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「オートカラーアウォード2016特別賞」に輝いたホンダ・NSXのカラーとは?

新型ホンダNSXには、全8色のボディカラーが設定されています。今回、日本流行色協会(JAFCA)が主催の「オートカラーアウォード2016特別賞」に、NSXのカラーデザインが2通り選ばれました。

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選ばれた2つの組み合わせは、エクステリアが「バレンシアレッド・パール」、インテリアが「レッド」の組み合わせと、「ヌーベルブルー・パール」と「オーキッド」のコーディネイト。

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JAFCAは、特別賞を受賞した2通りのカラーデザインについて下記のように表しています。

思わず足を止めて見てしまうような、存在感のある色。色の力を感じるカラーデザインである

陰影へのこだわりが日本的であり、日本人デザイナーの感性が生きている

「ヌーベルブルー・パール」は、手の届かない空の青を間近で見るような美しさを実現している

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新型NSXのボディカラーは、「バレンシアレッド・パール」がかつてスペインのバレンシアで行われたレースに由来するほか、「130Rホワイト」は鈴鹿サーキットの130R、「ソースシルバー・メタリック」はスパ・フランコルシャンの「ラ・ソース・ヘアピン」など、その大半がサーキットや市街地コースの一部(モナコのヌーヴェル・シケイン)を由来としています。

(文/塚田勝弘 写真/塚田勝弘、ホンダ)

【公道試乗】税込価格2370万円のホンダNSXはエブリデイスーパーカーなのか?

ホンダブランドの中で最も高価なプライスタグを掲げている新型NSXを、ついに動かすことができました。

日本ではホンダ・ブランドで売られているNSXは、北米などではACURA(アキュラ)ブランドで販売され、生産はアメリカ・オハイオにある専用工場で生み出されるれっきとしたアメリカ車。ホンダブランドですが、輸入車ということになります。

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そのお値段は車両本体価格(税込)で2370万円。現時点では113万4000円〜のカーボンセラミックローター装着車のオーダーが先行している状況で、実際の車両価格は2500万円を超える高価格車なのです。

しかも、専用工場での生産能力は一日8台と限られたもので、そこから世界中にデリバリーされています。日本への割当は初年度100台程度で、すでに2年待ちという状況。販売店も限られ、試乗車が用意されることもないでしょう。まさに貴重な機会となりました。

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さて、フロントに2つのモーター、リヤに3.5リッターV6ツインターボとワンモーターという構成のパワートレインを持つNSX、そのシステム最高出力は581馬力と発表されていますが、いつでもそれだけのパワーを出すわけではありません。

ダイナミックモードと呼ばれる機能で選択できる4つのドライブモードの中で、もっともハードな「トラック」モードを選んで、なおかつブレーキペダルを踏んだまま、アクセルペダルを踏み込む「ローンチモード」にして初めて581馬力を発生することになるのです。

つまり実質的に公道でフルパワーを発揮するという機会はないといえます。それではスーパースポーツらしいカタログスペックは飾りなのかといえば、そうとは言えないのがNSXの魅力です。

そもそもNSXのハイブリッドシステムはハイパワーを第一義としているものではないからです。フロントのツインモーターユニットは駆動力の上乗せにも使われますが、左右のトルクベクタリング(駆動力移動)によるハンドリングの向上がメインの役割。そして、そのハンドリング性能は低速域でも味わえるのがNSXの魅力というわけです。

そのフロントモーターは、左右合わせて74馬力ものポテンシャルがあり、エンジンを使わずにフロントだけでEV走行することも可能。ダイナミックモードで「クワイエット」と呼ばれるモードを選ぶと、積極的にEV走行をしてくれるので、早朝深夜の住宅街などでも気を遣わうことなく、出入りできるようになっています。

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そして、このEV走行時にはエンジンが停止しているので、スーパースポーツの緊張感から解放されるのもNSXの特徴。とくにファーストタッチの段階で、このEV的スムースさに触れるとスーパースポーツへ対峙する緊張感が和らぎます。

思えば初代NSXでは「エブリデイスーパーカー」といったコンセプトもありました。ドライブテクニックの要求度、耐久性、取り回し性などでハードルを下げ、毎日乗れるスーパーカーというキャラクターを世界に新提案したのです。そのスピリットは、新型NSXにもしっかり受け継がれているのでした。

とくに高張力鋼板を3次元熱間曲げ焼き入れすることで生み出された細いAピラーは視界を広くし、そのボディサイズを感じさせない市街地での取り回しの良さを実感させます。

フルパフォーマンスを発揮できないようなシチュエーションでも我慢がないどころか、走りを楽しもうという気になるスーパーカーなのです。

乗りやすいといっても、特別さがスポイルされているわけではありません。フロントのトルクベクタリングにより鍛えられたシャシーは低速域からシャープで、遊びのないハンドリングを味わうことができます。切り増すことなく、ピシッと思い通りに曲がっていく様は、速度域にかかわらず特別なクルマであることを実感させるのです。

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さらに、ナビ画面の車両設定・メーター表示を見ていくと「スピードリミッター機能」という項目が用意されているのに気付きます。これは、場所を問わずに180km/hのスピードリミッターをオフにできるというもので、位置情報に影響されることなく、クローズドコースであればそのポテンシャルを引き出せることが期待できる機能。

そこまでのスピードを出す当てがなくとも、リミッター機能をオフにするだけで特別なスーパーカーに乗っているという気分が味わえます。

ちなみに、NSXの最高速度は308km/h。その領域でもフロントのツインモーターはベクタリングを行なうことで、ハンドリングの精度を上げてくれるということです。

●ホンダNSX 主要スペック
車両型式:CAA-NC1
全長:4490mm
全幅:1940mm
全高:1215mm
ホイールベース:2630mm
車両重量:1780kg
乗車定員:2名
エンジン形式:V型6気筒ツインターボ
総排気量:3492cc
システム最高出力:427kW(581PS)
システム最大トルク:646Nm(65.9kg-m)
変速装置:9速DCT
燃料消費率:12.4km/L (JC08モード)
タイヤサイズ:前245/35ZR19 後305/30ZR20
メーカー希望小売価格(税込):2370万円

(写真と文 山本晋也)

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新型NSXは、横置きから縦置きミッドシップへ大変更!

■新型NSXは、横置きから縦置きミッドシップへ大変更

当初新型NSXは、レジェンドの横置きSH-AWDユニットを流用すべく、開発が進められていました。実際、2012年のプロトタイプでは横置きミッドシップでしたが、世界のスーパーカーと闘うために500ps超えのハイパワーを目指す方針に変更。

そしてハイパワー化と熱対策、さらに操縦性向上を踏まえ、縦置きミッドシップへの設計変更が決まりました。

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縦置き化とハイパワー化にともない、新型NSXではエンジンもDCTもボディも新開発&専用設計になりました。コストダウンのために量販車種のコンポーネントを流用するのではなく、スポーツハイブリッドとして最高かつ最適な性能の実現を目指して、新たなメカニズムの開発がすすめられたのです。

■スポーツハイブリッドSH-AWDのトータルパワーは581ps

スポーツハイブリッドSH-AWDの心臓部は、V6・3.5lのツインターボエンジンで507psを発揮。バンク角を75度にするとともに、オイルのドライサンプ方式を採用して、徹底した低重心化をはかりました。圧縮比はターボとしては高めの10.0に設定して、ドライバビリティと燃費を両立しています。

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パッケージングでは、V6エンジンに48psのリアモーターと9DCTを組み合わせてミッドに搭載しています。リアモーターは、発進やターボラグ等での出力補助と電力回生を担当。また前輪には、左右にそれぞれ37psのフロントモーターを配置して4WDとして動作させるとともに、トルクベクトリング制御によりハンドリング性能を大きく向上させているのです。

なおハイブリッドシステムでのトータルパワーは、581psを発揮。また燃費も非常に優秀で、トヨタ86/スバルBRZと同等の12.4km/Lをマークするのですから、本当に素晴らしいと思います。

■高剛性ボディと低重心パッケージの両立

先代NSXは、総アルミボディで世界中をあっと言わせました。今度の新型NSXではあえて総アルミにこだわらず、フロントピラーに高張力鋼板を組み合わせるとともに、外装でも樹脂製フェンダーやカーボン製ルーフを採用して、高剛性化と軽量化を実現しました。

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パッケージングでも、パワーユニットの縦置き化にともない、当初センターコンソールに配置していた駆動用バッテリーをシート後方下部へ移設。パワーユニットに加えて駆動用バッテリーでも低重心化をはかり、徹底して操縦安定性を高めているのです。

■第542弾  新型NSXのすべて  (電子版はこちら

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(星崎  俊浩)

新型NSXがレースゲームに登場!「Forza Horizon 3」の拡張パックにラインナップ

Windows 10版も同時発売し、日本のみならず世界中でプレイヤーを増やしているオープンワールドレーシングゲーム「Forza Horizon 3」。

米国時間の1日未明に追加カーパック「Alpinestars Car Pack」が発表され、配信も開始されました。なお、タイトルにある「Alpinestars」は、4輪車と2輪車それぞれのドライビングギアを開発生産しているメーカーの会社名です。

今回のカーパックでForza Horizon 3の舞台であるオーストラリアの大地に魅力的なマシンが新たにやってきますが、なんといっても注目は「2017 Acura NSX」。

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2016年5月に発売を開始した新型NSXが、ついにバーチャルの世界に登場しました。

オーストラリアなのにアキュラブランドというのが若干違和感がありますが(オーストラリアでは「ホンダNSX」として販売)、世界中のクルマ好きが注目する1台が登場したことによってForza Horizon 3がより賑やかになるのは間違いないでしょう。

まだ現実世界でも行われていないチューニングができるので、自分が考える理想のNSXを作り上げることができます。また、ペイント機能で最新鋭のスポーツカーを痛車仕様にしたり、レーシングカーのレプリカを作り上げることもできます。

これからしばらくは、Forza Horizon 3の世界ではNSXばかりが走り回っているでしょう。3.5L V6ツインターボエンジン+モーターのハイブリッド4WDシステムと、あらゆるコーナーをスムーズかつハイスピードに駆け抜けることを可能にした「トルクベクタリングシステム」がどう再現されているのかが楽しみです。

もちろん新型NSX以外にも魅力的なクルマが追加されています。

・1998 Nissan Silvia K’s(Rocket Bunnyエアロ装着車)

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・1990 Mazda Savanna RX-7 (FC3S)

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・1967 Ford Falcon XR GT

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・2016 Dodge Viper ACR

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・2016 BMW M4 GTS

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・1979 Talbot Lotus Sunbeam

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今回追加されたクルマは、クルマ好きにとっては垂涎の魅力的なラインナップですが、やはり個人的にはNSXを走らせたいですね。また、レースだけではなく、ゆっくりのんびりドライブしながらオーストラリアの壮大な風景を楽しむのもいいかもしれません。

そして、今回のカーパックの告知ページの末尾には「One last thing」の文字が…

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今シリーズのイメージカーとなる「ランボルギーニ・センテナリオ」が雪にまみれた姿で海岸線に停まっている画像。これは、すでに販売されていながらコンテンツ内容が判明していない「Forza Horizon 3 拡張パック」の1つとして用意している拡張コンテンツのイメージ画像とのことです。

冬が到来し、ロードコンディションが変化するとのことで、スノーコンディションが導入されると予想されます。新しいロードコンディションでは、クルマがどんな挙動をするのかが楽しみです!

公開時期は今年末を予定しているそうです。

(栗原 淳)

【関連リンク】

Forza Motorsport
http://forzamotorsport.net/

Forza Motorsport – Alpinestars Car Pack
http://www.forzamotorsport.net/en-us/news/FH3_Alpinestars_Car_Pack

新型NSXのセンターコンソールからシフトノブが消えた!?

■センターコンソールにシフトノブがない!?

新型NSXのドア開けると、太いサイドシルとお尻とペダルの高さがほとんど変わらないローポジションが迎えてくれます。メーターは、中央に大型タコメーターを置き、その内側の液晶でデジタルスピードメーターやタイヤ空域圧等の各種情報を掲示。両脇の小型メーターに、ハイブリッドのチャージ/アシストとバッテリー残量計を配置しています。

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運転席で一番の特徴は、センターコンソールにシフトノブが存在しないことでしょう。代わりにスイッチ式が採用されており、Dはプッシュ、Rはプル式とするなど、人の感覚を大切にしています。

9速DCTのマニュアル操作はステアリングのパドルシフトで行います。シフトノブがないのは正直寂しい気もしますが、ホンダが提案する最新の操作方法は、合理的な仕立てになっています。

■4つの走行モードでポテンシャルを適正化

走りでは、4つの走行モードをセンターコンソールのダイヤルで選択することができます。

走行モードは、①クワイアット②スポーツ③スポーツ+④トラックがあり、街中のエコ走行から峠、サーキットにいたるまで、様々な走行シーンに合わせて適正なポテンシャルを引き出すことができます。

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ユーティリティは、簡易な脱着式ドリンクホルダーを採用するなど、あえて必要最低限にとどめています。トランクも先代NSXではゴルフバッグの搭載に強くこだわっていましたが、さすがにメインマーケットのアメリカではニーズがなかったようで、新型NSXでは2人分のミニトランクや旅行バックが入る位の容量を確保。

スーパーカーでありながら、日常生活やドライブ旅行に充分対応できるのも魅力です。

■第542弾 新型NSXのすべて (電子版はこちら

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(星崎 俊浩)

新型NSXの空力デザインは、冷却との闘いを制した成果だ!

■本田宗一郎の意志が根付くデザイン

新型NSXのデザイン開発は、不況と天災の逆風が吹きすさむなか、日本発の企画として立ち上がりました。当初デザイナーは、NSXオーナーズミーティング等に参加してオーナーの声を聴き、「NSXを未来につなげてほしい」という熱い熱意を強く感じたそうです。

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デザイン陣は、新型NSXに「環境を考えながら走りを両立する」という二律背反のテーマを設定。この難題に取り組むデザイン陣を支えたのは「もし今の時代に本田宗一郎が生きていたらどう考えたのか?」というイメージでした。新型NSXは、性能だけで認められるべきではなく人間が中心の存在であると定め、「人間中心の高性能」をデザイン目標に掲げたのです。

■日本で産まれアメリカで磨いたデザイン

デザイン開発では、最初に日本で各国デザイナーを交えたコンペを実施。そして、キャビンフォワードのシルエットに前後のフェンダーが交差して重なりあうキースケッチを作成するとともに、プロトタイプでは高性能メカを複数の表皮が包むワイド&ローの造型を生み出しました。

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ただ2012年と2013年のデトロイトショーモデルでは、完成度の高いシルエットと個性派マスクを備えながらも、線の細さが残りダイナミックな力感が不足気味。そこで更なる高みを目指して、アメリカホンダが中心となって量販モデルのデザインを磨き込んでいったのです。

■冷却との闘いを制した空力デザイン

量販デザインの迫力アップに加えて、スポーツハイブリットSH-AWDのモーターやバッテリーの冷却も重要な課題でした。特にサーキット走行をこなすには、冷却機能の強化は不可欠。ただクルマの冷却機能は、スタイルや空力性能に大きく影響するのが難しいところです。

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そこで市販モデルではサイドインテークを切り口鋭く大口径化して、迫力スタイルと冷却機能を両立しました。ただこれでもバッテリーが冷却不足に陥るため、なんと室内用エアコンから冷風を引き込んで対策しました。

新型NSXは、冷却との闘いを制し、空力とスタイルのベストバランスから産まれたデザインなのです。

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(星崎 俊浩)

新型NSXの開発責任者、テッド・クラウスLPLのハートが熱い!

■リーマンショックの大どんでん返しからの再出発

実は2代目NSX開発の道程には、大どんでん返しがありました。2008年のリーマンショックにより、世界規模で不況が勃発。ホンダも大打撃を受け、V10を搭載したFRベースの2代目NSXが、発売間近にも関わらず発売中止に追い込まれました。発売延期や限定販売ではなく発売中止ですから、大変な経営判断だったと思います。

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そしてリーマンショック後も、東日本大震災やタイ水害、また円高に苦しめられつつも、ホンダは激変した社会を先取りすべく、全く新たに2代目NSXの開発を推進したのです。

再出発した新型NSXの開発責任者に任命されたテッド・クラウスLPLは、20代の若き頃に初代NSXに魅せられてホンダ入社を決意。クライスラーから転職したアメリカ人技術者です。自分の未来を決定付けた車種の開発責任者になるなんて、まさしくホンダドリームですよネ。

■開発責任者テッド・クラウスLPLのコメントが熱すぎる!

開発コンセプトについては、テッド・クラウスLPLの熱いコメントから紹介しましょう。

「NSXという車名の意味は、初代では”ニュースポーツ・エクスペリメンタル=実験的な新しいスポーツカー”でした。新型ではその意味を”ニュースポーツ・エクスペリエンス=新しいスポーツカー体験”と定義していますが、新しい走りの提案、そしてクラフトマンシップなど、初代の”エクスペリメンタル”という心は忘れていません。」

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「NSXは初代も新型も、人間をブロックするものではなく、その能力をサポートすることが最大のコンセプトです。NSXは人間ばなれした筋力や反射神経を要求しませんし、サーキットに持ち込まないと楽しめないクルマではありません。そこには当然、好き嫌いはあるでしょう。100%に好かれようとは思っていません。しかし、これが次世代に向けたスポーツカーの姿のひとつと確信しています」

生粋のホンダマンは、日本人とかアメリカ人とかの国籍に全く依存しないのが、本当に素晴らしいと思います。

■行けるところまでトコトン行くのが、ホンダのスポーツカー開発

新型NSXが採用した3モーター式ハイブリット”SH-AWD”は、トルクベクトリング機能を備えた4WDシステムです。開発当初は、レジェンドの横置きFFベースを流用する予定でしたが、ミッドシップスポーツに相応しい縦置きに変更するために、エンジンやDCTを専用開発! 初代NSXでも総アルミボディとV-TECエンジンを専用開発しましたから、行けるところまでトコトン行くのが、ホンダのスポーツカー開発なのでしょう。

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新型NSXの開発では、日本が企画とプロトタイプ開発を行い、米国が市販モデルの開発を担当。まさに国境を越え、グローバルで開発が進められました。創業者の本田宗一郎氏が伝えたホンダの熱いDNAは、世代と国境を越えて確実に継承されているのです。

■第542弾 新型NSXのすべて (電子版はこちら

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(星崎 俊浩)

開発責任者が語る、新型NSXとSH-AWDに込められた想いとは?

スーパーカーと聞いて思い浮かべるイメージは、地を這うように低く構えて風を切り裂くような強烈なスタイリングや、轟かせる爆音から想像させるような圧巻のパフォーマンスでしょう。

また、それと同時に、サーキットのような場所でしか本領を発揮できず、公道ではその実力を持て余しているだけなのではないか?とも……

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なかにはサーキットでの走行にフォーカスした硬派なモデルもありますが、今年8月に日本での販売がスタートした新型「NSX」はサーキットのような場面はもちろん、公道でもそのパフォーマンスを満足できるように開発されています。

その走りに欠かせないのがSPORT HYBRID SH-AWDです。

クランクシャフトに直結したダイレクトモーターが9速DCTを介して、ガソリンエンジン単独の場合よりもリニアでトルクフルな加速フィールを発生。さらに、前輪に搭載される左右独立のモーターをそれぞれ制御することで左右のタイヤにかかる駆動力を緻密に制御するというユニークなシステムです。

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自身も初代「NSX」に魅了されてホンダの門を叩いたほどのファンで新型「NSX」の開発を率いたテッド・クラウス氏が言うには、新型「NSX」のすべてにおいてドライバーが第一で、ドライバーが頭の中で思い描く走行ラインを正確になぞることに重きを置いているとのこと。

その他にも、新型「NSX」には乗る人への配慮に抜かりはなく、エアコンやオーディオなどのスイッチは自然に手が届く位置に配置。スーパーカーではないがしろにされがちな荷室もしっかり車両後方に用意するなど、走り以外でも徹底して“人”を大切にして開発されています。

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また、新型「NSX」はホンダのDNAを具現化したものであり、高度なパフォーマンスと驚くべきレスポンスを提供しながら、きめ細かい効率性も備えているといいます。

そして、そういったホンダのチャレンジ精神はいまなお健在であり、走りと社会性を両立した素晴らしい価値をもつ商品の提供を追求しているそうです。

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冒頭にも記しましたが、「スーパーカー」と呼ばれるクルマはドライバーに自身の世界観を見せつけることこそを目的に開発されていましたが、初代「NSX」が打ち出したドライバーを第一にするという考えを受けて、現在では普段使いも困らない実用性を備えています。

さらに新型「NSX」はSPORT HYBRID SH-AWDなどを通して、非日常と日常のさらなる両立を果たしました。テッド・クラウス氏の表情には達成感だけでなく、この新しい提案が再びスーパーカーの世界を塗り替える引き金となることへの期待も感じられます。

(今 総一郎)

新型「NSX」に期待するのは発想の転換!?【ゆとり世代のチョイ乗り報告】

自分にとって最も古い記憶を遡ると、1994年、幼稚園での給食の時間にトマトを泣きながら食べさせられたことを思い出します。ちなみに、このトラウマのせいでトマトは今でも食べられません。

それはさておき……

つまり1990年の「ホンダ・NSX」の登場がもたらした熱狂をワタクシはそもそも知りません。しかし、スーパーカーブームやホンダF1全盛期をリアルタイムで経験し、1990年のあの光景を昨日のことのように思い出せる人にとって「NSX」は栄光と憧れであり、新型「NSX」復活のニュースは再び熱狂と興奮を呼び覚ました。

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とくに2013年の東京モーターショーでの光景は印象的で、「NSX」を噛る程度しか知らないワタクシには「NSX」を取り巻く光景は、さながら引退したアイドルが行なうライブのようだったことを覚えています。

この温度差には、個人差もあるでしょうが、やはりホンダのイメージに対するギャップも少なからず関係があると思います。

「NSX」の復活に血沸き肉躍る人のホンダ像が“スポーティな技術屋”なら、10代〜20代の中のホンダは「フィット」「ステップワゴン」そして「N-BOX」を開発した「アイデア豊かな発明家」でしょう。

だから、こうして新型「NSX」に触れられるとなっても、我を忘れるほどの熱狂と興奮は訪れるはずがないと……タカをくくっていた……のですが……、カッ、カッコイイ!!

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まずは、そのルックス。高剛性の押出成形アルミ材を中心とした複数素材によるスペースフレームをもつボディは、全長:4490mm×全幅:1940mm×全高:1215mmとワイド&ロー。ただ停まっているだけでボディを撫でる風が見えるようで、空力に愛されていることが伝わってきます。

さらに、6つのLEDが輝く切れ目のヘッドライトが放つ只ならぬ雰囲気は、なんというか、ワタクシの知るホンダ車らしくない。

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着座位置の低いシートに腰を下ろして眺めるインテリアも、センターコンソールに置かれたダイヤルやシフトセレクターなどが独創的かつ戦闘的。ワタクシの知るホンダ車のインテリアは、もっとこう……遊び心にあふれたアイデア収納が目立っていたような気が。

しかし、ステアリング外周から250mmの範囲にスイッチ類を配置することで操作性を確保したり、エアコンやナビゲーションは表示と操作性だけでなく質感までも慣れ親しんだものとするなど、あくまで実用性重視であることに変わりはないようです。

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次いでエンジンを掛けると、背中に積んだ3.5L V6ツインターボが迫力のあるサウンドを一発轟かせますが、動力はすぐさまモーターへバトンタッチして、獰猛な唸り声の代わりに電子的な音が車内を満たします。

前輪に2個、後輪に1個のモーターを搭載する駆動システム「SPORT HYBRID SH-AWD」や9速DCTといったメカニズム全体の連携がとにかく滑らかでスイスイと動き、この自然さがかえって不気味に思えますが、同時に技術の開発と研鑽がなければなし得ない業であることも十分伝わってきます。

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こうして新型「NSX」を見て触れるほどに、ホンダの言わんとするスポーティや先進性の姿が浮き彫りとなり、実感として感じられるようになりました。

とはいえ、新型「NSX」の車両本体価格は2370万円です。さらに製造台数は6〜8台/日で、日本に入ってくるのはとりあえず100台と少なく、その姿を実際に目にすることも手で触れられる機会は限られています。そして、これこそが課題だとも。

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ところで、現在公開されている映画『君の名は。』をご存じでしょうか?

興行収入100億円を突破するほどの大ヒット作品ですが、劇中でモデルとなった岐阜県飛騨市には連日多くの人が訪れています。そもそも飛騨牛や飛騨高山温泉などの名物と名所はありましたが、そこに「アニメ」という新しい架け橋ができたことでさらに多くの人を呼び込むことに成功しました。

そして、まさに新型「NSX」に必要なのは、かつての栄光やハイブリッドスーパースポーツという側面でのアピールだけでなく、様々なコンテンツとの間に架け橋を設けることではないでしょうか?

例えば、バーチャルリアリティ(VR)は大いに期待が持てる技術でしょう。すでにレーシングゲームへの採用も考えられているようですが、プロドライバーがニュルブルクリンクや鈴鹿サーキットなどを攻めるのを同乗体験できるといったコンテンツを無料で配信すれば、物は試しに……と興味を持つきっかけにはなるはず。

クルマ好きは「乗れば楽しさが分かる」と言いがちですが、実はそのハードルは想像以上に高いのかもしれません。そして「NSX」のようなモデルならなおさら。

いよいよ国内でのローンチを無事終えて一段落した新型「NSX」。新時代のスーパースポーツ体験(New Sports eXperience)がどのように広がるのか? 今後にこそ注目したいところです。

(今 総一郎)

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新型NSXは、スーパーカーらしい○○○と、らしからぬ○○○で勝負!

■新型NSXは、スポーツハイブリットSH-AWDでスーパーカーと真っ向勝負!

スポーツハイブリットSH-AWDで武装した新型NSXが、颯爽と登場しました。

今回は2代目に当たりますが、実は数年前、幻のNSXが存在したのをご存知でしょうか? あのリーマンショックのために、フロントにV10エンジンを搭載したNSXが発売中止に追い込まれ、幻となってしまいました。

そのため新型NSXは、メカニズム的には3世代目に相当するといえます。

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あらためて2代目となる新型NSXの実車を見ると、スーパーカーの王道を行く超ワイド&ローのエアロダイナミクスボディをまとっています。

またアグレッシブなジュエルアイLEDヘッドライトや広いウィンドウエリア、鋭利な切り口のサイドインテーク等で強烈な個性と存在感を訴求。21世紀に相応しい斬新なデザインで、スーパーカー・オーラをビンビン発散しています。

■ツインターボエンジンと3モーターでスポーツハイブリットSH-AWDを実現

新型NSXのパワーユニットは、3.5LのV6ツインターボに大型モーターと9速DCTを組合わせて、シート後方に縦置きミッドシップ。これはもちろん、NSX専用設計です! 更に2つの小型モーターをフロント左右に向けて搭載して、スポーツハイブリットSH-AWDを実現しました。

パワーもスーパーカーらしく強烈で、エンジン単体で3.5Lから507psを発揮。またエンジンとモーターを合算したシステム最大出力では、なんと581psに到達しています。

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スポーツハイブリットSH-AWDのハイブリッド機能は、モーターの出力と回生だけに留まりません。走りでコーナーに入ると、イン側のフロントモーターが回生するとともに、アウト側のモーターが出力を実施。つまり左右のフロントモーターがトルクベクトリング制御を行い、コーナーリング性能を飛躍的に向上させているのです。

■スーパーカーらしからぬ燃費と日常性、スーパーカーらしい価格と走り

新型NSXは燃費も素晴らしく、スーパーカーらしからぬ12.4km/l(10.15モード)を実現しました。昭和の大排気量スーパーカーを思い起こすと、到底信じられないほどの優秀な値をマークしています。

しかも新型NSXは、日常の公道走行から非日常のサーキット走行まで、特別なスキルがなくてもドライビングを楽しめるのですネ。先代NSXをはるかに超える柔軟性とポテンシャルを備えているのですから、本当に素晴らしいと思います。

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ちなみに専用設計の縦置きミッドシップを奢ったためか、お値段もスーパーカーらしく2370万円となっております。新型NSXは、世界最先端のスポーツ&ハイブリット技術で、ドイツやイタリアのスーパーカーに真っ向勝負を挑んでいるのです。

■第542弾 新型NSXのすべて (電子版はこちら

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(星崎 俊浩)

新型NSXの走りを支えるテクノロージを3つのプロモーション映像からチェック!

1990年に“ニュースポーツ・エクスペリメンタル(実験的な新しいスポーツカー)”として登場した初代「NSX」。

2016年に販売が始まった新型は“ニュースポーツ・エクスペリエンス(新しいスポーツカー体験)”と掲げています。

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そんな新しいスポーツカーらしさを感じさせる最大の特徴として、車両の前後に合計3つのモーターを搭載する点が挙げられます。

3.5L V6ツインターボにモーターを組み合わせたハイブリッドシステムは、最高出力で581ps、最大トルクは646Nmを誇ります。

しかし、「NSX」の走りを支えるための技術はこれだけではありません。

今回はパワートレーン以外にもNSXの走りを支えるテクノロジーを、動画とともにご紹介いたします。

■運動性能と居住性の両立を果たしたパッケージ

スポーツカーにとってパワートレーンの性能と同じく、重要なのがパッケージです。

エンジンやトランスミッションなどの駆動系はもちろん居住空間も考慮し、さらに車両の重量バランスや小型&軽量化など、様々な要素を高いレベルで両立させなければなりません。さらに新型「NSX」の場合はハイブリッドシステムの搭載も必要。

そこで、まずは車両のバランスを良くするためにミッドシップレイアウトを採用。V6ツインターボエンジンはドライサンプ化し、さらに低い位置に置かれています。

その上で、バッテリーなど重量のあるハイブリッドシステムは居住空間とエンジンの間に立てかけるように置かれています。その結果、前後重量バランスは42対58を達成。ドライバーの操作に対する素直な挙動変化に繋がっています。

■パワーを的確に伝えるための強靭なボディとしなやかなサスペンション

強大なパワーを生む心臓を優れたバランスで配置した新型「NSX」ですが、それをフルに路面へ伝えるための強靭な肉体としなやかな足腰が重要となります。

一般的に肉体の強度を高めるには筋トレが有効です。クルマの場合では使用する素材を増やし、弱いところの補強を増やしていくことが必要です。ただ、それでは重量が増えるばかりでせっかくのパワーが無駄に使われることになってしまいます。

そこで「NSX」のような超高性能モデルの場合、ボディには量が少なくても強固な素材が用いられます。初代「NSX」ではオールアルミ製モノコックが話題となりましたが、新型はアルミだけでなく、Aピラーには視界確保と強度を両立するために3次元熱間曲げ焼き入れ超高張力鋼管が使用されています。

また、タイヤを介して路面にパワーを伝えるためには、一瞬ごとに異なる路面の凹凸を正確無比にいなす足腰も重要。四輪のストロークやボディの上下加速度をセンシングしてミリ秒単位で減衰力を制御するアクティブダンパーシステム(内蔵する電磁石に電流を流してオイル粘度を調整)を採用しています。

■持続的な高性能に欠かせないエアロダイナミクス

パワフルな心臓、強靭なボディ、優れた体幹。一流アスリートにとって必要な最後の要素はスタミナです。

とくにハイブリッドシステムを搭載する新型「NSX」では、ダウンフォースだけでなく、システムのパフォーマンスをいつでも引き出すための冷却効率をいかに高めるかも課題でした。

そこで、フロントマスクの大開口グリルから取り入れた空気をボンネット上の穴から抜くことでダウンフォースを稼ぎつつフロントルーム内のデバイスの冷却も遂行。新型「NSX」の外観の特徴でもある横長のサイドミラーは、ここから抜けてきた風を邪魔することなく後方へ導くための工夫でもあります。

さらに、低いフロントノーズは車体前から後ろにかけて流れる空気の配分を調整し、後方のデバイスも効率よく冷却。結果として、高いパフォーマンスを持続的に発揮することへ貢献しています。

(今 総一郎)

新型NSXの開発者が「叶えた」夢と「叶えたい」夢とは?

この瞬間を待っていた方は多いのではないでしょうか?

そう、遂に新型「NSX」が日本での販売をスタートさせたのです。

試乗記

初代モデルが発表されたのは1989年のこと。オールアルミ製ボディの後方にV6エンジンを搭載するミッドシップレイアウトを採用した和製スーパーカーである「NSX」は、その性能から国内をはじめ海外でも多くのファンを獲得し、登場から20年以上が経った現在でも強い憧れを抱いている方は少なくありません。

開発を率いたテッド・クラウス氏もその一人。「初代NSXに憧れてホンダに入社した」と公言するほどのNSXファンです。

テッド・クラウス氏とNSXの出会いは90年のデトロイト・オートショーでのこと。

周囲が気にならなくなるほど強烈な出会いから9ヵ月後にはホンダR&Dアメリカに入社し、栃木県にある四輪R&Dセンターに駐在。その際に両親が遊びに来たタイミングで青山にある本社下のギャラリーにてNSXと再会を果たしました。

その後は、アメリカにてシャシー領域の研究に従事していたわけですが、入社から25年を経て、初めて開発責任者を務めることとなったのが新型「NSX」だったのです。

開発ストーリー

登場を待ち望まれていた新型「NSX」は、オールアルミ製ではないものの適材適所を考え抜いたボディの後方に3.5L V6ツインターボを搭載するミッドシップレイアウトを踏襲。

さらに前輪に2個、後輪に1個と合計3つのモーターを搭載するハイブリッドとして登場しました。

車両本体価格は2370万円と初代よりも圧倒的に高価になりましたが、同価格帯のモデルと比べても決して見劣りしないユニークな魅力となっています。

これらの先進的なメカニズムもさることながら、やはりそれを包み込むデザインも新型の見所。

「人間中心の高性能」と掲げたデザインでは、第一に乗員が車体の中心に座ることとし、次いで意図した感覚そのままで運転できるための要素(広い視界、直感的な操作が出来るレイアウトなど)を織り込み、その上でバッテリーなどの搭載位置が決められていきました。

見た目/機能性/走行性能と様々な要素が高いレベルで実現する上で創業者である本田宗一郎の意志(「世界一へのこだわり」「他にないものをつくる」)も支えになったとか。

デザインインタビュー

人間中心でつくられた新型NSXのコックピット周りは、色使いや細部の造形にこだわりがある一方で、ステアリングの外周から250mmの範囲に操作系がまとめられており、シフトは「レジェンド」と同じくボタンとレバーを組み合わせて操作性と先進性を表現したものが採用されています。

また、ナビやエアコンなどの操作系は慣れ親しんだホンダ車のそれで直感的な操作が可能なのが美点です。

使い勝手

初代NSXに憧れ、そして新型NSXの開発の舵取りを担ったテッド・クラウス氏によると「初代が“実験的な新しいスポーツカー”であるなら、新型は“新しいスポーツカー体験”であり、サーキットでなくともスポーツカーの歓びや楽しみを感じられるようにした」といいます。

そして「環境をはじめとした逆境の中で開発したNSXこそ次世代のスポーツカーの在り方を示してくれるに違いない」と。

より深く知りたい方にはこちらがおススメです。

(今 総一郎)

表紙

新型NSXも参戦!「第6回世界一すごいゼロヨン」の結果は?【動画】

NSXは速いのか? 勝てるのか?

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アメリカの『モーター・トレンド』誌は、毎年各種スポーツカーを集めて『世界一すごいゼロヨン』っていう企画をやってるんですね。

マッスルカーやスポーツカー、合計10数台を並べて、広いコースで一斉にドラッグレースをやるわけです。

この企画ももう6回目なんですが、2015年の優勝はシボレー・コルベットZ06、2014年はポルシェ911ターボS、2013年は日産GT-Rでした。

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今年の目玉はやっぱり新型NSXが参戦しているところかな。

NSXって、あまりマッチョな感じではないので、ドラッグレースとイメージがむすびつきにくいですが、ハイブリッドで4WDだから、案外速いかもしれません。

エントリーされている車両は、

アストンマーティンV12 VANTAGE S(565馬力)
シボレー・カマロSS 1LE(455馬力)
フォード・マスタング・シェルビーGT350R(526馬力)
BMW M4 GTS(493馬力)
ダッジ・ヴァイパー ACR(645馬力)
ポルシェ911カレラS(420馬力)
ジャガーFタイプ SVR(575馬力)
メルセデスAMG GTS(530馬力)
日産GT-R(565馬力)
マクラーレン570S(562馬力)
アウディR8 V10(PLUS)(602馬力)
アキュラNSX(573馬力)

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以上です。さぁ、このゼロヨン大会の結果は!? 次のページの動画でどうぞ。

なお、けっこう前フリが長いので、手っ取り早くレースが見たいかたは、6:20くらいから見るのがおススメです。

ふーん。NSXとGT-Rがいい勝負なんですねー。

余談ですが、ふだん、400mフル加速する機会なんて、そうそうないですよね。こんなふうに、手軽に400m競争ができるイベントとかあるといいですね。

なお、第1回から第4回の動画は、こちらの記事から見ることができます。

(まめ蔵)

【関連記事】

BMW i8のタイムは? 第4回「世界一すごいゼロヨン」GT-Rとポルシェの一騎打ち!【動画】
http://clicccar.com/2014/09/29/270765/

ホンダ『新型NSX』はこうして生まれる!

復活を遂げ、いよいよ日本での販売もスタートした新型「NSX」。

2370万円という車両本体価格も話題となりましたが、それと同じく開発そして生産がアメリカで行なわれたことも話題を呼んでいます。

新型「NSX」は、オハイオ州のメアリズビル四輪車工場の隣接地に新設された専用工場「パフォーマンス・マニュファクチュアリング・センター」にて行なわれています。

おそらく多くの方が想像するクルマの製造光景といえば、クルマが吊るされた状態で各工程を巡り、流れ作業的に組み立てられていくものだと思います。確かにこの作業方法は効率的で大量生産には有効です。さらに、設計を共用化して多彩なモデルを同一のラインに流せれば、効率はさらにアップします。

しかし、新型「NSX」のような高性能かつ高品質なモデルの場合、要求されるレベルは大量生産車とは別次元にあると言えます。さらに、一般的なスーパーカーではボディの製造などで外部サプライヤーの手を借りることもあるのですが、新型「NSX」ではボディの製造から最終組み立てまで完全内製化を実現しています。

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そんな新工場は、機械化による精密さと職人の感覚の見事な調和を果たしています。

NSXだけの専用ボディ製造をはじめボディパネルの塗装などは、専用開発されたマシーンが手掛ける一方、インテリアの組み付けや仕上がりの確認などは人の手によって行なわれています。

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この新工場では熟練の従業員(約100名)が携わっているわけですが、筆記試験や面接に加えて、NSXへの熱い想いも選抜の基準だったとか。

新型「NSX」の圧倒的パフォーマンスとそれをつくり上げている舞台裏を感じられる動画も公開されています。ぜひ、チェックしてみてください!

(今 総一郎)

NSX、アストンマーティンDB11だけじゃない!今注目の2000万円オーバースポーツカー7選

8月25日に発表されたホンダNSXが2370万円。そして8月31日に国内初披露されたアストンマーティンDB11が2380万円と、車両本体価格2000万円オーバーのスーパースポーツカーが続々と登場しています。

Aston Martin DB11 Launch. Siena, Italy. July 2016.Photo: Drew Gibson

そこで、NSXやDB11と同じ2000万円台の予算でどんなスーパースポーツカーが購入できるのかを紹介しましょう。

・アストンマーティン DB11

001DB11

発表されたばかりのアストンマーティンDB11の新車価格はDB11が2380万円、DB11ローンチエディションは2591万5720円です。アルミを多用したシャシーをはじめ、空気の力を利用してダウンフォースを生み出すエアロダイナミクスに優れたボディデザインは歴代DBシリーズを踏襲しながらもエレガントさが増しています。新開発の5.2LV12ツインターボエンジンとともに業務提携しているメルセデス・ベンツのエッセンスを取り入れたインテリアのモダンな操作系も見逃せません。

・ホンダ NSX

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約26年振りにフルモデルチェンジを行い、ハイブリッドカーとして生まれ変わったホンダNSX。新車価格は2370万円で、新開発の3.5LV6ツインターボエンジンと高効率・高出力の3モーターを組み合わせたハイブリッドシステム「SPORT HYBRID SH-AWD」を搭載し、リニアで力強い加速と異次元の回頭性能を実現しています。

・アウディR8

Audi R8 V10

NSXやアストンマーティンDB11と相次いで登場したため、うっかり忘れてしまいがちですが、アウディR8も2016年に登場したばかりのモデルです。スタンダードモデルのV10クーペ5.2FSIクワトロが2456万円、上級モデルのV10プラス クーペ5.2FSIクワトロは2906万円。アルミとCFRP(カーボンファイバー)素材を組み合わせたアウディスペースフレームボディに5.2LV10エンジンを搭載。そしてアウディ独自の4WDシステム“クワトロ”が必要に応じて、最適なトルク配分を行うため天候や道路状況の変化に神経質になる必要はありません。

・ランボルギーニ・ウラカン

004ウラカン

スーパーカーの代名詞といえばランボルギーニです。現在ランボルギーニはトップモデルのアヴェンタドール。そしてベビーランボことウラカンともに4WDが中心ですが、ウラカンには車両本体価格2535万840円の580-2という後輪駆動モデルが追加されました。ミッドシップに搭載する5.2LV10エンジンは最高出力580psを発生。2WD化によって4WDモデルと比べて33kg軽量化され、車両重量は1389kgを実現。大出力を後輪だけで駆動させるため、サスペンションのセッティングを大幅に改良することで危うさを除き、2WDらしいの楽しさを演出しています。

・ポルシェ911ターボ

007ポルシェ911ターボ

2015年に行われたマイナーチェンジでGT3を除く全モデルがターボエンジンを搭載したポルシェ911。911ターボクーペの車両本体価は2236万円です。最高出力540ps、最大トルク660N・mを発生する3.8L水平対向6気筒ターボエンジンをリアに搭載し、0-100km/h加速はスポーツ黒のパッケージ装着時3.0秒を実現しています。駆動方式は4WDを採用し乗車定員は4人乗りで実用性の高さも魅力です。ミッションはPDKと呼ばれる7速デュアルクラッチシステムのみとなります。

・ベントレー・コンチネンタルGT

英国の高級車ブランドのベントレー・コンチネンタルGT V8Sは2310万円です。最高出力528psを発生する4LV8ツインターボエンジンを搭載し、駆動方式は4WDを採用。4人乗りのクーペながら、0-100km/h加速は4.5秒を実現しています。

・マセラティ・グラントゥーリズモ

006マセラティグランツーリズモ

最後はイタリアの高級車ブランド、マセラティの2ドアクーペグランツーリズモの最上級モデルMCストラダーレが2216万円です。乗車定員は4人で、フロント49:リア51という理想的な重量配分を実現したFRの駆動方式を採用。搭載される最高出力4.7LV8自然吸気エンジンは官能的なサウンドを奏でます。

こうして見てみると日本、ドイツ、イタリア、イギリスの誇る自動車メーカーのスーパースポーツカーが勢揃いしています。手に入れるのは夢と諦めるのではなく、年末ジャンボ宝くじ購入資金をこれから貯金しましょう!

(萩原文博)

ホンダ・NSXの国内販売が年間100台にとどまるワケ

2016年8月25日、ついにホンダからNSXが正式発表されました。

メディア向け発表会の席において、記者からの「年間販売目標は?」という質問に「国内向けは100台です」と答えたことで、はやくもプレミアがつきそうな勢いです。

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では、この100台という販売目標はどこから生まれてきた数字かといえば、そもそもの生産台数による部分が大きいといいます。

アメリカ・オハイオ州の専用工場にて作られるNSX。その生産能力は一日8台に過ぎません。年間稼働日数を250日として、一年間の生産能力は2000台にとどまるのです。

つまり日本向けが100台というのは、グローバル生産の5%を日本向けに確保しているという意味なのです。

ただし、これが比率として多いか少ないかというのは議論がわかれるところ。

たとえば2015年のランボルギーニ社のグローバル販売は3200台余りで、日本での販売台数は349台となっています。仮にスーパーカー市場にとって日本は全体の1割程度のスケールだとすると、ホンダの見込みは控えめにも思えます。

とはいえ、同じく2015年におけるマクラーレン社の数字を見るとグローバル販売が1700台弱で、日本では90台となっています。この数字からするとグローバルに対して日本のシェアを5%程度と想定するのは妥当ともいえます。

スーパーカーというのは「その市場で何台売れるか」ということよりも、希少性も考慮した上で全体としての生産台数を決め、その上で地域ごとの割当台数を決めていくというビジネスモデルという面もあります。

NSXにおいても、生産能力と日本以外のエリアにおける見込みなどのバランスから、国内向けの割当台数が100台となったというわけでしょう。

(写真・文 山本晋也)

新型NSXに用意される、スーパーGT直系ホイールは一台分で162万円!

2016年8月25日、正式に国内で発表された新型NSXは、車両本体価格2370万円というスーパースポーツです。日本での販売予想は年間100台程度ということですが、もちろんホンダの純正アクセサリーを担当するホンダアクセスによるオプションアイテムは用意されています。

その中でも注目は専用設計のアルミホイール「MT-R03」でしょう。

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NSXの発表直後に開催されたスーパーGT第6戦 鈴鹿1000kmの予選において、GT500のコースレコードとなる1分47秒456をマークしたDrago Modulo NSX CONCEPT-GTが履いているデザインを踏襲した、まさにレプリカ仕様といえるホイールなのです。

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このホイールは、センターロックを思わせるブリランテロッソのセンターキャップとリアルカーボン製Moduloプレートを与えられ、もちろん鍛造。純正ホイールがアメリカンテイストも感じさせるのに対して、純粋にレーシーを追い求めたスタイルとすることで、モデューロ・ブランドらしい個性を発揮しています。

カラーはグリントブラック塗装。フロント用19インチ、リア用20インチの専用サイズを設定してます。

●フロント用(19インチ)
19×8 1/2J
インセット55mm
PCD:120mm
37万8000円/1本(消費税8%込)

●リア用(20インチ)
20×11J
インセット55mm
PCD:120mm
43万2000円/1本(消費税8%込)

(山本晋也)

新型NSXのステアリングが真円でない理由とは?

ホンダとしては久しぶりにミッドシップの本格スーパースポーツを作るとあって、パッケージングの面でも苦労があったそう。「約20年前と同じように開発できるだろう」という目論見は砕け散ったようです。

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それはまず、法規が時代とともに変わり、衝突安全など要件も厳しくなっているから。

ボディサイズもあまり大きくしたくないとなると、居住スペースの確保も容易ではなく、先代NSXの「ヘルメットをかぶれない」という声もあり、これらの課題を克服する必要もありました。

シートポジションは、低くても視界を確保するという課題に取り組み、ダッシュボードの上部を抑えることを追求。とはいえ、フードの高さは法規上である程度決まってきてしまい、そうした条件下で、ミリ単位で高さをできるだけ抑制したそうです。

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その結果、ステアリングを丸くすることができなかったそうで、ステアリングホイールの下側のみならず、上側も直線ではないものの丸みが抑えられています。上側もカットされているのは法規に対応するため。このあたりのデザイン、設計はかなり苦労したとのこと。

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ステアリングホイールの下側を直線的にカットするのは、ドライバーの乗降性ももちろん配慮されているのでしょう。NSXがスーパースポーツカーとはいえ、ロックトゥロックが小さなフォーミュラーカーではなくあくまでも乗用車、スポーツ走行時を含めて操作性を考えると理想は真円であるべきでしょうが、視界との両立などパッケージングの難しさを感じさせます。

(文/写真 塚田勝弘)

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世界のサーキットが由来という新型NSXのボディカラー、その元ネタは?

アメリカで生産され、日本に輸入される新型NSX。そのメーカー希望小売価格は2370万円と破格ですが、スーパースポーツとしてはけっして非常識なものではないといえます。

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その新型NSXに用意されるボディカラーは全8色。世界の著名サーキットを思わせる名前が付いているのが特徴です。

では、どの色が、どのサーキットに由来しているのでしょうか?

まず注目は、67万円高の有償色である「バレンシアレッド・パール」。

これは、かつてF1ヨーロッパGPの開催されたスペイン・バレンシアの市街地コースに由来します。もちろん、スペイン出身のF1パイロットであり、マクラーレン・ホンダを駆るフェルナンド・アロンソ選手もイメージしています。

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もうひとつの67万円高有償色「ヌーベルブルー・パール」はモナコ・グランプリの有名コーナー『ヌーベル・シケイン』に由来する色。モナコの澄み切った海と鮮やかな空の美しさを表現しています。

続いて、8万5000円高の有償色である3色について。

「ノルドグレイ・メタリック」は、ドイツ・ニュルブルクリンク北コース「ノルドシュライフェ」に由来する色。単なるグレイではなく、緑深いニュルブルクリンクのイメージで、グリーンを感じる色味となっています。

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「ソースシルバー・メタリック」は、ベルギーの有名コーススパ・フランコルシャンの「ラ・スルス」を思い起こさせる色。天然の源泉という意味のソースという言葉に合わせ、シルバーによって水を表現しているということです。

「カジノホワイト・パール」も、モナコ・グランプリの「カジノコーナー」に由来した色。モナコという特別な場所が持つ、ラグジュアリーとスピード感を想起させるホワイトパールとなっています。

もうひとつの標準ホワイトに付けられた名前は「130Rホワイト」といいます。言わずと知れた鈴鹿サーキットの高速コーナーに由来した名前で、その色はホンダのレーシングカラーであるソリッドホワイトを受け継ぐものとなっています。

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残る2色は、サーキット由来ではありませんが、「クレバレッド」の「クレバ」はラテン語で「カーブ」を意味する言葉。ブラジルのインテルラゴスやイタリアのモンツァといった伝統的なサーキットが使う「クレバ」という響きは、ブラジル出身の伝説的ドライバーであるアイルトン・セナ選手との関係を思い起こさせます。

そして「ベルリナ ブラック」。これは初代NSXから受け継いだブラック。ホンダスピリットを継承することを示す意思を込めた色というわけです。

(山本晋也)

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新型NSXはこうやって作られている

北米はオハイオ州の専用工場「Performance Manufacturing Center(PMC)」で生産されている新型NSX。その生産責任者であるクレメント ズソーザ氏は、インド出身でエンジニアリングを学ぶため渡米し、1980年代後半にオハイオ州の生産拠点に入社したという経歴の持ち主です。

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いまから4年以上前にチームを立ち上げる際に、同氏が本田宗一郎氏の「常識に挑戦し、夢を追い続けることでのみ、我々の未来は存在する」という言葉を掲げたそうです。

本田宗一郎氏の言葉は、PMCで働く人々や来客者から見えるように掲げられているとのこと。

ホンダとして新しい生産方法を数多く採り入れられている新型NSXらしい挑戦といえそうで、クレメント ズソーザ氏が率いるチームは、「既存の考え方にとらわれない、新たなものづくりへのチャレンジを続けてきた」と語っています。

同氏はオハイオ州の工場に入社後、2年間日本の研究所で働き、ホンダにおけるキャリア、そして新型NSXのプロジェクトへの関わり方で大きな意味があったとしています。

日本駐在中は、98年式のアコード発売に際して日米の調整役、そしてボディ設計にも携わり、彼のデスクの先(柱何本分か向こう)に現在の八郷社長のデスクがあったそうで、異なるプロジェクトに携わっていたものの、生産手法や英語表現について八郷社長からよく相談を受けたそうです。

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また、当時のアコードの試作が初代NSXの生産工場でもあった栃木の高根沢工場でも行われていたため、NSXが生産されている様子をよく見ていたという逸話も披露。

当時は将来自分がNSXをつくり、専用工場に携わるとは夢にも思っていなかったそうで、何かの縁を感じていたようです。

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そして、新型NSXの専用工場は、日米の開発チームとともにNSXの設計を詳細に検討し、高根沢工場、熊本工場、そして世界中のスーパースポーツの工場をベンチマークとして立ち上げられています。

詳細な検討の結果、導き出されたのが「革新的な生産技術と、熟練技術者による職人技の調和」で、とくに溶接、ボディ組立、塗装、最終組立、品質確認における革新的技術の確立が大きな挑戦だったとのこと。

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中でも新型NSXの動的ねじり剛性は、ライバルと比較しても約3倍に達しているそうで、最新の接合技術により実現。

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また、3.5LのV6ツインターボエンジンは、組立からバランス調整まで一基あたり6時間かけ、アンナ工場のエンジン専門の匠が担当。エンジン、9速DCT、ダイレクトドライブモーター、フロント・ツインモーターユニットを一基ずつベンチテストと慣らし運転を行い、「納車後すぐに最高の走りを約束する」としています。

エンジンは、QSD(品質安定化設計)に持ち込まれ、2000rpmで5分間、つぎに3000rpmで20分間、4000rpmでさらに20分間慣らされるそう。

溶接のセクションは、完全自動化された高精度なミグ溶接を採用。こちらは薄板鋼板の溶接に適しているうえに、不活性ガスのコストを抑制できるアメリカではポピュラーな溶接方法。

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8台のロボットが正確に900カ所に高精度ミグ溶接を行い、100%自動化により正確な溶接とボディ構造の精度を担保。さらに、全方位からアクセスできるため最高精度の溶接が可能としています。クルマが回転しながらどの角度からも自由に溶接ができるのは、見ていて圧巻でしょう。

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塗装では、外装パネルは個別に塗装されるなど細部にまで配慮されているほか、組立は匠の技と最先端のロボット工学が活用されているそうです。ボルトはすべて熟練技術者による手締めで、12の組立ラインをそれぞれ14名の技術者が担当し、各プロセスに1時間要するとのこと。

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最後の品質検査では、シャーシの目視、アライメントとヘッドライトの調整、ダイノテスト、シェーカーテスト、シャワーテストなどが行われてラインオフとなります。

(文/写真 塚田勝弘)

「日米合同チームで作った」新型NSX。主査が語った想いとは?

ホンダの八郷隆弘社長に続いて登場した、新型NSXの開発責任者のテッド クラウス氏は「新型NSXをホンダのホームマーケットであり、生誕の地でもある日本の皆さんにご紹介できることを大変光栄に思う」と語っています。

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同氏は25年間、ホンダの動的性能とハンドリングに焦点を当てたクルマ開発に携わってきたそう。米国と日本で仕事をする中で2011年に新型NSXの開発責任者に任命された際には「日米両国で学んだことが開発の方向性を定めるのに役立った」と語っています。

テッド クラウス氏は、初代NSXに対面した際に「スポーツカーはこうあるべき」というホンダの主張を感じたそうです。

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「コンパクトで低重心、高性能シャーシ、優れた視認性、シンプルで人間工学に基づいたインターフェイス」などを挙げ、初代NSXのコンセプトである「人中心のスーパースポーツ」を受け継ぎながら「新時代のスーパースポーツ体験」を実現したと強調。

日米合同チームで開発をスタートするにあたり、まず日本で初代NSXの開発メンバーやオーナーに会い、「NSXらしさとは何か」を深く理解することからスタート。そして、日米合同チームは、NSXらしさという基準を元に、開発のすべての意思決定を行ってきたそうです。

そして、新型NSXのコンセプトとしてまず「瞬時に反応する加速性能」を挙げ、アクセル操作に対して俊敏かつリニアに反応する加速フィールを目指したとしています。

2つめのコンセプトは「ドライバーに呼応するハンドリング」。

スロットル、ブレーキ、ステアリングなどのドライバーからのインプットに高い精度で呼応し、「人とクルマとの直感的なコネクションを創造する」と表現。

さらに「ヒューマンフィット」を掲げ、キャビンの快適性や運転のしやすさにも注力、ドライバーの個性やスキルに関わらず、誰もが楽しめるスポーツカーを目指したとしています。

デザインについては「1ミリ1ミリすべての構成面がパフォーマンスを向上させる目的を持っている」と語り、空気抵抗やダウンフォース、冷却性能はスポーツカーのパフォーマンスを大きく左右するとして、最新のCDFシミュレーション(数値流体力学)を活用し、車体周辺の空力解析を実施。

機能的な要素をすべて取り込むことで「デザイン自体でエアロフローマネージメントができる」という結論に至り、「魅力的なデザインであり、スポーツカーとしての運動性能を高めるデザインが完成」したとのこと。

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ボディについては、押出成形アルミ、プレス加工アルミ、3DQ超高張力鋼管、世界初のアブレーション鋳造アルミ、GDQ鋳造アルミ、プレス加工鋼鈑による複合素材によるスペースフレームを採用。その結果、コンパクトサイズを維持したまま軽量かつ高剛性、優れた衝突安全性を確保したとしています。

こうしたパッケージを土台として、高効率・高出力を誇る3モーターハイブリッドシステムの「SPORT HYBRID SH-AWD」を採用。

リヤモーターとトルクベクタリングを実現するフロントの左右独立式のモーターにより「ハイレスポンス、力強いリニアな加速、意のままのハンドリングを実現」したことで、一般路でもサーキットでも素晴らしい加速フィールを得ることができたそうです。

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モーターは加速だけでなく「走る・曲がる・止まる」の面でモーターの駆動力を活用し、「ほんの10秒でもNSXのハンドルを握っていただければ、新開発のV6 3.5Lツインターボと3つのモーターの融合がもたらす新時代のスーパースポーツ体験」を実感していただけるはずと強調。

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また、パワーユニットをフル活用して走行シーンに合わせて「Quiet」、「Sport」、「Sport+」、「Track」の4モードも用意されています。

テッド クラウス氏は、25年前日本で駐在していた時に「将来、米国の研究所が日本と同じくらい、いや日本よりも強くなるといいな」と仲間達に語ったそうです。

しかし、米国、日本という言語や国にとらわれず、同じ価値観を共有しているチームだと語り、新型NSXはそんなホンダにしか作れないスーパースポーツだと締めくくっていました。

(文/写真 塚田勝弘)

新型NSX発表直前!今買いの初代NSXの中古車は!? チェックのポイントは?

2016年8月25日に新型NSXが発表されますが、新車価格は初代NSX3.0(5MT車)の2.5倍以上の2000万円オーバーと言われており、なかなか手が届きそうもありません。

そこで、現在でもMade in japanのスーパーカーとして高い人気を誇る、初代NSXのベストバイ中古車を紹介しましょう。

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初代ホンダNSXは1990年9月に登場しました。軽量なオールアルミ製モノコックボディを採用し、3LV6エンジンをミッドシップに搭載し、ミッションは5MTと4AT。そしてリトラクタブルヘッドライトを採用したジャパニーズ・スーパーカーです。002 003 004 005

デビュー当初はクーペだけでしたが、1995年にはタイプTと呼ばれるオープンモデルを追加。1997年にはMTを6速化すると共に、3.2LV6エンジン変更(AT車は3Lのまま)。専用サスペンションを採用したタイプS、よりハードなセッティングを施したタイプSゼロが設定されます。

2001年にはエクステリアに大幅な変更が行われ、リトラクタブルヘッドライトから、固定式のプロジェクタータイプのヘッドライトに変更され、2005年12月まで販売されました。

そして高い走行性能を実現させるために、徹底的な軽量化やエンジン、サスペンションにチューニングを施した赤バッチがシンボル のタイプRは1992年〜1995年と2002年〜2005年の2度販売されています。

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現在のNSX中古車相場を中古車検索サイト・カーセンサーnetで見てみると、中古車は約80台流通しており、平均価格は3カ月前が518万円で今月が510万円とわずかに値落ちしています。

また、NSX-Rの中古車は5台流通していますが、後期型の3台は価格応談で、平均価格は3カ月前が1450万円、そして今月は1700万円と上昇していまが、台数が少ないのでブレが大きいとも言えます。

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流通している中古車のグレード見てみると、圧倒的に多いのが約50%を締めるAT車のNSXです。

初期モデルは300万円以下でも購入でき、価格帯は約280万〜約890万円です。続いて多いのが約33%を占めるが3LのMT車で、価格帯は約370万〜1350万円。走行距離の少ないモデルは1000万円超えとなっています。

そのほかのグレードではオープンモデルのタイプTは3Lが1台、3.2L車が2台で価格帯は約860万〜1500万円。3.2Lの6MT車が1台で 約780万円。そしてタイプRは3L車が約1350万〜約2000万円、後期型の3.2L車の3台は全て応談となっています。前期型の価格から考えて、 2000万円オーバーというプライスも考えられるでしょう。

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初代NSXの中古車の流通状況はスタンダードモデルが中心で、タイプTやタイプS、タイプRといったスペシャルモデルはかなり稀少で手に入れづらいです。

したがって現在NSXの中古車のベストバイは、予算にあわせて選べる前期型の3LのMT車です。低回転からレッドゾーンまで吹け上がるVTECエンジンは傑作と言え、ターボエンジンとなった新型ではきっと味わうことはできないでしょう。

ただし、ポールアルミモノコックを採用していますので、修復歴有りという中古車の場合はどこを修理しているのかなどのチェックは普通のクルマ以上に厳しく行う必要があります。

(萩原文博)

新型NSXの国内正式発表は8月25日!V6ターボのハイブリッドスポーツカー

デビューが報じられてから3年。アメリカで作られるホンダ(アキュラ)のフラッグシップモデルであるNSXが、ついに国内販売を開始する日程が明らかとなりました。

すでに情報が公開されているように、マルチマテリアルのボディにV6・3.5リッター直噴ターボエンジンをミッドシップに縦置き配置。フロントは電気モーターで駆動する高出力の3モーターハイブリッドシステム「SPORT HYBRID SH-AWD」を与えられた新時代のスーパースポーツです。

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といっても、発表日と販売網に関する情報が、ホンダNSX先行公開ページにおいて公開されたのみで、正式な価格発表はまだまだ先となります。

気になる正式発表の日付は2016年8月25日。

また、国内における新型NSXの販売は、全国のHonda Cars(販売店)の中から、スーパースポーツのメンテナンスに必要な専用設備を備え、ホンダが認定したサービスエンジニアである「NSX スペシャリスト」が在籍する店舗だけに限られるといいます。

そうした店舗は「NSX PERFORMANCE DEALER」と名付けられ、その一覧も、ホームページで公開されています。

ぼぼ全国を網羅する42都道府県に「NSX PERFORMANCE DEALER」は配置されています。

そして、商談開始は、8月25日に、それぞれの店舗にて行なわれるということです。

・先行公開Webサイト:New NSX│Honda

(山本晋也)

新型NSXが「パイクスピーク16」デビュー戦でクラス優勝!【動画】

6月27日に米コロラド州で開催された「第100回パイクスピーク国際ヒルクライム」に新型アキュラ(ホンダ)NSXが出場。

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「パイクスピーク」は全長19.99km、標高差1,440mの山岳コースを一気に駆け上るレースで、北米ホンダのアキュラブランドから参戦したNSXが「タイムアタック2クラス」で10分28秒820のタイムを叩き出し、クラス優勝を果たしました。

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3モーター式の「SH-AWD」(スポーツハイブリッド・スーパーハンドリングAWD)を搭載した新型NSXは196のコーナーを持つヒルクライムステージを快調にクリアし、77台が完走したなか、総合20位をマーク。

今回優勝したドライバーはホンダの北米R&D部門で車両開発を担当するエンジニア、ニック・ロビンソン氏。

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自身が何年もかけて懸命に開発してきたクルマだけに、量産車クラスで優勝した喜びもひとしおだったようです。

同車の開発に関わってきたスタッフ全員の努力が実を結ぶ結果となり、開発陣にとっても幸先の良いデビューとなりました。

Avanti Yasunori ・画像: Acura)

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NSXのエアロダイナミクスが100秒で理解できるムービー
http://clicccar.com/2016/06/05/376654/

あの新型NSXが日本先行上陸! ただしギアだけ?
http://clicccar.com/2016/05/28/374110/

ホンダが米国で「NSX」量産第一号車を納車
http://clicccar.com/2016/05/28/374047/

新型・NSXの考え抜かれたエアロダイナミクスが100秒で理解できるムービー

アメリカの専用工場において、ついに量産が始まった新型NSX。

アメリカなどではアキュラの、また日本ほかではホンダのフラッグシップモデルとして発売される予定となっている、スーパースポーツです。

3.5リッターV6ツインターボと、前後合わせて3つの電気モーターからなるハイブリッドパワートレインも注目のNSXですが、いかにも空力を考慮したスタイルからも目が離せません。

‘TOTAL AIRFLOW MANAGEMENT’ CONCEPT

ハイパワーユニットを冷却するためのインテーク、空気抵抗を抑えながらダウンフォースを生み出すディテールなど、「トータル・エアフロー・マネージメント」と呼ばれる様々な工夫が盛り込まれています。

新型NSXの特徴といえるCピラーのスリットも、もちろん空力性能から生み出されたカタチ。そうした複雑に絡み合ったボディワークを、わずか100秒で説明してくれるムービーが発表されました。

ホンダによって作られた映像は、NSXのボディワークの二大テーマである「サーマル(冷却)」と「エアロ(空力)」の注目点を紹介することから始まります。

ボディに対して空気の流れを示すシーンでは、下から上に向かって、また後方の収束点を車体から遠ざけるといった工夫をビジュアルで表現。その後は、まるで空気になったような目線で、車体のどこに空気を流すように設計されたのかを疑似体験できるといった具合。

フロントバンパーの左右に振り分けられたインテークやフロントフードのベント、またリアバンパーのアウトレットに至るまで、NSXのエクステリアにはしっかりとした意味があるということが感じられる約100秒のムービーです。

(山本晋也)

ホンダが米国で「NSX」量産第一号車を納車

ホンダの米国現地法人アメリカン・ホンダモーターは、現地時間2016年5月24日にアキュラブランドの新型「NSX」北米仕様車の量産第一号車をラインオフし、納車したと発表しました。

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新型「NSX」第一号車のオーナーとなったのはリック・ヘンドリック氏で、彼は2016年1月に行われたチャリティーオークションにおいて、120万USドルでその権利を落札しました。落札金は米国の2つのチャリティー団体に寄付されたということです。

話題の新型車をオークションで落札し、落札金額をチャリティー団体に寄付するというところは、いかにもアメリカ風です。

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新型NSXの量産は、専用工場として設立されたオハイオ州メアリズビルの「パフォーマンス・マニュファクチュアリング・センター(以下、PMC)」で行われ、今回の北米仕様車を皮切りに、各地域向けの新型NSXが順次生産されるということです。

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第一号車のオーナー リック・ヘンドリック氏は次のようにコメントしました。

「この素晴らしい新型NSXの第一号車を手にすることと、これを通じてチャリティーに貢献できることは、非常に特別な瞬間であると感じています」

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PMC NSX生産プロジェクトリーダー クレメント・ズソーザ氏のコメントは次の通りです。

「今日は、我々PMCにとって大きな夢が実現した日であり、このオハイオで30年以上にわたり培ってきた生産技術や知見の集大成となる日です。NSXのデザインや生産においては、熟練したスキルを持つエキスパートたちが集まり、高いクラフトマンシップによる大きなイノベーションを実現しています」

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アメリカン・ホンダモーター副社長 アキュラ担当役員 ジョン・イケダ氏は次のようにコメントしました。

「新型NSXはアキュラのDNAをまさに体現するモデルです。この夢の商品を他のお客様にも早くお届けしたいと思っており、これを契機として今後もさらにアキュラを発展させていきます」

(山内博・画像:ホンダ)

あの新型NSXが日本先行上陸! ただしギアだけ?【人とくるまのテクノロジー展】

日本は自動車大国といわれるほど大きな産業となっていますが、クルマを作るためには、トヨタやホンダといった自動車メーカーだけではできません。

サプライヤーと呼ばれる多くの部品メーカーや、計測機器や工作機械を作る会社があってこその自動車産業です。

そうしたさまざまな企業が一堂に会する大イベントが「人とくるまのテクノロジー展」。毎年、5月にパシフィコ横浜において、公益法人 自動車技術会が主催する展示会・企画会議です(6月にはポートメッセなごやでも開催予定)。

各社が技術をアピールする場だけに、その出展物は先行開発品も少なくありません。

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500社以上が出展した、2016年の人とくるまのテクノロジー展2016横浜。

そのなかに、北米でユーザーに届き始めたというホンダのフラッグシップ・スーパースポーツ「NSX」の部品を見ることができるブースがありました。

そのパーツが飾られているのは、二輪用サスペンションなどで知名度の高いショーワのブースです。

そこにあったのは「スーパースポーツカー用ハイポイドギヤ」。

スーパースポーツカーの強力なパワーユニットの力を受け止め、トランスミッションの中で駆動の向きを変える重要なパーツです。

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展示品で目を引くのは、そのキラキラと輝く歯面。これは展示用に磨いたものではなく、日本初となる  特殊バレル研磨による歯面鏡化 によるもので、こうすることで大トルクにも耐えることができるのだといいます。

そして、気になるのは、どんな『スーパースポーツカー』 に、このハイポイドギヤが使われているのかということですが、その答えは同社が配布した製品リリースの中にありました。

この凝ったギヤを使っているのは、前述のようにアキュラ(ホンダ)NSXだったのです。

(写真・文 山本晋也)

三菱重工の3.5リッターエンジン用タービン、その正体は?【人とくるまのテクノロジー展2016】

自動車メーカーと、そのクルマ作りを支える多くのサプライヤーが一堂に会する展示会・企画会議が「人とくるまのテクノロジー展」です。

2016年は横浜(5月)と名古屋(6月)というスケジュールで開催される予定で、5月25日〜27日にパシフィコ横浜で開かれた会場には、538社もの出展社が集まったということです。

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会場を埋め尽くした各社ブースの中で、国産ターボチャージャーの雄といえる三菱重工のブースには、軽自動車サイズから3.8リッターV6ツインターボエンジンへ対応するものまで、大小様々なターボチャージャーが展示されていました。

その中でも特に注目されるのは3.5リッターガソリンツインターボエンジン用に使われているというTD04ターボチャージャーです。どのメーカーの、どのクルマに採用されているかは非公表ということですが、展示パネルに描かれているイラストを見れば一目瞭然。

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このイラストが示すのは、ホンダが北米で生産をはじめた新型NSXに違いありません。

まだまだ日本上陸まで時間はかかりそうなNSXですが、そのエンジンに使われているターボチャージャーを先行して見ることのできる、貴重な機会となったといえそうです。

(撮影・文 山本晋也)

SUPER GTデビューが待ち遠しい!「アキュラ NSX-GT3」公開

4月2日まで開催中のニューヨーク国際自動車ショーにて、ホンダの北米ブランド・アキュラが、来月末から量産に入るスポーツカー新型「アキュラNSX」のレーシングカー「アキュラNSX-GT3」をワールドプレミアしました。

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搭載されるユニットは市販モデルと同じ3.5L V6ツインターボエンジンですが、ハイブリッドシステムは搭載されていません。駆動方式はMRになり、ギアボックスは6速シーケンシャルとなります。

車体は、市販モデルにならってアルミニウムや超高張力鋼板など複数の素材を組み合わせたスペースフレームと、レース用のボディパネル、ロールバーを組み合わせて製作されます。

スタイリングは、公開された映像やオフィシャルフォトを見た感じだとGT3マシンの中では、一番大人しいと感じました。逆に言えば、それだけ市販モデルのNSXがスポーティなスタイリングであるという事だと思います。

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開発は、北米ホンダのレース部門「ホンダ・パフォーマンス・ディベロプメント(HPD)」が主導し、FIA-GT3クラスのホモロゲーションを取得するため、上記の映像の様にテスト走行距離を確実に重ねています。

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アメリカでの開発ですので、レースデビューはまずアメリカ・ルマン・シリーズが可能性としては高いでしょう。

日本でのレースデビューはどうでしょうか?シリーズとしては、SUPER GTでGT300クラスになります。ホンダのモータースポーツ活動、体制が最も整っているのは、当然ながら日本ですので、市販モデルのプロモーションとしても日本のサーキットで走らせたい気持ちは高いと考えています。

あとは、どこのチームが走らせるのかが気になるところです。とはいえ、今年のGT300参戦チームは、マシンを一新したところが多いですね。なかなかこの1年でNSXに乗り換えるというのも資金面やポテンシャルの面でもなかなか考えづらいです。

となると、ホンダがGT300チームを設立する可能性も十分に考えられます。「TEAM無限」の復活…なんてことになったら面白いですね。

今後の情報に目が離せません。

最後にニューヨーク国際自動車ショーでのプレゼンテーションの映像をご覧ください。

(栗原 淳)

ホンダが最新のアキュラ「MDX」、「シビック ハッチバック」プロトタイプを披露

3月25日から一般公開されたニューヨーク国際自動車ショーにおいて、ホンダはマイナーチェンジを受けたSUVのMDX、新型シビック(ハッチバック)のプロトタイプを公開しています。

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アキュラMDXは、2003年に日本にも初代が逆輸入されていましたが、2006年6月に販売を終了。現在は3代目に移行し、3列シートのラグジュアリーSUVとして米国での販売台数第1位(ホンダ調べ、2016年2月時点)に輝いているモデル。

エンジンは3.5Lの直噴SOHC i-VTEC V型6気筒で、9速ATを組み合わせている現行モデルに加え、2017年モデルから初めて3モーターハイブリッドシステム「SPORT HYBRID SH-AWD(Super Handling-All Wheel Drive)」も選択できるようになっています。

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「SPORT HYBRID SH-AWD」搭載モデルは、3.0L SOHC V型6気筒エンジンと7速DCTの組み合わせで、ガソリンモデルを35馬力上回る325馬力の最大出力を実現。

2017 Acura MDX

外観は、今年1月の2016年北米国際自動車ショーで世界初披露されたコンセプトモデル「Acura Precision Concept」で提示されたデザインが採用されていて、特徴的な「ダイアモンド ペンタゴン グリル」やスポーティさを強調するシャープなフロントフェイスなど、より洗練されたデザインが印象的。

2017 Acura MDX

また、「アキュラ」ブランドとして初めて全グレードに先進の安全運転支援システム「アキュラ ウォッチ(Acura Watch)」が標準装備されています。

「MDX」の北米での発売は、ガソリンモデルが今年夏、「SPORT HYBRID SH-AWD」搭載モデルは今年後半を予定しているとのこと。生産は現行モデルと同様、米国アラバマ工場で行われるのに加えて、2017年初頭からはオハイオ州のイーストリバティ工場での生産も予定されています。

2017 Honda Civic Hatchback Prototype debuts in New York City

Acura NSX GT3 Race Car

ほかにも、新型「シビック ハッチバック」プロトタイプ、北米レース用に開発された新世代スーパースポーツモデル「NSX」のGT3レースカーも世界初披露されています。

(塚田勝弘)

特許申請中! 新型NSXを生み出す特別な作り方

ホンダのフラッグシップスポーツ「NSX」の生産は、アメリカ・オハイオ州にある「PMC(パフォーマンス・マニュファクチャリング・センター)」にて行なわれています。

2016年4月下旬からの量産開始を前に、その生産ラインが公開されています。

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100%ロボット化された溶接工程によって生み出されるアルミとハイテンなどのハイブリッド・スペースフレームに、熟練工が14時間をかけてインテリアやエンジン、サスペンション、ハイブリッドシステムなどを組み込んでいくという新型NSX(北米ではアキュラ・ブランドで販売)。

ミッドシップに縦置きされる3.5リッターV6ツインターボエンジンは、同じくオハイオ州にあるアンナ工場において、1基につき6時間以上をかけてエキスパートが組み上げ、ベンチテストを課すなど、フラッグシップ&スーパースポーツにふさわしい丁寧な生産工程となっているといいます。

ボディ塗装は、11層のペイントを磨き上げたもので、NSXにふさわしいワールドクラスの仕上げになっていることが期待できるものです。

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自動車というのは組立工程を終えると、そのまま出荷されるわけではありません。

様々な基準を満たしているか、確認する必要があります。通常の自動車工場でも燈火類の確認や水漏れ、メーターの精度などなど様々なテストをするのですが、NSXはこの領域でひと味も二味も違うのが特徴です。

たとえばホイールアライメントの調整は、なんと45分間をかけて行なわれるといいます。そのほか、最低地上高やタイヤ荷重、ブレーキ性能などが精密に測定され、NSXの性能を担保するというわけです。

この工程は『ダイナミック・パフォーマンス・コンファメーション』と名付けられ、そのプロセスにおいて、数多くの特許を申請中というほど画期的な内容となっているということです。

(山本晋也)

新型ホンダNSXの北米仕様を4月下旬から量産開始!本気度がうかがえる最新の生産拠点

ご存じのとおり新型NSXの開発はオハイオ州にある開発拠点「ホンダR&Dアメリカズ」が中心で、現地で生産されるというのもすでにアナウンスされています。また、工場装着オプションを含めたメーカー希望小売価格は156,000〜205,700USドルと価格もすでに公表済み。

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アメリカの現地法人、アメリカン・ホンダモーターが量産モデルの新型NSXの生産を4月下旬から開始すると発表しました。

新型NSXを生産する「パフォーマンス・マニュファクチュアリング・センター(PMC)」は、オハイオ州で3番目のホンダの四輪車生産工場であり、新型NSXの開発が行われた「ホンダR&Dアメリカズ」のオハイオセンターからほど近い、メアリズビル四輪車工場に隣接する場所に立地しています。

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生産工場は、新型NSXのグローバル生産拠点としてオハイオ州メアリズビルに設立された「パフォーマンス・マニュファクチュアリング・センター(以下、PMC)」。熟練した技術者が持つ職人の技と、革新的な先進生産技術との調和を実現しているとのこと。

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「PMC」は、新型NSXのようなスーパースポーツモデルの少量生産に最適な生産設備を備えているのが特徴で、約100名の従業員が各工程で先進のロボット技術と協調しながら最高レベルの品質と高いクラフトマンシップを実現。また、高度な生産技術を多数有しており、現在12件の特許を米国で申請しているそう。

なお、新型NSXの3.5L V6ツインターボエンジンは、同オハイオ州にあるホンダのアンナエンジン工場でエキスパートの手により組まれます。

NSX Powertrain - Top View

「PMC」の生産工程、そしてスペースフレームを採用する新型NSXのこだわりは数多くあり、アルミニウムや超高張力鋼板など複数の素材を組み合わせたスペースフレームは100%ロボット化されたミグ溶接により作られます。

8台の溶接ロボットが860ヵ所にミグ溶接を施すことで正確な溶接を実現し、ボディの高い精度が確保されます。

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さらにスペースフレームは錆止めプライマーの塗布前に、チタン族元素であるジルコニウムを使用したエッチング処理が実施されます。ジルコニウムの使用は世界トップクラスの品質を確保するだけでなく、塗装工程で排出される廃棄物の削減にも貢献。

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技術者の作業性効率向上もポイントです。スペースフレームが360度回転式の冶具に投入され、上昇・回転することによりシーラー塗布がより精密になるとともに、作業環境が向上するという最新の生産ノウハウが投入されています。

さらに、この治具はフレームを一方向からのみで保持することが可能で、フレームの投入や取り出しを効率的に行うことができます(特許申請中)。

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出荷前に動的性能の確認がされるのも特徴。ホイールのアライメント調整作業は45分間をかけて行われるほか、タイヤ荷重の計測や最低地上高の確認、4輪すべてのブレーキパフォーマンスの精密な測定などをチェック。現在申請中の米国特許12件の半数がこのプロセスに関連するとのこと。

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日経新聞など一部報道によると、すでに試作車を25台/1日のペースで生産を開始しており、量産車は8〜10台/1日というペースになるそうで、オーナーとして新型NSXのステアリングをいち早く握る方が羨ましいものです。

(塚田勝弘)