリチウムイオン二次電池用セパレータを大幅に増産すると発表しました。

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同社は、現在リチウムイオン二次電池用セパレータを、愛媛県の大江工場と子会社の SSLM 社(韓国大邱市)で生産していますが、今回SSLM社の生産能力を現行比4倍に増強すことを決定し、2017年8月以降、順次量産を開始するということです。

今回のセパレータ増産は、EV・HY・PHVの販売増に応じて車載用リチウムイオン二次電池の需要が急増していることに対応したものと見られます。

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リチウムイオン二次電池は、正極と負極との間にセパレータを挟み込んでリチウムイオンを含んだ電解液を満たした構造になっており、セパレータには、リチウムイオンの移動を許容しながら耐熱性と絶縁性を保つことが必要です。

住友化学の「ペルヴィオ」は、ポリオレフィン基材にアラミド樹脂で耐熱層を形成したことが特徴で、主に車載用途で採用されています。

今後EV・HV・PHVのような電動車の増加に伴ってリチウムイオン二次電池関連の化学メーカーの活躍が自動車業界でも目立つようになりそうです。

(山内 博・画像:SSLM社)

テスラが航続距離613kmを実現する100kWh大型バッテリーを発売。気になる今後のEVバッテリーの行方

EVのテスラ・モーターズは、従来の90kWhより大型で同社では最大となる100kWhバッテリーサイズを発売すると発表しました。

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この100kWhバッテリーを搭載したModel S P100Dにルーディクラス モードのソフトをインストールした場合、推定航続距離が613km(EUサイクル)となり、EV市販車として初めて航続距離600kmを越えることになります。

また、その車両の0-100km/h加速タイムは2.7秒となり、ラ フェラーリやポルシェ918スパイダー並の加速性能を発揮します。

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テスラでは、新発売の100kWhバッテリーをSUVタイプのModel Xにも搭載し、納車前のModel S P90Dルーディクラス モードに、1,152,000円(消費税込み)でアップグレード可能であるとしています。

このように90kWhバッテリーと換装可能であることから、100kWhのバッテリー・パックの外形寸法は変わらないとすると、テスラはどうのような方法でバッテリーを大容量化したのでしょうか?テスラでは、どのように大容量化に成功したかについては、コメントしていません。

考えられるのは、①テスラが採用している直径18mm×65mmの単3乾電池を大きくしたような汎用18650型リチウム・イオン・バッテリー・セルの搭載個数を増加する、②18650型バッテリー・セルを大容量化するという2つの方法です。

①の搭載個数を増やす方法については、情報によるとテスラのバッテリー・パックには搭載されているセルの間に、冷却のための隙間が設けられているので、セルの間に隔てられている隙間を狭くすることで大容量化が可能です。

また、②のセル自体の容量の大容量化については、今年1月にテスラに18650型バッテリー・セルを納入している日本のパナソニックが、16億ドル(1900億円)を投資して、ネバダ州にテスラ向けのバッテリー工場を建設したことから、パナソニックが18650型セルの大容量化に成功した可能性も考えられます。

EV用のバッテリー・パックについては、日産「リーフ」のようにEV専用のセルを使うのが多数派で、汎用規格の18690型セルを採用しているのは現在のところテスラだけです。

一方、最近になって日産は「リーフ」用のバッテリーを製造している子会社を売却して、バッテリー・セルを市場から購入する方向へ転換することを発表しました。

今後EVのバッテリーは、日産「リーフ」のように専用セルを使う方がよいのか、それともテスラのように汎用セルを使うのが得策なのか、どのように進化してゆくのかに注目が集まっています。

(山内 博・画像:テスラ・モーターズ)

BMW・i3、航続距離大幅アップで販売台数が増大!

次世代モビリティを提供するプレミアム・ブランド「BMW i」にラインナップされるコンパクトEV「i3」。

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都市圏向けのピュアEVとして専用設計された4人乗りモデルで、「ライフドライブ」構造と呼ばれる革新的な車体構造を採用しています。

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「ライフドライブ」は、パワートレインなどを収めるシャシーの役割を果たすアルミニウム製「ドライブモジュール」と、乗員などが搭乗するCFRP(炭素繊維強化プラスチック)製の基本骨格「ライフモジュール」で構成されています。

最大出力170ps、最大トルク250Nmを発生する電気モーターと、総電力量21.8kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載。

ドイツ本国では2017年モデルとして、バッテリー容積を変えずにリチウムイオンバッテリーの電力量を21.8kWhから33kWhまで高めた新グレード「94Ah」 の追加がアナウンスされています。

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現行モデルの一充電当たりの航続距離は約130km(実勢値)ですが、「94Ah」グレードでは車両重量が約45kg増加したものの、約183kmと40%以上も伸びています。

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欧州では「BMW i」の需要増が続いており、今年6月に西欧で販売された全BMW販売車両のうち4%を電動モデルが占めており、「94Ah」についても導入前から、既に受注が5,000台に達する状況といいます。

VWの排ガス不正問題を機に、これまでディーゼル車一辺倒だった欧州市場においても、環境に優しいクリーンな電動車に注目が集まるようになりつつあるようです。

Avanti Yasunori・画像:BMW)

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新型プリウスPHVに何が起きた? トヨタが異例の「国内」発売延期を表明!

トヨタ自動車が8月3日、「プリウスPHV」の国内発売時期を当初予定していた今秋から今冬に延期するという、異例の発表を行いました。

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これまでは9月に受注開始、10月26日頃に発売されると予想されていましたが、今回の発売延期に際し、同社は「より良いクルマを着実にお届けするため」との説明に留めており、具体的な理由を明らかにしていません。

産経新聞によると、国内発売延期の理由として「生産が遅れ、販売に必要な台数が確保できない見通しとなったため」としており、加えて「当初計画よりも立ち上がりの生産台数を抑えることになった」としています。

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また、朝日新聞によれば、軽量化を目的に採用したCFRP(強化プラスチック)製バックドアの品質が量産段階で安定しないことによる生産遅れとの情報も有ります。

ちなみに現行プリウスは先代モデル同様、米国でワールドプレミアするなど、米国市場を強く意識したモデルとなっています。

しかしながら米国では、ZEVによる環境規制強化にともなって充電機能を持たない現行プリウスがZEVの範疇から外れたこと、PHVのライバルとも言えるテスラが比較的廉価なEV「モデル3」投入に向けて世界中で受注を開始していることなどから、トヨタとしては米国で「電動車」と認められるPHVモデルの早期投入&拡販が急務の状況。

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そうした事情から、当初の計画どおりに台数が出せなくなった場合に考えられるのが、PHVの投入を急ぎたい米国向けを優先するケース。

噂によると、国内市場には新車効果の維持を目的に、現行プリウスの装備を充実させた特別仕様車をまもなく投入する計画があるようで、PHVモデルとのバッティングを避けたいとの思いが今回の決断を後押しした可能性もあります。

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今回トヨタが発表したプリウスPHV発売延期に関する文面の表題をよく見ると「国内」と明記されていることからも、国内市場に限った対応を匂わせます。

今冬の発売となればプリウス派生のSUV「C-HR」の発売とも重なる訳ですが、ジャンル違いということで、こちらについては許容しているのかもしれません。

いずれにせよ、新型プリウスの本命モデルとも囁かれる同車の発売が待たれます。

Avanti Yasunori・画像:トヨタ自動車)

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「燃えにくい電解液」で高電圧と安全性を両立したリチウムイオン電池

東大・大学院の山田淳夫教授らの研究グループは、燃えにくい電解液を使用して高電圧と安全性を両立した4.6V リチウムイオン電池を開発したと発表しました。

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現状のリチウムイオン電池は作動電圧が3.7Vですが、高電圧化されることでさらに高密度なエネルギー貯蔵が可能になり、EVの航続距離を伸ばすことができます。

しかし、作動電圧を高くすると既存の有機電解液では副反応・劣化が発生してしまい、安定した充放電が難しくなるという問題がありました。

そこで、研究グループでは、リチウムイオン電池の高電圧作動を可能にする新規な難燃性電解液、すなわち「燃えにくい電解液」を開発しました。

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この電解液は、同研究グループが2014 年に発表した「濃い電解液(高濃度電解液)」のアイデアに基づき、リチウムイオンの濃度を極限まで高めることによってリチウムイオ ン、アニオン(マイナスイオン)、有機溶媒分子が相互に結び付いたネットワーク構造を実現。有機溶媒に起因する燃焼性が格段に低下するとともに、高電圧作動時に発生する副反応を抑制することができ、既存電解液では不可能だった平均電圧4.6Vのリチウムイオン電池で100サイクルの安定した充放電に成功しました。

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今回の新しい燃えにくい電解液のネットワーク構造は、理化学研究所のスーパーコンピュータ「京」(神戸市)を用いたシミュレーションで明らかになりました。

先日もマツダが、大型放射光施設「SPring-8」を使用して新素材の開発に乗り出すことが発表されたばかりで、自動車の技術開発も「京」や「SPring-8」のような世界的規模のツールを使用する段階に入ったことが注目されます。

(山内 博・画像:東京大学)

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産総研がイオンを見分けるセパレーターで次世代蓄電池のリチウム硫黄電池を開発

産業技術総合研究所(産総研)の研究グループは、イオンを見分けるセパレーターを使用して次世代蓄電池のリチウム硫黄電池を開発したと発表しました。

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今回、開発されたリチウム硫黄電池は、セパレーターに金属有機構造体を複合材料にして利用している点がポイントです。

新開発のセパレーターでは、リチウムイオンを通して、多硫化物イオンは通さない「イオンふるい」効果が確認されました。開発されたリチウム硫黄電池は、1,500回充放電を繰り返しても安定に動作しました。

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リチウム硫黄電池は、リチウム空気電池、ナトリウムイオン電池とともに現状のリチウムイオン電池に代わる次世代蓄電池として開発が進められています。

リチウムイオン電池の正極に硫黄を用いるリチウム硫黄電池は、正極容量が高く次世代蓄電池として期待されています。

しかし、放電反応の中間で生成するリチウム多硫化物が電解液に溶け出して、充放電サイクルを繰り返すと、溶け出した多硫化物イオンが原因でリチウム硫黄電池の容量が劣化するという問題がありました。

そこで研究グループでは、従来から知られている金属有機構造体の「分子ふるい」機能が、イオンの種類を分別できる「イオンふるい」としても機能すると考え、金属有機構造体をリチウム硫黄電池のセパレーターとして使用することに成功しました。

新開発のセパレーターは、充放電に必要なリチウムイオンを通す一方で、電解液に溶け出した多硫化物イオンが負極側へ移動することを防ぐため、新型のリチウム硫黄電池で長期間の安定した充放電サイクルを実現できました。

金属有機構造体(MOF:Metal Organic Frameworks)とは、金属と有機物の配位子が多孔質の三次元配位ネットワーク構造を形成する新素材で、センサーや触媒など多方面への応用が期待されています。

今回のリチウム硫黄電池を含む次世代蓄電池が実用化されると、EVやHV・PHVの性能が大幅に向上することが期待できます。

(山内 博・画像:産総研)

ブルーエナジー製リチウムイオン電池が新型Honda「ACCORD」に搭載

GSユアサ・グループのブルーエナジー社は、自社製の新型リチウムイオン電池「EHW5」が、5月26日から発売されている新型・ホンダ アコードに採用されたことを発表しました。

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新型リチウムイオン電池「EHW5」は、従来品より17%軽量化と7%小型化しており、車両あたりの電池モジュールとしては20%軽量化と15%小型化を達成しています。

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ブルーエナジー社のリチウムイオン電池は2011年から量産を開始し、2015年度までに累計50万台以上の車両に搭載されており、セル換算では2,600万セル以上の市場実績があります。

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HV車へのリチウムイオン電池の搭載については、トヨタが4代目の新型プリウスでもニッケル水素電池搭載車を残しているように比較的慎重な姿勢であるのに対して、ホンダはHV車にリチウムイオン電池を積極的に搭載していることが目立ちます。

(山内 博・画像:GSユアサ)

日立マクセル製リチウムイオン電池を搭載した無限の電動バイクがマン島TTレース3連覇を達成

日立マクセルは、2016 年 6 月 8 日に開催された「2016 年マン島 TT レース TT Zero Challenge クラス」の決勝レースで、日立マクセル製リチウムイオン電池を搭載したM-TEC(以下、無限) の電動バイク「神電 伍(SHINDEN GO)」が3連覇を達成したと発表しました。

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日立マクセルは 2013 年より無限のレース仕様電動バイク「神電」向けに、ラミネート形リチウムイオン電池を供給しています。

同社のラミネート形リチウムイオン電池は、独自の電極積層構造を採用するとともに、オリジナルの耐熱セパレータ技術を用いています。

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今回「神電 伍(SHINDEN GO)」に搭載された電池は、無限用の専用仕様品として、 昨年の「神電 四(SHINDEN YON)」搭載の電池から、さらに容量密度を向上させたということです。

無限は「神電 伍(SHINDEN GO)」のバッテリーシステムやモーター、フレーム等を新規開発し、マクセル製電池の出力向上に合わせて同社で冷却性能を高めることで、さらなる高出力化を実現 しました。

(山内 博・画像:日立マクセル)

昭和電工、車載向け需要の増加でリチウムイオン電池材料の供給能力拡大へ

昭和電工は、リチウムイオン電池(LIB)材料用カーボン負極材SCMG(登録商標、以下同じ)の生産能力増強を決定しました。

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同社が生産能力増強を決定したSCMGは、上の写真のように黒い粉状の材料で、同社のHPでは下の写真のようにラミネートセルに封入してLIBの負極を形成する使用例を紹介しています。

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LIBは、スマートフォンやタブレット向けをはじめとする小型用途に加え、電気自動車(EV)向けの大型用途での需要が拡大しています。

特に中国では、大気汚染対策で政策によるEV推進が図られており、EVやEVバス向けLIBの需要が大きく伸長しています。

EV向けは1台あたりに搭載されるLIB容量が大きく、使用される材料も多くなります。今後、EVの普及に伴ってLIB材料市場は拡大を続け、2020年の市場規模は2兆円程度になると同社は見込んでいます。

昭和電工のSCMGは低抵抗や長寿命を特徴とし、EV用のLIB向けだけに限らず、今後の市場拡大が期待されるアイドリングストップ用途にも採用されており、需要が増大しています。

このような市場動向から、LIB向けの負極材の製造能力増強を決定したものと見られます。

今回決定された増強設備の本格稼働は2016年末を予定しており、能力増強により大町事業所における生産能力は現在より50%増の年間1,500トンとなります。加えて、6月からは中国における委託生産も開始したということです。

また、今年1月からLIB向けの正極用カーボンコート箔SDX(登録商標、以下同じ)の中国における委託生産も開始しました。

SDXは低抵抗で正極材料との密着性に優れているため、充放電特性が高まり、正極材に添加する導電助剤やバインダーの使用量を抑える効果がります。SCMGと同様、EV用途での需要が高まり、供給能力の拡大が必要なことから、中国での生産を開始したということです。

(山内 博・画像:昭和電工)

リチウムイオン電池内部の反応不均一性を可視化する研究がEVの走行距離を伸ばす!

京都大学大学院 人間・環境学研究科の内本喜晴教授、折笠有基助教(現 立命館大学 准教授)らの研究グループは、リチウムイオン電池内部の反応不均一現象の可視化に成功しました。

これにより、EVの走行距離延長につながると期待されています。

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今回の研究は、京大研究グループが立命館大学、国立研究開発法人 産業技術総合研究所、株式会社KRIと共同で行ったものです。

現在のリチウムイオン電池の設計はトライ&エラーの要素を多く含んでいますが、今回の成果を用いることで、今後、EVの走行距離延長へ向けたリチウムイオン電池開発が期待されています。

本研究内容は、2016年5月19日午後6時(日本時間)付けで、英国Nature Publishing Groupのオンライン科学雑誌「Scientific Reports」に掲載されます。

リチウムイオン電池はEV用のように大型化すると、電池内部の反応不均一現象が電池性能を左右すると考えられていますが、この現象を解析する有効なツールはこれまでありませんでした。

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本研究では、反応不均一現象を可視化するために、2次元データが取得可能なX線吸収分光測定を行いました。また、リチウムイオン電池の電極における、電子伝導率とイオン伝導率の計測手法を確立しました。

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性能が異なるリチウムイオン電池の電極を上記手法によって解析した結果、電極内部の反応不均一性はイオン伝導によって決定されており、これが性能に大きく影響していることを突き止めました。

今回の研究成果はリチウムイオン電池の実用的な設計に貢献し、電池性能の向上に有用です。

前述のように反応の不均一性は大型電池では顕著となるため、自動車用リチウムイオン電池の設計へ適用されることで、走行距離が長く、高い安全性を有する電池の実現につながると期待されます。

(山内 博・画像:国立研究開発法人 産業技術総合研究所)

トヨタと米スタンフォード大、駆動用バッテリーのコストを半分に!

米スタンフォード大学とトヨタグループの豊田中央研究所が共同で、EVやPHVに使用する駆動用2次バッテリーの価格をリチウムイオン電池の半分以下にできる技術を開発したそうです。

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日経新聞によると、使い切りタイプの「亜鉛電池」をベースに従来の弱点を克服、蓄電池化に成功した模様。

これまでの亜鉛を使う電池には「デンドライト」(樹状析出)と呼ばれる充電時に樹氷のような形状に成長する針状結晶がセパレーターを貫通してショートが発生するなど、蓄電池には応用しにくい課題がありました。

そこで、充電時に発生する針状の亜鉛が電池を破壊しない方向に伸びるよう設計を工夫し、繰り返し充電できるようにしたそうです。

亜鉛を使った電池は電解液を使っているため発火リスクが無く、製造、維持コストを抑制でき、既存設備が使用できることから追加投資も抑えられます。

現行のリチウムイオン電池と同等の性能を維持した上で、価格を半分以下に抑えることができるそうなので、電動車のように大量に電力を使う用途向けに普及しそう。

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一方、リチウムイオン電池にもまだ伸びる余地があり、亜鉛の蓄電池との間で棲み分けが進みそうです。

Avanti Yasunori ・画像:トヨタ自動車、豊田中研)

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経済産業省の「自動車産業戦略」によると、2020年に電動車(PHV・EV)の比率を全体の15〜20%に、2030年には20〜30%に拡大するとしています。

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そのPHVやEV普及の鍵となる、安価な次世代リチウムイオン電池として期待されているのが「全固体電池」。大手自動車メーカーによる開発動向に注目が集まっています。

そうしたなか、日立造船が2月に全固体リチウムイオン電池を開発、現行のリチウムイオン2次電池と同等の性能を発揮することを確認したと発表。翌3月には“国際二次電池展”で試作品を披露しました。

電解液の代わりに固体電解質(硫化リチウム系化合物)を使用、正極と負極を含めた部材を全て固体で構成することで以下を実現しました。

・大気圧下での充放電が可能
・液漏れの心配が無く安全性が高い
・発熱による可燃性ガスの発生が無い
・極薄0.3mmの電解質を積層して大容量化
・-40〜100℃の広い温度環境下で利用可能
・7年後も90%以上容量維持するなど長寿命

これを可能にしたのが、同社が自動車用プレス機の製造で培った”プレス技術”だったといいます。

一般的に全固体電池では、電解質の材料粒子間のイオン伝導性を保持するために機械的に圧力を加えながら充放電させる必要があります。

しかし日立造船では粉体電解質を直接加圧成型することでイオン伝導性を向上させ、充放電時の加圧を不要とし、大気圧下での充放電を実現。製造工程の簡素化によりコストを抑制しました。

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過酷な温度環境下でも正常に充放電することを確認済みで、2020年をターゲットに車載用として製品化を目指しており、各社への評価用電池セルのサンプル提供を開始しています。

その評価にホンダ技研が協力しているそうです。

一方のトヨタも豊田中央技術研究所で全固体電池を開発しており、HVで先行した両雄のどちらが先にPHV、EVの価格低減に向けて全固体電池の採用に踏み切るかが注目されます。

Avanti Yasunori ・画像:日立造船)

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ブルーエナジー製リチウムイオン電池がホンダ・CLARITY FUEL CELLに搭載

ホンダの燃料電池自動車(FCV)「CLARITY FUEL CELL」の部品調達に関するニュースが相次いでいますが、今回はアシスト/回生用バッテリーの調達先が明らかになりました。

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ホンダとGS・ユアサが出資するブルーエナジー(京都府福知山市)製のリチウムイオン電池が、ホンダの「クラリティ フューエル セル」に搭載されていることをGS・ユアサが発表しました。

「クラリティ フューエル セル」に搭載されている新型リチウムイオン電池「EHW5」は、従来品より17%軽量化と7%小型化しながら、同等以上の容量・出力性能と耐久・安全性能を実現している、ということです。

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ブルーエナジーのリチウムイオン電池は2011年から量産を開始し、2012年9月発売のホンダ「CR-Z」から今回のホンダ「クラリティ フューエル セル」まで10車種に搭載されています。

(山内 博・画像:GS・ユアサ)

業界最大の14直列セルを実現したリチウムイオン電池二次保護LSI

ラピスセミコンダクタは、EVなどのリチウムイオン電池システムの機能安全を実現する、業界最大の14直列セル、最大80Vに対応したリチウムイオン電池二次保護LSI「ML5232」を開発した、と発表しました。

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新開発のLSI「ML5232」によれば、電池監視システムの機能安全とシステムの小型化を実現することができ、リチウムイオン電池システムの小型化につながる技術といえそうです。

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リチウムイオン電池は、過充電や過放電への対策が欠かせませんが、万が一の対策として、二次保護LSIを使用するケースがますます増えてきています。

二次保護LSIとは、リチウムイオン電池監視システムに搭載される電池監視LSI側のシステムが不具合により機能しなくなった場合に、リチウムイオン電池の事故を防ぐ機能を果たすものです。

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今回開発した「ML5232」は、最大14直列セルまでの検出が可能で、従来の4直列対応の二次保護LSIと比較し、部品点数の大幅に削減と回路の簡略化を実現します。

これまではリチウムイオン電池の二次保護を実現するために、複数の二次保護LSIとその周辺回路が必要でしたが、それらを「ML5232」1個で置き換えることが可能となりました。

EV・HV・PHVなど電動車が増加するにつれて、関連の部品メーカーでリチウムイオン電池システム関連の技術開発が進展しており、今回の二次保護LSIの開発もその一環と言えます。

(山内 博・画像:ラピスセミコンダクタ)

日産が次期「リーフ」で航続距離500km超えを達成する?

「第7回国際二次電池展」にて、電動車向けバッテリーの開発、製造、販売を手掛ける「AESC」(オートモーティブエナジーサプライ)社がリチウムイオン電池の最新動向をプレゼンテーションしました。

AESCは日産自動車とNECが共同で設立したバッテリーサプライヤーで、展示会では今後の電動車の航続距離拡大の鍵を握る革新技術を紹介。

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それによると同社はEVの航続距離を倍増させる技術に目処を付けているようです。

おりしも昨年6月、日産自動車が株主総会で株主に対してガソリン車並みの航続距離を実現したEV(実検車両)の存在を明らかにしており、日産に電池を供給する「AESC」の出展内容が注目されていました。

NISSAN_LEAF

「AESC」はエネルギー密度を1.3倍以上に向上させたリチウムイオン電池を2018年に製品化する考えのようで、EVの航続距離を現行比で1.5倍から2倍近くにまで伸ばせる見込みとしています。

具体的には正極材に使用している“マンガン酸リチウム”を三元系材料に置き換えることでエネルギー密度を200Wh/kgにまで高める模様。

日産リーフは2010年12月の発売以降、航続距離を年々伸ばしており、発売当初の160km(JC08モード)から5年後の昨年12月には大容量(30kWh)化の実現により、約1.8倍となる280km(JC08モード)にまで拡大しています。

日産が製作した動画の中にも航続距離“544km”という数値が示されており、次期リーフでは500km超えが期待できそうです。

NISSAN_LEAF(出展 日産自動車)

また三菱自動車も2020年までにエネルギー密度を200Wh/kgにまで高めるとしており、これまでEV普及の足かせになっていた“航続距離”問題も2018年を目処に解消されそうな状況に向かいつつあるようです。

Avanti Yasunori

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